厚生労働省発表

平成19年12月

厚生労働省大臣官房統計情報部

担当係:雇用統計課労働経済第一係

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労働経済動向調査(平成19年11月)結果の概況

I 調査の概要

この調査は、生産、販売活動及びそれに伴う雇用、労働時間などの現状と今後の短期的見通しなどを把握するため、年4回実施(通信調査方式)しているもので、本概況は平成19年11月に実施した調査の結果である。調査対象は、日本標準産業分類の建設業、製造業、情報通信業、運輸業、卸売・小売業、金融・保険業、不動産業、飲食店,宿泊業及びサービス業(他に分類されないもの)に属する事業所規模30人以上の全国の民営事業所5,664事業所である。(回答事業所数3,244、回答率57.3%)

II 結果の要旨

1 生産・売上額等、所定外労働時間、雇用

(1) 生産・売上額等《三産業の実績でプラスが続く》

生産・売上判断D.I.(平成19年7〜9月期実績)は、製造業で5ポイント、卸売・小売業で3ポイント、サービス業で2ポイントとなり、三産業ともプラスが続いている。先行きは、19年10〜12月期実績見込は、製造業では10ポイントとプラス幅が拡大し、卸売・小売業、サービス業ではマイナスに転じた。20年1〜3月期見込では、三産業でプラスとなっている。(表1、第1図

表1 生産・売上額等のD.I.

(2) 所定外労働時間《サービス業の実績でプラス幅拡大》

所定外労働時間判断D.I.(19年7〜9月期実績)は、製造業は3ポイント、卸売・小売業で2ポイント、サービス業ではプラス幅が拡大し、6ポイントとなった。先行きは、19年10〜12月期実績見込は、製造業ではプラスに転じて6ポイントとなり、卸売・小売業、サービス業ではともにマイナスに転じてそれぞれマイナス3ポイント、マイナス4ポイントとなっている。20年1〜3月期見込は製造業でプラス、卸売・小売業でマイナスとなっている。(表2、第2図

表2 所定外労働時間判断D.I.

(3) 常用雇用《製造業の実績でプラスが続く》

常用雇用判断D.I.(19年7〜9月期実績)は、製造業は8ポイントとプラスが続き、卸売・小売業ではマイナス2ポイントとマイナスとなり、サービス業では1ポイントとなった。先行きは、19年10〜12月期実績見込及び20年1〜3月期見込ともにでは各産業でプラスが続いている。(表3、第3図

表3 常用雇用判断D.I.

(4) パートタイム雇用《卸売・小売業の実績でプラスに転じた》

パートタイム雇用判断D.I.(19年7〜9月期実績)は、製造業で0ポイント、卸売・小売業で2ポイント、サービス業でマイナス1ポイントとなった。先行きは、製造業、サービス業では、19年10〜12月期実績見込及び20年1〜3月期見込ともプラスが続き、卸売・小売業では19年10〜12月期実績見込マイナス2ポイント、20年1〜3月期見込で0ポイントとなっている。(表4、第4図

表4 パートタイム雇用判断D.I.

付属統計表 第1表

2 労働者の過不足状況

(1) 常用労働者《不足感続く》

11月1日現在の常用労働者過不足判断D.I.により、雇用過不足感の動向をみると、調査産業計で25ポイントとなっており、依然として不足超過幅が大きい。

産業別にみると、運輸業、飲食店,宿泊業で不足超過幅が前期より拡大しているが、金融・保険業、サービス業では不足超過幅が前期より縮小している。(表5、第5図

表5 常用労働者の過不足状況判断

(2) パートタイム労働者《不足感続く》

11月1日現在のパートタイム労働者過不足判断D.I.により、雇用過不足感の動向をみると、調査産業計で前期と同じ24ポイントと不足超過幅は横ばいとなっており、依然として不足超過幅が大きい。

産業別にみると、運輸業で不足超過幅が前期より拡大しているが、不動産業、サービス業では不足超過幅が前期より縮小している。(表6、第5図

表6 パートタイム労働者の過不足状況判断

付属統計表 第2-1表第2-2表第3表第6図

3 雇用調整

(1) 実施割合

雇用調整を実施した事業所の割合(19年7〜9月期実績)は、調査産業計で11%と前期(13%)と比べるとやや減少している。(表7、第7図

表7 雇用調整の時期別実施事業所割合

(2) 実施方法

雇用調整の実施方法は、調査産業計では残業規制(5%)の割合が高く、次いで配置転換(4%)、休日の振替、夏季休暇等の休日・休暇の増加(3%)の順となっている。(表8)

表8 雇用調整方法別実施事業所割合

付属統計表 第4表

4 中途採用《増加している》

「中途採用あり」とした事業所割合(19年7〜9月期実績)は、調査産業計で62%と前年同期(18年7〜9月期実績)と比べると増加している。

産業別にみると、サービス業を除いて増加しており、特に情報通信業、運輸業、不動産業での増加幅が大きい。(表9、第8図

表9 中途採用の時期別実施事業所割合

注:()は前年同期の数値である。

付属統計表 第5表

5 事業の見直しと雇用面での対応

(1) 事業の見直し実施状況《実施事業所割合は横ばい》

過去1年間に事業の見直し(拡大・縮小・合理化等)を実施した事業所割合は、調査産業計で前年と同じ21%と横ばいとなっている。産業別にみると、金融・保険業、不動産業、サービス業で増加している。

