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2月月例労働経済報告


〈概観〉

一般経済の概況

 景気は、悪化を続けている。

 先行きについては、厳しい雇用・所得環境や資本市場の動向などが、今後の民間需要を下押しする懸念がある一方、アメリカやアジアの一部に景気底入れの動きがみられるなど、対外経済環境の改善が期待される。

労働経済の概況

 労働経済面をみると、雇用情勢は、厳しさを増している。完全失業率がこれまでにない高さに上昇し、求人や残業時間、賃金も弱い動きが続いている。

(1) 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は、減少テンポが緩やかになったものの、在庫率は高水準にある。生産は、季調済前月比で11月1.7%減の後、12月(速報)は同2.1%増(前年同月比14.9%減)となった。業種別にみると、化学、非鉄金属、パルプ・紙・紙加工品が低下したが、電気機械、輸送機械、プラスチック製品等が上昇した。出荷は、季調済前月比1.8%増(前年同月比14.0%減)となった。在庫は、季調済前月比1.0%減(前年同月比1.6%減)となった。在庫率は、季調済前月比0.6%減(前年同月比13.4%増)となった。製造工業の生産予測指数は、1月季調済前月比1.4%増の後、2月は同0.6%増を予測している。

「国内総生産」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

「生産・出荷・在庫」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

 企業収益は、製造業を中心に大幅に減少している。また、企業の業況判断は、一層厳しさが増している。財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の売上高は平成13年4〜6月期前年同期比1.3%増の後、平成13年7〜9月期同2.6%減(うち製造業同4.9%減、非製造業同1.6%減)となり、経常利益は平成13年4〜6月期前年同月比1.0%増の後、平成13年7〜9月期同32.5%減(うち製造業53.4%減、非製造業15.0%減)となっている。日本銀行「企業短期経済観測調査」(12月調査)によると、大企業の業況判断はD.I(「良い」−「悪い」)をみると、製造業はマイナス38ポイントと「悪い」超幅が拡大し、非製造業はマイナス22ポイントと「悪い」超幅が拡大した。

「業況判断」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

(2) 設備投資は、減少している。前出「法人企業統計季報」によると、全産業の設備投資額は、内閣府試算による季節調整値で、13年4〜6月期前期比1.5%減の後、13年7〜9月期同1.6%減(前年同期比0.5%増)となっており、うち製造業では、同6.3%減(同2.7%減)、非製造業では同1.3%減(同2.4%増)となっている。先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)の動きをみると、季節調整済前月比で11月14.9%増の後、12月は同0.5%減(前年同月比14.4%減)となっている。建設工事受注額(主要建設会社50社民間発注分、非住宅)は、12月は前年同月比で14.0%減となった。
 住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。新設住宅着工戸数は、季調済前月比で、11月3.0%増(前年同月比1.2%減)の後、12月は同5.0%減(同12.9%減)の9万5千戸(年率114万戸)となった。

「住宅」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

 公共投資は、総じて低調に推移している。公共機関からの建設工事受注額は、前年同月比で11月は18.0%減の後、12月は同8.8%減となった。また、大手50社の受注額は、前年同月比で11月26.4%減の後、12月は同9.2%減となった。

(3) 個人消費は、弱含んでいる。12月の全世帯の消費支出(速報)は前年同月比で名目で8.1%減、実質で6.6%減となり、平均消費性向(勤労者世帯、季調値)は、73.5%となった。12月の小売業販売額(速報)は前年同月比5.7%減、大型小売店販売額(速報、既存店)は同2.5%減となった。1月の乗用車(軽を含む)の新車登録台数(速報)は、前年同月比5.2%増となった。

「個人消費」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

(4) 輸出は、下げ止まりの兆しがみられる。通関輸出(数量ベース、季調値)は、前月比で11月1.0%増の後、12月は同6.3%減(前年同月比14.9%減)となった。また、前期比で7−9月期2.8%減の後、10−12月期0.2%減(前年同期比12.0%減)となった。
 輸入は、減少傾向が弱まっている。通関輸入(数量ベース、季調値)は、前月比で11月3.4%減の後、12月は同2.2%減(前年同月比9.2%減)となった。また、前期比で7−9月期4.0%減の後、10−12月期3.4%増(前年同期比5.5%減)となった。

