平成15年労働争議統計調査結果概要


 平成15年の労働争議の概況
 (1)  労働争議の種類別の状況
 平成15年の労働争議は、「総争議」の件数は872件、総参加人員は115万3千人となっており、前年に比べ、件数130件(13.0%)減、総参加人員14万8千人(14.7%)増となった。
 このうち、「争議行為を伴う争議」の件数は174件、行為参加人員は4万3千人となっており、前年に比べ、件数が130件(42.8%)減、行為参加人員が2万3千人(35.0%)減となった(第1表、第1図)。

第1表  労働争議の種類別件数及び参加人員の推移

総争議 争議行為を伴う争議 争議行為を伴わない争議
件数 総参加人員 件数 総参加人員 行為参加人員 件数 総参加人員
 
平成10 1,164 1,185,728 526 334,932 165,492 638 850,796
   11 1,102 1,134,060 419 258,386 106,236 683 875,674
   12 958 1,117,493 305 241,659 84,529 653 875,834
   13 884 1,071,916 246 223,144 74,531 638 848,772
   14 1,002 1,004,833 304 160,088 65,892 698 844,745
   15 872 1,152,562 174 95,425 42,810 698 1,057,137
   対前年比(%) -13.0 14.7 -42.8 -40.4 -35.0 0.0 25.1


第1図  労働争議の種類別件数の推移
第1図 労働争議の種類別件数の推移

 (2)  争議行為を伴う争議
  ア  行為形態別の状況
 「争議行為を伴う争議」を行為形態別にみると、「半日以上の同盟罷業」の件数は47件、行為参加人員は4,447人、労働損失日数は6,727日となっており、前年に比べ、件数が27件(36.5%)減、行為参加人員が2,568人(36.6%)減、労働損失日数が5,535日(45.1%)減となった。
 また、「半日未満の同盟罷業」の件数は145件、行為参加人員は38,862人となっており、前年に比べ、件数が108件(42.7%)減、行為参加人員が21,142人(35.2%)減となった(第2表)。

第2表  争議行為を伴う争議の行為形態別件数、参加人員及び労働損失日数の推移

半日以上の同盟罷業及び作業所閉鎖 半日未満の
同盟罷業
怠業
半日以上の同盟罷業 作業所閉鎖
件数 行為参加
人員
労働損失
日数
件数 行為参加
人員
労働損失
日数
件数 行為参加
人員
労働損失
日数
件数 行為参加
人員
件数 行為参加
人員
 
平成10 145 26,291 101,508 145 26,281 98,410 4 83 3,118 441 141,802 3 178
   11 154 25,673 87,069 152 25,649 84,246 3 48 2,871 301 82,928 2 27
   12 118 15,322 35,050 117 15,312 32,560 1 10 2,490 216 70,561 2 16
   13 90 12,172 29,101 89 12,162 28,891 2 21 265 176 64,557 - -
   14 74 7,015 12,262 74 7,015 12,262 - - - 253 60,004 - -
   15 47 4,447 6,727 47 4,447 6,727 - - - 145 38,862 - -
   対前年比(%) -36.5 -36.6 -45.1 -36.5 -36.6 -45.1 - - - -42.7 -35.2 - -
(注)  争議行為を伴う争議で、複数の行為形態を伴う争議(例えば「半日未満の同盟罷業」から「半日以上の同盟罷業」に移行した場合など)は、それぞれの形態で計上しているので、計とそれぞれの形態を積み上げた合計とは必ずしも一致しない。

  イ  産業別の状況
 「争議行為を伴う争議」を産業別にみると、件数は「公務」、「製造業」、「医療,福祉」の順に多く、行為参加人員は「医療,福祉」、「公務」、労働損失日数は「運輸業」、「製造業」などの順となっている(第3表)。

第3表  産業別争議行為を伴う争議件数、行為参加人員及び労働損失日数

産業 争議行為を伴う争議 うち半日以上の同盟罷業 うち半日未満の
同盟罷業
件数 行為参加
人員
労働損失
日数
件数 行為参加
人員
労働損失
日数
件数 行為参加
人員
 
