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○生活保護法の一部改正に伴う指定医療機関の指定事務に係る留意事項等について

(平成26年4月25日)

(社援保発0425第11号)

(各都道府県・各指定都市・各中核市民生主管部(局)長あて厚生労働省社会・援護局保護課長通知)

(公印省略)

生活保護法の一部を改正する法律(平成25年法律第104号。以下「改正法」という。)については、平成25年12月13日に公布され、生活保護法施行令(昭和25年政令第148号。以下「施行令」という。)及び生活保護法施行規則(昭和25年厚生省令第21号。以下「規則」という。)並びに「生活保護法による医療扶助運営要領について」(昭和36年9月30日社発第727号厚生省社会局長通知)等についても所要の改正を行い、平成26年7月1日より施行することとしている。

今般、生活保護法(昭和25年法律第144号。以下「法」といい、改正前の法を「旧法」、改正後の法を「新法」という。)、施行令及び規則を踏まえ、指定医療機関の指定事務に関する留意事項等について下記のとおり整理したので、御了知の上、関係機関とも連携を図りながら、その実施に遺漏なきを期されたい。

1 改正法における指定医療機関制度の見直し

旧法では、法による医療扶助のための医療を担当する病院若しくは診療所、薬局又は訪問看護事業者等(以下「指定医療機関」という。)の指定及び指定取消しについて、健康保険等他の医療制度に比べ、具体的な要件が規定されておらず、不適正な医療機関への対応が十分行われる環境にあるとは言いがたい状況にある。

このため、新法では、健康保険の取扱い等を参考に、指定医療機関制度についても見直しを行っているが、その内容は主に次のとおりである。

(1) 指定医療機関の指定要件及び指定取消要件の明確化

ア 指定の要件

新法第49条の2第2項各号(欠格事由)のいずれかに該当するときは、厚生労働大臣又は都道府県知事(指定都市市長及び中核市市長を含む。以下同じ。)は指定医療機関の指定をしてはならないものとしたこと。また、同条第3項各号(指定除外要件)のいずれかに該当するときは、厚生労働大臣又は都道府県知事は指定医療機関の指定をしないことができるものとしたこと。

(欠格事由の例)

・当該申請に係る医療機関が健康保険法に規定する保険医療機関又は保険薬局ではないとき。

・開設者が、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。

・開設者が、指定医療機関の指定を取り消され、その取消しの日から起算して5年を経過しないものであるとき。

・開設者が、指定の取消しの処分に係る通知があった日から当該処分をする日までの間に指定の辞退の申出をした者で、当該申出の日から起算して5年を経過しないものであるとき。

(指定除外要件の例)

・被保護者の医療について、その内容の適切さを欠くおそれがあるとして重ねて指導を受けたものであるとき。

イ 指定の取消要件

指定医療機関が、新法第51条第2項各号のいずれかに該当するときは、厚生労働大臣又は都道府県知事は、その指定を取り消し、又は期間を定めてその指定の全部若しくは一部の効力を停止することができるものとしたこと。

(取消要件の例)

・指定医療機関が、健康保険法に規定する保険医療機関又は保険薬局でなくなったとき。

・指定医療機関の開設者が、禁錮以上の刑に処せられたとき。

・指定医療機関の診療報酬の請求に関し不正があったとき。

・指定医療機関が、不正の手段により指定医療機関の指定を受けたとき。

(2) 指定医療機関の指定の有効期間(指定の更新制)の導入

ア 指定医療機関の指定の更新

指定医療機関の指定は、6年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によってその効力を失うものとしたこと。(新法第49条の3第1項関係)

イ 指定の更新申請のみなし

指定医療機関のうち、指定医療機関の指定を受けた日から、おおむね当該開設者である医師等若しくは薬剤師のみが診療や調剤しているもの又はその配偶者等のみが診療若しくは調剤に従事しているものについては、その指定の効力を失う日前6月から同日前3月までに間に別段の申し出がないときは、更新の申請があったものとみなすものとしたこと。(新法第49条の3第4項関係)

(3) 不適切な事案等への対応の強化

ア 指定医療機関又は保険医療機関の指定取消しがなされた場合の対応

法による指定医療機関又は健康保険法による保険医療機関のいずれかの指定が取り消された際に、両制度間で関連性を持たせて対応できるものとしたこと。

・都道府県知事は、法による指定医療機関の指定を取り消した場合であって、保険医療機関の指定取消要件に該当すると疑うに足りる事実があるときは、厚生労働大臣に通知しなければならないものとしたこと。(新法第83条の2関係)

・健康保険法による保険医療機関の指定が取り消された場合は、法の指定医療機関の指定を取り消すことができるものとしたこと。(新法第51条第2項第1号関係)

イ 過去の不正事案への対応

旧法では対象となっていない指定医療機関の開設者であった者等についても、都道府県知事又は厚生労働大臣は、必要と認める事項の報告若しくは診療録等の提出等を命じ、又は当該職員に、実地に検査等させることができるものとしたこと。(新法第54条関係)

ウ 不正利得の徴収金

偽りその他不正な手段により医療の給付に要する費用の支払を受けた指定医療機関があるときは、都道府県知事又は市町村長は、当該指定医療機関から、その返還させるべき額のほか、100分の40を乗じて得た額以下の金額を徴収することができるものとしたこと。(新法第78条第2項関係)

