平成17年労働争議統計調査結果概要

厚生労働省大臣官房統計情報部
 担当係 賃金福祉統計課労使関係第二係
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 平成17年の労働争議の概況
 (1)  労働争議の種類別の状況
 平成17年の労働争議は、「総争議」の件数は708件、総参加人員は64万6千人となっており、前年に比べ、件数が29件(3.9%)減、総参加人員が6万4千人(9.0%)減となった。
 このうち、「争議行為を伴う争議」の件数は129件、行為参加人員は2万7千人となっており、前年に比べ、件数が44件(25.4%)減、行為参加人員が2万8千人(50.5%)減となった。(第1表、第1図)

第1表   労働争議の種類別件数及び参加人員の推移

総争議 争議行為を伴う争議 争議行為を伴わない争議
件数 総参加人員 件数 総参加人員 行為参加人員 件数 総参加人員
 
平成12 958 1,117,493 305 241,659 84,529 653 875,834
   13 884 1,071,916 246 223,144 74,531 638 848,772
   14 1,002 1,004,833 304 160,088 65,892 698 844,745
   15 872 1,152,562 174 95,425 42,810 698 1,057,137
   16 737 710,242 173 117,306 55,174 564 592,936
   17 708 646,291 129 70,007 27,295 579 576,284
 対前年比(%) -3.9 -9.0 -25.4 -40.3 -50.5 2.7 -2.8


第1図   労働争議の種類別件数の推移
第1図 労働争議の種類別件数の推移


 (2)  争議行為を伴う争議
  ア  行為形態別の状況
 「争議行為を伴う争議」を行為形態別にみると、「半日以上の同盟罷業」の件数は50件、行為参加人員は4,119人、労働損失日数は5,629日となっており、前年に比べ、件数が1件(2.0%)減、行為参加人員が2,879人(41.1%)減、労働損失日数が4,126日(42.3%)減となった。
 また、「半日未満の同盟罷業」の件数は99件、行為参加人員は23,746人となっており、前年に比べ、件数が43件(30.3%)減、行為参加人員が25,913人(52.2%)減となった。(第2表)

第2表   争議行為を伴う争議の行為形態別件数、参加人員及び労働損失日数の推移

半日以上の同盟罷業及び作業所閉鎖 半日未満の
同盟罷業
怠業 その他
半日以上の同盟罷業 作業所閉鎖
件数 行為参加
人員
労働損失
日数
件数 行為参加
人員
労働損失
日数
件数 行為参加
人員
労働損失
日数
件数 行為参加
人員
件数 行為参加
人員
件数 行為参加
人員
 
平成12 118 15,322 35,050 117 15,312 32,560 1 10 2,490 216 70,561 2 16 7 1,426
   13 90 12,172 29,101 89 12,162 28,891 2 21 265 176 64,557 - - 3 96
   14 74 7,015 12,262 74 7,015 12,262 - - - 253 60,004 - - 2 42
   15 47 4,447 6,727 47 4,447 6,727 - - - 145 38,862 - - - -
   16 51 6,998 9,755 51 6,998 9,755 1 11 55 142 49,659 - - - -
   17 50 4,119 5,629 50 4,119 5,629 - - - 99 23,746 - - - -
 対前年比(%) -2.0 -41.1 -42.3 -2.0 -41.1 -42.3 - - - -30.3 -52.2 - - - -
(注)  争議行為を伴う争議で、複数の行為形態を伴う争議(例えば「半日未満の同盟罷業」から「半日以上の同盟罷業」に移行した場合など)は、それぞれの形態で計上しているので、計とそれぞれの形態を積み上げた合計と一致しない場合がある。

  イ  産業別の状況
 「争議行為を伴う争議」を産業別にみると、件数は「医療,福祉」、「製造業」の順に多く、行為参加人員は「医療,福祉」、「情報通信業」、労働損失日数は「運輸業」、「製造業」などの順となっている(第3表)。

第3表   産業別争議行為を伴う争議件数、行為参加人員及び労働損失日数

産業 争議行為を伴う争議 うち半日以上の同盟罷業 うち半日未満の
同盟罷業
件数 行為参加
人員
労働損失
日数
件数 行為参加
人員
労働損失
日数
件数 行為参加
人員
 
