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1. 生命表の概念

 生命表はある時期における死亡状況(年齢別死亡率)が今後一定不変としたとき、各年齢に達したものが平均してあと何年生きられるかを、死亡率、生存数、平均余命等の生命関数によって表現したものである。
 特に0歳の平均余命である平均寿命は、保健福祉水準の総合的指標として広く活用されている。

2. 完全生命表と簡易生命表の違い

 わが国では、全国規模の生命表として完全生命表と簡易生命表の2種類を作成し公表している。
 簡易生命表は各年の推計人口、死亡数、出生数(概数)をベースに、簡略化された方法により毎年作成しているのに対し、完全生命表は、国勢調査の確定人口及び人口動態統計の確定データをもとに、より精密な方法で5年に1度作成している。このような観点から、完全生命表は生命表の確定版という性格をもっている。(表1)

表1 完全生命表と簡易生命表

  完全生命表 簡易生命表
作成年 5年毎 毎年
人口 国勢調査 10月1日現在推計人口
死亡数 人口動態統計(確定数) 人口動態統計(概数)
出生数 人口動態統計(確定数) 人口動態統計(概数)


3. 第19回生命表について

 今回公表する完全生命表は通算して19回目にあたり、平成12年国勢調査による確定人口(日本人人口)、人口動態統計確定数(平成12年死亡数、平成12年乳児死亡数、平成11年及び平成12年出生数)を基礎資料として作成している。
 第19回生命表では、平均寿命は男77.72年、女84.60年となっている。
 平均寿命の年次推移をみると、戦前は50年にも満たなかったが、昭和22年の第8回生命表では男50.06年、女53.96年となった。その後、この約50年で男は27.66年、女は30.64年延びている。平成7年は阪神・淡路大震災が起こった年であり、その影響は生命表にも現れていて、第18回生命表では男76.38年(震災の影響を除去すると76.46年)、女82.85年(震災の影響を除去すると82.96年)となっていた。(表2)

表2 完全生命表における平均余命の年次推移

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(単位:年)
  元号
0歳 20歳 40歳 65歳 80歳 0歳 20歳 40歳 65歳 80歳
第1回 明治24-31 42.8 39.8 25.7 10.2 4.8 44.3 40.8 27.8 11.4 5.1
32-36 43.97 40.35 26.03 10.14 4.44 44.85 41.06 28.19 11.35 4.85
明治42-大正 2 44.25 41.06 26.82 10.58 4.70 44.73 41.67 29.03 11.94 5.26
10-14 42.06 39.10 25.13 9.31 3.87 43.20 40.38 28.09 11.10 4.41
大正15-昭和 5 44.82 40.18 25.74 9.64 4.15 46.54 42.12 29.01 11.58 4.73
                       
10年度 46.92 40.41 26.22 9.89 4.20 49.63 43.22 29.65 11.88 4.67
昭和22 50.06 40.89 26.88 10.16 4.62 53.96 44.87 30.39 12.22 5.09
25-27 59.57 46.43 29.65 11.35 5.04 62.97 49.58 32.77 13.36 5.64
10 30 63.60 48.47 30.85 11.82 5.25 67.75 52.25 34.34 14.13 6.12
11 35 65.32 49.08 31.02 11.62 4.91 70.19 53.39 34.90 14.10 5.88
                       
12 40 67.74 50.18 31.73 11.88 4.81 72.92 54.85 35.91 14.56 5.80
13 45 69.31 51.26 32.68 12.50 5.26 74.66 56.11 37.01 15.34 6.27
14 50 71.73 53.27 34.41 13.72 5.70 76.89 58.04 38.76 16.56 6.76
15 55 73.35 54.56 35.52 14.56 6.08 78.76 59.66 40.23 17.68 7.33
16 60 74.78 55.74 36.63 15.52 6.51 80.48 61.20 41.72 18.94 8.07
                       
17 平成 2 75.92 56.77 37.58 16.22 6.88 81.90 62.54 43.00 20.03 8.72
18 7 76.38 57.16 37.96 16.48 7.13 82.85 63.46 43.91 20.94 9.47
    (76.46) (57.22) (38.00) (16.50) (7.14) (82.96) (63.55) (43.98) (20.98) (9.48)
19 12 77.72 58.33 39.13 17.54 7.96 84.60 65.08 45.52 22.42 10.60
注: 平成7年()内は阪神・淡路大震災の影響を除去した値である。


 第19回生命表における各種の生命関数(
参考資料3参照)により、わが国における死亡状況をみる。

(1)死亡率(qx

 死亡率を第18回生命表と比較すると、男女ともおおむねすべての年齢で改善されている。また、昭和22年の第8回生命表以降を比較してみると、特に0歳から10歳代、20歳代、30歳代と若青年層で大きく死亡率は低下している。(図1−1図1−2

(2)死亡数(dx

 10万人の出生児が生命表上の年齢別死亡率にしたがって死亡していくとした場合の死亡数をみると、死亡数曲線は男女とも10歳代前半から緩やかに上昇しているが、加齢するに従って上昇速度を速め、男では80歳代、女では80歳代後半から90歳代前半にかけてピークを迎えた後、急速に下降している。その死亡曲線のピークは、死亡率の改善とともに、より高齢の方に移動していくのが一般的な傾向である。
 第19回生命表における死亡数のピークは男84歳(3,713人)、女90歳(4,478人)となっており、回を追うごとに高齢に移動している。(図2−1図2−2

(3)生存数(lx

 生命表上の生存数は全年齢階級において増加している。寿命中位数(出生者の半数が生存すると期待される年数)をみると、第19回生命表では、男80.74年、女87.41年となっており、回を追うごとに延びている。また、男は87.65歳まで、女は93.13歳まで出生者の4分の1が生存すると期待される。さらに女の20人に1人は100歳まで生存する。(図3−1図3−2

(4)平均余命(ex

 第19回生命表では、0歳における平均余命は、男77.72年、女84.60年となっている。20歳における平均余命は、男58.33年、女65.08年、65歳における平均余命は、男17.54年、女22.42年となっている。平均余命の推移をみると各年齢で回を追うごとに延びている。(図4−1図4−2



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