ここ10年程度の間に失業率は大きく上昇しており、特に東北、近畿の各県で上昇幅が大きい。雇用情勢と産業構造の関係では製造業比率が高い地域で失業率が低い状況がみられる。失業率の上昇は、1990年代前半は人口の増加、後半は就業者数の減少寄与が大きい。製造業就業者数が1990年代を通じて減少する中、雇用の下支えとなっていた建設業就業者も90年代後半より減少となり、就業者数全体も減少となった。製造業就業者の減少には、経済の国際化の影響が考えられ、産業集積地域において減少の大きい地域がみられる。しかしながら地域によってばらつきがあり、輸出競争力の強い業種が基盤となっている地域では従業者数の減少割合は小さい。サービス業就業者は増加しており、特に高齢者ケアサービスの従業者数増加率は各地域ともに大きい。今後とも製造業がある程度の雇用の受皿となることが必要であるが、あわせて地域の実情に応じたサービス業等の雇用創出を図り、製造業や建設業などからの円滑な労働移動を支援していくことが重要である。 |
(1) | 個人向け・家庭向けサービスは、各地域ブロックともにサービス業に占める割合が大きいが、個人消費が低迷を続ける中で従業者数の増加はあまりみられていない。 |
(2) | 企業・団体向けサービスは都市部に集中しており、増加率は南関東で大きい。また、企業・団体向けサービスの5割程度を占めるIT関連サービスは、東京への集中がみられる。 |
(3) | 高齢者ケア、医療、環境、子育てサービスは地方圏にも分散がみられ、各地域とも従業者数の増加がみられているが、特に高齢者ケアサービスの増加率が大きい(第28図)。 |
(注) | サービス業9分野とは、(1)個人向け・家庭向けサービス、(2)社会人向け教育サービス、(3)企業・団体向けサービス、(4)住宅関連サービス、(5)子育てサービス、(6)高齢者ケアサービス、(7)医療サービス、(8)リーガルサービス、(9)環境サービス。 |