129 27,295 5,629 50 4,119 5,629 99 23,746
  鉱業 - - - - - - - -
建設業 - - - - - - - -
製造業 27 4,401 868 7 613 868 23 3,817
電気・ガス・熱供給・水道業 - - - - - - - -
情報通信業 19 5,629 828 9 663 828 16 5,067
運輸業 11 2,543 2,235 8 1,820 2,235 3 723
卸売・小売業 5 128 136 5 106 136 1 22
金融・保険業 1 50 - - - - 1 50
不動産業 - - - - - - - -
飲食店,宿泊業 - - - - - - - -
医療,福祉 38 10,130 405 13 255 405 30 9,877
教育,学習支援業 6 728 8 1 1 8 6 728
複合サービス事業 4 1,944 866 2 430 866 4 1,914
サービス業(他に分類されないもの) 8 247 283 5 231 283 5 53
公務 10 1,495 - - - - 10 1,495
その他 - - - - - - - -
(注)  「その他」とは、農業、林業、漁業及び分類不能の産業をいう。なお、分類不能の産業とは、複数企業の労働者で組織されている合同労組のように、産業分類が特定できないもの等をいう。

  ウ  民営の企業規模別の状況
 民営企業における「争議行為を伴う争議」をみると、企業数は319件、行為参加人員は25,766人、労働損失日数は5,595日となっている。
 企業規模別にみると、企業数は「99人以下」、行為参加人員及び労働損失日数では「1,000人以上」の企業で多くなっている。(第4表)

第4表   企業規模別争議行為を伴う争議の企業数、行為参加人員及び労働損失日数の推移(民営企業のみ)

企業規模 争議行為を伴う争議 うち半日以上の同盟罷業 うち半日未満の同盟罷業
企業数 行為参加
人員
労働損失
日数
企業数 行為参加
人員
労働損失
日数
企業数 行為参加
人員
  企業 企業 企業
319 25,766 5,595 97 4,085 5,595 253 22,217
1,000人以上 55 12,421 2,384 18 2,174 2,384 42 10,271
 300〜999人 65 5,043 1,133 17 695 1,133 53 4,761
 100〜299人 89 3,254 1,455 33 833 1,455 70 2,507
 99人以下 96 1,450 612 26 372 612 75 1,088
 その他 14 3,598 11 3 11 11 13 3,590
(注)  「その他」とは、1組合が複数企業の労働者で組織されている合同労組のように、企業規模が特定できないもの等をいう。
 企業数とは、労働争議を行った組合の組合員が雇用されている企業を集計したものである。
 なお、1件の争議でも複数企業に及ぶものは対象企業ごとに計上して集計し、一企業において複数の争議があった場合は争議件数ごとの延べ数としている。

  エ  加盟主要団体別の状況
 争議行為を伴う争議について加盟主要団体別に件数、行為参加人員、労働損失日数をみると、「連合」は31件、6,284人、1,781日、「全労連」は65件、14,746人、914日、「全労協」は13件、1,391人、204日となっている(第5表)。

第5表   加盟主要団体、争議行為を伴う争議の行為形態別件数、行為参加人員及び労働損失日数

加盟
主要団体
争議行為を伴う争議 うち半日以上の同盟罷業 うち半日未満の同盟罷業
件数 行為参加
人員
労働損失
日数
件数 行為参加
人員
労働損失
日数
件数 行為参加
人員
 
129 27,295 5,629 50 4,119 5,629 99 23,746
 連合 31 6,284 1,781 10 1,453 1,781 22 4,834
 全労連 65 14,746 914 21 661 914 53 14,115
 全労協 13 1,391 204 8 195 204 9 1,218
 その他 23 5,985 2,800 12 1,880 2,800 17 4,620
(注)  「その他」とは、連合、全労連、全労協に加盟していない労働組合をいう。
 複数の団体に重複加盟している労働組合があるため、件数、行為参加人員、労働損失日数の計とそれぞれの加盟主要団体を積み上げた数値とは一致しない場合がある。


