事業評価書( |
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・事後) |
評価対象(事務事業名) | 広域食中毒の迅速探知システム”パルスネット”の構築、維持管理、その利用に関する研究事業 | |
担当部局・課 | 主管課 | 大臣官房厚生科学課(国立感染症研究所) |
関係課 |
番号 | ||
基本目標 | 2 | 安心・快適な生活環境づくりを衛生的観点から推進すること |
施策目標 | 1 | 食品の安全性を確保すること |
I | 食中毒等食品による衛生上の危害の発生を減らし、食品の安全性の確保を図ること |
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各地方衛生研究所(地研)で、患者から分離した菌をパルスフィールド電気泳動法:PFGEで解析する。その画像をインターネットを介して感染症研究所(感染研)に電送する。感染研で送られた画像を解析し、菌の同一性を判定する。その結果を地研に還元し、疫学調査に反映させる。 | ||||||||
予算額 | (単位:百万円) | |||||||
H11 | H12 | H13 | H14 | H15 | ||||
− | − | − | − | 190 |
(1)現状分析 食中毒事例において広域にかつ散在的に発生するが故に、同一の汚染原因で起こっていることが分かるまでに時間を要する事例が最近多く見られる。 (2)原因分析 食品の保存の安定化及び流通形態の高度化により、特定の場所で製造された食品等が日本全国に広域的に配送されるようになってきている。 (3)問題点 そのため、製造、流通の段階で微生物による汚染が起こると、それによって起こる食中毒等の健康被害が不特定多数に拡大する可能性が高くなっている。迅速に把握し対応しないと、犠牲者が増加する。 (4)事務事業の必要性 菌株の遺伝型(PFGE型)を解析することにより、共通の原因で発生したものなのかどうかを迅速に判定し、その結果を疫学解析に利用し、汚染原因を突き止め被害を最小限にくい止めるための解析ネットワークシステムの構築が必要となっている。 |
目標達成年度(又は政策効果発現時期) | ||||||
アウトカム指標 | H15 | H16 | H17 | H18 | H19 | 目標値/基準値 |
食中毒患者数 | 45,000 | 40,000 | 39,000 | 38,000 | 37,000 | 46,179 |
(説明) 食中毒患者数の減少が見込まれる。 |
(モニタリングの方法) 食中毒統計(厚生労働省健康局編)より抜粋 |
公益性の有無(主に官民の役割分担の観点から) |
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(理由) 特定できない対象者に被害が及び可能性がある食中毒の発生を未然に防ぎ、国民の健康保全を図るのは官の役割である。 |
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国で行う必要性の有無(主に国と地方の役割分担の観点から) |
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(理由) 地方衛生研究所および感染症研究所(地方と中央の)の連携を密にすることにより、機敏なる対応を可能にさせ、有機的な関係を維持させることができる。危機対応を全国的にスムーズに行うためには国が主体となることが重要である。 |
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民営化や外部委託の可否 |
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(理由) 健康被害を少なくするための方策であり恒常的に監視を続ける必要がある。 利潤を期待できる事業ではないので民営化や外部委託に適さない。 |
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緊要性の有無 |
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(理由) 大規模食中毒事例の迅速なる把握を行い、汚染原因を解明し、回収等の行政対応により被害の拡大を阻止することが重要。早期対応を図ることにより、犠牲者を最小限にし、国民の健康を守ることが重要である。 |
政策効果が発現する経路 |
菌のDNA解析を利用したパルスフィールド電気泳動解析ネットワークシステム“パルスネット"は、離れた地域に発生している食中毒の原因菌が同一のものであるかどうかを判定するのに優れており、これにより広義的な防止策が可能となる。 |
これまで達成された効果、今後見込まれる効果 |
同一汚染原因であるが、離れた地域で散在的に発生している食中毒事例(diffuse outbreak)を迅速に把握することにより、汚染食品の回収等の行政対応を迅速に行う。それにより被害の拡大を阻止し、人的犠牲を最小限にくい止め、国民の健康を守る。この効果は事業開始から1〜2年後にはよるものと見込まれる。 |
政策の有効性の評価に特に留意が必要な事項 |
健康被害を未然に防ぐ方法は、具体的数字としてその効果を現すのは難しい。ただし、もし汚染物が回収されなかったなら、被害がどれくらい拡大したかを計算してその効果を推し図ることは可能である。 |
手段の適正性 | ||||
インターネットを介して、日本全国の地研の解析結果を感染研に収束し、全体の動向を監視できる点において効率性に富んでいる。それにより、広域集団事例の迅速なる把握、及び効率的な対策に結びつけることができる。 | ||||
効果と費用との関係に関する分析 | ||||
上記したように効果を数字に出すことは難しい。敢えて行うとすると、もし早期に発見し、汚染物を回収しなかったとすると被害がどれくらい拡大し、どれほどの医療費が掛かり及び犠牲者がでたかを推定することは可能である。たとえば、イクラのO157事件で約100kgのイクラが売られ50人の患者が出た。約10トンのイクラが回収・破棄された。それにより約5000人の患者発生がくい止められた。その分の医療費を節約できた。 | ||||
他の類似施策(他省庁分を含む)がある場合の重複の有無 |
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(有の場合の整理の考え方) 農林水産省との連携を図れば、想定される野菜、家畜等の汚染源の調査、把握も可能である。 |
なし |
(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項 なし (2)各種政府決定との関係及び遵守状況 なし (3)総務省による行政評価・監視等の状況 なし (4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等) なし (5)会計検査院による指摘 なし |