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○新生児聴覚検査の実施について

(平成19年1月29日)

(雇児母発第0129002号)

(各都道府県・各政令市・各特別区母子保健主管部(局)長あて厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課長通知)

聴覚障害は、早期に発見され適切な支援が行われた場合には、聴覚障害による音声言語発達等への影響が最小限に抑えられることから、その早期発見・早期療育を図るために、全ての新生児を対象として新生児聴覚検査を実施することが重要である。

このため、市町村(特別区を含む。以下同じ。)におかれては、下記に御留意の上、新生児聴覚検査の実施に積極的に取り組まれるようお願いする。

都道府県におかれては、本通知の内容を御了知の上、新生児聴覚検査の意義等に係る管内広域にわたる周知啓発や、療育機関や医療機関等の関係機関との連携体制づくり等について、積極的な取組と管内市町村への指導を行っていただくようお願いする。また、医療機関に対する周知啓発に当たっては、別添1及び別添2の資料を参考とされたい。

なお、新生児聴覚検査事業については、平成18年度をもって国庫補助を廃止し、平成19年度の地方財政措置において、「少子化対策に関する地方単独措置」として総額において大幅な拡充がなされることにより、所要の財源が確保され、市町村に対して地方交付税措置されたことを申し添える。

おって、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項に規定する技術的な助言として発出するものであることを申し添える。

1 新生児聴覚検査の実施について

(1) 市町村は、聴覚検査方法の開発の進展や新生児期に聴覚能力を判定できる検査機器の普及等により、大半の医療機関において聴覚能力をスクリーニングできる体制が整備されている状況を踏まえ、管内の全ての新生児に対し新生児聴覚検査が実施されるよう、次の取組を行うよう努めること。

① 新生児の訪問指導等の際に、母子健康手帳を活用し、以下を行うこと。

ア 新生児聴覚検査の受診状況を確認し、保護者等に対し検査の受診勧奨を行うこと。

イ 新生児聴覚検査の受診結果を確認し、要支援児とその保護者に対する適切な指導援助を行うこと。

なお、検査の結果、支援が必要と判断された児に対する療育は、遅くとも生後6か月頃までに開始されることが望ましいこととされていることから、その時期までに管内の新生児を含む全ての乳児に対し受診状況の確認を行うよう努めること。

また、確認した受診状況等については、市町村においてとりまとめ、継続的な検査実施状況等(受診者数、未受診者数、受診率、検査結果、要支援児数等)の把握に活用すること。

② 新生児聴覚検査に係る費用について公費負担を行い、受診者の経済的負担の軽減を積極的に図ること。

(2) 市町村は、(1)の取組を行うに当たって、検査により把握された要支援児に対する療育が遅滞なく実施されるよう、別添2の新生児聴覚検査の流れを参考とすること。

2 周知啓発

市町村は、周知啓発に当たり次に留意すること。

(1) 新生児聴覚検査の目的や検査方法等について、保護者又は関係者等に対して、あらゆる機会を通じて周知徹底を図ること。

(2) 母子健康手帳の交付、妊産婦健康診査、出産前の両(母)親学級等の機会を活用し、住民に対し新生児聴覚検査についての普及啓発を行うこと。

3 関係機関の連携等

(1) 都道府県は、管内の市町村において、新生児に対する検査が適切に実施され、検査により把握された要支援児及びその保護者に対する多面的な支援が円滑に行われるよう、行政機関、療育機関、医療機関、教育機関、地域の医師会、患者会等の関係機関・関係団体から構成される協議会を開催し、都道府県単位で連携体制を構築すること。

協議会においては、市町村における実施状況等(公費負担の実施、検査の受診者数・未受診者数・受診率・検査結果等、受診勧奨、早期療育への支援状況等)や医療機関における検査の実施状況等を把握し、必要な対策について協議すること。

(2) (1)の連携体制のもとで、新生児聴覚検査から療育までを遅滞なく円滑に実施できるよう、手引書等を作成することが望ましいこと。

(3) 検査結果等の個人情報の取扱いには十分留意すること。

【別添1】

医療機関における新生児聴覚検査に関する留意事項

1 検査体制の整備

(1) 分娩取扱機関においては、必要な検査機器の整備及び検査担当者の配置、又は、検査を実施する医療機関との連携体制の構築により、出生児に対し新生児聴覚検査を早期に実施できる体制を整えること。

(2) 精密検査を実施する医療機関は、精密検査の結果、異常があると認められた児に対する療育が早期に開始されるよう、療育機関との連携体制の構築を図ること。

2 検査機関における対応

(1) 新生児聴覚検査を実施する機関(以下「検査機関」という。)は、検査の実施に当たり、保護者に誤解や過剰な不安感を与えないよう、保護者に対し、検査の目的・内容・方法についてわかりやすく説明するよう努めること。

(2) 検査機関は、検査の結果、リファー(要再検)のケースについては、保護者に対し十分な説明を行うよう努めること。

(3) 検査機関は、保護者に説明し同意を得た上で、母子健康手帳に検査年月日及び結果を記録すること若しくは検査結果の写しを添付すること、又は、検査結果の写しを保護者に渡すことに努めること。指定養育医療機関において、聴覚検査を実施する場合においても同様であること。

3 検査時期

(1) 分娩取扱機関において新生児聴覚検査を実施する場合は、おおむね生後3日以内に行う初回検査の結果、リファー(要再検)のケースについては、おおむね生後1週間以内に確認検査を行うこと。

(2) 分娩取扱機関において新生児聴覚検査を実施しない場合は、出生児が退院後可能な限り早期に検査を受診できるよう、検査機関との連携を図ること。

(3) 精密検査は、遅くとも生後3か月頃までに実施することが望ましいこと。

(4) 精密検査の結果、支援が必要と判断された児に対する療育は、遅くとも生後6か月頃までに開始されることが望ましいこと。

(5) 未熟児など特別な配慮が必要な児への検査時期については、(1)から(4)までにかかわらず、医師により適切に判断されることが望ましいこと。

4 検査方法

聴神経難聴スペクトラム(Auditory neuropathy spectrum disorders(ANSD))では、内耳機能は正常又は正常に近いため耳音響放射検査(OAE)ではパス(反応あり)となるものの、聴神経機能は異常であるため自動聴性脳幹反応検査(自動ABR)ではリファー(要再検)となる。このため、初回検査及び確認検査は自動聴性脳幹反応検査(自動ABR)で実施することが望ましいこと。

5 その他

検査機関は、新生児聴覚検査の精度の維持向上を図ることが望ましいこと。

【別添2】