晩婚化・晩産化の状況

 (1) 年次別の分析(時代による変化)

   「婚姻」「第1子出生」「第2子出生」「第3子出生」と順をおって、未婚化・晩婚化・晩産化の状況及び影響をみた。
 妻の平均初婚年齢をみると、昭和50年以降上昇傾向のまま推移している。昭和63年に25.8歳、平成11年で26.8歳と、1歳上昇するのに11年かかったが、平成16年で27.8歳になるまでは5年であった。
 母の出生時平均年齢も上昇傾向のまま推移している。昭和56年に第1子が26.5歳、第2子が28.9歳、第3子が30.8歳であったが、平成16年には、第1子が28.9歳、第2子が30.9歳とこの23年間で約1人分の差が生じている。
 父母が結婚生活に入ってから出生までの平均結婚期間は、第1子、第2子ともに長くなっているが、第3子は平成13年以降短くなっている。(表2)

表2 妻の平均初婚年齢・出生順位別母の出生時平均年齢・出生までの平均結婚期間
−昭和50〜平成16年−

表2 妻の平均初婚年齢・出生順位別母の出生時平均年齢・出生までの平均結婚期間−昭和50〜平成16年−
注:出生までの平均結婚期間は、嫡出子についての数値である。

  1) 初婚

    妻の初婚件数の年次推移をみると、昭和45〜48年の「第2次婚姻ブーム」期に100万件を超えたが、それ以降は急激に減少し、昭和62年には62万件となった。その後若干増加し、平成5年以降はほぼ横ばいで推移していたが、平成9年から11年にかけて減少し、再び平成12、13年に増加した後、平成14年から3年連続で減少している。
 妻の初婚率についてみると、「20〜24歳」は、昭和48年以降徐々に低下し、昭和62年には「25〜29歳」を下回り、平成16年は「25〜29歳」に比べて約25ポイントの差となっている。「25〜29歳」は、昭和51年以降概ね上昇傾向で、昭和62年には「20〜24歳」を上回ったが、平成5年の72.6を最高に徐々に低下している。「30〜34歳」は、昭和51年以降なだらかに上昇し続け、平成12年以降20を超えており、晩婚化が進んでいる。(図5)

図5 妻の初婚件数及び初婚率(女子人口千対) −昭和27〜平成16年−

図5 妻の初婚件数及び初婚率(女子人口千対) −昭和27〜平成16年−
注:初婚率は、各届出年に結婚生活に入り届け出たもの(同年同居)についての数値であり、届け出の前年以前に結婚生活に入ったものは含まれていない。

    妻の年齢階級別に累積初婚率の平均の推移をみた。累積初婚率は、年次別に年齢別初婚率(女子人口百対)を求め、出生コーホート(「(2)出生コーホート別の分析(世代による変化)」に後述)ごとに年齢別初婚率を積み上げたものである。累積初婚率により、世代ごとに結婚を経験した者の割合がわかる。ここでは、「年齢階級別累積初婚率の平均」(*)を求めた。
 昭和50年に「20〜24歳」の女子は昭和55年に「25〜29歳」、昭和60年に「30〜34歳」となっており、累積初婚率はそれぞれ31.0、73.4、84.4となっている。これ以降の世代の累積初婚率は低下してきており、各年齢階級時点での未婚化が進んでいることがうかがえる。(表3)

 「年齢階級別累積初婚率の平均」とは、「その年に当該年齢階級に属する各年齢に達した出生コーホート」の累積初婚率を合計し、年齢階級幅の5で除したものである。

表3 妻の年齢階級別累積初婚率(女子人口百対)の平均の推移 −昭和50〜平成16年−
表3 妻の年齢階級別累積初婚率(女子人口百対)の平均の推移−昭和50〜平成16年−
注:累積初婚率については、各届出年に結婚生活に入り届け出たもの(同年同居)についての数値であり、届け出の前年以前に結婚生活に入ったものは含まれていない。

(参考)
 女子の年齢階級別未婚率
 −平成12年−

 (参考)女子の年齢階級別未婚率 −平成12年−
 資料:国勢調査(総務省統計局)

  2) 出生順位別にみた出生

    出生順位別の出生数をみると、出生順位によって増減の状況は異なっている。
 平成3、6、8、10及び12年は総数が増加しているが、第1子はそれぞれの年で増加しており、第2子についても平成3年を除き増加している。第3子、第4子以上は平成6、12年に増加したが、平成3、8、10年は減少した。
 それ以外の年は総数が減少しており、昭和51〜平成2年は概ね4年ごとに第1子の大幅な減少と第2子の大幅な減少が交互にあり、平成4、5年は第2子、第3子及び第4子以上が減少、平成7、9、11年と13年以降はどの出生順位も減少している。特に、平成13年は第1子と第2子、平成14年は第2子と第3子、平成15、16年は第1子の減少が大きい。(表4)
 出生順位別の出生構成割合をみると、昭和53年に第1子より第2子の割合が多くなっている。それ以降第2子の割合が減少し第1子との差が広がっていたが、平成15、16年はその差が縮小している。第3子は、昭和50年以降徐々に増加していたが、昭和63年以降は減少している。(図6)

