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○病院、診療所等の業務委託について

(平成五年二月一五日)

(指第一四号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省健康政策局指導課長通知)

標記については、本年一二月一日より、医療法(昭和二三年法律第二〇五号。以下「法」という。)第一五条の三、医療法施行令(昭和二三年政令第三二六号。以下「令」という。)第四条の七、医療法施行規則(昭和二三年厚生省令第五〇号。以下「規則」という。)第九条の八から第九条の一五及び「医療法の一部を改正する法律の一部の施行について(平成五年二月一五日付け健政発第九八号厚生省健康政策局長通知)」第三により取り扱われることとなるが、施行に当たっては、左記の事項に留意の上、その運用に遺憾なきを期されたい。

第一 受託者の選定について

法第十五条の三第一項及び令第四条の七の各号に掲げられた業務については、一般財団法人医療関連サービス振興会が医療関連サービスマーク制度を設け、一般財団法人医療関連サービス振興会が定める認定基準を満たした者に対して、医療関連サービスマークを交付することとしているところであるが、厚生労働省令で定める基準に適合している者であれば、医療機関等が同サービスマークの交付を受けていないものに委託することは差し支えないものであること。

第二 病院、診療所、保健所、検疫所又は犯罪鑑識施設で行う検体検査の業務について(法第十五条の三第一項第二号関係)

1 受託者の業務の実施方法等

(1) 関係法規の遵守

受託者は、医療法、医師法及び臨床検査技師等に関する法律を遵守すること。

(2) 受託責任者の業務

受託責任者は、検査業務を行う施設において常勤し、日常的に行う精度管理を含む検査業務の指導監督及び従事者の労務管理、研修・訓練、健康管理等を行うこと。

(3) 作業日誌及び台帳の作成と保存

受託者は、規則第九条の八第一項第八号及び第九号に掲げる各作業日誌及び台帳を作成し、委託元である医療機関から開示の求めがあった場合には、速やかに提示できるように整備しておくとともに、各作業日誌及び台帳は少なくとも二年間保存すること。

なお、電子媒体を利用した保存に当たっては、「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律等の施行等について」(平成十七年三月三十一日付け医政発第〇三三一〇〇九号・薬食発第〇三三一〇二〇号・保発第〇三三一〇〇五号厚生労働省医政局長・医薬食品局長・保険局長連名通知)を踏まえるとともに、次の①~③の事項を確保していること。

① 記載事項の故意又は過失による虚偽入力、書き換え、消去及び混同を防止するための措置

② 都道府県知事の請求があった場合等必要に応じて、容易に帳票の出力等、見読可能な状態にできること

③ 保存期間内における復元可能な状態

また、電子媒体を利用して保存することについては、あらかじめ委託元と契約等で同意していることが望ましいこと。

(4) 精度管理

受託者は、受託責任者の下に精度管理責任者を中心とした精度管理のための体制を整備すること等により、検査に係る全ての作業を通じて十分な精度管理が行われるよう配慮し、衛生検査所指導要領に準じて内部精度管理を実施すること。

また、施設内の検査業務について、都道府県、公益社団法人日本医師会、一般社団法人日本臨床衛生検査技師会、一般社団法人日本衛生検査所協会等が行う外部精度管理調査に年一回以上参加すること。

なお、検査業務を行う施設において、遺伝子関連・染色体検査の業務を行う場合は、遺伝子関連・染色体検査の精度の確保のため、外部精度管理調査を受け、又は当該施設以外の一以上の遺伝子関連・染色体検査の業務を行う病院、衛生検査所等と連携してそれぞれ保管し、若しくは保有する検体を用いるなどして、遺伝子関連・染色体検査の精度について相互に確認を行うよう努めること。

ただし、血清分離のみを請負う場合にあっては、外部精度管理調査に必ずしも参加する必要はないこと。

(5) 再委託

受託者は、受託者が自ら行い得る範囲の検査業務を請負うことが望ましいが、病院又は診療所内の受託施設から検査業務の一部を外部に委託する場合にあっては、当該業務の受託者の名称を契約上明示すること。

2 医療機関の対応

(1) 医療機関の管理体制

医療機関は、当該業務が適切に行われているか否かの確認及び内部精度管理の実施が適切に行われているか否かの確認を行う必要があるので、業務責任者を選任し、委託した業務の改善等に関して受託責任者と定期的に、また、必要な場合には随時、協議を行わせることが望ましいこと。

なお、業務責任者は、医療機関内で行われる検査業務が適切かつ効率的に実施されるよう統括管理する者とし、検査業務に関して相当の知識及び経験を有する医師、臨床検査技師であること。

(2) 医療機関と受託者との連携

医療機関は、業務遂行上必要な注意を果たし得るよう、定期的に、また、必要な場合には随時、医療機関と受託者による委託業務の運営のための会合を開催するなど、受託者と十分な連携を図ること。

(3) 休日・夜間等における検体検査の業務の体制

医療機関は、休日・夜間等の緊急を要する場合には、自ら検体検査の業務を実施できる体制をとる必要があるので、受託者が検査用機械器具・試薬等を所有している場合にあっては、医療機関も使用できるよう、契約により担保すること。

3 委託契約

契約文書については、別紙1のモデル契約書を参考にされたいこと。

4 代行保証

契約者は、何らかの事情により、受託業務の遂行が困難となった場合の業務の継続性・安定性を担保することができる体制を整備しておくこと。

第三 医療機器等の滅菌消毒の業務について(令第四条の七第一号関係)

