〈概観〉
一般経済の概況
景気は、悪化を続けている。
先行きについては、世界経済が同時的に減速するなど、懸念すべき点がみられる。
労働経済の概況
労働経済面をみると、雇用情勢は、厳しさを増している。完全失業率がこれまでにない高さに上昇し、求人や残業時間、賃金も弱い動きが続いている。
(1) 平成13年7〜9月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、季調済前期比0.5%減(年率2.2%減)となった。内外需別にみると、国内需要の寄与度はマイナス0.6%、財貨・サービスの純輸出の寄与度はプラス0.1%となった。
(2) 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は大幅に減少し、在庫率は高水準にある。生産は、季調済前月比で9月2.9%減の後、10月(速報)は同0.3%減(前年同月比11.9%減)となった。業種別にみると、その他工業、化学パルプ・紙・紙加工品が増加したが、電気機械、一般機械、輸送機械が減少した。出荷は、季調済前月比0.4%減)となった。在庫は、季調済前月比1.1%減(前年同月比1.0%増)となった。在庫率は、季調済前月比1.5%減(前年同月比13.9%増)となった。製造工業の生産予測指数は、11月季調済前月比1.0%減の後、12月は同0.8%増を予測している。
「国内総生産」のグラフ
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「生産・出荷・在庫」のグラフ
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企業収益は、製造業を中心に大幅に減少している。また、企業の業況判断は、一層厳しさが増している。財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の売上高は平成13年4〜6月期前年同期比1.3%増の後、平成13年7〜9月期同2.6%減(うち製造業同4.9%減、非製造業同1.6%減)となり、経常利益は平成13年4〜6月期前年同月比1.0%増の後、平成13年7〜9月期同32.5%減(うち製造業53.4%減、非製造業15.0%減)となっている。日本銀行「企業短期経済観測調査」(12月調査)によると、大企業の業況判断はD.I(「良い」−「悪い」)をみると、製造業はマイナス38ポイントと「悪い」超幅が拡大し、非製造業はマイナス22ポイントと「悪い」超幅が拡大した。
(3) 設備投資は、減少している。前出「法人企業統計季報」によると、全産業の設備投資額は、内閣府試算による季節調整値で、13年4〜6月期前期比1.5%減の後、13年7〜9月期同1.6%減(前年同期比0.5%増)となっており、うち製造業では、同6.3%減(同2.7%減)、非製造業では同1.3%減(同2.4%増)となっている。先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)の動きをみると、季節調整済前月比で9月13.2%減の後、10月は同10.1%減(前年同月比26.6%減)となっている。建設工事受注額(主要建設会社50社民間発注分、非住宅)は、10月は前年同月比で1.9%増となった。
住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。新設住宅着工戸数は、季調済前月比で、9月3.4%減(前年同月比2.9%減)の後、10月は同3.0%減(同3.3%減)9.5万戸(年率115万戸)となった。
(4) 個人消費は、弱含んでいる。10月の全世帯の消費支出(速報)は前年同月比で名目で0.5%減、実質で0.4%増となり、平均消費性向(勤労者世帯、季調値)は、71.7%となった。10月の小売業販売額(速報)は前年同月比4.9%減、大型小売店販売額(速報、既存店)は同7.1%減となった。11月の乗用車(軽を含む)の新車登録台数(速報)は、前年同月比2.1%減となった。
(5) 輸出は、減少している。通関輸出(数量ベース、季調値)は、前月比で9月4.1%減の後、10月は同2.4%増(前年同月比9.5%減)となった。また、前期比で4−6月期6.2%減の後、7−9月期2.8%減(前年同期比12.9%減)となった。
