8月 月例労働経済報告
1 | 概況 |
(1) | 一般経済の概況 景気は、企業部門と家計部門がともに改善し、緩やかに回復している。
先行きについては、企業部門の好調さが家計部門へ波及しており、国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる。一方、原油価格の動向が内外経済に与える影響等には留意する必要がある。 |
(2) | 労働経済の概況 労働経済面をみると、完全失業率が高水準ながらも、低下傾向で推移し、賃金も緩やかに増加するなど(第1図)、雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる。
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2 | 一般経済 |
(1) | 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は、横ばいとなっている。 6月の鉱工業生産(季節調整済前月比、速報、以下同じ)は、1.5%増と2か月ぶりに増加となった(第2図)。 業種別にみると、6月は電子部品・デバイス工業、電気機械工業、他の工業が上昇し、化学工業(除.医薬品)、鉄鋼業、プラスチック製品工業、輸送機械工業が低下した。出荷は2.0%増と2ヶ月ぶりに増加し、在庫は、0.2%減となり、全体としては低水準で推移している。 今後の動向については、製造工業生産予測調査によると、製造工業生産は7月0.2%減の後、8月は1.9%増となっている。 |
(2) | 最終需要の動向をみると、
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(3) | 国内企業物価は、素材価格の上昇により上昇している。消費者物価は、横ばいとなっている。 6月の国内企業物価(速報)は、前月比0.1%下落(前年同月比1.4%上昇)となり、輸出物価は同0.5%上昇(同0.8%上昇)、輸入物価は同0.1%下落(同9.3%上昇)となった。 6月の消費者物価は、総合が前年同月比0.5%下落(前月比0.5%下落)、生鮮食品を除く総合が同0.2%下落(同0.1%下落)となった(第7図)。 |
(4) | 企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、緩やかに持ち直している。倒産件数は、これまで減少が続いていたが、このところ横ばいとなっている。 財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の経常利益は、前年同期比は、2004年10〜12月期全産業17.6%増の後、2005年1〜3月期全産業15.8%増(製造業19.0%増、非製造業14.0%増)、季節調整値で2004年10〜12月期前期比2.1%減の後、2005年1〜3月期同3.6%増(製造業4.1%増、非製造業3.3%増)となった。 また、日本銀行「企業短期経済観測調査」(6月調査)によれば、企業の全規模の2005年度の経常利益計画(前年比)は、2005年度通期では全産業2.7%の増益、製造業2.7%の増益、非製造業2.8%の増益と、製造業、非製造業とも4年連続の増益を見込んでいる。なお、2005年度上期では、全産業6.7%の減益、製造業7.2%の減益、非製造業6.4%の減益の後、下期では全産業11.4%の増益、製造業11.9%の増益、非製造業10.9%の増益が見込まれている(第8表)。 企業の業況判断D.I.(「良い」−「悪い」)について日本銀行「企業短期経済観測調査」(6月調査)をみると、全規模で全産業1ポイント(3ポイント改善)、製造業8ポイント(2ポイント改善)、非製造業-3ポイント(3ポイント改善)となっており、製造業、非製造業ともに改善となっている(第9表)。 倒産件数(東京商工リサーチ調べ)は、6月1,207件で、前年同月比11.9%増となっている。2年10ヶ月ぶりに増加したが、件数は1,200件程度と低水準で推移している。 |
(5) | 2005年1〜3月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、季節調整済前期比1.2%(年率4.9%)となった。内外需別にみると、国内需要の寄与度は1.3%、財貨・サービスの純輸出の寄与度は▲0.1%となった。また、名目GDPの成長率は季節調整済前期比0.6%増となった(第10図)。 |
3 | 雇用・失業 |
(1) |
