厚生労働省発表 平成14年9月 |
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I 調査の概要
この調査は、生産、販売活動及びそれに伴う雇用、労働時間などの現状と今後の短期的見通しなどを把握するため、全国の建設業、製造業、運輸・通信業、卸売・小売業, 飲食店、金融・保険業、不動産業及びサービス業に属する常用労働者30人以上を雇用する民営事業所5,358事業所を対象として、年4回実施(通信調査方式)しているもので、平成14年8月1日現在の調査結果である(回答事業所数3,252、回答率61%)。 |
II 結果の要旨
1 生産・売上、所定外労働時間、雇用
(1)生産・売上《製造業の実績がプラスに転じた・先行きはマイナス》
生産・売上判断D.I.(平成14年4〜6月期実績)は、製造業でプラス6ポイントとプラスに転じ、卸売・小売業,飲食店でマイナス1ポイント及びサービス業でマイナス15ポイントと卸売・小売業,飲食店でマイナス幅は縮小、サービス業でマイナス幅は拡大した。先行きは、14年7〜9月期実績見込、14年10〜12月期見込は3産業ともマイナスとなっている(表1、第1図)。 |
(2)所定外労働時間《製造業の実績がプラスに転じた・先行きはマイナス》
所定外労働時間判断D.I.(14年4〜6月期実績)は、製造業でプラス9ポイントとプラスに転じ、卸売・小売業,飲食店及びサービス業でそれぞれマイナス4ポイントとなり、サービス業でマイナスに転じた。先行きは、14年7〜9月期実績見込及び14年10〜12月期見込は3産業ともマイナスとなっている(表2、第2図)。 |
(3)常用雇用《3産業の実績においてマイナス幅拡大》
常用雇用判断D.I.(14年4〜6月期実績)は、製造業でマイナス32ポイント、卸売・小売業,飲食店でマイナス31ポイント及びサービス業でマイナス13ポイントと3産業ともマイナス幅は拡大した。先行きは、14年7〜9月期実績見込、14年10〜12月期見込とも3産業でマイナスとなっているが、その幅は縮小している(表3、第3図)。 |
(4)パートタイム雇用《製造業の実績においてマイナス幅縮小》
パートタイム雇用判断D.I.(14年4〜6月期実績)は、製造業でマイナス6ポイント、卸売・小売業,飲食店及びサービス業でそれぞれ0ポイントとなり、製造業でマイナス幅は縮小した。先行きは、14年7〜9月期実績見込は製造業及びサービス業でマイナスとなり、卸売・小売業,飲食店でプラスとなっている。14年10〜12月期見込は3産業ともマイナスとなっている(表4、第4図)。 |
2 労働者の過不足状況
(1)常用労働者《過剰感さらに弱まる》
8月現在の常用労働者過不足判断D.I.により、雇用過剰感の動向をみると、調査産業計ではマイナス9ポイントと前期(マイナス13ポイント)及び前々期(マイナス15ポイント)と比べると過剰感がさらに弱まっている。産業別にみると、運輸・通信業では不足感が強まり、建設業、製造業、不動産業及びサービス業では過剰感が弱まっている。なお、金融・保険業では不足感が弱まっている(表5、第5図)。 |
(2)パートタイム労働者《不足感は横ばい》
8月現在のパートタイム労働者過不足判断D.I.により、雇用過剰感の動向をみると調査産業計ではプラス5ポイントと前期(プラス5ポイント)と比べると不足感は横ばいとなっている。 産業別にみると、運輸・通信業では不足感が強まり、建設業では過剰感が弱まっている。なお、卸売・小売業,飲食店及び金融・保険業では不足感が弱まっている(表6)。 |
3 雇用調整
(1)実施割合《実績はやや低下》
雇用調整を実施した事業所の割合(14年4〜6月期実績)は、調査産業計で27%と前期(31%)と比べると4ポイント低下した。産業別には、不動産業を除くすべての産業で低下した(表7、第8図)。 |
(2)実施方法
