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第1章 人口構造の変化と現役世代

1 我が国における人口の年齢構成の変化

 我が国における人口の年齢構成は大きく変化してきており、一般に「働き手」とされる生産年齢人口(15〜64歳人口)は、1995年(平成7年)をピークに減少に転じ、今後更に減少していくことが見込まれている。一方、老年人口(65歳以上人口)が総人口に占める割合については、2050年(平成62年)には、およそ40%となることが見込まれている。また、老年人口内部、生産年齢人口内部においても高齢化が進行している。

グラフ:年齢別人口の総人口に占める割合の推移

2 人口の年齢構成の変化の背景

 一般に、一国の経済社会が発展するにつれて、人口は、多産多死から、多産少死を経て、少産少死へと変化し、人口総数の増減もなく、各年齢の人口数も不変の安定的な状態へと変化することが「人口転換」として経験的に知られている。我が国においても1975年頃まではおおむねこの過程を経験してきたが、その後、この流れとは全く異なる動きをとるようになり、特に出生率の大幅な低下とそうした低い水準が20年以上も続いていることは大きな特徴となっている。
 
 我が国の人口の年齢構成の大きな変動の背景は、急速な「多産」から「少産」への移行により出生率が急激に低下した後も出生率が安定せずに低下が続く中、1965(昭和40)年以降の急速な中高年死亡率の改善により、世界的な長寿を達成することができたことによるものと考えられる。

グラフ:我が国の出生率、死亡率、自然増加率

3 人口の年齢構成の変化が及ぼす影響

 人口の年齢構成の変化を受け、労働力人口の年齢別構成もより高い年齢階層において増加することが見込まれる。
 
 こうした労働力人口の高齢化は、年功賃金等の雇用慣行にも影響を及ぼすとともに、医療、年金等の社会保障分野において現役世代の負担を増加させ、世代間の所得移転を拡大させる要因となる。

グラフ:年齢階級別労働力人口の推移

4 今後の人口構造の変動を踏まえて〜本書のねらい〜

 人口構造の状況に加えて、経済・産業構造の大きな変化は、我が国の現役世代をとりまく社会経済環境に大きな影響を与えるようになってきている。そこで、今年の白書では、現役世代に焦点を当て、その経済的側面を中心として、働き方や所得水準について分析を行うとともに、今後の方向性について考察することとする。


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