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事業評価書(
事前
・事後)
平成14年9月

評価対象(事務事業名)
 
国立がんセンターにおけるがん予防・検診研究センター(仮称)の開設
担当部局・課
 
主管課 国立病院部政策医療課
関係課 国立病院部経営指導課


1.事務事業の内容

(1) 関連する政策体系の施策目標
  番号  
基本目標 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
施策目標
広域を対象とした高度先駆的な医療や結核・難病などの専門的医療(政策医療)を推進すること
I 政策医療を着実に実施すること

(2) 事務事業の概要
事業内容(
新規
・一部新規)
 メディカル・フロンティア戦略に基づき、がん対策の充実の一環として、
(1) 国立がんセンターにおける新たながん予防のための最新の検診技法の研究開発
(2) 最新の検診技術による標準的ながん検診手法の確立及び全国への技術移転等
を推進するためのがん予防・検診研究センター(仮称)を開設する。
要求額 (単位:百万円)
H11 H12 H13 H14 H15
1,429

(3) 問題分析
(1)現状分析
 安心・信頼してかかれる医療を確保するためには、地方公共団体や民間の医療機関では十分な対応が困難な広域を対象とした高度先駆的な医療や結核・難病などの専門的医療については国により着実に実施される必要がある。現在、我が国の死亡原因の第一位を占めるがんに関しても、国民の健康寿命の延伸という観点から、がんの予防、早期発見・早期治療に関する総合的研究が推進されていることであるが、がん検診分野やがん予防分野の研究については、本態解明や治療研究に比べて研究の遅れが指摘されている。
(2)原因分析
 従来、我が国におけるがんの研究においては、がんの本態及び発症メカニズムの解明や、治療技術・治療方針に関する研究分野を中心として研究が推進され、がん検診分野やがん予防分野の研究は相対的に力点がおかれてこなかった。
(3)問題点
 がん検診分野やがん予防分野の研究を推進する体制が整備されていない。
(4)事務事業の必要性
 がん予防・がん検診技術開発研究における国家的中核的拠点施設としてがん予防・検診研究センター(仮称)を国立がんセンター内に整備し、がん検診分野及びがん予防分野の研究を推進する。

(4) 事務事業の目標
政策効果発現時期 平成15年度以降
アウトプット指標 H15 H16 H17 H18 H19 目標値/基準値
本センターによる研究論文発表数            
(説明)
 がん検診分野及びがん予防分野の研究の推進状況を測定することができる指標である。
(モニタリングの方法)
 その都度調べる。
参考指標(過去数年の推移を含む) H9 H10 H11 H12 H13
がんによる死亡率(人口10万人対) 220.4 226.7 231.6 235.2
(説明)
 がんを死因とする死亡率。単位は人口10万人対。
(モニタリングの方法)
 厚生労働省統計情報部「人口動態調査」


2.評 価

(1) 必要性
公益性の有無(主に官民の役割分担の観点から)
その他
(理由)
 先駆的分野の研究であり、直接収益を生むような性格の事業ではないので、民間による取り組みには限界がある。
国で行う必要性の有無(主に国と地方の役割分担の観点から)
その他
(理由)
 地方では地域医療における基本的・一般的医療を中心に医療の提供を行うこととなるため、地方による取り組みには限界がある。
民営化や外部委託の可否
(理由)
 直接収益を生むような性格の事業ではないので、単純な民営化は困難である。国立がんセンターがこれまで蓄積してきた能力を用いて本事業を行うことが効率的であり、外部委託を行うことは非効率的である。
緊要性の有無
(理由)
 がんは国民の死亡原因の第一位を占め、また、がんによる死亡者数も増加し続けている状況であり、本事業の早期実施が求められている。

(2) 有効性
政策効果が発現する経路
 がん予防・検診研究センターが開設されることにより、がん予防のための先端的検診技法の研究開発、最新検診技術による標準的ながん検診手法の確立及び全国への技術移転などが進み、最終的には国民の健康寿命の延伸に繋がる。
これまで達成された効果、今後見込まれる効果
 現在高齢化の進展に伴いがんによる死亡者が増加している状況であるが、本事業を行うことにより、将来的には国民の健康寿命の延伸、がんによる死亡者数の減少などが見込まれるものであり、「公平で安心な高齢化社会・少子化対策」に繋がるものである。
政策の有効性の評価に特に留意が必要な事項
 他の要因の影響。

(3) 効率性
手段の適正性
(a) 当該事務事業を行わない場合
メリット−コストが必要ない デメリット−効果が期待できない
(b) ほかに想定しうる手段で行った場合
ほかに想定しうる手段はない
(c) 当該事務事業を行った場合
メリット−効果が期待できる デメリット−コストが必要
効果と費用との関係に関する分析
(単位 百万円)
社会便益   貨幣価値換算困難3
直接 がんによる死亡者数の減少  
間接 国民の健康寿命の延長に伴う医療費の減少  
新たな医療機器等の開発による経済的効果  
社会費用 4,885  
直接 がん予防・検診研究センター(仮称)整備費 3,456  
がん予防・検診研究センター(仮称)経費 1,429  
純社会便益 △4,885 +3
 がん予防・検診研究センター(仮称)の開設により生じる社会便益については測定が困難。
他の類似施策(他省庁分を含む)がある場合の重複の有無

(4) その他
 がんは国民の死亡原因の第一位を占め、また、がんによる死亡者数も増加し続けている状況であり、他の事業に優先して実施する必要がある。


3.特記事項
(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 「がん予防研究センター(仮称)整備基本構想策定検討委員会」を開催し、その意見等を踏まえて「がん予防・検診研究センター(仮称)整備基本構想(案)」を策定した。

(2)各種政府決定との関係及び遵守状況
 ○  メディカル・フロンティア戦略(抜粋)
 次世代の先端科学及び医療・医術を国民の健康のために重点投入し、働き盛りの国民にとっての二大死因であるがん、心臓病への挑戦と、寝たきりや痴呆にならない健康な高齢期を目指す総合的な戦略である「メディカル・フロンティア戦略(仮称)」を策定し、活力ある長寿社会を創造する。
 計画期間  2005年までの5か年計画
 目標  働き盛りのリスク対応 [二大死因への挑戦]
 がんの征圧 → 治ゆ率を20%改善

(3)総務省による行政評価・監視等の状況
 なし

(4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 なし

(5)会計検査院による指摘
 なし


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