1 受託者の業務の実施方法等

(1) 管理体制

受託責任者は、従事者の資質を向上させ、受託業務を的確かつ安全に行うため、従事者の研修計画を立てるとともに、新規採用の職員については、講習及び実習により、次に掲げる事項を含む十分な研修を行った後で業務を行わせること。

ア 滅菌消毒の意義と効果

イ 感染の予防と主な感染症

ウ 取扱う医療機器等の名称と機能

エ 滅菌消毒機器の名称と使用目的

(2) 医療機器等の消毒、洗浄及び包装

ア 消毒が行われる前の医療機器等を仕分する作業に従事する者は、ゴム手袋、マスク、帽子及びガウンなど適切な防護用具を着用するなど、医療機器等からの感染に十分に注意すること。

イ 消毒薬によっては、冷暗所に密封などを行って適切に保存するとともに、開封年月日及び有効期限を確認すること。

ウ 医療機器等の材質ごとに分別して洗浄を行い、すすぎの際は、純水、水道水等の清浄な水で行うこと。

エ 医療機器等は適切に包装してから滅菌すること。

(3) 医療機器等の滅菌

ア 滅菌機器が正常に作動していることを確認するため、滅菌時には、滅菌機器内の温度、ガス濃度、圧力等をチェックすること。

イ 滅菌機器内には乾燥させた医療機器等を入れ、滅菌機器の容積一杯に詰め込まないこと。

ウ エチレンオキシドガス滅菌の実施に当たっては、エアレーションを十分行うなど、医療機器等の安全性の確保及び作業環境の汚染防止に留意すること。

(4) 滅菌済の確認と表示

ア 化学的又は理学的インジケーターによる滅菌済の確認は、包装ごとにインジケーターを貼付・挿入し、滅菌を実施するごとに行うこと。さらに、インジケーターを包装したモニターパックを作成し、滅菌機器内の蒸気及びガスが通りにくい位置に置くことにより、滅菌機器内での滅菌条件を確認し記録すること。なお、当該インジケーターの変色条件を十分把握した上で確認すること。

イ 生物学的インジケーターによる滅菌済の確認は、滅菌機器ごとに少なくとも週の最初の機器使用時に行うこと。その際は、インジケーターを包装したモニターパックを滅菌器内の蒸気、ガスが通りにくいと考えられる所に数か所置くこと。

ウ 滅菌済の医療機器等には、包装ごとに、滅菌を行った施設の名称、滅菌を行った年月日、滅菌を行った機器及び機器ごとの実施順序が判別できるよう表示すること。

(5) 滅菌済の医療機器等の整理・保管

保管室にみだりに立ち入らないようにするため、その旨を表示すること。また、保管室で作業に当たる者は、専用のガウン、帽子及び靴を着用した上で保管室に入ること。

(6) 運搬

ア 医療機器等の運搬に用いる車両は、月二回以上消毒するなど車内の清潔を確保すること。

ただし、医療機関において使用済の医療機器等の運搬に用いる運搬台車等は、使用の都度消毒を行うなど清潔を確保すること。

イ 医療機器等の運搬は、専用の密閉性、防水性及び耐貫通性の容器(以下「運搬容器」という。)により運搬すること。

ただし、医療機関において滅菌消毒済の医療機器等を運搬する場合であって、滅菌バッグ等を使用することにより医療機器等が清潔に運搬されると認められる場合は、この限りでないこと。

ウ 使用済の医療機器等と滅菌消毒済の医療機器等は別の運搬容器に入れ、使用済か滅菌消毒済かを容易に識別できるように運搬容器に表示すること。

エ 感染症患者に使用した医療機器等は、消毒処理が施されていても他のものとは別の運搬容器に入れ、その旨を表示すること。

オ 運搬容器は、使用の都度消毒するなど清潔に保つこと。

カ 医療機関において滅菌消毒業務を行う場合は、交叉感染防止の配慮がなされた回収ルート、運搬ルート及びスケジュール等が確立されていること。

また、使用済の医療機器等を回収する作業に従事する者は、ゴム手袋、マスク、帽子及びガウンなど適切な防護用具を着用すること。

(7) 作業日誌等

ア 受取・引渡記録

受取・引渡記録には、作業年月日、委託元の名称、取扱い医療機器等の品目と数量及び作業担当者名が記載されていること。

ただし、医療機関において滅菌消毒業務を行う場合は、委託元の名称を省略して差し支えないこと。

イ 滅菌業務作業日誌

滅菌業務作業日誌には、作業年月日、使用滅菌機器、滅菌開始時刻、委託元別の医療機器等の品目と数量及び作業担当者名が滅菌を行うごとに記載されていること。併せて、滅菌機器内の時間、温度、ガス濃度、圧力等の記録が貼付され、滅菌の確認記録としては、モニターパック内の化学的又は理学的インジケーターが貼付され、生物学的インジケーターによる判定が記載されていること。

ただし、医療機関において滅菌消毒業務を行う場合は、委託元の名称を省略して差し支えないこと。

ウ 滅菌消毒機器保守点検作業記録

滅菌消毒機器保守点検作業記録には、滅菌消毒機器ごとに、常時及び定期的に行う保守点検作業について、保守点検項目、作業年月日及び点検開始・終了時刻並びに点検作業者名が記載されているとともに、保守点検業者による保守点検結果が記録されていること。

(8) 従事者の健康管理

労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)に基づき定期健康診断を実施するとともに、B型肝炎ウイルスの検査を新規採用時及び年一回以上行うこと。また、エチレンオキシドガス濃度の作業環境測定は六月以内に一回定期的に行うこと。

