戻る

44
事業評価書(
事前
・事後)
平成14年12月

評価対象(事務事業名) 市町村少子化対策推進強化特別事業
担当部局・課 主管課 雇用均等・児童家庭局総務課
関係課  


1.事務事業の内容

(1) 関連する政策体系の施策目標
  番号  
基本目標 男女がともに能力を発揮し、安心して子どもを産み育てることなどを可能にする社会づくりを推進すること
施策目標 子どもが健全に育成される社会を実現すること
   

(2) 事務事業の概要
事業内容(
新規
・一部新規)
 市町村における地域子育て支援体制の強化を図るため、以下の事業を市町村が選択して実施する。
 (1)子育て支援総合コーディネート事業
 (2)子育てバリアフリー推進事業
 (3)子育て支援委員会事業
 (4)行動計画策定推進事業
 (5)その他特認事業(子育てマップや子育てガイドブック作成事業 など)
予算額 (単位:百万円)
H11 H12 H13 H14 H15
997

(3) 問題分析
(1)現状分析
 平成13年の合計特殊出生率が過去最低の1.33(概数)となるなど少子化傾向が依然として続いており、子育てしやすい環境を整備することが求められている。

(2)原因分析
 少子化の主な原因としては、子育てと仕事の両立の負担感の増大、子育てそのものの負担感が増大していることなどを背景とした、晩婚化の進行等による未婚率の上昇、さらに結婚した夫婦の出生児数の減少などが指摘されている。

(3)問題点
 これまで、子育てに対する不安、負担感の軽減を図ることを目標に様々な事業を展開してきたが、さらにこれまでの少子化対策で十分でなかった点を含めた一層の施策の強化が求められている。

(4)事務事業の必要性
 本事業では、地域における多様な子育て支援サービスを利用しやすくするための子育て支援総合コーディネート事業の実施や子育てバリアフリー化の推進及び子育て支援委員会の設置などにより、子育てしやすい環境整備の推進及び子育てしやすい社会の実現を達成目標として実施することとしている。

(4) 事務事業の目標
目標達成年度(又は政策効果発現時期) 事業が本格稼働する平成16年度以降
アウトカム指標 H15 H16 H17 H18 H19 目標値/基準値
子育てしやすい社会の実現            
(説明) (モニタリングの方法)
アウトプット指標 H15 H16 H17 H18 H19 目標値/基準値
子育て支援総合サービスの利用者数            
(説明)
 インターネット、FAX等により、子育て支援総合サービスを利用した数
(モニタリングの方法)
 実施状況調査
アウトプット指標 H15 H16 H17 H18 H19 目標値/基準値
バリアフリー基本計画を策定した市町村数            
(説明)
 子育てバリアフリー基本計画を策定した市町村の数
(モニタリングの方法)
 実施状況調査
アウトプット指標 H15 H16 H17 H18 H19 目標値/基準値
子育て支援委員会を設置した市の数            
(説明)
 子育て支援委員会を設置した市の数
(モニタリングの方法)
 実施状況調査
参考指標(過去数年度の推移を含む) H9 H10 H11 H12 H13
 なし          
(説明) (モニタリングの方法)


2.評価

(1) 必要性
公益性の有無(主に官民の役割分担の観点から)
その他
(理由)
 子育て支援総合コーディネート事業は、行政及び民間が提供する子育て支援サービスを公平に利用しやすくするためには、行政による均質化したサービス提供が必要である。また、子育てバリアフリーの推進は、子育て中の親子が、公共施設等を利用する際の物理的、精神的な障壁を取り除くものであるため、行政サービスの一環として実施する必要がある。さらに、子育て支援委員会の設置は、行政や関係機関の連絡調整を行うネットワークを構築し、行政が地域の子育て支援活動を推進する必要がある。
国で行う必要性の有無(主に国と地方の役割分担の観点から)
その他
(理由)
 自治体によりサービス提供やバリアフリー化への取組みなどに差異が見られることから、国庫補助事業として実施することにより自治体間の格差を是正する必要がある。
民営化や外部委託の可否
(理由)
 社会福祉法人等への委託可(ただし、子育て支援委員会事業は不可)
緊要性の有無
(理由)
 急速な少子化の進行に対応するため、少子化の流れを変えるための実効性のある対策を講じることが喫緊の課題となっており、関連する施策として早急に講じる必要がある。

