婚姻動向の多面的分析

(1)  夫妻組数の増減(国際移動を除く)

 夫妻組数の増減は、その年次の婚姻件数から、離婚件数及び有配偶死亡数を差し引くことによりみることができる。
 昭和50年には約50万組あった増加組数が徐々に減少し、62年には16万組まで減少したが平成5年までほぼ同数で推移し、その後9年には10万組を下回り、14年以降はマイナスに転じている(表4)。

表4 夫妻組数の増減(国際移動を除く)の年次推移 −昭和50〜平成17年−
表4 夫妻組数の増減(国際移動を除く)の年次推移 −昭和50〜平成17年−

(2) 年齢別無配偶者婚姻率・年齢別未婚者初婚率

 婚姻(初婚・再婚)は無配偶者(未婚・死別・離別)、初婚は未婚者が対象となる。したがって、年齢別無配偶者婚姻率及び年齢別未婚者初婚率をみると、夫はどの年次も28、29歳がピークとなっているが、近年はそのピークが低くなっている。無配偶者婚姻率では年次により40〜60歳で違いがみられたが、未婚者初婚率ではほとんど違いがない。
 一方、妻は近年、21〜33歳で急激な低下がみられるとともに、平成2年はピークが26歳であったのに対し、12、17年では28歳がピークとなっており、晩婚化の傾向がうかがえる。
  それぞれについて平成17年の夫と妻で比較してみると、いずれもピーク時の年齢は28、29歳と同じであるが、妻の率が高くなっている。また、30歳代から40歳代にかけて急激に低下する妻に対し、夫は緩やかに低下をしている(図4・5)。

図4 年齢別無配偶者婚姻率(無配偶人口千対) −平成2・7・12・17年−
(夫) (妻)
(夫) (妻)
<参考>  年齢別婚姻率(人口千対) −平成2・7・12・17年−
( 婚姻率 = 無配偶者割合 × 無配偶者婚姻率 )

(夫) (妻)
(夫) (妻)

図5 年齢別未婚者初婚率(未婚人口千対) −平成2・7・12・17年−
(夫) (妻)
(夫) (妻)

<参考>  年齢別初婚率(人口千対) −平成2・7・12・17年−
( 初婚率 = 未婚者割合 × 未婚者初婚率 )

(夫) (妻)
(夫) (妻)

(3) 累積初婚率
 「累積初婚率」とは、ある年齢までの年齢別初婚率を合計したものである。

[1]  期間別にみた累積初婚率(年齢階級別内訳)

 累積初婚率を期間別にみると、夫・妻とも昭和55年以降上昇と低下を繰り返し、近年は低下傾向にあったが、それぞれ平成17年は前年よりわずかに上昇している。
 これを年齢階級別にみると、夫は昭和55年以降「25〜29歳」が最も高くなっているが、妻は55年に最も高かった「20〜24歳」が57年から平成元年にかけて、約3割低下しており、昭和62年以降は「25〜29歳」が最も高くなっている。また、夫・妻とも「20〜24歳」及び「25〜29歳」は低下傾向にあり、「30〜34歳」は上昇傾向にあったが、平成17年は「20〜24歳」及び「25〜29歳」が上昇に転じている(図6・統計表3)。


図6 期間別にみた累積初婚率(年齢階級別内訳・人口千対) −昭和55〜平成17年−

(夫)
(夫)

(妻)
(妻)

[2]  出生コーホート別にみた年齢別累積初婚率

 「コーホート」とは、ある期間に出生・婚姻等何らかの事象が発生した人を集団としてとらえたものであり、出生によるものを「出生コーホート」と呼ぶ。

 夫の年齢別累積初婚率を出生コーホート別に、昭和38、43、48、53、58年生まれの5つの世代についてみると、20歳代前半までの累積初婚率ではほとんど違いがないものの、年齢が上がるにつれ世代間の違いがみられる。
  一方、妻をみると、20歳以降世代を追うごとに徐々に低下している。ただし、晩婚化の影響もあり昭和38年生まれと48年生まれを比較してみると、30歳以降その差は縮小している(図7・表5)。

図7 出生コーホート別にみた年齢別累積初婚率(人口千対)
−昭和38・43・48・53・58年生まれ−
(夫)
(夫)
(妻)
(妻)

表5−1 出生コーホート別にみた夫の年齢別累積初婚率(男子人口千対)
−昭和36〜61年生まれ−

(夫)

表5−2 出生コーホート別にみた妻の年齢別累積初婚率(女子人口千対)
−昭和38〜61年生まれ−

(妻)

