〈概観〉
一般経済の概況
景気は、引き続き悪化している。
先行きについては、米国における同時多発テロ事件の世界経済への影響など、懸念が強まっている。
労働経済の概況
労働経済面をみると、雇用情勢は、依然として厳しい。完全失業率がこれまでの最高水準で推移し、求人や残業時間も弱含んでいる。
(1) 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は大幅に減少し、在庫率は高水準にある。生産は、季調済前月比で7月3.0%減の後、8月(速報)は同0.8%増(前年同月比11.7%減)となった。業種別にみると、電気機械、一般機械、窒業・土石製品、精密機械が低下したが、輸送機械、化学(除、医薬品)その他等が上昇した。出荷は、季調済前月比0.9%増(前年同月比11.3%減)となった。在庫は、季調済前月比0.1%増(前年同月比3.8%増)となった。在庫率は、季調済前月比3.1%減(前年同月比13.8%増)となった。製造工業の生産予測指数は、9月季調済前月比1.4%減の後、10月は同0.1%増を予測している。
「国内総生産」のグラフ
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「生産・出荷・在庫」のグラフ
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企業収益は、減少している。また、企業の業況判断は、製造業を中心に大幅に悪化しており、一層厳しさが増している。日本銀行「企業短期経済観測調査」(9月調査)によると、大企業の13年度上期の経常利益計画は、製造業では前年同期比30.4%の減益(12年度下期実績同24.7%の増益)、非製造業では14.8%の減益(12年度下期実績同9.4%の減益)が見込まれている。こうしたなかで、大企業の業況判断D.I.(「良い」−「悪い」)をみると、製造業はマイナス33%ポイントと「悪い」超幅が拡大し、非製造業もマイナス17%ポイントと、「悪い」超幅が拡大した。
(2) 設備投資は、減少している。前出の「企業短期経済観測調査」によれば、大企業の13年度の設備投資計画は、製造業で前年度比2.8%増、非製造業で同7.0%減、全産業では同3.1%減となっており、製造業、全産業で前回調査から下方修正されている。中小企業の設備投資計画は、製造業で前年度比17.7%減、非製造業で同13.0%減となっている。先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)の動きをみると、季節済前月比で6月6.6%減の後、7月は同1.6%減(前年同月比5.1%減)となっている。建設工事受注額(主要建設会社50社民間発注分、非住宅)は、8月は前年同月比で7.1%減となった。
住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。新設住宅着工戸数は、季調済前月比で、7月11.0%増(前年同月比1.4%増)の後、8月は同0.4%減(同1.1%増)の10万戸(年率122万戸)となった。
公共投資は、総じて低調に推移している。公共機関からの建設工事受注額は、前年同月比で6月は2.0%増の後、7月は同17.0%減となった。また、大手50社の受注額は、前年同月比で7月2.9%減の後、8月は同7.6%増となった。
(3) 個人消費は、おおむね横ばいの状態が続いているものの、このところ弱い動きがみられる。8月の全世帯の消費支出(速報)は前年同月比で名目で2.0%減、実質で1.1%減となり、平均消費性向(勤労者世帯、季調値)は、70.9%となった。8月の小売業販売額(速報)は前年同月比3.5%減、大型小売店販売額(速報、既存店)は同3.4%減となった。9月の乗用車(軽を含む)の新車登録台数(速報)は、前年同月比2.3%減となった。
(4) 輸出は、大幅に減少している。通関輸出(数量ベース、季調値)は、前月比で7月4.6%減の後、8月は同5.8%増(前年同月比12.7%減)となった。
