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1 市区町村別生命表について

(1) 生命表とは

 生命表は、一定期間におけるある人口集団の死亡状況を、死亡率、生存数、定常人口、平均余命などによって表現したものである。
 生命表は、現実の人口集団の年齢構造には影響されない形で、純粋にその集団の死亡状況のみを集約しており、このため、異なる集団の間で死亡状況を比較分析する際に欠くことのできないものとなっている。特に、0歳の平均余命である「平均寿命」は、その人口集団の保健福祉水準を示す総合的指標として広く活用されている。

(2) 市区町村別生命表

 厚生労働省で作成している生命表には、全国規模の「完全生命表」、「簡易生命表」、都道府県規模の「都道府県別生命表」及び市区町村規模の「市区町村別生命表」がある。
 市区町村別生命表は、死亡状況を市区町村単位で把握し、比較分析に資することを目的としたものであり、人口動態統計及び国勢調査のデータを用いて作成している。作成にあたっては、完全生命表、簡易生命表及び都道府県別生命表が、各歳の死亡率を推定して生命表諸関数を算定しているのに対し、市区町村別生命表ではC.L.Chiang氏の方法に基づき、5歳階級ごと(5歳未満は0歳と1〜4歳に分割)の死亡率を推定して用いるという違いがある。また、死亡率推定にあたっては、小地域の死亡率推定に有力な手法である「ベイズ推定」を用いて死亡率の安定化を図っている(注)
 なお、市区町村別生命表に掲載されている全国値及び都道府県・政令指定都市の値は、市区町村の値との比較の観点から、各市区町村と同様の方法で算出しており、平成12年簡易生命表、第19回生命表及び平成12年都道府県別生命表とは異なった方法となっている。そのため、市区町村別生命表における全国値及び都道府県・政令指定都市の値は平成12年簡易生命表、第19回生命表及び平成12年都道府県別生命表と同一の値とはなっていないが、一般に全国における死亡状況を表したものとしては第19回生命表を、また、都道府県・政令指定都市における死亡状況を表したものとしては平成12年都道府県別生命表を用いるのが最も適切であると考えられる。
 この生命表における市区町村は、平成13年12月31日時点のものであり、その対象は、人口動態統計の観察対象範囲に含まれる市区町村のうち、東京都三宅村を除く3361市区町村である(区は特別区及び行政区としている)。

(3) 基礎資料

 平成12年市区町村別生命表は、人口動態統計確定数(厚生労働省大臣官房統計情報部)による日本人死亡数(平成11年〜平成13年)及び出生数(平成10年〜平成13年)、平成12年国勢調査(総務省統計局)による確定日本人人口を基礎資料とし、平成12年都道府県別生命表の結果を用いて算出を行っている。


注: 「ベイズ推定」の手法を用いた市区町村別生命表の作成に関しては、昭和60年(1985年)、平成2年(1990年)及び平成7年(1995年)について、厚生統計協会の研究委託事業として方法の検討などが行われており、その研究内で市区町村別生命表が試算されているところである。


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