(5) 雇用情勢は、厳しさを増している。完全失業率がこれまでにない高さに上昇し、求人や残業時間、賃金も弱い動きが続いている。12月の有効求人倍率(季調値)は、有効求人が季調済前月比2.4%減(前月同1.7%減)と5ヶ月連続で減少し、有効求職者が同0.5%増(前月同1.2%増)となり、0.51倍と前月より0.02ポイント低下した。12月の雇用者数は前年同月比0.9%減(前年同月差48万人減)となった。12月の完全失業率(季調値)は、5.6%と前月より0.1%ポイント上昇し、既往最高水準となった。完全失業者数(原数値)は337万人で前年同月差39万人増となった。

「雇用・労働市場」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

(6) 賃金、労働時間の動向をみると、12月の現金給与総額(産業計、規模5人以上、速報、以下同じ)は前年同月比3.7%減となり、実質賃金は同2.3%減となった。また、定期給与は前年同月比0.8%減となった。特別給与は前年同月比5.8%減となった。
 12月の総実労働時間(産業計、規模5人以上、速報)は、前年同月比1.9%減となり、そのうち所定内労働時間は同1.3%減となった。また、製造業の所定外労働時間(規模5人以上、速報)は、前年同月比17.5%減となった。

(7) 国内卸売物価は、下落している。1月の総合卸売物価は前月比0.4%上昇(前年同月比0.6%下落)となった。そのうち国内卸売物価は前月比0.2%下落、輸出物価は同2.8%上昇、輸入物価は同2.4%上昇となった。
 消費者物価は、弱含んでいる。12月の消費者物価は、前年同月比1.2%下落(生鮮食品を除く総合同0.9%下落)、1月について東京都区部速報値でみると、前年同月比1.7%下落(生鮮食品を除く総合同1.2%下落)となった。


1 雇用、労働市場の動向

《1》 12月の労働市場をみると、有効求人が季調済前月比で2.4%減、有効求職者が同0.5%増となり、有効求人倍率(季調値)は0.51倍と前月より0.02ポイント低下した。内訳をみると、パートの有効求人倍率は1.26倍、パートを除く有効求人倍率は0.40倍(うち常用0.38倍)となった。
 12月の新規求人は季調済前月比で5.7%減、前年同月比で14.0%減となり、うち、パートの新規求人は前年同月比10.8%減、パートを除く新規求人は同15.5%減となった。新規求人を産業別にみると、サービス業(前年同月比5.8%減)、卸売・小売業、飲食店(同7.6%減)、運輸・通信業(同11.7%減)、建設業(同13.1%減)、製造業(同42.1%減)となっている。一方、12月の新規求職者は季調済前月比で4.9%減、前年同月比8.3%増となり、うち、パートの新規求職者は前年同月比11.6%増、パートを除く新規求職者は同7.9%増となった。また、常用新規求職者は前年同月比14.0%増となり、うち、離職求職者(雇用保険受給資格決定件数)は同17.2%増、離職者以外の常用新規求職者(雇用保険受給資格決定以外の常用新規求職者)は同11.7%増となった。以上の結果、12月の新規求人倍率(季調値)は0.92倍(前月0.92倍)となった。