2 医療機関の対応

医療機関は、委託する業務に関する最終的責任は医療機関にあるとの認識の下に、滅菌消毒現場の課題を認識し、業務を委託する目的を明確にするとともに、受託者との必要な調整及び受託者に対する必要な指示を行うこと。

3 感染のおそれのある医療機器等の処理

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)第六条第二項から第七項までに規定する感染症の病原体により汚染されている医療機器等(汚染されているおそれのある医療機器等を含む。)以外の感染のおそれがある医療機器等は、医療機関内において感染予防のために必要な処理を行った上で、委託すること。

ただし、医療機関において滅菌消毒業務を行う場合であって、運搬容器による運搬体制及び防護服の着用等による作業体制を確立している場合は、この限りでないこと。

4 委託契約

医療機関が滅菌消毒業務を委託する場合には、その契約内容、医療機関と受託者との業務分担、経費負担及び次に掲げる事項を明確にした契約書を取り交わすこと。

① 受託者に対して、医療機関側から必要な資料の提出を求めることができること。

② 受託者が契約書で定めた事項を誠実に履行しないと医療機関が認めたときその他受託者が適正な滅菌消毒処理を確保する上で支障となる行為を行ったときは、契約期間中であっても医療機関側において契約を解除できること。

なお、契約文書については、別紙2―1又は2―2のモデル契約書を参考にされたいこと。

第四 患者等の食事の提供の業務について(令第四条の七第二号関係)

1 受託者の業務の一般的な実施方法

(1) 受託責任者

備えるべき帳票

受託責任者が業務を行う場所に備え、開示できるように整えておくべき帳票は、以下のとおりであること。

① 業務の標準作業計画書

② 受託業務従事者名簿及び勤務表

③ 受託業務日誌

④ 受託している業務に関して行政による病院への立入検査の際、病院が提出を求められる帳票

⑤ 調理等の機器の取り扱い要領及び緊急修理案内書

⑥ 病院からの指示と、その指示への対応結果を示す帳票

(2) 従事者の研修

従事者の研修として実施すべき事項である「食中毒と感染症の予防に関する基礎知識」の中には、HACCPに関する基礎知識も含まれるものであること。

また、「従事者の日常的な健康の自己管理」の中には、A型肝炎、腸管出血性大腸菌等比較的最近見られるようになった食品に起因する疾病の予防方法に関する知識も含まれるものであること。

2 院外調理における衛生管理

(1) 衛生面での安全確保

食事の運搬方式について、原則として、冷蔵(三℃以下)若しくは冷凍(マイナス一八℃以下)状態を保つこととされているのは、食中毒等、食品に起因する危害の発生を防止するためであること。したがって、運搬時に限らず、調理時から喫食時まで衛生管理には万全を期すべく努める必要があること。

(2) 調理方式

患者等の食事の提供の業務(以下「患者給食業務」という。)を病院外の調理加工施設を使用して行う場合の調理方式としては、クックチル、クックフリーズ、クックサーブ及び真空調理(真空パック)の四方式があること。

なお、院外調理による患者給食業務を行う場合にあっては、常温(一〇℃以上、六〇℃未満)での運搬は衛生面での不安が払拭できないことから、クックチル、クックフリーズ又は真空調理(真空パック)が原則であり、クックサーブを行う場合には、調理加工施設が病院に近接していることが原則であるが、この場合にあってもHACCPの概念に基づく適切な衛生管理が行われている必要があること。

ア クックチル

クックチルとは、食材を加熱調理後、冷水又は冷風により急速冷却(九〇分以内に中心温度三℃以下まで冷却)を行い、冷蔵(三℃以下)により運搬、保管し、提供時に再加熱(中心温度七五℃以上で一分間以上)して提供することを前提とした調理方法又はこれと同等以上の衛生管理の配慮がされた調理方法であること。

イ クックフリーズ

クックフリーズとは、食材を加熱調理後、急速に冷凍し、冷凍(マイナス一八℃以下)により運搬、保管のうえ、提供時に再加熱(中心温度七五℃以上で一分間以上)して提供することを前提とした調理方法又はこれと同等以上の衛生管理の配慮がなされた調理方法であること。

ウ クックサーブ

クックサーブとは、食材を加熱調理後、冷凍又は冷蔵せずに運搬し、速やかに提供することを前提とした調理方法であること。

エ 真空調理(真空パック)

真空調理(真空パック)とは、食材を真空包装のうえ低温にて加熱調理後、急速に冷却又は冷凍して、冷蔵又は冷凍により運搬、保管し、提供時に再加熱(中心温度七五℃以上で一分間以上)して提供することを前提とした調理方法又はこれと同等以上の衛生管理の配慮がなされた調理方法であること。

(3) HACCPの概念に基づく衛生管理

ア HACCP

HACCP(危害分析重要管理点)とは、衛生管理を行うための手法であり、事業者自らが食品の製造(調理)工程で衛生上の危害の発生するおそれのあるすべての工程を特定し、必要な安全対策を重点的に講じることをいうものであること。

イ HACCPによる適切な衛生管理の実施

患者給食業務においては、院外調理に限らず、常に適切な衛生管理が行われている必要があるが、患者給食の特殊性に鑑み、特に大量調理を行う場合については、食中毒の大量発生等を危惧されることから、より厳密な衛生管理が求められるものであること。このため、院外調理においては、HACCPの概念に基づく衛生管理が重要であること。

HACCPの概念に基づく衛生管理を行うに当たっては、「大規模食中毒対策等について」(平成九年三月二十四日付け衛食第八五号生活衛生局長通知)が通知されたところであり、これに留意する必要があるが、前記通知に定められた重要管理事項以外に、危害分析の結果、重要管理点を必要に応じて定めること。この場合には、HACCPに基づき必要な衛生管理を行うこと。