輸入は、減少している。通関輸入(数量ベース、季調値)は、前月比で7月3.6%増の後、8月は同0.5%減(前年同月比5.9%減)となった。
(5) 雇用情勢は、依然として厳しい。完全失業率がこれまでの最高水準で推移し、求人や残業時間も弱含んでいる。8月の有効求人倍率(季調値)は、有効求人が季調済前月比2.6%減(前月同1.1%増)と2か月ぶりに減少し、有効求職者が同0.3%減(前月同1.6%増)となり、0.59倍と前月より0.01ポイント低下した。8月の雇用者数は前年同月比0.3%増(前年同月差16万人増)となった。8月の完全失業率(季調値)は、5.0%と前月と同水準となり、既往最高水準となった。完全失業者数(原数値)は336万人で前年同月差26万人増となった。
(6) 賃金、労働時間の動向をみると、8月の現金給与総額(産業計、規模5人以上、速報、以下同じ)は前年同月比3.2%減となり、実質賃金は同2.6%減となった。また、定期給与は前年同月比0.8%減となった。特別給与は前年同月比24.7%減となった。
8月の総実労働時間(産業計、規模5人以上、速報)は、前年同月比0.5%減となり、そのうち所定内労働時間は同0.3%減となった。また、製造業の所定外労働時間(規模5人以上、速報)は、前年同月比12.1%減となった。
(7) 国内卸売物価は、弱含んでいる。9月の総合卸売物価は前月比0.6%下落(前年同月比0.2%下落)となった。そのうち国内卸売物価は前月比0.2%下落、輸出物価は同2.1%下落、輸入物価は同2.6%下落となった。
消費者物価は、弱含んでいる。8月の消費者物価は、前年同月比0.7%下落(生鮮食品を除く総合同0.9%下落)、9月について東京都区部速報値でみると、前年同月比1.2%下落(生鮮食品を除く総合同1.2%下落)となった。
1 雇用、労働市場の動向
《1》 8月の労働市場をみると、有効求人が季調済前月比で1.1%増、有効求職者が同1.6%増となり、有効求人倍率(季調値)は0.59倍と前月より0.01ポイント低下した。内訳をみると、パートの有効求人倍率は1.42倍、パートを除く有効求人倍率は0.46倍(うち常用0.45倍)となった。
8月の新規求人は季調済前月比で3.8%減、前年同月比で3.9%減となり、うち、パートの新規求人は前年同月比2.0%減、パートを除く新規求人は同4.8%減となった。新規求人を産業別にみると、サービス業(前年同月比5.3%増)、運輸・通信業(同0.8%増)、卸売・小売業、飲食店(同0.7%減)、建設業(同3.9%減)、製造業(同26.7%減)となっている。一方、8月の新規求職者は季調済前月比で2.6%減、前年同月比4.2%増となり、うち、パートの新規求職者は前年同月比3.7%増、パートを除く新規求職者は同4.3%増となった。また、常用新規求職者は前年同月比4.4%増となり、うち、離職求職者(雇用保険受給資格決定件数)は同5.0%増、離職者以外の常用新規求職者(雇用保険受給資格決定以外の常用新規求職者)は同5.3%増となった。以上の結果、8月の新規求人倍率(季調値)は1.02倍(前月1.04倍)となった。
《2》 雇用者の動きを「労働力調査」でみると、8月は前年同月比0.3%増(前年同月差16万人増、うち常雇8万人減)と16か月連続で増加した。男女別には、男性は前年同月差8万人減、女性は23万人増となった。産業別にみるとサービス業で前年同月差58万人増、卸売・小売業、飲食店で同7万人増、運輸・通信業で同6万人増、製造業で同21万人減、建設業で同25万人減となった。また、「毎月勤労統計調査」で常用雇用(規模5人以上、速報)の動きをみると、8月は産業計で前年同月比0.1%減、製造業で同2.2%減となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比0.6%減、パートタイム労働者は同1.9%増となった。
8月の完全失業率(季調値)は5.0%となり、これまでの最高水準で推移した。男女別にみると、男性は5.1%(前月差0.1ポイント低下)、女性は4.8%(前月差0.1ポイント上昇)となった。
