一般職業紹介状況の季節調整法について


 採用した季節調整法
 (1) 一般職業紹介状況の季節調整法
 米国商務省センサス局で開発された、センサス局法II(X-12-ARIMA)を用いて季節調整を行っている。
 (2) オプションの選択
 センサス局法II(X-12-ARIMA)を適用する際には、カレンダー要因等の説明変数、閏年調整の方法、RegARIMAモデルのパラメータ、予測値の算定期間等のオプションをあらかじめ決定しておく必要があるが、一般職業紹介状況の季節調整を行う際に使用するオプションについては、以下のとおりとしている。

  新規求職申込件数 新規求人数 有効求職者数 有効求人数 就職件数
カレンダー要因説明変数 JpDays JpDays JpDays JpDays JpDays
閏年調整オプション Rescale Rescale 行わない 行わない Rescale
ARIMAモデルパラメータ
(p,d,q)(P,D,Q)
(2,1,0)(0,1,1) (0,1,6)(0,1,1) (2,1,0)(0,1,1) (5,1,0)(0,1,1) (0,1,2)(0,1,1)
回帰期間 10年 10年 10年 10年 10年
計算期間 全期間 全期間 全期間 全期間 全期間
予測期間 42か月 0か月 42か月 0か月 42か月
レベルシフト 1975年4月 1975年4月 1975年4月 1975年4月 1975年4月
注1) カレンダー要因説明変数JpDaysは次の8つの説明変数を指す。
  DJpMon=祝祭日等でない月曜日の数−日曜日の数−定数
DJpTue=祝祭日等でない火曜日の数−日曜日の数−定数
DJpWed=祝祭日等でない水曜日の数−日曜日の数−定数
DJpThu=祝祭日等でない木曜日の数−日曜日の数−定数
DJpFri=祝祭日等でない金曜日の数−日曜日の数−定数
DJpSat=祝祭日等でない土曜日の数−日曜日の数−定数
DJpHS=土曜日と重なる祝祭日等の数−日曜日の数−定数
DJpHnotSS=土日と重ならない祝祭日等の数−日曜日の数−定数
 各定数は、各説明変数の2007年1月〜2034年12月の平均値が0になるよう定める。ここでいう祝祭日等とは、祝日、振替休日、国民の休日、年末年始(12月29日〜1月3日)及び特別の休日(大喪の礼挙行日等)である。
注2) 閏年調整オプションRescaleは、RegARIMAモデルを適用する前に、原系列に次の変換を行うものである。
 図 (閏年の2月)
 (閏年以外の2月)
 (2月以外)
注3) 「回帰期間」については、下記の2を参照のこと。
注4) 「計算期間」とは、季節調整値の計算を行う際に使用するデータの期間を指し、「全期間」とは、存在するすべてのデータを用いること意味する。
注5) 「予測期間」とは、季節調整値の計算を行う前に、RegARIMAモデルを用いて、未来及び過去方向に予測値を計算する期間を指し、「0か月」とある場合は、予測値を計算しないことを意味する。
注6) RegARIMAモデルによる回帰分析において、カレンダー要因説明変数の他に、1975年3月以前は-1、1975年4月以降は0をとるダミー変数を説明変数に加えている。なお、カレンダー要因説明変数により説明される部分は、最終的には季節要素に含まれることとなるが、このダミー変数により説明される部分は、季節要素には含めず、季節調整値に反映されることとなる。
注7) センサス局法II(X-12-ARIMA)を適用する際のX-11パートのオプションについては、X-12-ARIMAの標準オプションを用いる。
注8) 全国分の系列と都道府県別の系列は同じオプションを用いて季節調整値を計算している。なお、就職件数については全国分のみ季節調整値を計算している。

 季節調整値再計算時の遡及改訂について
  カレンダー要因の影響力の変化等を適切に反映するため、カレンダー要因の推計を行う回帰期間を10年間に限定し、次の方針により、各年の季節調整値を計算している。
  (1) 1963年〜1968年までの季節調整値については、1963年〜1972年を回帰期間として季節調整値を計算する。(データの開始年が1963年以外の系列については、当該開始年から6年間の季節調整値を最初の10年間を回帰期間として計算する。)
  (2) 1969年以降(開始年が1963年以外の系列については、開始年から数えて7年目以降)の季節調整値については、当該年と当該年の前5年及び当該年の後4年の計10年間を回帰期間として季節調整値を計算する。
  (3) 当該年の後4年のデータがすべてそろっていない年の季節調整値については、直近の10年間を回帰期間として季節調整値を計算し、後4年のデータが揃うまで、毎年季調替えの時に季節調整値の改訂を行う。
  (4) 翌年の予測季節要素は、直近の10年間を回帰期間として算出する。

 求人倍率の季節調整値について
 (1) 求人倍率の季節調整値は、求人数の季節調整値を求職者数の季節調整値で除して算出する。
 (2) 四半期ごとの求人倍率の季節調整値は、求人数の季節調整値を四半期ごとに合計した値を、求職者数の季節調整値を四半期ごとに合計した値で除して算出する。
 (3) 地域別の求人倍率の季節調整値は、求人数の季節調整値を地域ごとに合計した値を、求職者数の季節調整値を地域ごとに合計した値で除して算出する。

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