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2月月例労働経済報告


1 概況

(1) 一般経済の概況
      景気は、引き続き一部に持ち直しの動きがみられるものの、このところ弱含んでいる。
  • 企業収益は改善しており、設備投資は下げ止まっている。
  • 雇用情勢は、求人が増加傾向にあるものの、失業率がこれまでの最高水準となるなど、依然として厳しい。
  • 個人消費は、おおむね横ばいで推移するなかで、足元弱い動きがみられる。
  • 輸出は横ばいとなっている一方、生産は弱含んでいる。
 先行きについては、アメリカ経済等の回復が持続すれば、景気は持ち直しに向かうことが期待される。一方、世界経済の先行き懸念や我が国における消費者マインドが弱含んでいることなどにより、我が国の最終需要が引き続き下押しされる懸念が存在している。

(2) 労働経済の概況
      労働経済面をみると、雇用情勢は、依然として厳しい。求人が増加傾向にあるものの、完全失業率がこれまでの最高水準となり(第1図)、賃金も弱い動きが続いている。
  • 就業者数は弱含んでいる。雇用者数は、基調としては弱含んでいる。
  • 完全失業率は5.5%と、これまでの最高水準となった。
  • 有効求人倍率は、引き続き緩やかに上昇している。
  • 新規求人数は、引き続き増加傾向にある。
  • 所定外労働時間は、増加傾向が弱まっている。


2 一般経済

(1)  鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は、弱含んでいる。
 12月の鉱工業生産(季節調整済前月比、確報、以下同じ)は、0.4%減と4か月連続の減少となるなど、基調として弱含んでいる(第2図)。
 業種別にみると輸送機械、一般機械、プラスチック製品等が減少した。出荷は2.2%減と2か月連続で減少し、在庫は1.2%増と2か月ぶりに増加した。
 今後の動向については、製造工業生産予測調査によると、製造工業生産は1月 2.1%増の後、2月は同1.1%減となっている。

(2)  最終需要の動向をみると、
(1)  個人消費は、おおむね横ばいで推移するなかで、足元弱い動きがみられる。
 全世帯の実質消費支出(速報)は11月季節調整済前月比2.2%減の後、12月は同4.2%減となり、勤労者世帯では11月同2.1%減の後、12月は同6.1%減となった(前年同月比3.5%減)。勤労者世帯の消費支出を財(商品)・サービス別にみると、12月の財(商品)は実質で前年同月比3.0%減、サービスは同0.6%減となった。勤労者世帯の平均消費性向は11月季節調整値71.9%の後、12月同74.6%となった(第3図)。
 12月の小売業販売額(速報)は季節調整済前月比3.9%減、大型小売店販売額(速報)は同10.0%減となった。
 乗用車(軽を含む)の新車登録台数(速報)は、12月前年同月比0.3%増の後、1月同4.6%増となった。
 内閣府「消費動向調査」の消費者態度指数(季節調整値)は12月38.1と前期差1.5ポイント低下し、消費者マインドはこのところ弱含みとなっている。

(2)  設備投資は、下げ止まっている。
 財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の設備投資は、季節調整値で平成14年4〜6月期前期比2.5%減の後、7〜9月期同2.0%減(うち製造業同4.8%減、非製造業同0.8%減)と減少幅が縮小してきている。内閣府「法人企業動向調査」(資本金1億円以上、12月調査)をみても、平成14年10〜12月期(実績見込み)の設備投資は、季節調整済前期比0.7%減とほぼ下げ止まっている(第4表)。
 今後の動向について、先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)を季節調整済前月比でみると、平成14年10、11月と減少が続いた後、12月5.2%増と増加するなど、このところ横ばい基調で推移している。
 また、日本銀行「企業短期経済観測調査」(12月調査)において、全規模の14年度の設備投資計画(前年比)は、製造業で10.4%減、非製造業3.2%減、全産業で5.1%減と減少が見込まれていることなども考えると、設備投資は下げ止まった後も低調に推移することが見込まれる。
 建設工事受注額(主要建設会社50社民間発注分、非住宅)は、12月は季節調整済前月比で5.1%増と2か月ぶりに増加している。

(3)  住宅建設は、緩やかに減少している。
 新設住宅着工戸数をみると、11月6.4%減の後、12月は0.5%増の9万3千戸(年率112万戸)と増加した(第5図)。
 先行きについては、雇用・所得環境が厳しいことなどから、消費者の住宅取得マインドが低下しており、引き続き減少が続くものと考えられる。

(4)  公共投資は、総じて低調に推移している。
 公共機関からの建設工事受注額は、前年同月比で11月1.0%増の後、12月は同7.2%増と増加している。しかしながら、公共工事請負金額(保証事業会社協会「公共工事前払金保証統計」)をみると、12月前年同月比3.2%減、1月同5.5%減と前年を下回っており、国・地方の予算状況を踏まえると、今後も低調に推移するものと考えられる。

