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1月月例労働経済報告


〈概観〉

一般経済の概況

 景気は、悪化を続けている。

 先行きについては、世界経済が同時的に減速するなど、懸念すべき点がみられるものの、アメリカを中心としてIT関連部門における在庫調整には進展がみられる。

労働経済の概況

 労働経済面をみると、雇用情勢は、厳しさを増している。完全失業率がこれまでにない高さに上昇し、求人や残業時間、賃金も弱い動きが続いている。

(1) 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は大幅に減少し、在庫率は高水準にある。生産は、季調済前月比で10月0.2%減の後、11月(速報)は同1.8%減(前年同月比3.1%減)となった。業種別にみると、窯業・土石製品、非鉄金属、パルプ・紙・紙加工品等が上昇したが、その他、輸送機械、一般機械等が低下した。出荷は、季調済前月比1.4%減(前年同月比12.5%減)となった。在庫は、季調済前月比1.5%減(前年同月比0.6%減)となった。在庫率は、季調済前月比0.3%減(前年同月比13.5%増)となった。製造工業の生産予測指数は、12月季調済前月比2.1%増の後、1月は同0.4%増を予測している。

「国内総生産」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

「生産・出荷・在庫」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

 企業収益は、製造業を中心に大幅に減少している。また、企業の業況判断は、一層厳しさが増している。財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の売上高は平成13年4〜6月期前年同期比1.3%増の後、平成13年7〜9月期同2.6%減(うち製造業同4.9%減、非製造業同1.6%減)となり、経常利益は平成13年4〜6月期前年同月比1.0%増の後、平成13年7〜9月期同32.5%減(うち製造業53.4%減、非製造業15.0%減)となっている。日本銀行「企業短期経済観測調査」(12月調査)によると、大企業の業況判断はD.I(「良い」−「悪い」)をみると、製造業はマイナス38ポイントと「悪い」超幅が拡大し、非製造業はマイナス22ポイントと「悪い」超幅が拡大した。

(2) 設備投資は、減少している。先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)の動きをみると、季節済前月比で9月13.2%減の後、10月は同10.1%減(前年同月比26.6%減)となっている。建設工事受注額(主要建設会社50社(民間発注分、非住宅)は、11月は前年同月比で11.1%減となった。

「公共工事」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

 住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。新設住宅着工戸数は、季調済前月比で、10月3.0%減(前年同月比3.3%減)の後、11月は同8.0%増(同1.2%減)の10万3千戸(年率124万戸)となった。

「住宅」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

 公共投資は、総じて低調に推移している。公共機関からの建設工事受注額は、前年同月比で9月は3.4%減の後、10月は同4.5%減となった。また、大手50社の受注額は、前年同月比で10月23.7%減の後、11月は同26.4%減となった。

(3) 個人消費は、弱含んでいる。11月の全世帯の消費支出(速報)は前年同月比で名目で0.4%減、実質で0.9%増となり、平均消費性向(勤労者世帯、季調値)は、70.8%となった。11月の小売業販売額(速報)は前年同月比2.7%減、大型小売店販売額(速報、既存店)は同0.7%減となった。12月の乗用車(軽を含む)の新車登録台数(速報)は、前年同月比0.4%増となった。

「個人消費」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

(4) 輸出は、下げ止まりの兆しがみられる。通関輸出(数量ベース、季調値)は、前月比で10月2.4%増の後、11月は同1.0%増(前年同月比11.4%減)となった。また、前期比で4−6月期6.2%減の後、7−9月期2.8%減(前年同期比12.9%減)となった。
 輸入は、減少している。通関輸入(数量ベース、季調値)は、前月比で10月12.0%増の後、11月は同3.4%減(前年同月比5.0%減)となった。また、前期比で4−6月期2.9%減の後、7−9月期4.0%減(前年同期比5.0%減)となった。

