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 (2) 雇用・失業対策

  (1) アメリカでは、同時多発テロ事件後の景気対策として、2002年3月に雇用保険支給延長等に係る法律が成立した。また、2001年6月、企業、労働組合及び政府幹部が一同に会し、労働力の技能格差、労働力の構造変化、労働力の将来について議論する「21世紀人材サミット」が労働省により開催され、「21世紀人材に関する大統領委員会」の創設、労働省への「21世紀人材部局」の設置などが決定された。

  (2) イギリスでは、2001年6月に政府組織の大規模な改編が行われ、これに伴い、労働社会保障関係では、教育雇用省と社会保障省が廃止されて、雇用年金省と教育技能省が新設され、「福祉から就労へ」政策の実施にさらに力が入れられている。この改編を受け、2002年4月に、公共職業紹介機関であるジョブセンターを運営してきた雇用サービス庁と各種福祉給付サービスを提供してきた給付庁が統合され、新たにジョブセンター・プラス庁が設置された。

  (3) ドイツでは、引き続き社会保障改革、税制改革、財政改革が進められ、2001年5月、年金制度を改革する法律が成立した。2001年11月には、長期失業者対策等を盛り込んだ「労働市場改革のための法律」が成立し、2002年1月1日から施行された。また、2002年の雇用情勢のさらなる悪化に対応して、同年3月より、低賃金労働者に対して社会保険料の助成等を行う「緊急雇用促進制度(コンビ・ローン)」が導入された。

  (4) フランスでは、2000年2月から実施されている週35時間労働制が雇用の維持・創出に一定の評価を得ており、2002年1月からは従業員20人以下の事業所にも適用されることとなっていた。しかし、景気の先行き不透明感が増す中で、小・零細企業等からは規制緩和を求める声が高まったため、政府は2001年10月、制令によりこれを緩和することとし、従業員20人以下の事業所については、35時間労働制の実施は実質的に2004年からとした。

  (5) 韓国では、2001年の失業率を3%台に安定させるという目的のため、2001年総合失業対策を発表し、雇用の創出、短期の職場提供、職業能力開発を通じたエンプロイヤビリティの増大、社会安全網の拡張、失業対策サービスシステムの改善等について取り組んだ。

  (6) 中国では、国有企業下崗労働者(一時帰休者)制度を2003年までに廃止することとなっているが、下崗労働者の基本生活保障と再就職を支援するための具体的な内容を示した「再就職援助行動の展開に関する通知」が発出された。


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