輸入は、大幅に減少している。通関輸入(数量ベース、季調値)は、前月比で9月7.4%減の後、10月は同12.0%増(前年同月比2.5%減)となった。また、前期比で4−6月期2.9%減の後、7−9月期4.0%減(前年同期比5.0%減)となった。
(6) 雇用情勢は、厳しさを増している。完全失業率がこれまでにない高さに上昇し、求人や残業時間、賃金も弱い動きが続いている。10月の有効求人倍率(季調値)は、有効求人が季調済前月比0.6%減(前月同2.2%減)と3ヶ月連続で減少し、有効求職者が同4.4%増(前月同0.4%増)となり、0.55倍と前月より0.02ポイント低下した。10月の雇用者数は前年同月比1.2%減(前年同月差64万人減)となった。10月の完全失業率(季調値)は、5.4%と前月より0.1%ポイント上昇し、既往最高水準となった。完全失業者数(原数値)は352万人で前年同月差38万人増となった。
(7) 賃金、労働時間の動向をみると、10月の現金給与総額(産業計、規模5人以上、速報、以下同じ)は前年同月比1.2%減となり、実質賃金は同0.4%減となった。また、定期給与は前年同月比1.3%減となった。特別給与は前年同月比8.2%減となった。
10月の総実労働時間(産業計、規模5人以上、速報)は、前年同月比1.0%減となり、そのうち所定内労働時間は同0.6%減となった。また、製造業の所定外労働時間(規模5人以上、速報)は、前年同月比15.9%減となった。
(8) 国内卸売物価は、下落幅をやや拡大している。11月の総合卸売物価は前月比0.3%下落(前年同月比0.8%下落)となった。そのうち国内卸売物価は前月比0.2%下落、輸出物価は同0.1%上昇、輸入物価は同1.8%下落となった。
消費者物価は、弱含んでいる。10月の消費者物価は、前年同月比0.8%下落(生鮮食品を除く総合同0.7%下落)、11月について東京都区部速報値でみると、前年同月比1.4%下落(生鮮食品を除く総合同1.0%下落)となった。
1 雇用、労働市場の動向
《1》 10月の労働市場をみると、有効求人が季調済前月比で2.2%減、有効求職者が同0.4%増となり、有効求人倍率(季調値)は0.55倍と前月より0.02ポイント低下した。内訳をみると、パートの有効求人倍率は1.30倍、パートを除く有効求人倍率は0.43倍(うち常用0.42倍)となった。
10月の新規求人は季調済前月比で3.5%増、前年同月比で7.2%減となり、うち、パートの新規求人は前年同月比5.0%減、パートを除く新規求人は同8.3%減となった。新規求人を産業別にみると、サービス業(前年同月比0.9%増)、卸売・小売業、飲食店(同2.5%減)、建設業(同4.3%減)、運輸・通信業(同5.9%減)、製造業(同32.5%減)となっている。一方、10月の新規求職者は季調済前月比で18.2%増、前年同月比19.2%増となり、うち、パートの新規求職者は前年同月比19.9%増、パートを除く新規求職者は同19.1%増となった。また、常用新規求職者は前年同月比19.7%増となり、うち、離職求職者(雇用保険受給資格決定件数)は同21.5%増、離職者以外の常用新規求職者(雇用保険受給資格決定以外の常用新規求職者)は同18.4%増となった。以上の結果、10月の新規求人倍率(季調値)は0.87倍(前月1.00倍)となった。
《2》 雇用者の動きを「労働力調査」でみると、10月は前年同月比1.2%減(前年同月差64万人減、うち常雇64万人減)と2ヶ月連続で減少した。男女別には、男性は前年同月差63万人減、女性は2万人減となった。産業別にみるとサービス業で前年同月差73万人増、運輸・通信業で同14万人減、卸売・小売業、飲食店で同18万人減、建設業で同28万人減、製造業で同78万人減となった。また、「毎月勤労統計調査」で常用雇用(規模5人以上、速報)の動きをみると、10月は産業計で前年同月比0.1%減、製造業で同2.7%減となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比0.8%減、パートタイム労働者は同2.4%増となった。
10月の完全失業率(季調値)は5.4%となり、過去最高となった。男女別にみると、男性は5.8%(前月差0.4ポイント上昇)、女性は4.8%(前月差0.4ポイント低下)となった。