なお、院外調理に限らず、病院内の給食施設を用いて調理を行う従前の業務形態においても、HACCPの導入による衛生管理の充実は望ましいものであることに留意されたいこと。

ウ 標準作業書

適切な衛生管理の実施を図るためには、標準作業書はHACCPの概念に基づいて作成されたものであること。

(4) 食事の運搬及び保管方法

ア 食品の保存

運搬及び保管中の食品については、次の①から④の基準により保存すること。

① 生鮮品、解凍品及び調理加工後に冷蔵した食品については、中心温度三℃以下で保存すること。

② 冷凍された食品については、中心温度マイナス一八℃以下の均一な温度で保存すること。なお、運搬途中における三℃以内の変動は差し支えないものとすること。

③ 調理加工された食品は、冷蔵(三℃以下)又は冷凍(マイナス一八℃以下)状態で保存することが原則であるが、中心温度が六五℃以上に保たれている場合には、この限りではないこと。ただし、この場合には調理終了後から喫食までの時間が二時間を超えてはならないこと。

④ 常温での保存が可能な食品については、製造者はあらかじめ保存すべき温度を定め、その温度で保存すること。

イ 包装

十分に保護するような包装がなされていない限り、食品を汚染させる可能性があるもの又は衛生上影響を与える可能性があるものと共に食品を保管又は運搬してはならないこと。

ウ 容器及び器具

食品の運搬に用いる容器及び器具は清潔なものを用いること。容器の内面は、食品に悪影響を与えないよう仕上げられており、平滑かつ洗浄消毒が容易な構造であること。

また、食品を損傷又は汚染するおそれのあるものの運搬に使用した容器及び器具は、十分に洗浄消毒しない限り用いてはならないこと。

エ 車両

食品の運搬に用いる車両は、清潔なものであって、運搬中の全期間を通じて食品ごとに規定された温度で維持できる設備が備えられていること。また、冷却に氷を使用している場合にあっては、その氷から解けた水が食品に接触しないよう排水装置が設けられていること。

3 病院の対応

(1) 担当者

病院は、患者等の食事の提供が治療の一環であり、患者の栄養管理が医学的管理の基礎であることを踏まえた上で、当該業務の重要性を認識し、かつ専門技術を備えた者を担当者に選定し、業務の円滑な運営のために受託責任者と随時協議させる必要があること。

(2) 献立表の確認

献立表の作成を委託する場合にあっては、病院の担当者は、受託責任者に献立表作成基準を明示するとともに、作成された献立表が基準を満たしていることを確認すること。

4 病院との契約

(1) 契約書

契約書に記載すべき事項については、各病院における個別の事情に応じて、最も適切な内容とすることとし、全国あるいは都道府県ごとに一律に契約事項を定める必要はないことに留意すること。

(2) 業務案内書の提示

患者給食業務を行う者は業務案内書を整備し、患者給食業務に関して、病院に対して、契約を締結する前に提示するものとすること。

第五 患者等の搬送の業務について(令第四条の七第三号関係)

1 受託者の業務の実施方法等

(1) 主治医との連携

主治医に対して、搬送用自動車の構造及び積載資器材、従事者の資質等業務の内容を十分に説明し、主治医の判断に基づき患者等の状態に応じた適切な搬送用自動車及び積載資器材並びに同乗者により業務を行うこと。また、搬送途上において、患者等の容態が悪化した場合は主治医に適切に報告し、主治医の判断にしたがって最寄りの医療機関に搬送するなど、患者等に対して適切な医療上の処置がなされるよう努めること。

(2) 消防機関との連携

受託者は、必要に応じ、消防機関と連携を図ること。

(3) 緊急性の高い重篤患者の搬送について

受託者については、従事者の知識・技能やその医療関係法上の制限、搬送車の積載資器材等により対応が限定されていること。また、現行制度下では道路交通法上の緊急自動車として認められていないことなどから、重篤な患者であって緊急の医学的処置又は手術が必要と主治医により判断された患者の搬送を行うことは好ましくなく、病院が自ら行うなど適切に対処すること。

(4) 長距離搬送のための体制整備

長距離の搬送を請負う場合には、搬送途上での緊急事態に対応できるよう、出発地の医師の同乗を求めること。また、医師が同乗しない場合には、事前に搬送経路に立地する医療機関との間で、搬送車への医師の同乗や患者の受入れ等についての連携体制を確立した上で業務を行うこと。

また、長距離の搬送を請負う場合の搬送用自動車及びこれに積載する資器材は、出発地からの医師の同乗の有無にかかわらず医師の同乗を前提としたものとすること。

(5) 作業記録

受託者は、次に掲げる作業記録を作成すること。

① 搬送記録

② 搬送用自動車・積載資器材の保守点検記録

(6) 人員に関する事項

消防機関から「患者等搬送乗務員適任証」の交付を受けている者は、規則第九条の十一第二号の「受託業務を行うために必要な知識及び技能を有する者」に該当すること。

(7) 構造・設備に関する事項

ア 規則第九条の十一第四号イに規定する積載資器材は、搬送用自動車ごとに積載されていること。

イ 医師が同乗する場合には、主治医の判断に基づいて患者の状態に応じた積載資器材を積載すること。このため、受託者は、規則第九条の十一第四号ロに規定する積載資器材を少なくとも一組有すること。

