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参考2 ベイズ推定とは

 平成12年市区町村別生命表では、市区町村別死亡率の推定にあたり、ベイズ統計学を用いた「ベイズ推定」を行っている。
 小地域における生命表作成では、当該小地域内の観測死亡データが少なく、死亡率の推定が困難となる場合が生じるという問題がある。これは、死亡という事象の発生頻度が低い一方、実際の死亡データが「1人単位」でしか観測できないことによっている。例えば、本来の死亡率を0.05とした場合、人口1万人の地域では本来の死亡数は500人であるが、観測死亡数に1人増減が出たとしても、死亡率推定値は0.0499〜0.0501と本来の死亡率からは0.2%の変動しか起こらない。ところが、人口100人の地域で同様に考えると、観測死亡数1人の増減は死亡率の推定値に0.04〜0.06という変動を与え、本来の死亡率から20%も変動してしまうこととなる。このような場合、観測データ以外にも対象に関する情報を推定に反映させることが可能な「ベイズ推定」が、死亡率推定にあたっての有力な手法となる。
 具体的には、当該市区町村を含むより広い地域である二次医療圏のグループの死亡状況を情報として活用し、これと各市区町村固有の死亡数等の観測データとを総合化して当該市区町村の死亡率を推定するという形で「ベイズ推定」を適用し、生命表を作成している。このように「ベイズ推定」の手法を適用することにより、小地域の死亡率推定に特有な死亡データの不安定性を緩和し、安定的な死亡率推定を行うことが可能となっているのである。

ベイズ推定の方法の図


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