表4 出生順位別にみた出生数及び対前年増減数 −昭和50〜平成16年−

表4 出生順位別にみた出生数及び対前年増減数 −昭和50〜平成16年−


図6 出生順位別にみた出生構成割合 −昭和50〜平成16年−

図6 出生順位別にみた出生構成割合 −昭和50〜平成16年−

  3) 母の年齢階級別にみた出生

    母の年齢階級別に出生構成割合をみると、昭和50年には「29歳以下」で約8割を占めていたが、徐々に減少し、平成15年から5割を下回り、「30〜34歳」が最も多くなっている。
 第1子出生数の母の年齢階級別出生構成割合をみると、昭和50年には「29歳以下」で約9割を占めていたが、徐々に減少し、平成4年には8割、平成12年には7割、平成16年には6割を下回っている。特に、「20〜24歳」の減少が著しく、昭和50年には41.4%であったが、平成13年には19.9%と2割を下回り、平成16年には17.4%となった。一方、「30〜34歳」は、昭和50年の6.7%から平成16年の30.7%と約4.6倍に増えている。(表5)

表5 母の年齢階級別にみた出生構成割合及び第1子出生構成割合 −昭和50〜平成16年−

表5 母の年齢階級別にみた出生構成割合及び第1子出生構成割合 −昭和50〜平成16年−
注:構成割合は、年齢不詳を除いた総数に対する数値である。

  4) 第1子出生

    第1子出生数をみると、昭和50年から昭和60年にかけては全体では30.2%減と変動が激しい。母の年齢階級別にみると、「20〜24歳」で49.0%減、「25〜29歳」で26.4%減となっている。
 昭和60年から平成7年、平成7年から平成16年にかけてはそれぞれ全体では約5%減と変動は少ないが、母の年齢階級別にみると「20〜24歳」、「25〜29歳」が減少し、「30歳以上」で増加と、年齢構造が変化し、晩産化が進んでいる。(図7)

図7 母の年齢別第1子出生数 −昭和50・60・平成7・16年−

図7 母の年齢別第1子出生数 −昭和50・60・平成7・16年−

  5) 第2子出生

    第2子出生数をみると、昭和50年から昭和60年にかけては全体では26.7%減、昭和60年から平成7年は23.9%減と大きく減少している。
 母の年齢階級別にみると、昭和50年には、第2子出生数全体の63.2%を占めていた「25〜29歳」(うち「第1次ベビーブーム」期に生まれた母(26〜28歳)は第2子出生数全体の44.6%)が、10年後の昭和60年には、38.6%減となる一方、「30歳以上」では20.5%増となっている。
 昭和60年から平成7年にかけては、「25〜29歳」は40.6%減、「30歳以上」は0.7%減と、「30歳以上」の減少は少ないものの、「25〜29歳」が更に減少した。
 平成16年は、平成7年より2.5%減と全体での変動は少ないものの、「第2次ベビーブーム」期に生まれた母(30〜33歳)が第2子出生数全体の36.8%を占めており、「30歳以上」では22.6%増となり、「30歳以上」の占める割合が多くなっている。(図8)

図8 母の年齢別第2子出生数 −昭和50・60・平成7・16年−

図8 母の年齢別第2子出生数 −昭和50・60・平成7・16年−

  6) 第3子出生

    第3子出生数をみると、昭和50年から昭和60年にかけては全体では0.3%増、昭和60年から平成7年は30.5%減と昭和60年から平成7年にかけての減少が大きい。
 母の年齢階級別にみると、昭和50年には、第3子出生数全体の44.7%を占めていた「25〜29歳」(うち「第1次ベビーブーム」期に生まれた母(26〜28歳)は第3子出生数全体の30.9%)が、10年後の昭和60年には29.2%減となったが、「30〜34歳」で23.6%増、「35歳以上」で61.4%増により、全体では微増となった。
 昭和60年から平成7年にかけては、「25〜29歳」は44.2%減、「30〜34歳」でも32.7%減と大きく減少し、全体的な出生数の減少がみられる。「35歳以上」は、4.9%増と若干増えた程度だった。
 平成16年は、平成7年より19.5%減と、更に出生数の減少がみられる。ただし、「35歳以上」では8.9%増となり、徐々に増えてきている。(図9)

図9 母の年齢別第3子出生数 −昭和50・60・平成7・16年−

図9 母の年齢別第3子出生数 −昭和50・60・平成7・16年−

 (2) 出生コーホート別の分析(世代による変化)