ウ 消防機関から「患者等搬送用自動車認定マーク」の交付を受けている自動車は、規則第九条の十一第三号のうち、イ、ロ、ニ及びホの要件を満たすこと。

(8) 従事者の研修に関する事項

「患者等搬送事業指導基準等の作成について」(平成元年十月四日付け消防救第一一六号消防庁救急救助課長通知)に定める定期講習は、規則第九条の十一第七号の「適切な研修」に該当すること。

2 医療機関の対応

医療機関は、当該業務を委託するに際しては、受託者の有する搬送用自動車、積載資器材等について確認するとともに、患者の状態に応じた適切な搬送車、積載資器材及び付き添いのために同乗する者並びに医師の同乗の必要性について、受託者に指示すること。

また、感染のおそれのある患者の搬送を委託する場合にあっては、受託者の業務終了後の消毒の方法等について指示すること。

第六 医療機器の保守点検について(令第四条の七第四号関係)

1 研修について

(1) 研修の対象者

規則第九条の十二第五号に規定される従事者に対する研修の対象者には、受託責任者も含まれるものであること。ただし、受託責任者ではない従事者に対する研修と受託責任者に対する研修とは、その内容は異なるものであることに留意すること。

(2) 研修の内容

従事者に対する研修は、医療機器の保守点検の業務を適切に行うために必要な知識及び技能の修得又は向上を目的として行われるものであり、次に掲げる事項を含むものであること。

① 医療機関の社会的役割と組織

② 医療機器の保守点検に関する保健、医療、福祉及び保険の制度

③ 医療機器の原理及び構造(危険物又は有害物を使用する医療機器については、当該危険物又は有害物の取扱方法を含む。)

④ 高圧ガス保安法(昭和二十六年法律第二百四号)、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(昭和三十二年法律第百六十七号)等安全管理関係法規

⑤ 保守点検の方法

⑥ 緊急時の対応

また、患者の居宅等において、当該業務を行う場合には、次に掲げる事項に関する知識及び技能も含む研修であること。

① 在宅酸素療法等在宅医療に関する保健、医療、福祉及び保険の制度

② 患者、家族等との対応の方法

③ 在宅酸素療法等在宅療法の意義

(3) 医療機器の区分による研修の実施

従事者に対する研修は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律施行規則(昭和三十六年厚生省令第一号)第百八十一条及び同規則別表第二に基づき、「薬事法及び採血及び供血あっせん業取締法の一部を改正する法律等の施行に伴う医療機器修理業に係る運用等について(通知)」(平成十七年三月三十一日付け薬食機発第〇三三一〇〇四号厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室長通知)によって示された修理区分の例にならい、第一区分から第九区分の区分ごとに行うものとすること。ただし、患者の居宅等においてのみ当該業務を行う場合には、この限りではないこと。

なお、第五区分(光学機器関連)のうち歯科用レーザー治療器については、保守点検に限り、第七区分(歯科用機器関連)に分類して取り扱って差し支えないものとすること。

2 医療機関との契約

(1) 契約書

契約書に記載すべき事項については、各医療機関における個別の事情に応じて、最も適切な内容とすることとし、全国あるいは都道府県ごとに一律に契約事項を定める必要はないことに留意すること。

(2) 業務案内書の提示

保守点検業者は業務案内書を整備し、医療機器の保守点検業務に関して、医療機関等に対して、契約を締結する前に提示するものとすること。

第七 医療の用に供するガスの供給設備の保守点検の業務について(令第四条の七第五号関係)

1 受託者の業務の実施方法等

(1) 受託者の業務の実施方法

受託者は、「医療ガスの安全管理について」(平成二十九年九月六日付け医政発〇九〇六第三号厚生労働省医政局長通知)の別添2「医療ガス設備の保守点検指針」にしたがって、保守点検の業務を行うこと。

(2) 従事者の研修に関する事項

公益財団法人医療機器センターが行う医療ガス安全管理者講習会は、規則第九条の十三第六号の「適切な研修」に該当すること。

2 委託契約

契約文書については、別紙3のモデル契約書を参考にされたいこと。

第八 患者等の寝具類の洗濯の業務について(令第四条の七第六号関係)

1 受託者の業務の実施方法

受託者の洗濯施設は、規則第九条の十四等に定めるところによるほか、別添1に定める衛生基準を満たすものであること。

2 医療機関の対応

(1) 病院は、医療法第二十一条に規定する洗濯施設として少なくとも感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第六条第二項から第五項まで又は第七項に規定する感染症の病原体(以下「一類感染症等の病原体」という。)により汚染されているもの(汚染されているおそれのあるものを含む。以下同じ。)を処理することができる施設を有しなければならないこと。

(2) なお、診療用放射性同位元素により汚染されているものについては、規則に規定する診療用放射性同位元素により汚染されたものに関する規定により取り扱うこと。

3 感染の危険のある寝具類の取扱い

(1) 感染の危険のある寝具類に係る消毒方法については、次によること。

ア 一類感染症等の病原体により汚染されているものについては、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第二十九条の規定に基づいて定められた消毒方法によること。

イ ア以外の感染の危険のある寝具類については、別添2に定める消毒方法によること。

(2) 感染の危険のある寝具類については、その洗濯を外部委託することができるものであっても、やむを得ない場合を除き、これに係る消毒は病院内の施設で行うこと(例外的に消毒前の寝具類の洗濯を外部委託する場合には、感染の危険のある旨を表示した上で、密閉した容器に収めて持ち出すなど他へ感染するおそれのないよう取り扱うこと。)。