(5)  輸出は、横ばいとなっている。
 通関輸出(数量ベース、季節調整済前期比)は、月別で11月4.9%増の後、12月は8.0%減となっており、四半期別では、7−9月期1.5%減の後、10−12月期2.0%増となった。
 輸出は、年初来の在庫積み増しの動きに一服感が見られたことなどから弱含んでいたが、このところ輸送機械をはじめとする機械機器が比較的堅調に推移していることから、全体として横ばいとなっている。
 輸入は、伸びが鈍化している。
 通関輸入(数量ベース、季節調整済前期比)は、月別で11月0.4%増の後、12月1.9%増となっており、四半期別では7−9月期7.8%増の後、10−12月期5.3%増となった。
 輸入は、鉱物性燃料が引き続き増加しているが、生産が弱含んでいることを背景に、全体として伸びが鈍化している(第6図)。

(3)  国内企業物価、消費者物価は、ともに弱含んでいる。
 1月の国内企業物価は、前月比0.1%下落(前年同月比1.0%下落)となり、輸出物価は同1.6%下落(同6.9%下落)、輸入物価は同0.3%下落(同1.6%下落)となった。
 12月の消費者物価は、総合が前年同月比0.3%下落(前月比横ばい)、生鮮食品を除く総合が同0.7%下落(同横ばい)となった(第7図)。

(4)  企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、緩やかながら、引き続き改善がみられる。倒産件数は、減少している。
 財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の経常利益は、季節調整値で平成14年4〜6月5.5%増の後、7〜9月4.8%増(製造業14.2%増、非製造業0.3%減)と増加が続くなど、企業収益は改善している(第8表)。
 なお、前出の「企業短期経済観測調査」によれば、企業の14年度下期の経常利益計画(前年同期比)は、製造業42.9%の増益、非製造業3.9%の増益と大幅な増益が見込まれている。
 企業の業況判断D.I.(「良い」−「悪い」)をみると、製造業は全ての規模で「悪い」超幅は縮小した。一方、非製造業は規模別にみると、大企業で「悪い」超幅が拡大している。また、内閣府「法人企業動向調査」によると、企業の業界景気の判断(前期比「上昇」−「下降」)をみると、全産業で10〜12月期−23%ポイントとなった(第9表)。倒産件数(東京商工リサーチ調べ)は、1月1,444件(前年同期比6.4%減)となるなど減少している。

(5)  平成14年10〜12月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、季節調整済前期比0.5%増(年率2.0%増)となった。内外需別にみると、国内需要の寄与度は0.2%、財貨・サービスの純輸出の寄与度は0.3%となった。また、名目GDPの成長率は季節調整済前期比0.2%減となった。なお、平成14年の実質GDP成長率は、0.3%増となった(第10図)。


3 雇用・失業

(1)  (1)  就業者数は、12月は5か月ぶりに前月比で微増しているものの、弱含んでいる。就業者数(季節調整値)は、11月前月差6万人減の後、12月は前月差1万人増と増加し、6314万人(原数値は6291万人、前年同月差71万人減)となった。男女別には、12月は、男性が3710万人(前月差5万人増)、女性が2604万人(同3万人減)となった。
 雇用者数は、ここ2か月連続で微増しているものの、基調としては弱含んでいる。雇用者(季節調整値)は、11月前月差13万人増の後、12月は前月差13万人増と増加し、5327万人(原数値は5348万人、前年同月差13万人減)となった。男女別には、男性が3156万人(前月差15万人増)、女性が2171万人(同2万人減)となった。雇用形態別(原数値)には、12月は、常雇が4578万人(前年同月差67万人減)、臨時雇が634万人(同42万人増)、日雇が135万人(同11万人増)となっている(第11表)。
 「毎月勤労統計調査」(確報)により、12月の常用雇用指数(事業所規模5人以上、季節調整済指数)をみると、前月同水準となった。また、一般、パート別にみると、一般労働者は前月比0.3%減、パートタイム労働者は同0.1%減となった。

(2)  12月の完全失業率(季節調整値)は前月より0.2%ポイント上昇し5.5%と過去最高に並んだ。男女別には、男性が5.6%(前月同水準)、女性が5.3%(同0.4%ポイント上昇)となった。
 12月の完全失業者数(季節調整値)は、前月差8万人増の364万人(原数値は331万人、前年同月差6万人減)となり、引き続き高水準で推移している。男女別には、男性が219万人(前月差2万人減)、女性が145万人(同12万人増)となった。
 求職理由別(原数値)にみると、12月は、非自発的理由による離職者は152万人(前年同月差27万人増)、自発的理由による離職者は105万人(同4万人増)、その他の理由による失業者は58万人(同26万人減)となった(第11表)。