「求人・求職」の表 データ取得エクセルでダウンロードできます。

《2》 雇用者の動きを「労働力調査」でみると、12月は前年同月比0.9%減(前年同月差48万人減、うち常雇30万人減)と4ヶ月連続で減少した。男女別には、男性は前年同月差52万人減、女性は4万人増となった。産業別にみるとサービス業で前年同月差36万人増、運輸・通信業で同7万人増、卸売・小売業、飲食店で同9万人減、建設業で同14万人減、製造業で同51万人減となった。また、「毎月勤労統計調査」で常用雇用(規模5人以上、速報)の動きをみると、12月は産業計で前年同月比0.3%減、製造業で同3.5%減となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比0.9%減、パートタイム労働者は同1.9%増となった。
 12月の完全失業率(季調値)は5.6%となり、過去最高となった。男女別にみると、男性は5.8%(前月と同水準)、女性は5.1%(前月差0.2ポイント低下)となった。
 完全失業者数(原数値)は337万人で、前年同月差39万人増となった。離職理由別には、非自発的理由による離職者は125万人(前年同月差31万人増)、自発的理由による離職者は101万人(同4万人増)、他方、その他の理由による失業者は84万人(同5万人増)となった。また、世帯主の失業者は100万人(同14万人増)となった。
 12月の男性の労働力率は75.1%(前年同月差1.1%ポイント低下)、女性の労働力率は48.5%(同0.2%ポイント低下)となった。

「雇用・失業」の表 データ取得エクセルでダウンロードできます。

「産業別雇用者数の推移」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。


2 賃金・労働時間・労働災害の動向

《1》 12月の現金給与総額(産業計、規模5人以上、速報、以下同じ)は646,987円で、前年同月3.7%減となった。内訳をみると、所定内給与が前年同月比0.2%減となったほか、所定外給与は同9.5%減、特別給与は同5.8%減となり、実質賃金は同2.3%減となった。

「賃金」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

《2》 12月の総実労働時間(産業計、規模5人以上、速報)は153.4時間で、前年同月比1.9%減となった。内訳をみると、所定内労働時間は144.0時間で前年同月比1.3%減、所定外労働時間は9.4時間で同9.6%減となった。なお、月間出勤日数は20.0日と前年同月差0.2日減となった。
 12月の製造業の所定外労働時間(規模5人以上、速報)は12.2時間で、前年同月比17.5%減となった。規模別にみると、500人以上規模で前年同月比15.9%減、100〜499人規模で19.8%減、30〜99人規模で同18.1%減、5〜29人規模で同14.3%減となった。

「労働時間」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

《3》 平成13年12月の労働災害による全産業の死亡者数は97人(速報)で、前年同月比15.7%減となっている。


3 勤労者家計・物価の動向

《1》 12月の勤労者世帯の実収入(速報)は、名目で前年同月比3.1%減、実質で同1.5%減となった。内訳をみると世帯主の定期収入が名目で前年同月比0.5%減、臨時収入・賞与が同7.0%減、世帯主の配偶者の収入(うち女)が同8.6%増となった。可処分所得は名目で前年同月比3.3%減、実質で1.7%減となった。
 12月の勤労者世帯の消費支出(速報)は、名目で前年同月比5.9%減、実質で同4.4%減となった。消費支出を財(商品)・サ−ビス別にみると、財(商品)は実質で前年同月比5.0%減、サ−ビスは同4.7%減となった。
 12月の平均消費性向は44.2%と、前年同月差1.3%ポイントの低下となった。

「勤労者家計」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

《2》 1月の総合卸売物価は、前月比0.4%上昇(前年同月比0.6%下落)となった。うち国内卸売物価は、非鉄金属等が上昇したが、食料用農畜水産物、化学製品、石油・石炭製品等が下落したため、前月比0.2%下落(前年同月比1.4%下落)となった。
 一方、輸出物価、輸入物価は、それぞれ前月比2.8%上昇(前年同月比3.7%上昇)、同2.4%上昇(同0.5%上昇)となった。
 12月の全国消費者物価は、前年同月比1.2%下落(前月比0.1%下落)となった。生鮮食品を除く総合は前年同月比0.9%下落(前月比0.1%下落)となった。1月の消費者物価を東京都区部速報値でみると、前年同月比1.7%下落 (前月比0.3%下落) となった。

「物価」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

2月の主要変更点(概要部分)

月例労働経済報告参考表
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