労働経済動向調査   労働統計一覧

厚生労働省発表
平成13年3月
担当 厚生労働省大臣官房統計情報部
 雇用統計課長  水谷  豊
 同課長補佐    金野 眞三
電話 03(5253)1111 内線5667、5249
夜間直通  03(3502)6729

・常用労働者雇用過剰感の改善は足踏み
・平成13年新規学卒者の「採用予定あり」事業所割合は前年を上回る
(専修学校卒を除く)

労働経済動向調査(平成13年2月)結果速報

 調査の概要
 この調査は、生産、販売活動及びそれに伴う雇用、労働時間などの現状と今後の短期的見通しなどを把握するため、全国の建設業、製造業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、金融・保険業、不動産業及びサービス業に属する常用労働者30人以上を雇用する民営事業所5,342事業所を対象として、年4回実施(通信調査方式)しているもので、平成13年2月1日現在の調査結果である。(回答事業所数2,884、回答率54%)

(注) 平成11年2月の調査から、調査対象産業を従来の5産業に金融・保険業、不動産業を追加し7産業とした。
 「生産・売上判断D.I.」、「所定外労働時間判断D.I.」、「雇用判断D.I.」とは、前期と比べて増加と回答した事業所の割合から減少と回答した事業所の割合を差し引いた値(センサス局法X-12-ARIMAのなかのX-11デフォルトによる季節調整値)。また、季節調整値は毎年5月結果発表時に、過去に遡って改訂する。
 「労働者過不足判断D.I.」とは、不足と回答した事業所の割合から過剰と回答した事業所の割合を差し引いた値である。
 統計表に用いている数値は、「0」は単位未満の比率を示し、「−」は調査客体がないものを示す。

II 調査結果
【 骨子 】
1 生産・売上

 生産・売上判断D.I.(平成12年10〜12月期実績)は、製造業でプラス5ポイントと前期に引き続きプラスとなったがプラス幅は縮小、卸売・小売業,飲食店でプラス2ポイント、サービス業でマイナス3ポイントとなった。また、13年1〜3月期実績見込は製造業でマイナスとなり、卸売・小売業,飲食店、サービス業でプラスとなっている。13年4〜6月期見込は3産業ともマイナスとなっている(第1図第1表)。
2 所定外労働時間

 所定外労働時間判断D.I.(12年10〜12月期実績)は、製造業でプラス7ポイントと前期に引き続きプラスとなったがプラス幅は縮小、卸売・小売業,飲食店でマイナス1ポイント、サービス業でプラス6ポイントとなった。また、13年1〜3月期実績見込、13年4〜6月期見込で3産業ともマイナスとなっている(第2図第1表)。
3 雇用

 常用雇用判断D.I.(12年10〜12月期実績)は、3産業とも前期に引き続きマイナスとなったが、卸売・小売業,飲食店、サービス業でマイナス幅は減少している。また、13年1〜3月期実績見込、13年4〜6月期見込で3産業ともマイナスとなっている(第3図第1表)。
4 労働者の過不足状況

 2月現在の常用労働者過不足判断D.I.により、企業の雇用過剰感の動向をみると、調査産業計ではマイナス4ポイントと前期(マイナス2ポイント)と比べると、過剰感の改善に足踏みがみられる(第5図第2−1表)。
 職種別にみると、「管理」、「事務」でなお過剰感はあるものの、その程度は弱まっている(第7図第2−2表)。
5 雇用調整

 雇用調整を実施した事業所の割合(12年10〜12月期実績)は21%と、前期と比べ1ポイント上昇した。産業別にみると、製造業、運輸・通信業及びサービス業で上昇した。
 雇用調整の実施方法は、調査産業計では「残業規制」(11%)の割合が最も高く、次いで「配置転換」(7%)、「出向」(5%)の割合が高かった。
 今後の雇用調整実施予定事業所割合は、13年1〜3月期は24%、13年4〜6月期は22%となっている(第8図第10図第4表)。
6 中途採用

 「中途採用あり」とした事業所割合(12年10〜12月期実績)は、調査産業計は46%と前年同期(11年10〜12月期実績)と比べると4ポイントの上昇となった(第5表)。
7 平成13年新規学卒者の採用予定状況