4 委託契約

病院が受託洗濯施設との間で寝具類の洗濯の外部委託に関する契約を締結する場合には、その契約内容を明確にした契約文書を取り交わすこと。なお、契約文書については、別紙4のモデル契約書を参考にされたいこと。

5 継続的な業務の遂行

受託洗濯施設が天災等により一時的にその業務の遂行が困難となる事態に備え、寝具類の洗濯の業務が滞ることのないよう必要な措置を講じておくことが望ましいこと。なお、この措置としては、複数の事業者又は複数の洗濯施設を有する事業者と業務委託契約を結ぶこと、あらかじめ代行業者を定めて代行契約を結ぶこと等が考えられること。

第九 施設の清掃の業務について(令第四条の七第七号関係)

1 受託者の業務の実施方法等

(1) 受託責任者の職務

受託責任者は、業務が円滑に行われるよう従事者に対する指導監督を行うとともに、定期的な点検を行い、その結果を医療機関に報告すること。また、医療機関側の責任者と随時協議を行うこと。

(2) 作業計画の作成

受託責任者は、業務が円滑に実施されるよう、契約内容に基づき、医療機関の指示に対応した作業計画を作成すること。

(3) 清掃の方法

従事者は、清掃用具や消毒薬等の薬液を適切に使用・管理し、業務を行うこと。なお、清掃用具は区域ごとに区別して使用することが望ましいこと。また、消毒に使用するタオル、モップ等は清掃用のものと区別し、適切に使用・管理すること。

(4) 清潔区域の清掃及び消毒の方法

清潔区域の清掃業務に当たっては、入室時の手洗い、入退室時のガウンテクニックの適切な実施、無影燈、空調吹き出し口及び吸い込み口の清掃並びに消毒、高性能エアフィルター付き真空掃除機を使用した業務の実施等、区域の特性に留意した方法により行うこと。

(5) 特定感染症患者の病室の清掃の方法

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等により定められた特定の感染症患者の病室の清掃及び消毒業務を行う場合には、退室時の手洗い、入退室時のガウンテクニック、汚物などの適切な取り扱いなどにより、感染源の拡散を防止すること。

(6) 感染性廃棄物の取扱い

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)に基づいて感染性廃棄物を取り扱うこと。

(7) 作業記録等の業務関係帳票

受託者は、作業の実施状況を記録し、また、医療機関から開示の求めがあった場合には提示することができるよう、作業記録などの業務関係帳票を備え、二年間保管すること。

(8) 再委託

受託業務のうち、日常的な清掃業務は再委託してはならないこと。日常的な清掃業務以外の業務を再委託する場合には、医療機関から直接業務を受託した者が、医療機関との関係において当該業務に対する最終的責任を負うものであること。また、再委託先の名称、業務内容について、医療機関に対して事前に十分な説明を行い、その了解を得ること。

2 医療機関の対応

(1) 業務責任者の選任

医療機関は、業務が円滑に実施されるよう管理するために必要な知識と経験を有する責任者(以下「業務責任者」という。)を選任すること。また、委託契約に当たっては、業務責任者の意見を反映させること。

(2) 業務責任者の職務

業務責任者は、業務が適切に実施されるために必要な事項や受託業務に従事する者の安全を確保するために必要な事項などを受託者側の受託責任者に指示するとともに、事故発生時には適切に対応すること。

また、業務責任者は、業務が円滑に実施されるよう、受託責任者と随時協議すること。さらに、医療機関の職員が従事者に対して指示をする場合は、原則として業務責任者を介して行うこと。

(3) 連携体制

医療機関は、業務改善のための方策などを検討するため、受託責任者を含めた会合を定期的に開催するなど、受託者との連携を図ること。

(4) 業務環境の整備

医療機関は、従事者の控室、清掃用具の保管場所、従事者の作業衣や清掃用具の洗濯場所を確保するなどにより、従事者が業務を適切に実施するための環境を整備することが望ましいこと。

3 委託契約

契約文書については、別紙5のモデル契約書を参考にされたいこと。

4 代行保証

医療機関の特殊性から、業務が継続的に実施される必要があるため、日常的な業務を受託する場合、受託者は不測の事態に備えた代行保証を確保することが望ましいこと。

第十 その他

次に掲げる通知は、平成五年三月三十一日付けをもって廃止する。

① 医療機関における消毒・滅菌業務の委託について(平成二年八月十三日付け指第三九号厚生省健康政策局指導課長通知)

② 在宅酸素療法における酸素供給装置の保守点検業務の委託について(平成三年四月二十二日付け指第三二号厚生省健康政策局指導課長通知)

(別添1)

病院寝具類の受託洗濯施設に関する衛生基準

第一 目的

この基準は、病院における寝具類(以下「寝具類」という。)の洗濯を受託する洗濯施設たるクリーニング所(以下「クリーニング所」という。)が遵守すべき管理のあり方等を定め、もって寝具類の洗濯における衛生の確保及び向上を図ることを目的とする。

第二 管理

1 クリーニング師の役割

(1) クリーニング業法に基づき必ず設置することとされているクリーニング師は、公衆衛生及び寝具類の洗濯処理に関する専門知識等を有する者であり、クリーニング所の衛生管理を行う上での実質的な責任者となるものであること。

(2) クリーニング師は、前記の趣旨を十分認識し、以下に掲げる施設、設備及び器具の衛生管理、寝具類の消毒、洗濯等の適正な処理等について常に指導的な立場からこれに関与し、クリーニングに関する衛生の確保、改善及び向上に努めること。