完全失業者数(原数値)は352万人で、前年同月差38万人増となった。離職理由別には、非自発的理由による離職者は114万人(前年同月差16万人増)、自発的理由による離職者は122万人(同20万人増)、他方、その他の理由による失業者は88万人(同2万人増)となった。また、世帯主の失業者は99万人(同16万人増)となった。
10月の男性の労働力率は75.5%(前年同月差1.3%ポイント低下)、女性の労働力率は49.2%(同0.5%ポイント低下)となった。
《3》 厚生労働省「労働経済動向調査」(11月調査)により、7〜9月期の雇用調整実施事業所割合を見ると、調査産業計では25%(前期差1%ポイント低下)、金融・保険業及び不動産業を除く5産業計では26%(前期差なし)となった。産業別には、卸売・小売業、飲食店、運輸・通信業、金融・保険業で前期差低下、サービス業、建設業で同横ばい、不動産業、製造業では同上昇となった。なお、10〜12月期の雇用調整実施予定事業所割合は、産業計で26%、5産業計で27%と見込まれている。8月現在の常用労働者過不足判断D.I.(「不足」−「過剰」)をみると、調査産業計でマイナス13ポイント(前期差3ポイント低下で4期連続の低下)、5産業計ではマイナス15ポイント(前期差4ポイント低下で4期連続の低下)となった。また、産業別に常用労働者過不足判断D.I.をみると、製造業、卸売・小売業、飲食店、運輸・通信業、不動産業で低下し、サービス業で横ばい、建設業、金融・保険業では上昇した。
2 賃金・労働時間・労働災害の動向
《1》 10月の現金給与総額(産業計、規模5人以上、速報、以下同じ)は285,698円で、前年同月1.2%減となった。内訳をみると、所定内給与が前年同月比0.7%減となったほか、所定外給与は同8.6%減、特別給与は同8.2%減となり、実質賃金は同0.4%減となった。
《2》 10月の総実労働時間(産業計、規模5人以上、速報)は155.2時間で、前年同月比1.0%減となった。内訳をみると、所定内労働時間は146.0時間で前年同月比0.6%減、所定外労働時間は9.2時間で同8.1%減となった。なお、月間出勤日数は20.2日と前年同月差0.1日減となった。
10月の製造業の所定外労働時間(規模5人以上、速報)は12.2時間で、前年同月比15.9%減となった。規模別にみると、500人以上規模で前年同月比13.3%減、100〜499人規模で19.4%減、30〜99人規模で同17.2%減、5〜29人規模で同11.4%減となった。
《3》 平成13年10月の労働災害による全産業の死亡者数は120人(速報)で、前年同月比13.2%増となっている。
3 勤労者家計・物価の動向
《1》 10月の勤労者世帯の実収入(速報)は、名目で前年同月比0.3%減、実質で同0.6%増となった。内訳をみると世帯主の定期収入が名目で前年同月比0.9%減、臨時収入・賞与が同19.5%減、世帯主の配偶者の収入(うち女)が同1.0%増となった。可処分所得は名目で前年同月比0.6%減、実質で同0.3%増となった。
10月の勤労者世帯の消費支出(速報)は、名目で前年同月比0.7%増、実質で同1.6%増となった。消費支出を財(商品)・サ−ビス別にみると、財(商品)は実質で前年同月比3.2%増、サ−ビスは同1.1%増となった。
10月の平均消費性向は81.5%と、前年同月差1.1%ポイントの上昇となった。
《2》 11月の総合卸売物価は、前月比0.3%下落(前年同月比0.8%下落)となった。うち国内卸売物価は、食料用農蓄水産物が上昇したが、石油・石炭製品、電気機器、化学製品等が下落したため、前月比0.2%下落(前年同月比1.4%下落)となった。
一方、輸出物価、輸入物価は、それぞれ前月比0.1%上昇(前年同月比3.3%上昇)、同1.8%下落(同1.2%下落)となった。
10月の全国消費者物価は、前年同月比0.8%下落(前月比保合い)となった。生鮮食品を除く総合は前年同月比0.7%下落(前月比0.1%下落)となった。11月の消費者物価を東京都区部速報値でみると、前年同月比1.4%下落 (前月比0.6%下落) となった。
月例労働経済報告参考表
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