完全失業者数(原数値)は336万人で、前年同月差26万人増となった。離職理由別には、非自発的理由による離職者は103万人(前年同月差6万人増)、自発的理由による離職者は120万人(同10万人増)、他方、その他の理由による失業者は80万人(同5万人増)となった。また、世帯主の失業者は88万人(同2万人増)となった。
8月の男性の労働力率は76.1%(前年同月差0.4%ポイント低下)、女性の労働力率は49.3%(同0.3%ポイント低下)となった。
《3》 日本銀行「企業短期経済観測調査」(9月調査)によれば、全国企業(全産業)の雇用人員判断D.I.(「過剰」−「不足」)はプラス18%ポイント(6月調査プラス15%ポイント)と前回と比べ3%ポイント上昇した。内訳をみると、大企業はプラス24%ポイント(同プラス21%ポイント)、中堅企業はプラス16%ポイント(同プラス12%ポイント)、中小企業はプラス18%ポイント(同プラス15%ポイント)となり、大企業、中堅企業、中小企業ともに上昇した。産業別にみると、製造業はプラス29%ポイント(6月調査プラス24%ポイント)と前回と比べ5%ポイント上昇し、非製造業はプラス9%ポイント(同プラス8%ポイント)と前回と比べ1%ポイント上昇した。
2 賃金・労働時間・労働災害の動向
《1》 8月の現金給与総額(産業計、規模5人以上、速報、以下同じ)は305,733円で、前年同月3.2%減となった。内訳をみると、所定内給与が前年同月比0.4%減となったほか、所定外給与は同6.3%減、特別給与は同24.7%減となり、実質賃金は同2.6%減となった。
《2》 8月の総実労働時間(産業計、規模5人以上、速報)は148.9時間で、前年同月比0.5%減となった。内訳をみると、所定内労働時間は140.0時間で前年同月比0.3%減、所定外労働時間は8.9時間で同5.3%減となった。なお、月間出勤日数は19.4日と前年同月差保合いとなった。
8月の製造業の所定外労働時間(規模5人以上、速報)は11.6時間で、前年同月比12.1%減となった。規模別にみると、500人以上規模で前年同月比12.4%減、100〜499人規模で11.9%減、30〜99人規模で同11.9%減、5〜29人規模で同13.9%減となった。
《3》 平成13年8月の労働災害による全産業の死亡者数は112人(速報)で、前年同月比14.5%減となっている。
3 勤労者家計・物価の動向
《1》 8月の勤労者世帯の実収入(速報)は、名目で前年同月比2.4%減、実質で同1.5%減となった。内訳をみると世帯主の定期収入が名目で前年同月比3.1%減、臨時収入・賞与が同22.0%減、世帯主の配偶者の収入(うち女)が同7.6%減となった。可処分所得は名目で前年同月比2.4%減、実質で同1.5%減となった。
8月の勤労者世帯の消費支出(速報)は、名目で前年同月比1.7%減、実質で同0.8%減となった。消費支出を財(商品)・サ−ビス別にみると、財(商品)は実質で前年同月比0.5%増、サ−ビスは同0.1%増となった。
8月の平均消費性向は78.6%と、前年同月差0.5%ポイントの上昇となった。
《2》 9月の総合卸売物価は、前月比0.6%下落(前年同月比0.2%下落)となった。うち国内卸売物価は、非食料農林産物等が上昇したが、電気機器、食料用農畜水産物、金属製品等が下落したため、前月比0.2%下落(前年同月比1.1%下落)となった。
一方、輸出物価、輸入物価は、それぞれ前月比2.1%下落(前年同月比2.6%上昇)、同2.6%下落(同3.5%上昇)となった。
8月の全国消費者物価は、前年同月比0.7%下落(前月比0.4%上昇)となった。生鮮食品を除く総合は前年同月比0.9%下落(前月比0.1%上昇)となった。9月の消費者物価を東京都区部速報値でみると、前年同月比1.2%下落 (前月比0.2%下落) となった。
月例労働経済報告参考表
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