174 42,810 6,727 47 4,447 6,727 145 38,862
  鉱業 - - - - - - - -
建設業 - - - - - - - -
製造業 35 4,921 1,546 12 773 1,546 28 4,285
電気・ガス・熱供給・水道業 - - - - - - - -
情報通信業 31 7,073 1,397 11 1,121 1,397 29 6,259
運輸業 12 3,643 2,732 8 2,100 2,732 4 1,543
卸売・小売業 5 1,958 16 1 8 16 4 1,950
金融・保険業 - - - - - - - -
不動産業 - - - - - - - -
飲食店,宿泊業 - - - - - - - -
医療,福祉 34 12,972 358 9 350 358 26 12,622
教育,学習支援業 6 1,001 305 2 9 305 5 992
複合サービス事業 3 209 199 2 31 199 1 178
サービス業(他に分類されないもの) 6 97 174 2 55 174 6 97
公務 42 10,936 - - - - 42 10,936
その他 - - - - - - - -
(注)  「その他」とは、農業、林業、漁業及び分類不能の産業をいう。なお、分類不能の産業とは、複数企業の労働者で組織されている合同労組のように、産業分類が特定できないもの等をいう。

  ウ  民営の企業規模別の状況
 民営企業における「争議行為を伴う争議」をみると、企業数は362件、行為参加人員は31,760人、労働損失日数は6,727日となっている。
 企業規模別にみると、企業数は「99人以下」、行為参加人員及び労働損失日数では「1,000人以上」の企業の占める割合が高くなっている(第4表)。

第4表  企業規模別争議行為を伴う争議の企業数、行為参加人員及び労働損失日数の推移
 (民営企業のみ)

企業規模 争議行為を伴う争議 うち半日以上の同盟罷業 うち半日未満の同盟罷業
企業数 行為参加
人員
労働損失
日数
企業数 行為参加
人員
労働損失
日数
企業数 行為参加
人員
  企業 企業 企業
362 31,760 6,727 84 4,447 6,727 307 27,812
1,000人以上 51 11,766 2,794 20 2,169 2,794 35 9,603
 300〜999人 81 7,409 1,700 20 1,390 1,700 66 6,311
 100〜299人 93 5,272 1,294 22 581 1,294 80 4,773
 99人以下 114 1,524 922 20 296 922 103 1,336
 その他 23 5,789 17 2 11 17 23 5,789
(注)  「その他」とは、1組合が複数企業の労働者で組織されている合同労組のように、企業規模が特定できないもの等をいう。
 企業数とは、労働争議を行った組合の組合員が雇用されている企業を集計したものである。
 なお、1件の争議でも複数企業に及ぶものは対象企業ごとに分割して集計し、一企業において複数の争議があった場合は争議件数ごとの延べ数としている。

  エ  加盟主要団体別の状況
 争議行為を伴う争議について加盟主要団体別に件数、行為参加人員、労働損失日数をみると、「連合」は63件、13,736人、2,838日、「全労連」は70件、21,584人、1,595日、「全労協」は8件、135人、28日となっている(第5表)。

第5表  加盟主要団体、争議行為を伴う争議の行為形態別件数、行為参加人員及び労働損失日数

加盟
主要団体
争議行為を伴う争議 うち半日以上の同盟罷業 うち半日未満の同盟罷業
件数 行為参加
人員
労働損失
日数
件数 行為参加
人員
労働損失
日数
件数 行為参加
人員
 
174 42,810 6,727 47 4,447 6,727 145 38,862
 連合 63 13,736 2,838 10 1,945 2,838 53 11,791
 全労連 70 21,584 1,595 18 1,581 1,595 59 20,134
 全労協 8 135 28 3 20 28 5 115
 その他 33 7,355 2,266 16 901 2,266 28 6,822
(注)  「その他」とは、連合、全労連、全労協に加盟していない労働組合をいう。
 複数の団体に重複加盟している労働組合があるため、件数、行為参加人員、労働損失日数の計とそれぞれの加盟主要団体を積み上げた数値とは必ずしも一致しない。

