主要死因別粗死亡率の状況

 (1)  年次推移

 明治から現在に至る主要死因の粗死亡率(人口10万対)の推移をみると図1のとおりである。
 明治から大正・昭和初期にかけては、「結核」、「肺炎」や「胃腸炎」など感染症が主であった。
 「肺炎」は、大正7〜9年にかけて「インフルエンザ」の大流行があり、その影響で高い粗死亡率を示している。
 また、「不慮の事故」では、大正12年の関東大震災により粗死亡率が高くなっている。
 その後、昭和20年代後半に感染症の粗死亡率は急速に低下し、かわって現在の三大死因である「悪性新生物」「心疾患」(平成7年以降の「心疾患」は「心疾患(高血圧性を除く)」である。以下同じ。)「脳血管疾患」が主たる死因となった。
 「心疾患」は、平成7年1月施行の新しい死亡診断書において、「死亡の原因欄には、疾患の終末期の状態としての心不全、呼吸不全等は書かないでください。」という注意書きの事前周知の影響により平成6年に低下しているが、それ以降上昇傾向にある。
 「脳血管疾患」は、昭和40年代をピークに低下傾向ではあるが、低下の幅は小さくなってきており、近年は低下から横ばい傾向となっている。(図1、統計表第1表

図1 主要死因別にみた粗死亡率(人口10万対)の年次推移
図1 主要死因別にみた粗死亡率(人口10万対)の年次推移
平成6年の心疾患の減少は、新しい死亡診断書(死体検案書)(平成7年1月1日施行)における「死亡の原因欄には、疾患の終末期の状態としての心不全、呼吸不全等は書かないでください。」という注意書きの事前周知の影響によるものと考えられる。


 (2)  平成16年の状況

 平成16年の状況をみると、全死亡数103万人のうち、「心疾患」は16万人、「脳血管疾患」は13万人となっており、両者を合計すると29万人となり「悪性新生物」に近い死亡数となっている(表1)。

表1 性別にみた主な死因別死亡数・粗死亡率(人口10万対)・年齢調整死亡率(人口10万対) −平成16年−
表1 性別にみた主要死因別死亡数・粗死亡率(人口10万対)・年齢調整死亡率(人口10万対) −平成16年−
粗死亡率、年齢調整死亡率については、「比率の解説」を参照。

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