結果の概要

 若年正社員の状況

 平成17年10月1日現在で在籍する正社員に占める若年正社員(30歳未満の正社員)の割合は、22.1%(男が14.9%、女が7.2%)となっている。
 産業別にみると、「教育,学習支援業」(33.9%)、「飲食店,宿泊業」(32.7%)が正社員の占める割合が高く、「運輸業」(12.5%)、「鉱業」(13.3%)で低くなっている。
 男女別の正社員の割合をみると、男は79.1%、女は20.9%と男の方が多くなっているが、正社員に占める若年正社員の割合では、男は18.9%、女は34.5%となって女の方が高くなっている。
 産業別にみると、特に「教育,学習支援業」(18.8%、53.6%)、「金融・保険業」(14.8%、47.1%)では女の若年正社員割合、及び女の正社員に占める若年正社員の割合ともに高くなっている。(表1)

表1 在籍する正社員に占める若年正社員の割合
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 直近1年間(平成16年10月〜平成17年9月)における若年正社員の採用状況

 (1)産業・企業規模別の採用状況
 直近1年間の若年正社員の採用状況についてみると「採用あり」は64.2%、「採用なし」は35.8%となっている。
 産業別にみると、「情報通信業」(84.1%)、「金融・保険業」(70.0%)、「医療,福祉」 (69.5%)、「製造業」(69.1%)で若年正社員の「採用あり」の割合が高くなっている。男女別にみると、男は56.0%、女は37.6%であり、男女ともに「情報通信業」(78.6%、65.0%)が最も高くなっている。また、「医療,福祉」、「金融・保険業」、「教育,学習支援業」については女が男より多くなっている。
 企業規模別にみると、規模が大きくなるほど若年正社員を採用する企業割合が高くなっている。(表2、図1)

表2 若年正社員の採用有無別の企業割合
図


図1 若年正社員の採用ありの企業割合(産業・企業規模別)
図



 (2)職種別の採用状況
 企業が採用した若年正社員の採用者数を職種別にみると、「専門・技術職」は21.7%、「管理・事務職」は23.6%、「現業職」は54.7%となっている。「専門・技術職」は「情報通信業」(67.8%)で、「管理・事務職」は「金融・保険業」(66.5%)で、「現業職」は「飲食店,宿泊業」(86.2%)、「運輸業」(71.7%)で採用割合が高くなっている。(表3)

 (3)採用区分別の採用状況
 企業が採用した若年正社員の採用者数を採用区分別にみると、新規学卒者の学歴別では「中学・高校卒」は17.3%、「専修学校(専門課程)」は6.0%、「高専・短大卒」は5.4%、「大学・大学院卒」は32.1%になっている。一方「中途採用者」は39.2%となっている。
 産業別にみると、「金融・保険業」(64.3%)、「情報通信業」(55.4%)で「大学・大学院卒」が高くなっている。一方、「中途採用者」は「運輸業」(59.1%)、「サービス業」(54.3%)で高くなっている。
 また、企業規模別にみると、規模が大きくなるほど「大学・大学院卒」が高くなっている。(表3)

表3 職種、採用区分別若年正社員の採用者数の割合

図



 過去3年間(平成14年10月〜平成17年9月)の若年労働者の採用実績の変化と問題点

 (1)若年正社員の採用実績
 若年正社員の過去3年間の採用実績がそれ以前の3年間(平成11年10月〜平成14年9月、以下同じ)と比べてどのように変わったかをみると、若年正社員の採用実績が「増えた」は26.0%、「ほぼ同じ」は37.5%、「減った」は26.5%、「6年間採用していない」は8.7%となっている。
 産業別にみると、「医療,福祉」(39.8%)、「金融・保険業」(34.2%)、「不動産業」(33.0%)、「製造業」(31.1%)、「情報通信業」(30.1%)で若年正社員の採用実績が「増えた」が高くなっている。(表4−1)

 (2)若年非正社員(30歳未満で正社員以外の者)の採用実績
 若年非正社員の過去3年間の採用実績がそれ以前の3年間と比べてどのように変わったかをみると、若年非正社員の採用実績が「増えた」は17.1%、「ほぼ同じ」は31.2%、「減った」は19.3%、「6年間採用していない」は21.8%となっている。
 産業別にみると、「医療,福祉」(35.2%)、「金融・保険業」(30.6%)で若年非正社員の採用実績が「増えた」が高くなっている。また、企業規模別にみると、規模が大きくなるほど若年非正社員の採用実績が「増えた」が高くなっている。(表4−1)
 若年非正社員の採用実績を若年正社員の採用実績別にみてみると、若年正社員の採用実績と若年非正社員の採用実績とが連動している傾向がみられる(表4−2)。

表4−1 若年正社員・若年非正社員の過去3年間の採用実績の変化別企業割合
図


表4−2 若年正社員・若年非正社員の過去3年間の採用実績の変化別企業割合
図



 (3)若年正社員の採用実績により現在生じている問題点および今後予想される問題点
 現在および今後の問題点について、若年正社員の採用実績が「増えた」企業についてみると、「特に問題点はない」が「現在」は62.3%、「今後」は59.9%となっている。「現在」と「今後」の問題点として「技能の伝承に懸念がある」(22.2%、25.3%)がそれぞれ最も多くなっている。
 一方、採用実績が「減った」企業では、「特に問題点はない」は「現在」は46.0%、「今後」は36.4%となっている。「現在」生じている問題点についてみると、「社員の熱意・活気が低下する」(22.0%)、「技能の伝承に懸念がある」(21.5%)が多くなっており、「今後」予想される問題点としても「社員の熱意・活気が低下する」(27.9%)が最も多くなっており、「現在」と同様の傾向となっている。
 特に製造業については、若年正社員の採用実績にかかわらず、「現在」「今後」とも「技能の伝承に懸念がある」が最も多くなっており、産業計と比べても高くなっている。(表5)

