<調査の概要> | |
この調査は、現在、政府が推進している各種規制緩和策が、企業の事業活動や労働面にどのような影響を与えつつあるかを総合的に把握することを目的に実施したものである。 調査対象は、日本標準産業分類に基づく鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、金融・保険業、不動産業及びサービス業(ただし、その他の生活関連サービス業のうち家事サービス業を除く)の9産業(大分類)に属する民営企業で、本社事業所の常用労働者数が30人以上の4,589企業(有効回収数3,786、有効回収率 82.5%)を調査した。 調査結果は、原則として平成11年9月1日現在の状況である。 |
<調査結果の概要> [調査結果の骨子] |
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[用語の説明]
1 | 従業員 |
「一般社員」とは、調査対象企業と雇用関係にある従業員で、雇用期間に定めがなく、しかもパートタイム労働者(通常の従業員に比べて1日又は1週の所定労働時間が短い従業員をいいます)に該当しない従業員のことをいう。但し、出向により現在他企業で働いている従業員は、雇用関係にあっても除いている。 なお、本調査では、調査対象企業が労働者派遣事業を営む場合は、他社に派遣する派遣労働者も雇用関係にある者として、「一般社員」とみなしている。 「一般社員以外」とは、調査対象企業と雇用関係にある従業員で、一般社員に該当しない従業員(例えばパートタイム労働者)及び雇用関係になくても貴社で就業している従業員(人材派遣会社から受け入れている派遣労働者等)をいう。 |
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2 | 規制緩和 「規制緩和」とは、主として政府の規制緩和推進計画(平成7年度( 1995年度)〜平成9年度(1997年度))及び規制緩和推進3か年計画(平成10年度(1998年度)〜平成12年度(2000年度))にそれぞれ掲げられている個別の規制緩和措置をいう。 「規制緩和推進計画」(平成7年度(1995年度)〜平成9年度(1997年度))とは、 規制緩和は、1967年に許認可等の整理として行われて以来推進されてきているが、更に規制緩和の推進に積極的・計画的に取り組むため、1995年に「規制緩和推進計画」が策定された。 その内容は、(1)住宅・土地等、(2)情報・通信、(3)流通等、(4)運輸、(5)基準・認証・輸入等、(6)金融・証券・保険、(7)エネルギー、(8)雇用・労働、(9)公害・廃棄物・環境保全、(10)危険物・防災・保安、(11)その他の11分野、1,091事項の個別の規制緩和措置が盛り込まれている。 1996年の改定で、個別規制緩和措置に新規事項が追加されて11分野・1,797事項に、1997年の再改定では、個別事項について実施時期の前倒しや実施内容の明確化など計画の拡充が図られ、(教育分野を追加した)12分野・2,823事項になっている。 なお、この計画は、当初5か年計画の予定だったが、1997年度までの3か年計画に短縮され、1998年度からは新たな「規制緩和推進3か年計画」が策定された。 「規制緩和推進3か年計画」(平成10年度(1998年度)〜平成12年度(2000年度))とは、旧計画のうち終了しない事項や、新たな規制緩和方策を取り上げた内容となっており、平成11年3月30日に改定されている。 個別の規制緩和措置事項としては、(1)競争政策関係、(2)住宅・土地、公共工事関係、(3)情報・通信関係、(4)流通関係、(5)運輸関係、(6)基準・規格・認証・輸入関係、(7)金融・証券・保険関係、(8)エネルギー関係、(9)雇用・労働関係、(10)公害・廃棄物・環境保全関係、(11)危険物・防災・保安関係、(12)教育関係、(13)医療・福祉関係、(14)法務関係、(15)その他、の15分野、917事項が盛り込まれている。 また、個別の行政分野ごとの規制緩和事項の分野を実施するだけでなく、A.事業参入規制の見直し、B.許可、届出等の見直し、C.資格制度の見直し、D.基準・規格及び検査・検定の見直し、E.許認可等の審査・処理の迅速化・簡素化、F.許認可等の審査基準の見直し、といった横断的検討・見直しの視点で取り組むことにより、規制緩和・撤廃を一層促進する効果を発揮することをねらいとしている。 雇用・労働分野の規制緩和項目とは、おおむね以下のとおりである。なお、施行期日が明記されているものは、平成11年4月時点で、既に措置が講じられている又は講じられることが決まっている。 「民営職業紹介事業に係る規制」の緩和
女性労働者に対する時間外・休日労働の規制が解消された。 ただし、育児又は介護を行う一定の女性労働者のうち希望者については、平成11年4月1日から平成14年3月31日までの3年間、通常の労働者より短い時間外労働の限度に関する基準が適用される。 「女性労働者の深夜業の規制」の解消(平成11年4月1日施行) 女性労働者に対する深夜業の規制が解消された。 「労働契約期間に係る規制」の緩和(平成11年4月1日施行) 以下の1〜3の労働契約については、その契約期間を3年以内とすることができるようにした。 なお、これら以外の労働契約については、従来どおり有期の建設工事等一定の事業の完了に必要な期間を定めるものの外、契約期間の上限は1年である。 |
1 | 新商品、新役務若しくは新技術の開発又は科学に関する研究に必要な専門的知識、技術又は経験(以下「専門的知識等」という。)であって、高度のものとして労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する者(そのような高度の専門的知識等を有する労働者が不足している事業場においては、高度の専門的知識等を必要とする業務に新たに就く者に限る。)(※)との間に締結される労働契約 |
2 | 事業の開始、転換、拡大、縮小又は廃止のための業務であって、一定の期間内に完了することが予定されているものに必要な専門的知識等であって※高度のものとして労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する者(そのような高度の専門的知識等を有する労働者が不足している事業場において、高度の専門的知識等を必要とする業務に新たに就く者に限る。)(※)との間に締結される労働契約 |