(5) 雇用情勢は、厳しさを増している。完全失業率がこれまでにない高さに上昇し、求人や残業時間、賃金も弱い動きが続いている。11月の有効求人倍率(季調値)は、有効求人が季調済前月比1.7%減(前月同0.6%減)と4ヶ月連続で減少し、有効求職者が同1.2%増(前月同4.4%増)となり、0.53倍と前月より0.02ポイント低下した。11月の雇用者数は前年同月比1.0%減(前年同月差57万人減)となった。11月の完全失業率(季調値)は、5.5%と前月より0.1%ポイント上昇し、既往最高水準となった。完全失業者数(原数値)は350万人で前年同月差41万人増となった。

「雇用・労働市場」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

(6) 賃金、労働時間の動向をみると、11月の現金給与総額(産業計、規模5人以上、速報、以下同じ)は前年同月比2.0%減となり、実質賃金は同1.0%減となった。また、定期給与は前年同月比0.8%減となった。特別給与は前年同月比27.5%減となった。
 11月の総実労働時間(産業計、規模5人以上、速報)は、前年同月比0.7%増となり、そのうち所定内労働時間は同1.6%増となった。また、製造業の所定外労働時間(規模5人以上、速報)は、前年同月比18.2%減となった。

(7) 国内卸売物価は、下落幅をやや拡大している。12月の総合卸売物価は前月比0.5%下落(前年同月比0.8%下落)となった。そのうち国内卸売物価は前月比保合い、輸出物価は同2.8%上昇、輸入物価は同2.3%上昇となった。
 消費者物価は、弱含んでいる。11月の消費者物価は、前年同月比1.0%下落(生鮮食品を除く総合同0.8%下落)、12月について東京都区部速報値でみると、前年同月比1.5%下落(生鮮食品を除く総合同1.0%下落)となった。


1 雇用、労働市場の動向

《1》 11月の労働市場をみると、有効求人が季調済前月比で1.7%減、有効求職者が同1.2%増となり、有効求人倍率(季調値)は0.53倍と前月より0.02ポイント低下した。内訳をみると、パートの有効求人倍率は1.28倍、パートを除く有効求人倍率は0.41倍(うち常用0.40倍)となった。
 11月の新規求人は季調済前月比で0.9%増、前年同月比で7.1%減となり、うち、パートの新規求人は前年同月比2.5%減、パートを除く新規求人は同9.3%減となった。新規求人を産業別にみると、サービス業(前年同月比2.5%増)、建設業(同3.0減)、卸売・小売業、飲食店(同3.8%減)、運輸・通信業(同7.5%減)、製造業(同34.3%減)となっている。一方、11月の新規求職者は季調済前月比で4.5%減、前年同月比16.4%増となり、うち、パートの新規求職者は前年同月比19.2%増、パートを除く新規求職者は同15.9%増となった。また、常用新規求職者は前年同月比17.7%増となり、うち、離職求職者(雇用保険受給資格決定件数)は同18.9%増、離職者以外の常用新規求職者(雇用保険受給資格決定以外の常用新規求職者)は同16.9%増となった。以上の結果、11月の新規求人倍率(季調値)は0.92倍(前月0.87倍)となった。

「求人・求職」の表 データ取得エクセルでダウンロードできます。

《2》 雇用者の動きを「労働力調査」でみると、11月は前年同月比1.0%減(前年同月差57万人減、うち常雇50万人減)と3ヶ月連続で減少した。男女別には、男性は前年同月差63万人減、女性は5万人増となった。産業別にみるとサービス業で前年同月差50万人増、卸売・小売業、飲食店で同4万人増、運輸・通信業で同23万人減、建設業で同26万人減、製造業で同53万人減となった。また、「毎月勤労統計調査」で常用雇用(規模5人以上、速報)の動きをみると、11月は産業計で前年同月比0.4%減、製造業で同3.0%減となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比0.9%減、パートタイム労働者は同1.7%増となった。
 11月の完全失業率(季調値)は5.5%となり、過去最高となった。男女別にみると、男性は5.8%(前月と同水準)、女性は4.9%(前月差0.1ポイント低下)となった。
 完全失業者数(原数値)は350万人で、前年同月差41万人増となった。離職理由別には、非自発的理由による離職者は123万人(前年同月差29万人増)、自発的理由による離職者は112万人(同6万人増)、他方、その他の理由による失業者は88万人(同5万人増)となった。また、世帯主の失業者は101万人(同18万人増)となった。
 11月の男性の労働力率は75.6%(前年同月差1.1%ポイント低下)、女性の労働力率は49.4%(同0.1%ポイント低下)となった。