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(2) | 有効求人数(季節調整値)は、前月比1.9%増と4か月連続で増加し、有効求職者数(季節調整値)は同0.5%減と2か月ぶりに減少した。 有効求人倍率(季節調整値)は、上昇しており、6月は0.96倍(前月比0.02ポイント上昇)となった。 新規求人数(季節調整値)は、前月比10.4%増と2か月連続で増加した。 新規求職者数(季節調整値)は前月比3.4%増と3か月ぶりに増加した。 新規求人倍率(季節調整値)は、6月は1.54倍と前月より0.09ポイント上昇した(第12表)。 新規求人(季節調整値)を一般(除パート)とパートの別でみると、6月は一般は前月比9.9%増と2ヶ月連続で増加し、パートについては前月比7.9%増と2ヶ月連続で増加した。新規求職者数(季節調整値)は、一般は前月比5.0%増と2ヶ月連続で増加し、パートについては同0.4%増と2ヶ月ぶりに増加した。 |
(3) | 産業別にみると6月の就業者数(原数値)は、サービス業は前年同月差40万人増、医療,福祉は同34万人増、運輸業は同8万人増、飲食店,宿泊業は同2万人増と増加したのに対し、卸売・小売業は同17万人減、教育,学習支援業は同15万人減、製造業は同6万人減、情報通信業は同2万人減、建設業は同2万人減と減少した。 6月の新規求人(原数値)についてみると、情報通信業は前年同月比25.5%増、建設業は同23.4%増、医療,福祉は同20.2%増、飲食店,宿泊業は同17.1%増、卸売・小売業は同12.9%増、運輸業は同8.1%増、サービス業は同7.1%増、製造業は同1.4%増と増加したのに対し、教育,学習支援業は同6.0%減と減少した。 |
(4) | 雇用に先行して動くと考えられる指標についてみると、製造業の所定外労働時間(季節調整値)は、横ばいで推移している。所定外労働時間(事業所規模5人以上、季節調整済指数)は、製造業では5月は前月比1.6%減の後、6月は同4.1%増、調査産業計では5月は同0.3%減の後、6月は同1.5%増とともに増加に転じた。 日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査)によると、雇用人員判断D.I.(「過剰」-「不足」)は、全産業では0%ポイント(3月調査より1%ポイント上昇)となり低下傾向である(第13図)。 厚生労働省「労働経済動向調査」によると、2005年1〜3月期に雇用調整を実施した事業所割合は14%となり2004年10〜12月期と比べて1%ポイント低下した(第14図)。また、2005年4〜6月期に実施予定の事業所割合は13%、2005年7〜9月期に実施予定の事業所割合は11%と低下が見込まれている。 内閣府「景気ウォッチャー調査」による6月の2〜3か月先の景気の先行き判断DI・雇用関連は57.4で前月を1.2ポイント上回った。 |
4 | 賃金・労働時間 |
(1) | 6月の現金給与総額(事業所規模5人以上、産業計、速報、以下同じ)は467,814円で、前年同月比1.1%増となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比0.8%増、パートタイム労働者は同1.6%増となった。 内訳をみると、所定内給与は前年同月比0.3%増(一般労働者同0.1%増、パートタイム労働者同0.5%増)となったほか、所定外給与は同2.2%増、特別給与は同2.0%増となり、実質賃金は同1.7%増となった(第15図)。 また、決まって支給する給与は前年同月比0.4%増(一般労働者同0.2%増、パートタイム労働者同0.7%増)となった。 |
(2) | 6月の総実労働時間(事業所規模5人以上、産業計、速報、以下同じ)は156.5時間で、前年同月比0.1%増となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比0.1%増、パートタイム労働者は同0.5%減となった。 内訳をみると、所定内労働時間は146.3時間で前年同月比横ばい(一般労働者同横ばい、パートタイム労働者同0.6%減)、所定外労働時間は10.2時間で同2.1%増となった。なお、月間出勤日数は20.4日で前年同月差は横ばいとなった。 6月の製造業の所定外労働時間(速報)は15.8時間で、前年同月比横ばいとなった。規模別にみると、500人以上規模で前年同月比横ばい、100〜499人規模で同1.1%増、30〜99人規模で同3.1%減、5〜29人規模で6.0%増となった(第16図)。 |
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