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II 血圧測定について

 第5次循環器疾患基礎調査においては、測定対象者全員に対し、血圧測定を2回実施した。 血圧は、5分以上坐位による安静の後、水銀血圧計を用いて1回目の測定を行い、その後1〜2分の間隔をおいて2回目の測定を行った。
 今回の報告にあたっては、これまでの循環器疾患基礎調査(第4次以前の調査は1回測定であった)と比較するために1回目の測定値を用いた。

1.血圧測定の結果

(1)性・年齢階級別 最高血圧140mmHg以上または最低血圧90mmHg以上の者の割合

 日本高血圧学会が2000年に作成した「高血圧治療ガイドライン2000年版」によれば、最高血圧140mmHg以上または最低血圧90mmHg以上が、高血圧の分類であり、今回はこの分類を参考とした。
 なお、詳細な分類は(表1)に示した。

・最高血圧140mmHg以上または最低血圧90mmHg以上の者の割合は、男性 は51.7%、女性では39.7%。

・年齢階級別では、男女共に高い年齢階級ほど、この割合が高かった。

・全年齢階級において、女性より男性の方がこの割合が高く、特に30歳代で男性は女性の約3倍、40歳代で約2倍の割合であった。

図 性・年齢階級別 最高血圧140mmHg以上または最低血圧90mmHg以上の者の割合

(表1) 血圧の分類(2000年 日本高血圧学会)
  最高血圧(mmHg)   最低血圧(mmHg)
至適血圧 <120 かつ <80
正常血圧 <130 かつ <85
正常高値 130〜139 または 85〜89
────────────────────────
軽症高血圧 140〜159 または 90〜99
中等度高血圧 160〜179 または 100〜109
重症高血圧 ≧180 または ≧110

(2)前回の調査との比較
 前回の調査においては、1962年にWHO(世界保健機構)が設定した高血圧の分類(1999年改定)である、最高血圧160mmHg以上または最低血圧95mmHg以上を参考としており、前回の調査との比較については、この分類を参考にした。
 なお、詳細な分類は(表2)に示した。

・男性において、最高血圧160mmHg以上または最低血圧95mmHg以上の者の割合は、前回の調査で22.6%、今回の調査では23.2%。

・女性において、最高血圧160mmHg以上または最低血圧95mmHg以上の者の割合は、前回の調査で16.8%、今回の調査では17.2%。

・年齢階級別では、男性の30歳代、40歳代、及び50歳代においては今回の調査の方がこの割合が高く、男性の60歳以上及び女性の40歳以上階級においては今回の調査の方がこの割合が低かった。

図 前回の調査との比較(男性)
図 前回の調査との比較(女性)

(表2) 高血圧の分類(1962年 WHO)
  最高血圧(mmHg)   最低血圧(mmHg)
正常血圧 <140 かつ <90
境界域血圧 140〜159 または 90〜94
─────────────────────
高血圧 ≧160 または ≧95

2.血圧測定の受診状況

(1)性・年齢階級別 過去1年間に血圧測定を受けたことがある者の割合

・過去1年間に血圧測定を受けたことがある者の割合は、男性は84.6%、女性では81.1%。

・年齢階級別では、男性は50歳代(88.7%)、女性では70歳以上(90.7%)でその割合が最も高かった。

図 性・年齢階級別 過去1年間に血圧測定を受けたことがある者の割合

(2)最高血圧が140mmHg以上または最低血圧が90mmHg以上の者における、性・年齢階級別 過去1年間に血圧測定を受けたことがある者の割合

・最高血圧が140mmHg以上または最低血圧が90mmHg以上の者において、過去1年間に血圧測定を受けたことがある者の割合は、男性は86.7%、女性では87.2%。

・年齢階級別では、男女共に70歳以上でその割合が最も高く、男性は89.8%、女性では91.8%。

図 最高血圧が140mmHg以上または最低血圧が90mmHg以上の者における、性・年齢階級別 過去1年間に血圧測定を受けたことがある者の割合

(3)性・年齢階級別 血圧測定を受けた場所(複数回答)

・過去1年間に血圧測定を受けたことがある者において、男性は30歳代から50歳代までは職場検診の比率が最も大きく、60歳以上では医療機関の比率が最も大きかった。

・女性では40歳代のみにおいて、職場検診の比率が最も大きく、その他の年齢階級では医療機関の比率が最も大きかった。

図 性・年齢階級別 血圧測定を受けた場所(男性)

図 性・年齢階級別 血圧測定を受けた場所(女性)

3.血圧測定結果の認知度

(1)性・年齢階級別 血圧測定結果の認知度

・過去1年間に血圧測定を受けたことがある者において、その結果を知らない(忘れた)者の割合は、男性は8.9%、女性では8.1%。

・年齢階級別では、男女共に30歳代でその割合が高く、男性は15.7%、女性では10.8%。

図 性・年齢階級別 血圧測定結果の認知度(男性)

図 性・年齢階級別 血圧測定結果の認知度(女性)

(2)最高血圧が140mmHg以上または最低血圧が90mmHg以上の者における、性・年齢階級別 血圧測定結果の認知度

・最高血圧が140mmHg以上または最低血圧が90mmHg以上の者であり、かつ、過去1年間に血圧測定を受けたことがある者において、その結果を知らない(忘れた)者の割合は、男性は8.3%、女性では5.4%。

・年齢階級別では、男女共に30歳代でその割合が高く、男性は17.7%、女性では14.3%。

図 最高血圧が140mmHg以上または最低血圧が90mmHg以上の者における、性・年齢階級別 血圧測定結果の認知度(男性)

図 最高血圧が140mmHg以上または最低血圧が90mmHg以上の者における、性・年齢階級別 血圧測定結果の認知度(女性)

4.血圧測定を受けた場所と測定結果の認知度との関係
・過去1年間に血圧測定を受けたことがある者において、その結果を知らない(忘れた)者の割合が一番低かった場所は、人間ドックであった。

図 血圧測定を受けた場所と測定結果の認知度との関係


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