   「コーホート」とは、ある期間に出生・婚姻等何らかの事象が発生した人を集団としてとらえたものであり、出生によるものを「出生コーホート」と呼ぶ。
 年齢別出生率について、調査年ごとの集計(期間合計特殊出生率)は、「出生年の異なる集団を対象とした調査時点での年齢別分析」であって、「時代による変化」を中心に分析するものであるが、出生コーホートごとの集計(コーホート合計特殊出生率)は、「出生年の同じ集団を対象とした調査時点までの年齢別分析」であって、「世代による変化」を中心に分析するものである。

出生コーホート別の分析の図

   累積出生率は出生コーホートごとに年齢別出生率を積み上げたものである。累積出生率により、世代ごとに出生率がわかる。

  1) 累積出生率(コーホート合計特殊出生率)

    昭和7年生まれ以降の女子の出生年別に累積出生率をみると、39歳の累積出生率は、昭和29年生まれまでは2前後で推移してきたが、昭和30年生まれ以降は2を下回り、昭和40年生まれでは1.57となっている。
 29歳の累積出生率は、昭和29年生まれまでは、ほぼ1.4〜1.6台で推移していたが、昭和30年生まれ以降は1.4を下回り、昭和50年生まれで0.68となっている。
 昭和30年生まれ以降、世代を追うごとに少子化の傾向がみられる。(表6・図10)

表6 出生コーホート別にみた累積出生率
 −昭和7〜55年生まれ−

表6 出生コーホート別にみた累積出生率 −昭和7〜55年生まれ−
注:1)( )内の年齢は平成16年時点の年齢である。
2)空欄は計数を得られていない。

図10 出生コーホート別にみた累積出生率(平成16年までの累積)

図10 出生コーホート別にみた累積出生率(平成16年までの累積)
注:1)点線は「ひのえうま」による年齢別出生率の影響を補整したものである。
2)横軸の年齢は平成16年時点の年齢である。

    累積出生率を年齢階級別にわけてみると、「15〜19歳」では、0.02前後でほぼ横ばいであるが、昭和52年生まれから若干上昇し、昭和60年生まれでは0.03となっている。
 「20〜24歳」では、昭和25年生まれの0.55以降低下傾向となっているが、近年は下げ止まりがみられ、昭和55年生まれでは0.19となっている。
 「25〜29歳」では、昭和32年生まれの0.94以降低下傾向となっており、昭和50年生まれでは0.47となっている。
 「30〜34歳」では、昭和40年生まれまで上昇傾向を示していたが、その後低下し、昭和45年生まれでは0.45となっている。
 「35〜39歳」では、上昇傾向となっており、昭和40年生まれでは0.16となっている。(図11)

図11 出生コーホート別にみた累積出生率の年齢階級別内訳

図11 出生コーホート別にみた累積出生率の年齢階級別内訳

図11 出生コーホート別にみた累積出生率の年齢階級別内訳

図11 出生コーホート別にみた累積出生率の年齢階級別内訳

図11 出生コーホート別にみた累積出生率の年齢階級別内訳

図11 出生コーホート別にみた累積出生率の年齢階級別内訳

図11 出生コーホート別にみた累積出生率の年齢階級別内訳
注:1)白ヌキは5年経過していない出生コーホートの平成16年までの実績である。
2)点線は「ひのえうま」による年齢別出生率の影響を補整したものである。
3)横軸の年齢は平成16年時点の年齢である。

  2) 出生コーホート別にみた年齢別初婚率・出生率

    昭和30、35、40、45年生まれの女子について、婚姻・出生の状況をおってみた。
 昭和30年生まれの女子をみると、初婚率が「23〜24歳」で高く、出生率は第1子が「25歳」、第2子が「27〜28歳」、第3子が「30歳前後」で高くなっている。
 昭和35年生まれをみると、初婚率が「24歳」、第1子が「25〜26歳」、第2子が「28歳」、第3子が「31歳前後」で高い。昭和30年生まれと比べ、ピークが低下しピーク前も低下しているが、ピーク後が上がっている。
 昭和40年生まれをみると、初婚率が「25歳」、第1子が「26〜27歳」、第2子が「29歳」、第3子が「31歳前後」で高い。昭和35年生まれと比べ、ピークが低下したとともに、出生順位のそれぞれのピーク時年齢が1歳ほど上がっており、晩産化が顕著となっている。
 昭和45年生まれをみると、初婚率が「25歳」、第1子が「27歳」、第2子が「30歳」、第3子が「32歳前後」で高い。昭和40年生まれより更に晩産化が進んでいる。(図12)