 平成13年新規学卒者の「採用予定あり」の事業所割合を、前年と比べると、調査産業計では、「専修学校卒」を除く学歴で前年を上回っている(第11図第6表)。


 
 生産・売上、所定外労働時間、雇用
(1) 生産・売上
 製造業の生産判断D.I.は、12年10〜12月期実績プラス5ポイントと前期に引き続きプラスとなったがプラス幅は縮小した。先行きは、13年1〜3月期実績見込マイナス14ポイント、13年4〜6月期見込マイナス1ポイントとなっている(第1図第1表)。
 卸売・小売業,飲食店の売上判断D.I.は、12年10〜12月期実績プラス2ポイントとなった。先行きは、13年1〜3月期実績見込プラス2ポイント、13年4〜6月期見込マイナス2ポイントとなった(第1図第1表)。
 サービス業の売上判断D.I.は、12年10〜12月期実績マイナス3ポイントとなった。先行きは、13年1〜3月期実績見込プラス1ポイント、13年4〜6月期見込マイナス5ポイントとなっている(第1図第1表)。
 製造業について業種別にみると、12年10〜12月期実績は消費関連業種でプラス1ポイント、素材関連業種で0ポイント、機械関連業種でプラス11ポイントとなった。先行きは、消費関連業種で13年1〜3月期実績見込マイナス12ポイント、13年4〜6月期見込0ポイント、素材関連業種で13年1〜3月期実績見込マイナス10ポイント、13年4〜6月期見込プラス2ポイント、機械関連業種で13年1〜3月期実績見込マイナス15ポイント、13年4〜6月期見込マイナス3ポイントとなっている(第1表)。
(2) 所定外労働時間
 製造業の所定外労働時間判断D.I.は、12年10〜12月期実績プラス7ポイントと前期に引き続きプラスとなったがプラス幅は縮小した。先行きは、13年1〜3月期実績見込マイナス8ポイント、13年4〜6月期見込マイナス4ポイントとなっている(第2図第1表)。
 卸売・小売業,飲食店の所定外労働時間判断D.I.は、12年10〜12月期実績マイナス1ポイントとなった。先行きは、13年1〜3月期実績見込マイナス1ポイント、13年4〜6月期見込マイナス9ポイントとなっている(第2図第1表)。
 サービス業の所定外労働時間判断D.I.は、12年10〜12月期実績プラス6ポイントと前期に引き続きプラスとなった。先行きは、13年1〜3月期実績見込マイナス1ポイント、13年4〜6月期見込マイナス4ポイントとなっている(第2図第1表)。
(3) 雇用
(a) 常用雇用
 製造業の常用雇用判断D.I.は、12年10〜12月期実績マイナス11ポイントと前期に引き続きマイナスとなったがマイナス幅は拡大した。先行きは、13年1〜3月期実績見込マイナス8ポイント、13年4〜6月期見込マイナス15ポイントとなっている(第3図第1表)。
 卸売・小売業,飲食店の常用雇用判断D.I.は、12年10〜12月期実績マイナス9ポイントと前期に引き続きマイナスとなったがマイナス幅は縮小した。先行きは、13年1〜3月期実績見込マイナス14ポイント、13年4〜6月期見込マイナス19ポイントとなっている(第3図第1表)。
 サービス業の常用雇用判断D.I.は、12年10〜12月期実績マイナス2ポイントと前期に引き続きマイナスとなったがマイナス幅は縮小した。先行きは、13年1〜3月期実績見込マイナス2ポイント、13年4〜6月期見込マイナス5ポイントとなっている(第3図第1表)。
(b) パートタイム雇用
 製造業のパートタイム雇用判断D.I.は、12年10〜12月期実績プラス1ポイントとなった。先行きは、13年1〜3月期実績見込マイナス5ポイント、13年4〜6月期見込マイナス4ポイントとなっている(第4図第1表)。
 卸売・小売業,飲食店のパートタイム雇用判断D.I.は、12年10〜12月期実績0ポイントとなった。先行きは、13年1〜3月期実績見込マイナス1ポイント、13年4〜6月期見込プラス3ポイントとなっている(第4図第1表)。
 サービス業のパートタイム雇用判断D.I.は、12年10〜12月期実績プラス5ポイントとなった。先行きは、13年1〜3月期実績見込マイナス4ポイント、13年4〜6月期見込プラス1ポイントとなっている(第4図第1表)。

 労働者の過不足状況
(1) 過不足
 13年2月現在の労働者の過不足状況は、「常用労働者」を「不足」とする事業所割合は、調査産業計では17%、建設業14%、製造業15%、運輸・通信業31%、卸売・小売業,飲食店12%、金融・保険業28%、不動産業18%、サービス業21%となっている。一方 、「過剰」とする事業所割合は調査産業計では21%、建設業24%、製造業25%、運輸・通信業15%、卸売・小売業,飲食店22%、金融・保険業16%、不動産業7%、サービス業13%となっている(第5図第2−1表)。
 この結果、常用労働者過不足判断D.I.は、調査産業計ではマイナス4ポイント、建設業マイナス10ポイント、製造業マイナス10ポイント、運輸・通信業プラス16ポイント、卸売・小売業,飲食店マイナス10ポイント、金融・保険業プラス12ポイント、不動産業プラス11ポイント、サービス業プラス8ポイントとなっている。これを前期と比べると調査産業計では2ポイントの低下となっている。産業別には不動産業で2ポイントの上昇、サービス業で横ばい、建設業3ポイント、製造業で2ポイント、運輸・通信業で4ポイント、卸売・小売業,飲食店で1ポイント、金融・保険業で4ポイントとそれぞれ低下となっている(第5図第2−1表)。
 パートタイム労働者過不足判断D.I.は、調査産業計ではプラス9ポイントなっている。これを前期と比べると3ポイントの低下となっている。産業別には建設業及び金融・保険業でそれぞれ1ポイント上昇し、運輸・通信業で横ばい、製造業で4ポイント、卸売・小売業,飲食店で3ポイント、不動産業で8ポイント及びサービス業で1ポイントの低下となっている(第2−1表)。
 製造業について企業規模別にみると、規模1,000人以上事業所でマイナス17ポイント、規模300〜999人事業所でマイナス2ポイント、規模100〜299人事業所でマイナス3ポイント、規模30〜99人事業所でマイナス10ポイントとなっている(第6図)。
 職種別の労働者過不足判断D.I.は、調査産業計では、「専門・技術」プラス20ポイント、「販売」、「サービス」各プラス10ポイント、「運輸・通信」プラス6ポイント、「技能工」プラス5ポイント、「単純工」プラス2ポイントと、これらの職種では不足とする事業所割合が過剰とする事業所割合を上回っているのに対して、「管理」マイナス13ポイント、「事務」マイナス7ポイントと、これらの職種では過剰とする事業所割合が不足とする事業所割合を上回っている。これを前期と比べると、「サービス」、「運輸・通信」の横ばい、「技能工」、「単純工」以外の職種で上昇となっている(第7図第2−2表)。
(2) 過不足の程度
 13年2月現在において常用労働者が「不足」と回答した事業所の「不足の程度」は、調査産業計では 、「やや不足」とする事業所の割合が全事業所の16%、「おおいに不足」が1%となっている。一方、常用労働者が「過剰」と回答した事業所の「過剰の程度」は、調査産業計では、「やや過剰」が20%、「おおいに過剰」が1%となっている。また、「適当」とする事業所の割合は62%となっている(第3表)。