(3)  12月の労働力人口(季節調整値)は、前月差8万人増の6674万人(原数値は6622万人、前年同月差77万人減)となった。非労働力人口(季節調整値)は、前月差15万人減の4247万人(原数値は4300万人、前年同月差94万人増)となった。男女別には、男性が1361万人(前月差7万人減)、女性が2887万人(同8万人減)となった。
 労働力率は、12月は、60.6%(前年同月差0.8%ポイント低下)となった。男女別には、男性が74.1%(同1.0%ポイント低下)、女性が47.9%(同0.6%ポイント低下)となった(第11表)。

(2)  有効求人(季節調整値)は、12月は前月比2.3%増と2か月ぶりに増加し、有効求職者数(季節調整値)は同0.9%減と3か月続けて減少した。有効求人倍率(季節調整値)は、引き続き緩やかに上昇しており、12月は0.58倍と前月を0.01ポイント上回った。
 新規求人(季節調整値)は、引き続き増加傾向にある。新規求人(季節調整値)は11月前月比4.0%減の後、12月は同4.3%増と2か月ぶりに増加した。新規求職者数(季節調整値)は11月前月比2.9%減の後、12月は2.2%減と3か月連続で減少した。新規求人倍率(季節調整値)は、12月は1.04倍と前月より0.07ポイント上昇した第12表)。
 新規求人(季節調整値)を一般(除パート)、パートの別でみると、12月は、一般は前月比3.7%増と2か月ぶりに増加し、パートも同5.6%増と2か月ぶりに増加した。新規求職(季節調整値)は、12月は一般は前月比2.5%減と3か月連続で減少し、パートは同4.2%増と2か月ぶりに増加している。
 常用新規求職者数(除パート、原数値)のうち事業主都合離職者は、12月は前年同月比11.7%減と3か月連続で減少した。

(3)  産業別にみると、12月の就業者数(原数値)は、製造業は前年同月差46万人減、卸売・小売業,飲食店は同65万人減と減少したのに対し、建設業は同9万人増、運輸・通信業は同9万人増、サービス業は同29万人増となっている。
 12月の新規求人(原数値)は、建設業は前年同月比3.3%減と減少したのに対し、製造業が同30.6%増、運輸・通信業は同15.2%増、卸売・小売業,飲食店は同5.7%増、サービス業は同16.4%増となっている。

(4)  雇用の先行きに関する指標については先行きに弱い動きもみられる。雇用の先行指標と考えられる製造業の所定外労働時間(季節調整値)は、生産の動きを反映して、増加傾向が弱まっている。所定外労働時間(事業所規模5人以上、季節調整済指数)は、製造業では、11月(確報値)前月比1.6%増の後、12月(確報値)前月同水準となり、調査産業計では、11月前月比0.4%増の後、12月同0.3%減となった。
 日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)によると、雇用人員判断DI (「過剰」-「不足」)は前期より若干低下したものの、依然として高い水準にある第13図)。
 厚生労働省「労働経済動向調査」によると、7〜9月期に雇用調整を実施した事業所割合は25%、10〜12月期に実施予定の事業所割合は24%、2003年1〜3月期に実施予定の事業所割合は22%と引き続き低下が見込まれている(第14図)。
 内閣府「景気ウォッチャー調査」による1月の2〜3か月先の景気の先行き判断DI・雇用関連は40.8で前月を2.4ポイント上回り、5か月ぶりの上昇となった。


4 賃金・労働時間

(1)  12月の現金給与総額(産業計、確報、以下同じ)は630,414円で、前年同月比2.7%減となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比1.7%減、パートタイム労働者は同4.9%減となった。
 内訳をみると、所定内給与は前年同月比1.0%減(一般労働者同0.2%減、パートタイム労働者同2.9%減)となったほか、所定外給与は同6.0%増、特別給与は同4.3%減となり、実質賃金は同2.4%減となった(第15図)。

(2)  12月の総実労働時間(産業計、確報、以下同じ)は153.2時間で、前年同月比0.3%減となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比0.5%増、パートタイム労働者は同2.3%減となった。
 内訳をみると、所定内労働時間は143.0時間で前年同月比0.7%減(一般労働者同0.2%減、パートタイム労働者同2.5%減)、所定外労働時間は10.2時間で同6.4%増となった。なお、月間出勤日数は19.9日と前年同月差横ばいとなった。
 12月の製造業の所定外労働時間(確報)は15.1時間で、前年同月比19.6%増となった。規模別にみると、500人以上規模で前年同月比21.5%増、100〜499人規模で19.5%増、30〜99人規模で同22.7%増、5〜29人規模で同18.3%増となった (第16図)。


2月の主要変更点

月例労働経済報告参考表
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