エ 指定医療機関への指導体制の強化

指定医療機関に対する指導等の実施に当たっては、都道府県知事が指定した指定医療機関等については、一義的には指定権者である都道府県知事が行うべきものであるが、一部の指定医療機関における不適切な事案に効率的・効果的に対処できるよう、都道府県知事が指定した指定医療機関への報告等について、被保護者の利益を保護する緊急の必要があると厚生労働大臣が判断した場合には、厚生労働大臣も実施できるものとしたこと。(新法第84条の4関係)

2 新法の施行に伴う指定事務に係る留意事項

(1) 指定医療機関に対する新法の内容の周知徹底

都道府県(指定都市及び中核市を含む。以下同じ。)は、管内の指定医療機関に対して、上記1に掲げる指定医療機関制度の見直しに関する事項及びアからウまでに掲げる施行に伴う経過措置に関する事項についてあらかじめ周知を行うとともに、円滑な施行が図られるよう協力を求めること。

ア 旧法の指定を受けている指定医療機関は、施行日において新法第49条による指定を受けたものとみなされるものとしたこと。(改正法附則第5条第1項関係)

イ 新法の施行(平成26年7月1日)の際、新法の規定による指定医療機関の指定があったものとみなされた指定は、施行日から1年以内に指定医療機関の申請をしなければ、当該期間の経過によって効力を失うものとしたこと(平成27年7月1日付で失効する)。(改正法附則第5条第2項関係)

ウ 新法の施行(平成26年7月1日)の際、新法の規定による指定医療機関の指定があったものとみなされた指定に係る施行日以後の最初の更新は、施行日から6年を経過する日までではなく、施行日から健康保険法第68条第1項の規定により同法第63条第3項第1号の指定の効力が失われる日の前日までの期間を経過する日までに行うものとしたこと。ただし、施行日から1年以内に当該前日が到来する場合にあっては、当該前日から6年を経過する日までに行うものとしたこと。

また、指定訪問看護事業者等の最初の指定の更新については、健康保険法による指定を受けている訪問看護事業者(介護保険法による指定を受けているものを除く。)にあっては、施行日から6年を経過する日までに行うものとしたこと。

さらに、上記以外の訪問看護事業者等あっては、介護保険法の指定の有効期間の満了日までに行うものとすること。ただし、当該日が施行日から1年以内に到来する場合にあっては、当該日から6年を経過する日までに行うものとしたこと。(改正法附則第5条第3項関係)

(2) 指定医療機関に対する指定申請書類の送付

改正後の規則第10条第2項において、指定を受けようとする医療機関の開設者は、病院等の名称及び所在地、健康保険法に規定する保険医療機関等である旨、新法に規定する指定の欠格事由に該当しないことの誓約等の事項を記載した申請書又は書類を都道府県知事に提出することとしている。

そのため、都道府県は、指定の申請が円滑に行われるよう、別添1の様式例を参考に改正後の規則第10条第2項に規定する申請書又は誓約書等の様式を作成し、管内の指定医療機関に対し上記(1)の周知と併せ、送付すること。

(3) 改正法附則第5条第2項の規定による申請状況の確認

都道府県は、施行日より改正法附則第5条第2項の規定に係る申請を受理することとなるが、常時、管内の指定医療機関からの当該申請の受理状況を管理し、必要に応じて、当該申請がなされていない指定医療機関に対して申請手続の進捗状況の確認等を行うこと。

(4) 改正法附則第5条第2項の規定による申請に基づく指定の審査等

ア 都道府県は、受理した申請について、申請書又は誓約書等の記載内容について審査し、新法第49条の規定による指定を行うことが適当と判断される場合には、新法の施行の日付(平成26年7月1日)で指定を行ったことを通知すること。

イ 併せて、改正法附則第5条第3項の規定により、最初の指定の更新については、その指定を受けたものとみなされた日(施行日)から6年を経過する日までではなく、(1)のウのとおり更新の申請を行う必要があることを通知すること。

ウ ア及びイの通知については、別添2の様式例を参考にする等して作成した文書により行うこと。

エ なお、アの指定については、新法第55条の3第1項第1号の規定による告示は不要であること。

3 その他の留意事項

(1) 旧法による指定を受けている医師又は歯科医師

旧法による指定を受けている医師又は歯科医師(いわゆる往診医師・歯科医師)は、施行日において、診療所を開設しているものとみなして新法第49条による指定を受けたものとみなして、改正法附則第5条第2項及び第3項の規定を適用するものとする。(改正法附則第5条第4項)

したがって、当該医師又は歯科医師に係る施行に伴う指定事務については、上記2の(2)から(4)までと同様の取扱いとすること。

(2) 新法による新規の指定の申請

新法による新規の指定を受けようとする者は、新法の規定の例により、施行日前においてもその申請をすることができるものであること。(改正法附則第8条関係)

この場合においては、指定の最初の更新に係る改正法附則第5条第3項の規定による経過措置は適用されないため、指定日については、施行日以降の日付における当該医療機関の希望する日を参考にしながら決定すること。

別添1様式例(申請書)

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別添1様式例(誓約書)

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別添2様式例(通知)