雇用調整の実施方法は、調査産業計では残業規制(13%)の割合が高く、次いで配置転換(8%)、出向(6%)及び中途採用の削減・停止(5%)となっている(表8、第10図)。 |
4 中途採用《ほぼ変わらず》
「中途採用あり」とした事業所割合(14年4〜6月期実績)は、調査産業計で46%と前年同期(13年4〜6月期実績)と比べると1ポイント上昇となっている(表9)。 |
注:( )内は前年同期の割合である。 |
5 労働者数の変動状況
(1)1年前との変動状況《すべての産業で減少が増加を上回る》
現在の労働者数が1年前とどのように変わったかを事業所割合でみると、常用労働者ではすべての産業で「減少した」とする割合が「増加した」とする割合を上回った。一方、現在受け入れている派遣労働者数でみると、調査産業計では「増加した」とする割合が「減少した」とする割合はほぼ同じとなっている。また、産業別では建設業を除く他の産業で「増加した」とする割合が「減少した」とする割合を上回っているかほぼ同じとなっている(表10)。 |
(2)1年後の変動状況《すべての産業で減少が増加を上回る》
現在の労働者数が1年後どのように変わるかを事業所割合でみると、常用労働者ではすべての産業で「減少する」と見込む割合が、「増加する」と見込む割合を上回っている。また、現在受け入れている派遣労働者数でみると、調査産業計で「減少する」と見込む割合が、「増加する」と見込む割合を上回っている(表11)。 |
参考:主な用語の説明
〔労働者〕 | ||
常用 | …… | 雇用期間を定めないで雇用されている者をいい、パートタイムは除く。なお、派遣労働者は含まれない。 |
臨時・季節 | …… | 1ヵ月以上の期間を定めて雇用されている者及び期間を限って季節的に働いている者をいい、パートタイムは除く。 |
パートタイム | …… | 1日の所定労働時間又は1週間の所定労働日数が当該事業所の一般労働者のそれより短い者をいう。 |
派遣労働者 | …… | 労働者派遣法に基づく他社(派遣元事業主)からの派遣を受けた労働者をいう。 |
〔職種〕 | ||
管理 | …… | 課以上の組織の管理に従事する者をいう。 |
事務 | …… | 課長等管理職の指導、監督をうけて事務に従事する者をいう。 |
専門・技術 | …… | 高度の専門知識を応用し、技術的な業務、研究等に従事する者をいう。 |
販売 | …… | 商品、証券などの売買、保険外交などに従事する者をいう。 |
サービス | …… | 主に個人に対するサービスの仕事をいう。 |
運輸・通信 | …… | 鉄道、自動車、通信電話交換などで運転、操作に従事する者及び車掌、電話交換手などをいう。 |
技能工 | …… | 原材料の加工、各種機械器具の組み立て、修理、印刷、製本、建設作業などに従事する者のうち高度の熟練、判断力、責任を要する作業を行う者をいう。 |
単純工 | …… | 上記「技能工」と同じ作業に従事しているが、技能などの修得を要しない簡単な作業、単純な筋肉労働に従事する者をいう。 |
(注) | 1 | 平成11年2月の調査から、調査対象産業を従来の5産業に金融・保険業、不動産業を追加し7産業とした。 |
2 | 「生産・売上判断D.I.」、「所定外労働時間判断D.I.」及び「雇用判断D.I.」とは、前期と比べて増加と回答した事業所の割合から減少と回答した事業所の割合を差し引いた値(センサス局法X-12-ARIMAのなかのX-11デフォルトによる季節調整値)である。また、季節調整値は、毎年5月結果発表時に、過去に遡って改訂する。 | |
3 | 「労働者過不足判断D.I.」とは、不足と回答した事業所の割合から過剰と回答した事業所の割合を差し引いた値である。 | |
4 | 統計表に用いている数値は、「0」は単位未満の割合を示し、「−」は調査客体がないものを示す。 | |
5 | 本調査の結果は、厚生労働省のwebページ(https://www.mhlw.go.jp/)に掲載されている。 |