「雇用・失業」の表 データ取得エクセルでダウンロードできます。

《3》 日本銀行「企業短期経済観測調査」(12月調査)によれば、全国企業(全産業)の雇用人員判断D.I.(「過剰」−「不足」)はプラス21%ポイント(9月調査プラス18%ポイント)と前回と比べ3%ポイント上昇した。内訳をみると、大企業はプラス28%ポイント(同プラス24%ポイント)、中堅企業はプラス18%ポイント(同プラス16%ポイント)、中小企業はプラス20%ポイント(同プラス18%ポイント)となり、大企業、中堅企業、中小企業ともに上昇した。産業別にみると、製造業はプラス34%ポイント(9月調査プラス29%ポイント)と前回と比べ5%ポイント上昇し、非製造業はプラス11%ポイント(同プラス9%ポイント)と前回と比べ2%ポイント上昇した。

「雇用人員判断D.I.の推移」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

2 賃金・労働時間・労働災害の動向

《1》 11月の現金給与総額(産業計、規模5人以上、速報、以下同じ)は293,250円で、前年同月2.0%減となった。内訳をみると、所定内給与が前年同月比保合いとなったほか、所定外給与は同10.7%減、特別給与は同27.5%減となり、実質賃金は同1.0%減となった。

「賃金」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

《2》 11月の総実労働時間(産業計、規模5人以上、速報)は158.7時間で、前年同月比0.7%増となった。内訳をみると、所定内労働時間は149.5時間で前年同月比1.6%増、所定外労働時間は9.2時間で同10.7%減となった。なお、月間出勤日数は20.7日と前年同月差0.3日増となった。
 11月の製造業の所定外労働時間(規模5人以上、速報)は12.1時間で、前年同月比8.2%減となった。規模別にみると、500人以上規模で前年同月比15.5%減、100〜499人規模で19.9%減、30〜99人規模で同19.4%減、5〜29人規模で同17.8%減となった。

「労働時間」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

《3》 平成13年11月の労働災害による全産業の死亡者数は82人(速報)で、前年同月比29.9%減となっている。


3 勤労者家計・物価の動向

《1》 11月の勤労者世帯の実収入(速報)は、名目で前年同月比0.7%増、実質で同2.0%増となった。内訳をみると世帯主の定期収入が名目で前年同月比0.1%増、臨時収入・賞与が同22.7%減、世帯主の配偶者の収入(うち女)が同6.8%増となった。可処分所得は名目で前年同月比0.3%増、実質で1.6%増となった。
 11月の勤労者世帯の消費支出(速報)は、名目で前年同月比2.3%増、実質で同3.6%増となった。消費支出を財(商品)・サ−ビス別にみると、財(商品)は実質で前年同月比1.8%増、サ−ビスは同4.4%増となった。
 11月の平均消費性向は83.8%と、前年同月差1.6%ポイントの上昇となった。

「勤労者家計」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

《2》 12月の総合卸売物価は、前月比0.5%上昇(前年同月比0.8%下落)となった。うち国内卸売物価は、食料用農蓄水産物、非鉄金属等が上昇したが、石油・石炭製品、化学製品、電気機器等が下落したため、前月比保合い(前年同月比1.4%下落)となった。
 一方、輸出物価、輸入物価は、それぞれ前月比2.8%上昇(前年同月比4.0%上昇)、同2.3%上昇(同1.8%下落)となった。
 11月の全国消費者物価は、前年同月比1.0%下落(前月比0.5%下落)となった。生鮮食品を除く総合は前年同月比0.8%下落(前月比0.1%下落)となった。12月の消費者物価を東京都区部速報値でみると、前年同月比1.5%下落 (前月比0.1%下落) となった。

「物価」のグラフ データ取得エクセルでダウンロードできます。

1月の主要変更点(概要部分)

月例労働経済報告参考表
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