参考

合計特殊出生率について


1. 期間合計特殊出生率とコーホート合計特殊出生率

 合計特殊出生率は「15〜49歳までの女子の年齢別出生率を合計したもの」であり、次の2つの種類がある。

 「期間」合計特殊出生率
   ある期間(1年間)の出生状況に着目したもので、その時点における各年齢(15〜49歳)の女性の出生率を合計したもの。
 どの年齢の女子の人数も同じとして算定される出生率なので、女子人口の年齢構成の違いを除いた「その年の出生率」であり、年次比較、国際比較、地域比較に用いられている。
 「コーホート」合計特殊出生率
   ある世代の出生状況に着目したもので、同一年生まれ(コーホート)の女性の各年齢(15〜49歳)の出生率を過去から積み上げたもの。
 「その世代の出生率」である。

 実際に「一人の女性が一生の間に生む子どもの数」はBのコーホート合計特殊出生率であるが、それに相当するものとして一般に用いられているのはAの期間合計特殊出生率である。
 これは、各年齢の出生率が世代(コーホート)によらず同じであれば、この二つの「合計特殊出生率」は同じ値になるからである。

 晩婚化・晩産化が進行している状況では、各世代の結婚や出産の行動に違いがあり、各年齢の出生率が世代により異なるため、別々の世代の年齢別出生率の合計であるAの期間合計特殊出生率は、同一世代のBのコーホート合計特殊出生率の値と異なる。


2. コーホート合計特殊出生率(ごく粗い計算)

 コーホート合計特殊出生率は同一世代の女性の出生率を過去から積み上げるため、その世代が50歳になるまで得られないが、現段階で得られる到達年齢までのコーホート合計特殊出生率を、5歳階級ごとに1つの世代とみてごく粗く計算した。
 例えば1966〜1970年生まれ(平成17年における35〜39歳の世代)についての39歳までのコーホート合計特殊出生率は約1.48であり、実際にこの世代の「一人の女性が一生の間に生む子どもの数」は、少なくともこの水準を上回ると見込まれる。
 平成17年の期間合計特殊出生率は、現在、晩産化の進行中であり、出産を終えた世代の高年齢時における低い出生率と、晩婚化・晩産化により出産を先送りしている世代の若年齢時の低い出生率の合計であって「実際に一人の女性が一生の間に生む子どもの数」より低く現れている。

 (1)  期間合計特殊出生率の年次推移(年齢階級別内訳)

母の年齢 昭和50年
(1975)
55年
(1980)
60年
(1985)
平成2年
(1990)
7年
(1995)
12年
(2000)
平成17年
(2005)
1.91 1.75 1.76 1.54 1.42 1.36 1.26
15〜19歳 0.0205 0.0189 0.0229 0.0180 0.0185 0.0269 0.0253
20〜24 0.5128 0.3855 0.3173 0.2357 0.2022 0.1965 0.1823
25〜29 0.9331 0.9140 0.8897 0.7031 0.5880 0.4967 0.4228
30〜34 0.3569 0.3529 0.4397 0.4663 0.4677 0.4620 0.4285
35〜39 0.0751 0.0666 0.0846 0.1079 0.1311 0.1572 0.1761
40〜44 0.0106 0.0083 0.0094 0.0113 0.0148 0.0194 0.0242
45〜49 0.0004 0.0003 0.0003 0.0003 0.0004 0.0005 0.0008

 (2)  各世代別(コーホート)にみた母の年齢階級別出生率(ごく粗い計算)

母の年齢 45〜49歳の世代 40〜44歳の世代 35〜39歳の世代 30〜34歳の世代 25〜29歳の世代 20〜24歳の世代 15〜19歳の世代
15〜19歳 0.0205 0.0189 0.0229 0.0180 0.0185 0.0269 0.0253
20〜24 0.3855 0.3173 0.2357 0.2022 0.1965 0.1823  
25〜29 0.8897 0.7031 0.5880 0.4967 0.4228    
30〜34 0.4663 0.4677 0.4620 0.4285      
35〜39 0.1311 0.1572 0.1761        
40〜44 0.0194 0.0242          
45〜49 0.0008            
コーホート
合計特殊出生率
1.91 1.69 1.48 1.15 0.64 0.21 0.03