 (3)  主要要求事項別の状況
 「総争議」を主要要求事項別にみると、「賃金及び手当」に関する事項が340件で、全体の48.0%と最も多くなっており、その内訳をみると、「賃金増額」130件、「その他の賃金手当」127件が多くなっている。
 また、他の要求事項については、「組合保障及び労働協約」に関する事項のうち、「組合保障及び組合活動」181件、「経営及び人事」に関する事項のうち、「解雇反対・被解雇者の復職」136件などが多くなっている。(第6表)

第6表   主要要求事項別労働争議件数

主要要求事項 労働争議件数 構成比
平成16年 平成17年   平成16年 平成17年
対前年差 対前年比
 
737 708 -29 -3.9 100.0 100.0
 組合保障及び労働協約 180 205 25 13.9 24.4 29.0
  組合保障及び組合活動 152 181 29 19.1 20.6 25.6
  労働協約の締結、改訂及び効力 38 31 -7 -18.4 5.2 4.4
 賃金及び手当 365 340 -25 -6.8 49.5 48.0
  賃金増額 142 130 -12 -8.5 19.3 18.4
  臨時給与金 113 111 -2 -1.8 15.3 15.7
  退職手当 27 24 -3 -11.1 3.7 3.4
  その他の賃金手当 145 127 -18 -12.4 19.7 17.9
 賃金以外の労働条件 70 56 -14 -20.0 9.5 7.9
  労働時間の変更 9 10 1 11.1 1.2 1.4
  休日・休暇 13 4 -9 -69.2 1.8 0.6
  福利厚生・年金 8 2 -6 -75.0 1.1 0.3
  その他の労働条件 40 41 1 2.5 5.4 5.8
 経営及び人事 247 231 -16 -6.5 33.5 32.6
  解雇反対・被解雇者の復職 154 136 -18 -11.7 20.9 19.2
  事業の休廃止・合理化 29 19 -10 -34.5 3.9 2.7
  定年制 9 7 -2 -22.2 1.2 1.0
  配置転換 29 42 13 44.8 3.9 5.9
  その他の経営及び人事 32 34 2 6.3 4.3 4.8
 その他 38 26 -12 -31.6 5.2 3.7
(注)  1労働争議につき労働者側から提出された要求のうち、主なもの2つまでを主要要求事項として取り上げているため、主要要求事項の計と総争議件数とは一致しない場合がある。
 「組合保障及び労働協約」、「賃金及び手当」等の各区分の件数は、2つの主要要求事項が同一の区分内にある労働争議は1件として計上しているので、各区分の事項の合計とは一致しない場合がある。


 (4)  労働争議の解決状況
  ア  解決方法別の状況
 平成17年の労働争議708件のうち、平成17年中に「解決又は解決扱い」になった件数は551件(労働争議全体の77.8%)となっており、「翌年への繰越」は157件(同22.2%)であった。
 解決方法をみると、「労使直接交渉」が128件(解決件数の23.2%)、「第三者関与」が222件(同40.3%)、「その他(解決扱い)」が201件(同36.5%)となっている。
 なお、「第三者関与」により解決したものをみると、労働委員会の「あっせん」が218件(同39.6%)で最も多くなっている。(第7表)

第7表   労働争議の解決件数の推移
(単位:件、%)
総争議 解決又は
解決扱い
  翌年
への
繰越
労使直接
交渉に
よる解決
  第三者
関与に
よる解決
  その他
(解決
扱い)
第三者
関与あり
労働委員会
関与
 
あっせん 調停 仲裁
平成12 958 791   240 67 330 318 301 5 12 221 167
   13 884 694   169 39 305 302 290 4 8 220 190
   14 1,002 792   201 52 338 326 313 4 9 253 210
   15 872 711   152 58 344 338 304 27 7 215 161
   16 737 595   118 44 299 296 291 5 - 178 142
   17 708 551   128 63 222 221 218 3 - 201 157
 構成比 100.0 77.8 (100.0) (23.2) (11.4) (40.3) (40.1) (39.6) (0.5) (-) (36.5) 22.2
(注) 1)  「その他(解決扱い)」には、不当労働行為事件として労働委員会に救済申し立てがなされた労働争議や、労働争議の当事者である労使間では解決方法がないような労働争議(例えば、支援スト、政治スト等もここに区分される。)、解決の事情が明らかでないような労働争議が含まれる。
2)  「労使直接交渉」のうち、「第三者関与あり」とは、解決に至る過程においてあっせんや調停等の第三者関与があったが、労使の直接交渉によって解決したものをいう。
3)  ( )内は「解決又は解決扱い」に占める解決方法別構成比である。