(4) 初婚−再婚の組合せ別婚姻

 初婚−再婚の組合せ別婚姻件数及び構成割合を夫妻のそれぞれ一方からみた。夫と再婚の妻に限ってみると、昭和50年が70,183組(夫の総数に対して7.5%)だったが、平成17年は114,574組(夫の総数に対して16.0%)と大きく増加している。
 また、妻と再婚の夫に限ってみると、昭和50年が85,803組(妻の総数に対して9.1%)だったが、平成17年は130,189組(妻の総数に対して18.2%)と大きく増加している(表6)。

表6 夫妻のどちらか一方からみた初婚−再婚の組合せ別婚姻件数及び構成割合
−昭和50〜平成17年−

表6 夫妻のどちらか一方からみた初婚−再婚の組合せ別婚姻件数及び構成割合

(5)

平均婚姻年齢及び年齢差

 平均婚姻年齢を夫妻の初婚−再婚の組合せ別にみると、「夫再婚−妻初婚」の妻以外については上昇傾向である。年齢差をみると、「夫妻とも初婚」ではその差が平成7年までは2歳を上回っていたが、平成12年以降は1.7歳で推移しており、夫よりも妻の初婚年齢が上昇している(表7)。

表7 夫妻の初婚−再婚の組合せ別にみた平均婚姻年齢及び年齢差
−昭和50〜平成17年−
表7 夫妻の初婚−再婚の組合せ別にみた平均婚姻年齢及び年齢差

(6) 月別にみた年齢階級別婚姻
[1] 婚姻件数

 年齢階級別婚姻件数を月別にみると、各月とも夫・妻で「25〜29歳」が最も多くなっている(表8)。
 また、これを当月を含む過去1年間でみても、各月とも夫・妻で「25〜29歳」が最も多くなっている(表9)。

表8 月別にみた年齢階級別婚姻件数 −平成17年−
表8 月別にみた年齢階級別婚姻件数 −平成17年−

表9 当月を含む過去1年間でみた年齢階級別婚姻件数 −平成17年−
表9 当月を含む過去1年間でみた年齢階級別婚姻件数 −平成17年−

[2]  当月を含む過去1年間の年齢階級別婚姻件数の指数(平成17年1月=100)

 当月を含む過去1年間でみた年齢階級別婚姻件数について、平成17年1月を100とした指数でみると、夫の「35〜39歳」と妻の「30〜34歳」及び「35〜39歳」は上昇傾向にあり、特に妻の「35〜39歳」は大きく上昇している。「20〜24歳」及び「25〜29歳」は平成16年1月から低下し続けていたが、17年6月以降ほぼ横ばいで推移している(図8・表10)。

図8 当月を含む過去1年間の年齢階級別婚姻件数の指数 −平成16〜17年−
    (夫)     (妻)
(夫) (妻)
注: 1)  例えば、「平成16年1月」は平成15年2月〜16年1月までの1年間の累積である。
2)  平成17年1月を100として計算した。

表10 当月を含む過去1年間でみた年齢階級別婚姻件数の指数 −平成17年−

表10 当月を含む過去1年間でみた年齢階級別婚姻件数の指数 −平成17年−
 
(7) 離婚した者の再婚状況

 平成9〜13年に離婚した者が離婚した年次を含む離婚後5年間で再婚をした割合をみると、どの年次に離婚した者もおおむね3割が再婚をしている。これを離婚時の年齢階級別にみると、10〜30歳代での再婚者の割合が高い。(表11)
 また、平成13年以降に離婚した者が17年までに再婚をした割合をみると、どの年次でも離婚をした妻よりも夫の方が再婚をしている割合が高い。これを離婚時の年齢階級別にみると、夫・妻とも10〜30歳代での再婚者の割合で高い傾向がみられるが、平成17年では、夫は40歳代以上の割合が高くなっており、妻は年齢階級による差はあまりみられない(表12。)

表11 各年に離婚した者が離婚をした年次を含む離婚後5年間で再婚をした割合 −平成9〜13年−
表11 各年に離婚した者が離婚をした年次を含む離婚後5年間で再婚をした割合 −平成9〜13年−

表12 各年に離婚した者が平成17年までに再婚をした割合 −平成13〜17年−
表12 各年に離婚した者が平成17年までに再婚をした割合 −平成13〜17年−

(8) 夫の氏・妻の氏別婚姻

 婚姻後どちらの姓にするかという観点からみた、夫の氏・妻の氏別婚姻件数及び構成割合を夫妻の初婚−再婚の組合せ別にみると、どの組合せにおいても妻の氏が昭和50年から増加傾向にある。また、組合せ別に比較してみると、初婚の妻よりも再婚の妻の方が妻の氏の割合が高い(表13)。

表13 夫妻の初婚−再婚の組合せ別にみた夫の氏・妻の氏別婚姻件数及び構成割合
−昭和50〜平成17年−
表13 夫妻の初婚−再婚の組合せ別にみた夫の氏・妻の氏別婚姻件数及び構成割合



トップへ