 (3)  主要要求事項別の状況
 「総争議」を主要要求事項別にみると、「賃金及び手当」に関する事項が447件で、その割合は全体の51.3%と最も多くなっており、細かくみると、「その他の賃金・手当」185件、「賃金増額」179件などの順となっている。
 また、他の要求事項については、「組合保障及び労働協約」に関する事項のうち、「組合保障及び組合活動」181件、「経営及び人事」に関する事項のうち、「解雇反対・被解雇者の復職」174件などが多くなっている(第6表)。

第6表  主要要求事項別労働争議件数

主要要求事項 平成14年 平成15年
件数 構成比 件数 構成比 対前年差 対前年比
 
1,002 100.0 872 100.0 -130 -13.0
 組合保障及び労働協約 210 21.0 210 24.1 0 0.0
  組合保障及び組合活動 177 17.7 181 20.8 4 2.3
  労働協約の締結、改訂及び効力 38 3.8 39 4.5 1 2.6
 賃金及び手当 578 57.7 447 51.3 -131 -22.7
  賃金増額 270 26.9 179 20.5 -91 -33.7
  臨時給与金 147 14.7 125 14.3 -22 -15.0
  退職手当 45 4.5 46 5.3 1 2.2
  その他の賃金及び手当 181 18.1 185 21.2 4 2.2
 賃金以外の労働条件 134 13.4 55 6.3 -79 -59.0
  労働時間の変更 18 1.8 5 0.6 -13 -72.2
  休日・休暇 8 0.8 11 1.3 3 37.5
  福利厚生・年金 6 0.6 4 0.5 -2 -33.3
  その他の労働条件 102 10.2 37 4.2 -65 -63.7
 経営及び人事 255 25.4 270 31.0 15 5.9
  解雇反対・被解雇者の復職 171 17.1 174 20.0 3 1.8
  事業の休廃止・合理化 22 2.2 21 2.4 -1 - 4.5
  定年制 3 0.3 5 0.6 2 66.7
  配置転換 27 2.7 29 3.3 2 7.4
  その他の経営及び人事 37 3.7 46 5.3 9 24.3
 その他 41 4.1 17 1.9 -24 -58.5
(注)  1労働争議につき労働者側から提出された要求のうち、主なもの2つまでを主要要求事項として取り上げているため、主要要求事項の計と総争議件数とは必ずしも一致しない。
 「組合保障及び労働協約」、「賃金及び手当」等の各区分の件数は、2つの主要要求事項が同一の区分内にある労働争議は1件として計上しているので、各区分の事項の合計とは必ずしも一致しない。

 (4)  労働争議の解決状況
  ア  解決方法別の状況
 平成15年の労働争議872件のうち、平成15年中に「解決又は解決扱い」になった件数は711件(労働争議全体の81.5%)となっており、「翌年への繰越件数」は161件(同18.5%)であった。
 解決方法をみると、「労使直接交渉」が152件(解決件数の21.4%)、「第三者関与」が344件(同48.4%)、「その他(解決扱い)」が215件(同30.2%)となっている。
 なお、「第三者関与」により解決したものをみると、労働委員会の「あっせん」が304件(同42.8%)で最も多くなっている(第7表)。

第7表  労働争議の解決件数の推移

(単位:件、%)
総争議 解決又は解決扱い 翌年
への
繰越
  労使直接交渉による解決 第三者関与による解決 その他
(解決
扱い)
  第三者
関与あり
  労働委員会関与
  あっせん 調停 仲裁
平成10 1,334 1,178 482 68 266 264 250 14 - 430 156
   11 1,102 935 270 77 384 376 360 7 9 281 167
   12 958 791 240 67 330 318 301 5 12 221 167
   13 884 694 169 39 305 302 290 4 8 220 190
   14 1,002 792 201 52 338 326 313 4 9 253 210
   15 872 711 152 58 344 338 304 27 7 215 161
   構成比 100.0 81.5(100.0) (21.4) (8.2) (48.4) (47.5) (42.8) (3.8) (1.0) (30.2) 18.5
(注) 1)  「その他(解決扱い)」には、不当労働行為事件として労働委員会に救済申し立てがなされた労働争議や、労働争議の当事者である労使間では解決方法がないような労働争議(例えば、支援スト、政治スト等もここに区分される。)、解決の事情が明らかでないような労働争議が含まれる(以下同じ)。
2)  「労使直接交渉」のうち、「第三者関与あり」とは、解決に至る過程においてあっせんや調停等の第三者関与があったが、労使の直接交渉によって解決したものをいう(以下同じ)。
3)  ( )内は「解決又は解決扱い」に占める解決方法別構成比である。