 (3)  コーホート合計特殊出生率(母の到達年齢別)(ごく粗い計算)

母の年齢 45〜49歳の世代 40〜44歳の世代 35〜39歳の世代 30〜34歳の世代 25〜29歳の世代 20〜24歳の世代 15〜19歳の世代
15〜19歳 0.02 0.02 0.02 0.02 0.02 0.03 0.03
15〜24 0.41 0.34 0.26 0.22 0.22 0.21  
15〜29 1.30 1.04 0.85 0.72 0.64    
15〜34 1.76 1.51 1.31 1.15      
15〜39 1.89 1.66 1.48        
15〜44 1.91 1.69          
15〜49 1.91            
  * 「15〜19歳の世代」は、昭和61〜平成2年生まれ、「20〜24歳の世代」は、昭和56〜60年生まれ、「25〜29歳の世代」は、昭和51〜55年生まれ、「30〜34歳の世代」は、昭和46〜50年生まれ、「35〜39歳の世代」は、昭和41〜45年生まれ、「40〜44歳の世代」は、昭和36〜40年生まれ、「45〜49歳の世代」は、昭和31〜35年生まれ。


3. 出生数の動向と(期間)合計特殊出生率の動向の関係

 出生数は次の3つの要素に分解できるので、その動向は、「(期間)合計特殊出生率」の動向だけでなく、「女子人口(15〜49歳)」と「(15〜49歳女子人口の)年齢構成の違い」の動向にもよる。各要素の動向は次頁のとおりである。

出生数= 女子人口
(15〜49歳)
× (期間)合計特殊出生率
――――――――――
35*
× (15〜49歳女子人口の)
年齢構成の違い
  └────────┬────────┘
(15〜49歳のどの年齢の女子の人数
も同じとした場合に見込まれる出生数
 
(出生数÷見込まれる出生数
(期間)合計特殊出生率は15〜49歳までの35個の年齢別出生率を加えたものであるため、女子人口(15〜49歳)を乗じて出生数となるよう35で除している。

(説明)
 (1)  その年の女子の年齢別出生率の合計である「(期間)合計特殊出生率」は、「その年の女子人口(15〜49歳)について、仮にどの年齢の女子の人数も同じとした場合のその年の出生率」である。
 このため、「女子人口(15〜49歳)」に「(期間)合計特殊出生率/35」を乗じたものは、「15〜49歳のどの年齢の女子の人数も同じとした場合に見込まれる出生数」となる。

 (2)  「(15〜49歳女子人口の)年齢構成の違い」とは、「その年の女子の人数が年齢により異なっている状況(年齢構成)が、どの年齢の女子の人数も同じという状況(年齢構成)とどのくらい違うかを表すもの」である。
 どの年齢の女子の人数も同じ場合には1となり、概ね、出生率の高い年齢の女子の人数が他の年齢より多い場合には1より大きく、少ない場合には1より小さくなる。

 (3)  「女子人口(15〜49歳)」と「年齢構成の違い」が変わらない場合には、出生数は「(期間)合計特殊出生率」が高ければ多く、低ければ少なくなる。
 また、「女子人口(15〜49歳)」と「(期間)合計特殊出生率」が変わらない場合には、出生数は、「年齢構成の違い」が1より大きければ見込まれる出生数より多く、1より小さければ見込まれる出生数より少ない。