2 施設、設備及び器具の管理

(1) クリーニング所内は、毎日清掃し、その清潔保持に努め、必要に応じ補修を行い、衛生上支障のないようにすること。

(2) クリーニング所内は、細菌の汚染程度により、①汚染作業区域(受取場、選別場、消毒場)、②準汚染作業区域(洗い場、乾燥場等)、③清潔作業区域(仕上場、引渡場等)に分け、従業員が各区域を認識しうるようにすること。

(3) クリーニング所内は、ねずみ、昆虫が生息しないようにすること。

(4) クリーニング所内は、採光及び照明を十分にすること(照明器具は、少なくとも年二回以上清掃するとともに、常に適正な照度が維持されるようにすること。)。

(5) クリーニング所内は、換気を十分にすること。

(6) クリーニング所内外は、常に排水が良く行われるようにすること。

(7) 消毒、洗濯、脱水、乾燥、プレス及び給湯に係る機械又は器具類は、常に保守点検を行い、適正に使用できるように整備しておくこと。

(8) 消毒、洗濯、脱水、乾燥及びプレスに係る機械又は器具類、作業台、運搬・集配容器等で寝具類が接触する部分(仕上の終わった寝具類の格納設備又は容器を除く。)については、毎日業務終了後に洗浄又は清掃し、仕上の終わった寝具類の格納設備又は容器については、少なくとも一週間に一回以上清掃すること。また、これらについては、適宜消毒を行うこと。

(9) ドライクリーニング処理用の洗濯機等は、有機溶剤の漏出がないよう常に点検し、使用中もその漏出の有無について十分留意すること。

(10) プレス機、馬(アイロン仕上げに用いる下ごて)等の被布は、清潔な白布を使用し適宜取り替えること。

(11) 作業に伴って生じる繊維くず等の廃棄物は、専用容器に入れ、適正に処理すること。

(12) 清掃用具は、専用の場所に保管すること。

(13) 消毒前の寝具類を受け取る場合には、消毒を行うまでの間、感染の危険のある旨を表示した容器に密閉して収納しておくこと。この場合において、当該容器は、消毒前の寝具類のみを収納する専用の容器であること。

(14) 営業者(管理人を含む。以下同じ。)又はクリーニング師は、毎日クリーニング所の施設、設備及び器具の衛生全般について点検管理すること。

3 寝具類の管理及び処理

(1) 寝具類は、病院における消毒の有無及び感染の危険度に応じ適正に選別すること。

(2) 寝具類は、病院において消毒されたものを除き、以下の方法により適切に消毒を行うこと。

① 感染の危険のある寝具類については、(1)による選別後速やかに他の物と区分の上、本通知別添2の消毒方法により消毒を行うこと。

② ①以外のものについては、次のいずれかの方法によること。

ア 本通知別添2に定める消毒方法(ただし、洗濯がこれと同様の効果を有する方法によって行われる場合は、消毒しなくてもよい。)

イ 洗濯において消毒効果のある塩素剤を使用する方法

(ア) 洗濯は、適量の洗剤を使用して、六〇℃~七〇℃の適量の温湯中で一〇分間以上本洗を行い、換水後、遊離塩素が約二五〇ppmを保つよう塩素剤を添加の上、同様の方法で再度本洗を行うこと。

(イ) すすぎは、清浄な水を用いて、初回は約六〇℃の温湯中で約五分間行い、二回目以降常温水中で約三分間四回以上繰返して行うこと。この場合各回ごとに換水すること。

ウ 洗濯において消毒効果のある四塩化(パークロル)エチレンを使用する方法

四塩化(パークロル)エチレンに五分間以上浸し洗濯した後四塩化エチレンを含む状態で五〇℃以上に保たせ一〇分間以上乾燥させるか、又は、四塩化(パークロル)エチレンで一二分間以上洗濯すること。

(3) 寝具類の洗濯にあたっては、①感染の危険度の低い物から順に洗濯するなど適切な配慮を行うこと、②繊維の種類及び汚れの程度等に応じた適切な洗濯方法により行うこと、③ランドリー処理を行う場合には、適切に洗剤及び薬剤(漂白剤、酸素剤、助剤等)を選定して適量使用し、処理工程及び処理時間を適正に調整すること、④ドライクリーニング処理を行う場合には、適切に選定した有機溶剤に水、洗剤等を適量に混合したものを使用し、処理時間及び温度等を適正に調整すること。

(4) ランドリー処理における寝具類のすすぎは、清浄な水を使用して少なくとも三回以上行うこと。また、この場合、すすぎの水の入替えは、完全排水を行った後に行うこと。

(5) 寝具類のしみ抜き作業は、繊維の種類、しみの種類・程度等に応じた適当な薬剤を選定し、しみ抜き場等所定の場所で行うこと。

(6) 寝具類の処理に使用した消毒剤、有機溶剤、洗剤等が仕上げの終わった寝具類に残留することがないようにすること。

(7) 仕上げの終わった寝具類は、包装するか、又は格納設備に収納し、汚染することのないよう衛生的に取り扱うこと。

(8) 営業者又はクリーニング師は、クリーニング所における寝具類の処理及び取扱いが衛生上適切に行われているかどうかを常に確認し、その衛生確保に努めること。

4 消毒剤及び洗剤等の管理

(1) 消毒剤、洗剤、有機溶剤、しみ抜き薬剤等は、それぞれ分類して表示し、所定の保管庫又は戸棚等に保管すること。

(2) ランドリー処理において使用する水は、清浄なものであること。

(3) ドライクリーニング処理において使用する有機溶剤は、清浄なものとし、有機溶剤の清浄化のために使用されているフィルター等については、適宜新しいものに交換し、常に清浄な溶剤が得られるようにすること。