3 | 満60歳以上の者との間に締結される労働契約 ※高度のものとして労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等とは、 次のaからeのいずれかに該当する者が有する専門的知識等をいう。 |
a | 博士の学位(外国において授与されたこれに該当する学位を含む。)を有する者、 |
b | 修士の学位(外国において授与されたこれに該当する学位を含む。)を有し、就こうとする業務に3年以上従事した経験を有する者、 |
c | 次に掲げるいずれかの資格を有する者((1)公認会計士 (2)医師(3)歯科医師 (4)獣医師 (5)弁護士 (6)一級建築士 (7)薬剤師(8)不動産鑑定士 (9)弁理士 (10)技術士 (11)社会保険労務士)、 |
d | 特許法第2条第2項に規定する特許発明を発明した者、 意匠法第2条第2項に規定する登録意匠を創作した者又は種苗法第20条第1項に規定する登録品種を育成した者であって、就こうとする業務に5年以上従事した経験を有する者、 |
e | 国、地方公共団体、公益法人などによりその有する知識、技術又は経験が優れたものであると認定されている者(前記aからdまでに掲げる者に準ずる者として労働省労働基準局長が認める者に限る。)であって、就こうとする業務に5年以上従事した経験を有する者 |
「裁量労働制に係る規制」の緩和(平成12年4月1日施行) | |
事業運営上の重要な決定が行われる事業場(※1)において、労使委員会(※2)の委員の全員の合意により決議事項(※3)を決議し、かつ、使用者がその決議を労働基準監督署長に届け出た場合に、対象労働者(※3のロ)をその事業場の対象業務(※3のイ)に就かせたときは、その決議で定めた時間(※3のハ)労働したものとみなすことができることにした。 |
※1 | 企業の事業運営に関して重要な決定が行われる事業場のことをいう。具体的には、本社、本店のほかに、常駐する役員の統括管理の下に事業運営上の重要な決定の一部を行う権限を分掌する地域本社、事業本部、地域を統括する支社・支店などをいう。 |
※2 | 労働条件に関する事項を調査審議等することを目的として、事業運営上の重要な決定が行われる事業場に設置するものをいう。当該委員会については、当該事業場の労働者を代表する者が委員の半数以上であること、設置について労働基準監督署長に届け出ていること、議事録を作成、保存するとともに、労働者に周知していること等の要件を満たす必要がある。 |
※3 | 労使委員会で決議することが必要な事項は、以下のイ〜ヘ等である。 |
イ | 企画、立案、調査及び分析の業務であって遂行手段等に関し使用者が具体的指示をしないこととする業務(対象業務) |
ロ | 対象労働者の具体的な範囲 |
ハ | 労働時間として算定される時間 |
ニ | 対象労働者の労働時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置 |
ホ | 対象労働者からの苦情の処理に関する措置 |
ヘ | 対象労働者の同意を得なければならないこと及び同意をしなかった労働者に対して不利益な取扱いをしてはならないこと なお、労働大臣は、対象業務、対象労働者の具体的範囲等について指針を告示で定めることとしている(注:当該指針は、平成11年12月27日に告示されている)。 (平成9年4月1日施行) ・裁量労働制の対象業務について6業務を追加 |
「1年単位の変形労働時間制に係る規制」の緩和(平成11年4月1日施行) 主な要件の変更は、おおむね以下のとおりである。
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1 | 労働日数の限度 対象期間が3か月を超える場合において、当該対象期間について1年当たり280日。 |
2 | 1日及び1週間の所定労働時間の限度 1日10時間、1週間52時間。 ただし、対象期間が3か月を超える場合においては、その労働時間が48時間を超える週が連続する場合の週数が3週間以下でなければならない。また、対象期間を3か月ごとに区分した各期間において、その労働時間が48時間を超える週は、当該週の初日の数で数えて3以下でなければならない。 |
3 | 連続して労働させる日数の限度 6日。 ただし、特定期間(対象期間中の特に業務が繁忙な期間として労使協定で定めた期間)においては1週間に1日の休日が確保できる日数。 ・隔日勤務に従事するタクシー運転手については、1日の労働時間の限度は16時間 ・積雪地帯で年間を通じて事業を行うことができない地域の建設業に従事する屋外労働者等については対象期間が3カ月を超える場合であっても、労働時間が48時間を超える週についての制限はない。 (平成9年4月1日施行) ・隔日勤務に従事するタクシー運転者について、1勤務日を2日の労働とみなすことにより、現行の1日の労働時間の上限の要件を満たすことができるよう措置 ・積雪地帯で年間を通じて事業を行うことができない地域の建設業に従事する屋外労働者等について、対象期間が3カ月を超える場合であっても、現行の3カ月以下の場合に認められている1月及び1週の労働時間の上限時間を適用 ・これまで、同一週内に限って認められている雨天決行等のために行わざるを得ない休日振替について、1週1日の確保ができる場合には、同一週内を超えた振替を認める。 |
「労働安全衛生関係の規制」の緩和
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[調査結果利用上の注意]
1 | この調査は、抽出率の逆数を乗じて母集団に復元したものを調査結果として表章している。 |
2 | 報告書掲載統計表の数値は、表章単位未満を四捨五入した結果である。このため、項目の和が計の数値に合わないことがある。また、四捨五入の結果、表章単位に満たない場合は、「0.0」と表示してある。 |
3 | 統計表中「―」印は該当数字のない箇所である。 |
4 | 統計表中「*」の印のついた数値は、サンプル数が少ないため利用上注意を要する。 |
5 | M.A.(Multiple Answers)の表示のある統計表は、複数回答(選択式設問に対する回答として、複数項目の選択を認める方式)の集計結果であるため、内訳の合計は100.0を超える場合がある。 |