  イ  継続期間別の状況
 労働争議の解決状況を継続期間(争議発生から解決に至るまでの日数をいう)別にみると、30日以内で解決した件数は235件となっており、全体の3割を占めている(第8表)。

第8表  継続期間別労働争議解決件数

(単位:件、%)
  5日以下 6〜10日 11〜20日 21〜30日 31〜60日 61〜90日 91日以上
解決件数 711 64 29 68 74 150 116 210
構成比 100.0 9.0 4.1 9.6 10.4 21.1 16.3 29.5


 春季賃上げ争議の状況
 (1)  種類別の状況
 平成15年春季賃上げ争議(2〜5月に発生し、主要要求事項に「賃金増額」を含む労働争議をいう)の総争議件数は83件、総参加人員は57,539人となっており、前年に比べ、件数66件(44.3%)減、総参加人員6,274人(9.8%)減となった。
 総争議のうち、争議行為を伴う争議件数は66件、行為参加人員は22,495人となっており、前年に比べ、件数が66件(50.0%)減、行為参加人員が5,237人(18.9%)減となった。(第9表)

第9表  労働争議の種類別件数及び参加人員の推移(春季賃上げ争議)

総争議 争議行為を伴う争議 争議行為を伴わない争議
件数 総参加人員 件数 総参加人員 行為参加人員 件数 総参加人員
 
平成10 181 377,953 135 404,660 52,579 46 273,293
   11 173 345,955 143 77,140 48,932 30 268,815
   12 190 400,875 148 126,346 53,841 42 274,529
   13 144 343,564 117 82,070 37,275 27 261,494
   14 149 63,813 132 62,012 27,732 17 1,801
   15 83 57,539 66 49,493 22,495 17 8,046
   対前年比(%) -44.3 -9.8 -50.0 -20.2 -18.9 0.0 346.8

 (2)  争議行為を伴う争議の状況
 争議行為を伴う争議のうち、「半日以上の同盟罷業」の件数は16件、行為参加人員は2,802人、労働損失日数は3,844日となっており、前年に比べ、件数、行為参加人員、労働損失日数とも減少した。
 また、「半日未満の同盟罷業」は、件数58件、行為参加人員20,167人となっている(第10表)。

第10表  争議行為を伴う争議の行為形態別件数、参加人員及び労働損失日数の推移
 (春季賃上げ争議)

半日以上の同盟罷業及び作業所閉鎖 半日未満の
同盟罷業
怠業
半日以上の同盟罷業 作業所閉鎖
件数 行為参加
人員
労働損失
日数
件数 行為参加
人員
労働損失
日数
件数 行為参加
人員
労働損失
日数
件数 行為参加
人員
件数 行為参加
人員
 
平成10 63 10,028 16,594 63 10,028 16,594 - - - 107 44,150 1 14
   11 80 18,617 66,094 80 18,617 66,094 - - - 79 31,870 2 27
   12 67 10,402 18,372 67 10,402 18,372 - - - 104 44,681 - -
   13 48 8,278 13,254 48 8,278 13,254 - - - 78 30,381 - -
   14 46 4,932 6,542 46 4,932 6,542 - - - 103 23,603 - -
   15 16 2,802 3,844 16 2,802 3,844 - - - 58 20,167 - -
   対前年比(%) -65.2 -43.2 -41.2 -65.2 -43.2 -41.2 - - - -43.7 -14.6 - -
(注)  争議行為を伴う争議で、複数の行為形態を伴う争議(例えば「半日未満の同盟罷業」から「半日以上の同盟罷業」に移行した場合など)は、それぞれの形態で計上しているので、計とそれぞれの形態を積み上げた合計とは必ずしも一致しない。

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