また、ドライクリーニング処理を行う場合には、洗浄効果を高めるため、溶剤中の洗剤濃度及び溶剤相対湿度を常に点検し、適正な濃度及び湿度の維持に努めること。

(4) 営業者又はクリーニング師は、各種の消毒剤、洗剤、有機溶剤、しみ抜き薬剤等の特性及び適正な使用方法について従事者に十分理解させ、その保管及び取扱いを適正にさせること。

5 従事者の管理

(1) 受託者は、常に従事者の健康管理に注意し、従事者が感染の危険のある疾患に感染したときは、当該従事者を作業に従事させないこと。

(2) 受託者は、従事者又はその同居者が一類感染症等患者又はその疑いのある者である場合は、当該従事者が治癒又はり患していないことが判明するまでは、作業に従事させないこと。

(3) 従事者は、感染の危険のある疾患に感染し、又はその疑いがある場合には、受託者又はクリーニング師にその旨を報告し、指示に従うこと。

(4) 受託者又はクリーニング師は、施設、設備及び器具の衛生管理、寝具類の消毒、洗濯物の適正な処理並びに消毒剤、洗剤、有機溶剤、しみ抜き薬剤等の適正な使用等について常に従事者の教育及び指導に努めること。

(5) 従事者は、移動による感染を予防するため、第二の2の(2)に掲げる各作業区域間移動に際しては、手洗い及び消毒を確実に行い、また、その移動回数は必要最小限にとどめること。

第三 自主管理体制

1 受託者は、施設設備及び寝具類の管理等に係る具体的な衛生管理要領を作成し、従事者に周知徹底させること。

2 受託者は、営業施設ごとに施設、設備及び寝具類を管理し、寝具類の処理及び取扱いを適正に行うための自主管理体制を整備し、クリーニング師及びその他の適当な者にこれらの衛生管理を行わせること。

3 クリーニング師等は、受託者の指示に従い、責任をもって衛生管理に努めること。

(別添2)

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第六条第二項から第五項まで又は第七項に規定する感染症の病原体により汚染されているもの以外の感染の危険のある寝具類に関する消毒方法

◎ 次に示す方法のうち、各寝具類の汚染状況及び材質等からみて適切な消毒効果のあるものを選択して用いること。

1 理学的方法

(1) 蒸気による消毒

蒸気滅菌器等を使用し、一〇〇℃以上の湿熱に一〇分間以上作用させること。

ただし、肝炎ウイルス及び有芽胞菌(破傷風菌、ガス壊疽菌等)により汚染されているもの(汚染されているおそれのあるものを含む。)については、一二〇℃以上の湿熱に二〇分間以上作用させること。

(注)

1 温度計により器内の温度を確認すること。

2 大量の洗濯物を同時に消毒する場合は、すべての洗濯物が湿熱に十分触れないことがあるので留意すること。

(2) 熱湯による消毒

八〇℃以上の熱湯に一〇分間以上浸すこと。

(注)

1 温度計により温度を確認すること。

2 熱湯に大量の洗濯物を浸す場合は、湯の温度が低下することがあるので留意すること。

2 化学的方法

(1) 塩素剤による消毒

さらし粉、次亜塩素酸ナトリウム等を使用し、その遊離塩素二五〇ppm以上の水溶液中に、三〇℃で五分間以上浸すこと(この場合、終末遊離塩素が一〇〇ppmを下らないこと。)。

(注) 汚れの程度の著しい洗濯物の場合は、終末遊離塩素濃度が極端に低下することがあるので留意すること。

(2) 界面活性剤による消毒

逆性石けん液、両性界面活性剤等の殺菌効果のある界面活性剤を使用し、その適正希釈水溶液中に三〇℃以上で三〇分間以上浸すこと。

(注) 洗濯したものを消毒する場合は、十分すすぎを行ってからでないと消毒効果がないことがあるので留意すること。

(3) クロールヘキシジンによる消毒

クロールヘキシジンの適正希釈水溶液中に三〇℃以上で三〇分間以上浸すこと。

(注) 塩素剤とクロールヘキシジンを併用すると、褐染することがあるので留意すること。

(4) ガスによる消毒

① ホルムアルデヒドガスによる消毒

あらかじめ真空にした装置に容積一立方メートルにつきホルムアルデヒド六g以上及び水四〇g以上を同時に蒸発させ、密閉したまま六〇℃以上で七時間以上触れさせること。

② エチレンオキシドガスによる消毒

あらかじめ真空にした装置にエチレンオキシドガスと不活化ガス(炭酸ガス、フロンガス等)を混合したものを注入し、大気圧下で五〇℃以上で四時間以上作用させるか、又は1kg/cm2まで加圧し五〇℃以上で一時間三〇分以上作用させること。

③ オゾンガスによる消毒

あらかじめ真空にした装置にオゾンガスを注入し、CT値六〇〇〇ppm・min以上作用させること。

また、「感染の危険のある寝具類におけるオゾンガス消毒について」(平成十九年三月三十日付医政経発第〇三三〇〇〇二号厚生労働省医政局経済課長通知)を遵守すること。

(注)

1 ガスによる消毒を行う場合には、ガスが寝具類に残留したり、作業所内の空気を汚染することがないよう換気に細心の注意を払うとともに、引火性があるので火気に注意すること。

2 大量の洗濯物を同時に消毒する場合は、すべての洗濯物がガスに十分触れないことがあるので注意すること。

(別紙1)

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(別紙2―1)

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(別紙2―2)

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(別紙3)

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(別紙4)

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(別紙5)

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