表5 若年正社員の採用実績により現在生じている問題点および今後予想される問題別企業割合

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 若年労働者の今後の採用方針

 (1)若年正社員
 今後3年間(平成17年10月〜平成20年9月、以下同じ)の若年正社員の採用方針について、過去3年間(平成14年10月〜平成17年9月、以下同じ)の実績に比べてどのようにするかについてみると、「増やす」は36.4%、「ほぼ同じ」は43.8%、「減らす」は6.1%、「採用しない」は13.3%となっている。
 産業別にみると、「運輸業」(42.0%)、「金融・保険業」(41.3%)、製造業(39.3%)で「増やす」が高くなっている。(表6)
 若年正社員の採用を増やす理由(複数回答)については、「企業の将来を考え、若年正社員を育成し、技術者等を養成するため」(71.5%)が7割を超えて最も多く、次いで「企業全体の年齢構成のゆがみを是正する、若返りを図るため」(54.0%)、「社内に若年者の新しい感性・創造性等を取り入れるため」(41.2%)が多くなっている(表7)。

表6 若年正社員の今後3年間の採用方針別企業割合
図


表7 若年正社員の採用を増やす理由別企業割合
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 (2)若年非正社員
 今後3年間の若年非正社員の採用方針については、「増やす」は19.4%、「ほぼ同じ」は31.2%、「減らす」は3.5%、「採用しない」は18.8%、「わからない」は20.7%となっている。
 産業別にみると、「医療,福祉」(25.8%)、「サービス業」(24.6%)、「飲食店,宿泊業」(24.0%)で「増やす」が高くなっている。(表8)

表8 若年非正社員の今後3年間の採用方針別企業割合
図



 若年正社員の定着状況

 3年前と比べて若年正社員の定着率がどのように変化しているかについてみると、「向上している」が9.3%、「やや向上している」が16.5%、「ほぼ横ばいである」が56.5%、「やや低下している」が10.8%、「低下している」が4.9%となっている。D.I.(「向上している企業の割合」−「低下している企業の割合」)でみると、企業規模が大きくなるほどD.I.が小さく、5,000人以上では特にD.I.はマイナスとなっている。(表9)
 若年正社員の定着に役立っている施策(複数回答)についてみると、「本人の能力・適性に合った配置」(48.5%)、「職場での意思疎通の向上」(36.8%)、「教育訓練の実施・援助」(33.5%)が多くなっている。特に「教育訓練の実施・援助」、「職場での意思疎通の向上」は企業規模が大きくなるほど役立っているとする企業の割合が高くなっている。(表10)

表9 若年正社員の定着率の変化別企業割合
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表10 若年正社員の定着に役立っている施策別企業割合
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 若年正社員の主な育成方針

 若年正社員の主な育成方針についてみると、「長期的な教育訓練等で人材を育成」が37.8%、「短期的に研修等で人材を育成」が33.5%、「特別な研修等は行わず、社員自身に任せる」が25.8%となっている。
 産業別にみると、「電気・ガス・熱供給・水道業」(57.9%)、「金融・保険業」(55.0%)で「長期的な教育訓練等で人材を育成」が高く、「情報通信業」(43.6%)で「短期的に研修等で人材を育成」が高くなっている。また、企業規模別にみると、企業規模が大きくなるほど「長期的な教育訓練等で人材を育成」を実施する割合が高くなっている。(表11)

表11 若年正社員の主な育成方針別企業割合
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 若年正社員の仕事の変化

 3年前と比べた若年正社員の仕事の変化をみると、「担当する仕事量」、「担当する仕事の範囲」、「担当する仕事の質」、「担当する仕事の責任度」とも「変わらない」が5割程度で、最も多くなっている(表12)。

表12 若年正社員の仕事の変化別企業割合
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 若年正社員に望むことや身につけて欲しい能力

 若年正社員に望むことや身につけて欲しい能力(3つまでの複数回答)についてみると、「職業意識・勤労意欲」(49.0%)、「チャレンジ精神・向上心」(40.4%)、「マナー・社会常識・一般教養」(39.4%)が多くなっている(図2、表13)。
 企業規模別にみると、規模が大きくなるほど「コミュニケーション能力」を挙げる企業割合が高くなっている(表13)。

図2 若年正社員に望むことや身につけて欲しい能力別企業割合
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表13 若年正社員に望むことや身につけて欲しい能力別企業割合
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 若年者の受け入れについて

 若年者の受け入れのために企業が「実施中」のものをみると、「インターンシップの受け入れ」は17.2%、「トライアル雇用(試行的雇用)の受け入れ」は10.3%、「非正社員から正社員への登用」は33.3%、「紹介予定派遣の受け入れ」は10.8%となっている。
 「実施中」と「今後予定・検討中」を合わせたものでみると、「非正社員から正社員への登用」が5割を超えて高くなっている。企業規模別にみると、「トライアル雇用(試行的雇用)の受け入れ」以外の若年者の受け入れについては、概ね規模が大きいほど高くなっている。(表14−1、表14−2)

表14−1 若年者の受け入れ別企業割合
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表14−2 企業規模、若年者の受け入れ別企業割合
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0 学校、行政等に対する要望

 学校、行政等に対する要望(複数回答)についてみると、「学校などでの職業教育、職業観教育」(36.2%)、「求人・求職情報の充実、提供」(26.5%)が多くなっている。特に「学校などでの職業教育、職業観教育」は企業規模5,000人以上では5割を超えて多くなっている。(表15)

表15 学校、行政等に対する要望別企業割合
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