「女子人口(15〜49歳)」と「年齢構成の違い」の動向
「女子人口(15〜49歳)」と「年齢構成の違い」の動向のグラフ

年次 実数 対前年増減率(%)
出生数

(1)×(2)/35×(3)
15〜49歳
女子人口
(千人)(1)
合計特殊
出生率
(2)
年齢構成
の違い
(3)
出生数 15〜49歳
女子人口
合計特殊
出生率
年齢構成
の違い
昭和45年 1 934 239 29 400 2.13 1.079 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・
46 2 000 973 29 589 2.16 1.097 3.5 0.6 1.1 1.7
47 2 038 682 29 700 2.14 1.122 1.9 0.4 △0.7 2.2
48 2 091 983 30 035 2.14 1.139 2.6 1.1 △0.1 1.6
49 2 029 989 30 128 2.05 1.151 △3.0 0.3 △4.3 1.1
                 
50 1 901 440 30 251 1.91 1.152 △6.3 0.4 △6.8 0.1
51 1 832 617 30 271 1.85 1.144 △3.6 0.1 △3.0 △0.7
52 1 755 100 30 289 1.80 1.126 △4.2 0.1 △2.8 △1.6
53 1 708 643 30 319 1.79 1.101 △2.6 0.1 △0.5 △2.2
54 1 642 580 30 351 1.77 1.071 △3.9 0.1 △1.2 △2.8
                 
55 1 576 889 30 438 1.75 1.038 △4.0 0.3 △1.3 △3.0
56 1 529 455 30 333 1.74 1.013 △3.0 △0.3 △0.3 △2.4
57 1 515 392 30 404 1.77 0.986 △0.9 0.2 1.6 △2.7
58 1 508 687 30 463 1.80 0.963 △0.4 0.2 1.7 △2.3
59 1 489 780 30 549 1.81 0.942 △1.3 0.3 0.6 △2.1
                 
60 1 431 577 30 644 1.76 0.927 △3.9 0.3 △2.6 △1.6
61 1 382 946 30 726 1.72 0.914 △3.4 0.3 △2.3 △1.4
62 1 346 658 30 834 1.69 0.904 △2.6 0.4 △1.9 △1.1
63 1 314 006 30 983 1.66 0.896 △2.4 0.5 △2.0 △0.9
平成元 1 246 802 31 177 1.57 0.890 △5.1 0.6 △5.1 △0.6
                 
1 221 585 31 154 1.54 0.890 △2.0 △0.1 △1.9 △0.1
1 223 245 31 094 1.53 0.897 0.1 △0.2 △0.5 0.9
1 208 989 30 974 1.50 0.910 △1.2 △0.4 △2.1 1.4
1 188 282 30 865 1.46 0.924 △1.7 △0.4 △2.9 1.6
1 238 328 30 681 1.50 0.942 4.2 △0.6 2.9 1.9
                 
1 187 064 30 614 1.42 0.954 △4.1 △0.2 △5.2 1.3
1 206 555 30 651 1.43 0.967 1.6 0.1 0.2 1.3
1 191 665 30 249 1.39 0.993 △1.2 △1.3 △2.6 2.8
10 1 203 147 29 809 1.38 1.021 1.0 △1.5 △0.3 2.8
11 1 177 669 29 330 1.34 1.047 △2.1 △1.6 △3.0 2.6
                 
12 1 190 547 28 821 1.36 1.064 1.1 △1.7 1.3 1.6
13 1 170 662 28 513 1.33 1.077 △1.7 △1.1 △1.9 1.3
14 1 153 855 28 240 1.32 1.085 △1.4 △1.0 △1.1 0.7
15 1 123 610 27 998 1.29 1.088 △2.6 △0.9 △2.1 0.4
16 1 110 721 27 773 1.29 1.086 △1.1 △0.8 △0.1 △0.2
                 
17 1 062 530 27 385 1.26 1.078 △4.3 △1.4 △2.2 △0.8
注:1) 「合計特殊出生率」の転換年は昭和49年
2) 「年齢構成の違い」の転換年は昭和51年、平成3年、平成16年
3) 「15〜49歳女子人口」の転換年は平成9年

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