今後1年間に事業の見直しを実施する予定の事業所割合は調査産業計で19%となっている。(表10)

表10 事業の見直しの実施事業所割合

注:()は前年11月調査結果の数値である。

(2) 事業の見直し方法《「新規部門(市場)への進出」、「製品・サービスの生産・提供システムの見直し」の割合が高い》

過去1年間に実施した事業の見直し方法(複数回答)は、調査産業計では「新規部門(市場)への進出」(5%)、「製品・サービスの生産・提供システムの見直し」(5%)、「製品・サービスの高付加価値化」(4%)の割合が高くなっている。

今後1年間に実施予定の事業の見直し方法(複数回答)は、調査産業計では「新規部門(市場)への進出」(5%)、「製品・サービスの高付加価値化」(5%)の割合が高くなっている。(表11)

表11 事業見直し方法別事業所割合(調査産業計)

注:()は前年11月調査結果の数値である。

(3) 事業の見直しに伴う雇用面での対応方法《「中途採用の実施・拡大」、「配置転換」の割合が高い》

過去1年間に実施した事業の見直しに伴う雇用面での対応方法(複数回答)は、調査産業計では「中途採用の実施・拡大」(9%)、「配置転換」(6%)、「新規学卒採用の拡大」(5%)、「教育訓練の充実・拡大等、社内人材の育成」(5%)の割合が高くなっている。」(第9図

今後1年間に実施予定の事業の見直しに伴う雇用面での対応方法(複数回答)は、調査産業計では「中途採用の実施・拡大」(8%)、「新規学卒採用の拡大」(7%)、「教育訓練の充実・拡大等、社内人材の育成」(7%)、「配置転換」(6%)の割合が高くなっている。(表12)

表12 事業見直しに伴う雇用面での対応方法別事業所割合(調査産業計)

注:()は前年11月の調査結果の数値である。

付属統計表 第6表第7表第8表

主な用語の説明

〔労働者〕

常    用 ……………雇用期間を定めないで雇用されている者をいい、パートタイムは除く。なお、派遣労働者は含まない。

臨時・季節 ……………1ヵ月以上の期間を定めて雇用されている者及び期間を限って季節的に働いている者をいい、パートタイムは除く。

パートタイム…………1日の所定労働時間又は1週間の所定労働日数が当該事業所の一般労働者のそれより短い者をいう。

派遣労働者……………労働者派遣法に基づいて他社(派遣元事業所)から当該事業所に派遣されている者をいう。

〔職 種〕

管   理 ………課以上の組織の管理に従事する者をいう。

事   務 ………課長等管理職の指導、監督を受けて事務に従事する者をいう。

専門・技術………高度の専門的知識を応用し、技術的な業務、研究等に従事する者をいう。

販   売 ………商品、証券などの売買・営業、保険外交などに従事する者をいう。

サービス ………調理・接客・給仕など個人に対するサービスの仕事に従事する者をいう。

運輸・通信………鉄道、自動車、通信電話交換などで運転、操作に従事する者及び車掌、電話交換手などをいう。

技 能 工………原材料の加工、各種機械器具の組み立て、修理、印刷、製本、建設作業などに従事する者のうち高度の熟練、判断力、責任を要する作業を行う者をいう。

単 純 工………上記「技能工」と同じ作業に従事しているが、技能などの修得を要しない簡単な作業、単純な筋肉労働に従事する者をいう。

利用上の注意

1  この調査で「サービス業」とは、「サービス業(他に分類されないもの)」を指している。

2  表10、表11、表12、付属統計表の第6表、第7表、第8表は、該当集計項目に回答していない事業所も含む回答事業所すべてについて集計した結果であり、その他の表やグラフは該当集計項目に回答していない事業所を除いて集計したものである。

3   「生産・売上額等判断D.I.」、「所定外労働時間判断D.I.」及び「雇用判断D.I.」とは、前期と比べて増加と回答した事業所の割合から減少と回答した事業所の割合を差し引いた値である。

4  上記判断D.I.の季節調整は、センサス局法X-12-ARIMAのなかのX-11デフォルトによる。

5  「労働者過不足判断D.I.」とは、不足と回答した事業所の割合から過剰と回答した事業所の割合を差し引いた値である。

6  統計表に用いている数値は、「0」は単位未満の割合を示し、「−」は調査客体がないものを示す。

7  この調査における特定の属性をもつ事業所割合は、当該属性をもつ事業所数を、その事業所の常用労働者により加重平均したものを推計したものであり、実質的には、常用労働者のうち当該属性をもつ事業所で働く者の割合に相当する。


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