 雇用調整
 12年10〜12月期に何らかの雇用調整を実施した事業所の割合は、調査産業計では21%、建設業19%、製造業27%、運輸・通信業16%、卸売・小売業,飲食店19%、金融・保険業10%、不動産業10%、サービス業15%となった。前期と比べると建設業、卸売・小売業,飲食店、金融・保険業及び不動産業で低下し、製造業、運輸・通信業及びサービス業で上昇した。調査産業計では、1ポイントの上昇となった(第8図第4表)。
 製造業について企業規模別にみると、規模1,000人以上事業所で39%、規模300〜999事業所で23%、規模100〜299人事業所で20%、規模30〜99人事業所で14%となった(第9図)。
 雇用調整の実施予定事業所割合は、調査産業計では、13年1〜3月期予定は24%と12年10〜12月期実績と比べ3ポイント上昇となり、13年4〜6月期予定は22%となっている。また、産業別には、13年1〜3月期予定は12年10〜12月期実績と比べ建設業、製造業で各3ポイント、運輸・通信業で4ポイント、卸売・小売業,飲食店で1ポイント、金融・保険業で4ポイント、不動産業で3ポイント及びサービス業で1ポイントの上昇となっている(第4表)。
 12年10〜12月期実績における雇用調整の実施方法(複数回答)は、調査産業計では 、「残業規制」の割合が11%と最も高く、次いで「配置転換」7%、「出向」5%、「中途採用の削減・停止」4%の割合が高くなっている(第10図、第4表)。

 中途採用
 中途採用「あり」とする事業所の割合は、12年10〜12月期実績では、調査産業計46%と前年同期(11年10〜12月期実績)と比べると4ポイントの上昇となった。産業別には、建設業30%、製造業42%、運輸・通信業48%、卸売・小売業,飲食店52%、金融・保険業45%、不動産業52%、サービス業56%となった。産業別では、前年同期と比べて金融・保険業を除くすべての産業で3ポイント〜6ポイントの上昇となった(第5表)。
 今後中途採用を予定する事業所割合は、13年1〜3月期予定では、調査産業計40%、建設業26%、製造業36%、運輸・通信業44%、卸売・小売業,飲食店47%、金融・保険業40%、不動産業44%、サービス業48%となっている。13年4〜6月期予定では、調査産業計29%、建設業20%、製造業23%、運輸・通信業36%、卸売・小売業,飲食店33%、金融・保険業32%、不動産業32%、サービス業38%となっている(第5表)。

 平成13年新規学卒者の採用予定状況
 平成13年新規学卒者の「採用予定あり」の事業所割合を調査産業計で学歴別にみると、「高校卒」35%、「高専・短大卒」26%、「大学卒(文科系)」36%、「大学卒(理科系)」38%、「専修学校卒」16%となった。前年と比べると、調査産業計では「専修学校卒」の横ばいを除くすべての学歴で前年を上回っている。産業別では、金融・保険業のすべての学歴で「採用予定あり」の事業所割合が前年を上回り、また、製造業で「専修学校卒」を除くすべての学歴で上回っている(第11図第6表)。
 「採用予定あり」の事業所について13年新規学卒採用内定者数と12年採用者数を比べると、調査産業計においては「高専・短大卒」、「専修学校卒」を除く他の学歴で「110%以上(増加)」の事業所割合(4割台〜3割台)が「90%未満(減少)」事業所割合(2割台)を上回っている(第6表)。
 採用予定者に対する採用内定者の割合は、調査産業計でみると、「100%以上」とする事業所割合が各学歴とも6割台から4割台となっている(第6表)。



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