  イ  継続期間別の状況
 労働争議の解決状況を継続期間(争議発生から解決に至るまでの日数をいう)別にみると、30日以内で解決した件数は171件となっており、全体の3割を占めている(第8表)。

第8表   継続期間別労働争議解決件数
(単位:件、%)
  5日以下 6〜10日 11〜20日 21〜30日 31〜60日 61〜90日 91日以上
解決件数 551 25 16 69 61 99 94 187
構成比 100.0 4.5 2.9 12.5 11.1 18.0 17.1 33.9


 春季賃上げ争議の状況
 (1)  種類別の状況
 平成17年春季賃上げ争議(2〜5月に発生し、主要要求事項に「賃金増額」を含む労働争議をいう。)の総争議件数は69件、総参加人員は32,361人となっており、前年に比べ、件数13件(15.9%)減、総参加人員20,397人(38.7%)減となった。
 総争議のうち、争議行為を伴う争議件数は55件、行為参加人員は14,810人となっており、前年に比べ、件数が12件(17.9%)減、行為参加人員が8,972人(37.7%)減となった。(第9表)

第9表   労働争議の種類別件数及び参加人員の推移(春季賃上げ争議)

総争議 争議行為を伴う争議 争議行為を伴わない争議
件数 総参加人員 件数 総参加人員 行為参加人員 件数 総参加人員
 
平成12 190 400,875 148 126,346 53,841 42 274,529
   13 144 343,564 117 82,070 37,275 27 261,494
   14 149 63,813 132 62,012 27,732 17 1,801
   15 83 57,539 66 49,493 22,495 17 8,046
   16 82 52,758 67 51,966 23,782 15 792
   17 69 32,361 55 31,687 14,810 14 674
 対前年比(%) -15.9 -38.7 -17.9 -39.0 -37.7 -6.7 -14.9


 (2)  争議行為を伴う争議の状況
 争議行為を伴う争議のうち、「半日以上の同盟罷業」の件数は20件、行為参加人員は2,691人、労働損失日数は3,381日となっており、前年に比べ、行為参加人員、労働損失日数とも減少した。
 また、「半日未満の同盟罷業」は、件数41件、行為参加人員12,546人となっている。(第10表)

第10表   争議行為を伴う争議の行為形態別件数、参加人員及び労働損失日数の推移(春季賃上げ争議)

半日以上の同盟罷業及び作業所閉鎖 半日未満の
同盟罷業
怠業 その他
半日以上の同盟罷業 作業所閉鎖
件数 行為参加
人員
労働損失
日数
件数 行為参加
人員
労働損失
日数
件数 行為参加
人員
労働損失
日数
件数 行為参加
人員
件数 行為参加
人員
件数 行為参加
人員
 
平成12 67 10,402 18,372 67 10,402 18,372 - - - 104 44,681 - - - -
   13 48 8,278 13,254 48 8,278 13,254 - - - 78 30,381 - - - -
   14 46 4,932 6,542 46 4,932 6,542 - - - 103 23,603 - - - -
   15 16 2,802 3,844 16 2,802 3,844 - - - 58 20,167 - - - -
   16 20 3,355 4,275 20 3,355 4,275 - - - 54 21,496 - - - -
   17 20 2,691 3,381 20 2,691 3,381 - - - 41 12,546 - - - -
 対前年比(%) 0.0 -19.8 -20.9 0.0 -19.8 -20.9 - - - -24.1 -41.6 - - - -
(注)  争議行為を伴う争議で、複数の行為形態を伴う争議(例えば「半日未満の同盟罷業」から「半日以上の同盟罷業」に移行した場合など)は、それぞれの形態で計上しているので、計とそれぞれの形態を積み上げた合計とは一致しない場合がある。

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