図12 出生コーホート別にみた年齢別初婚率・出生率(女子人口千対) −昭和30・35・40・45年生まれ−

図12 出生コーホート別にみた年齢別初婚率・出生率(女子人口千対) −昭和30・35・40・45年生まれ−

図12 出生コーホート別にみた年齢別初婚率・出生率(女子人口千対) −昭和30・35・40・45年生まれ−

図12 出生コーホート別にみた年齢別初婚率・出生率(女子人口千対) −昭和30・35・40・45年生まれ−

図12 出生コーホート別にみた年齢別初婚率・出生率(女子人口千対) −昭和30・35・40・45年生まれ−
注:初婚率は、各届出年に結婚生活に入り届け出たもの(同年同居)についての数値であり、届け出の前年以前に結婚生活に 入ったものは含まれていない。

  3) 出生力

   ア 出生順位別累積出生率(コーホート合計特殊出生率)

     昭和28年生まれ以降の女子の出生年別、出生順位別に累積出生率をみた。出生順位別累積出生率は、世代ごとに少なくともその順位の子を生んだ女子の割合となっている。
 40歳の第1子累積出生率は昭和28年生まれでは0.8981であったが、年々低下してきており、昭和39年生まれでは0.7769(昭和28年生まれに対し86.5%)となっている。同様に第2子累積出生率は0.7785から0.6190(同79.5%)に低下している。
 また、30歳の第1子累積出生率は昭和28年生まれでは0.8200であったが、年々低下してきており、昭和49年生まれでは0.4853(同59.2%)となっている。同様に第2子累積出生率は0.6135から0.2549(同41.5%)に低下している。(表7)

表7 出生コーホート別にみた出生順位別累積出生率
−40歳(昭和28〜39年生まれ)、30歳(昭和28〜49年生まれ)−

表7 出生コーホート別にみた出生順位別累積出生率−40歳(昭和28〜39年生まれ)、30歳(昭和28〜49年生まれ)−
注:1)「累積出生率」については「8 用語の解説」参照。
2)( )内の年齢は平成16年時点の年齢である。

   イ 次子出生割合

     昭和28年生まれ以降の母の出生年別に次子出生割合をみた。
 なお、次子出生割合は、次順位子累積出生率を当該順位子累積出生率で除することにより算出した。次子出生割合により、世代ごとに子を生んだ母の次子以上の出生状況がわかる。
 40歳までの次子出生割合をみると、昭和28年生まれでは、第1子を生んでいる母のうち、86.7%が第2子を生んでおり、第2子を生んでいる母のうち、36.0%が第3子を生んでいるが、昭和39年生まれでは、それぞれ79.7%、33.6%に減少している。
 同様に第3子、第4子を生んでいる母の次子出生割合をみると、それぞれ14.0%が15.1%に、22.9%が23.5%に増加している。
 また、30歳までの次子出生割合をみると、昭和28年生まれでは第1子を生んでいる母のうち、74.8%が第2子を生んでおり、第2子を生んでいる母のうち、23.5%が第3子を生んでいるが、昭和49年生まれでは、それぞれ52.5%、19.7%に減少している。
 同様に第3子、第4子を生んでいる母の次子出生割合をみると、それぞれ8.7%が11.5%、14.8%が18.6%に増加している。(表8)

表8 出生コーホート別にみた次子出生割合 −40歳(昭和28〜39年生まれ)、30歳(昭和28〜49年生まれ)−

表8 出生コーホート別にみた次子出生割合 −40歳(昭和28〜39年生まれ)、30歳(昭和28〜49年生まれ)−
注:1)「次子出生割合」については「8 用語の解説」参照。
2)( )内の年齢は平成16年時点の年齢である。

   ウ 子を生んでいない女子の割合

     昭和28年生まれ以降の女子の出生年別に子を生んでいない割合をみた。
 なお、子を生んでいない女子の割合は、1から第1子累積出生率を減じることにより算出した。
 40歳において子を生んでいない女子の割合をみると、昭和28年生まれでは10.2%であったが、世代を追うごとに増加傾向にあり、昭和39年生まれでは22.3%となっている。
 30歳において子を生んでいない女子の割合をみると、昭和28年生まれでは18.0%であったが、世代を追うごとに増加傾向にあり、昭和46年生まれでは48.9%、昭和47年生まれでは49.8%、昭和48年生まれでは51.0%、昭和49年生まれでは51.5%となっており、「第2次ベビーブーム」期に生まれた女子の約半数が30歳の時点で子を生んでいない。(表9)

表9 出生コーホート別にみた子を生んでいない女子の割合
−40歳(昭和28〜39年生まれ)、30歳(昭和28〜49年生まれ)−

表9 出生コーホート別にみた子を生んでいない女子の割合−40歳(昭和28〜39年生まれ)、30歳(昭和28〜49年生まれ)−
注:1)「子を生んでいない女子の割合」については「8 用語の解説」参照。
2)( )内の年齢は平成16年時点の年齢である。

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