(2) 有効性
政策効果が発現する経路
 子育て支援総合コーディネート事業は、社会福祉士等のケースワーク技能を有する子育て支援総合コーディネーターを配置して、関係機関の協力のもと、地域における多様な子育て資源情報の一元化及び収集した情報のデータベースを構築する。また、これを活用して、子育て支援総合コーディネーターが、さまざまなサービスから利用者の状況やニーズに合わせて、ケースマネジメントや利用援助をすることにより、具体的なサービス利用につなげていく。これにより、サービス利用者の子育ての不安、負担の軽減、地域の子育て情報提供体制の確立及び子育てしやすい社会を実現する。
 子育てバリアフリー推進事業は、子育て中の親などの声を直接反映させるための推進チームの設置、その推進チームの意見を踏まえた基本計画を策定することにより、市町村の具体的なバリアフリー化事業(託児室の設置、トイレの改修など)実施の円滑化を図る。さらに利用者への広報啓発として、バリアフリーマップの作成を行い、事業効果を高めることで、子育て中の親の物理的、精神的な障壁を取り除き、子育てしやすい社会を実現する。
 子育て支援委員会事業は、実施方針の決定→企画委員の募集→講習の実施→講習を受けた子育て支援企画委員を中心に子育て支援委員会を設置→子育て支援委員会でプログラムを企画立案→実施に対する意見提案、連絡調整、対応困難な事例や問題点の対応等、子育て支援ネットワーク委員会を通じ、行政、関係機関等と連携し、事業実施に対する支援→プログラム終了後は、事業を評価し、次のプログラムに反映させる。
これまで達成された効果、今後見込まれる効果
 本事業が円滑に実施されることにより、市町村における子育て支援体制の強化が図られ、少子化の流れを変えるための実効性のある施策の推進及び地域における子育てしやすい環境づくりの推進に寄与し、子育てへの不安や負担感の軽減さらに少子化への効果的な対応が図られる。
政策の有効性の評価に特に留意が必要な事項
 政策効果の発現に影響を及ぼす外部要因としては、サービス利用者の希望内容、さまざまな子育て資源や関係機関の協力、バリアフリー化に対する地域住民の理解などが考えられる。

(3) 効率性
手段の適正性
 (a)の場合:メリットはなし、デメリットは、コーディネート事業では、利用者にとって的確なサービス情報を得にくい状況が継続し、行政サービスの非効率さが存続する点。バリアフリー推進事業では、子育て中の親子が、公共施設等を利用する際の物理的、精神的な障壁がそのまま維持され、子育てしやすい環境の整備が進まない点。支援委員会事業では、住民のきめ細かいニーズが施策に反映されにくい状況が存続する点。

 (b)の「ほかに想定しうる手段」は特になし。

 (c)の場合:コーディネート事業のメリットは、サービス情報の一元化により、現在多岐にわたる情報伝達手段の効率化が図られる点、デメリットは、情報集積に多少時間を要する点。バリアフリー推進事業のメリットは、子育て中の親子が、公共施設等を利用する際の物理的、精神的な障壁が取り除かれ、子育てしやすい環境の整備が推進される点、デメリットは、本事業を実施する、しないにより自治体間の格差が広がる点。支援委員会事業のメリットは、住民のニーズに合った企画が可能になる点、デメリットは、企画提案された内容が的確に施策に反映されるかが不透明な点。
効果と費用との関係に関する分析
 市町村が、さまざまな子育て支援サービス情報を各々の資源から発信するのではなく、その情報を一元化して、発信・提供を行い、具体的なサービス利用につなげていくことで、現行の多岐にわたるサービス情報供給体制の効率化が図られる。  また、支援委員会事業は、立ち上げからの3年間に限定して補助し、活動がある程度定着する4年目以降は、自主運営に切り替える方式、いわゆる恒常的な運営費補助方式ではない重点配分方式を採っているため、他の事業に比べ、補助効果は高いと考えられる。
他の類似施策(他省庁分を含む)がある場合の重複の有無
(有の場合の整理の考え方)

(4) その他
 昨年5月の少子化対策に関する総理指示を受け、9月に策定した「少子化プラスワン」に盛り込まれた事項について取り組むことが喫緊の課題であり、本事業など関連する施策については他事業に比して優先して実施する必要がある。


3.特記事項

(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項
 なし

(2)各種政府決定との関係及び遵守状況
 なし

(3)総務省による行政評価・監視等の状況
 なし

(4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等)
 なし

(5)会計検査院による指摘
 なし


トップへ
戻る