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平成12年度家内労働調査結果の概要

 この調査(家内労働概況調査、家内労働実態調査)は、家内労働者、委託者等の概数及び家内労働者の労働条件等家内労働の実態を把握するために、平成12年10月に実施したものである。
 調査結果の概要は以下のとおりである。

1 家内労働概況調査

(1) 家内労働者の概況


  • 家内労働者数は33万1,831人で引き続き減少。
  • 男女別では女性が全体の9割以上を占めている。
  • 業種別では、「衣服・その他の繊維製品」が全体の34.5%と最も多く、次いで「電気機械器具製造業」、「その他(雑貨等)」の順となっている。
  • 類型別では「内職的家内労働者」が全体の9割以上を占めている。

(1) 家内労働者数
 平成12年10月1日現在の家内労働者数は33万1,831人で、前年に比べ3万3,316人(9.1%)の減少となった(第1表第2表)。
 また、家内労働補助者数は1万5,253人で、家内労働者に補助者を加えた家内労働従事者数は34万7,084人となっており、それぞれ前年に比べ2,047人、11.8%、35,363人、9.2%の減少であった(第1表)。
 家内労働者数の推移をみると、昭和45年から48年まではほぼ横ばいで180万人台であったが、昭和49年の景気後退を契機に大幅な減少に転じて以後引き続き減少が続いている(第1図)。

第1図 性別屋内労働者数の推移

(2) 男女別家内労働者数
 家内労働者を男女別にみると、男性が2万3,888人(家内労働者総数に占める割合7.2%)、女性が30万7,943人(同92.8%)となっている(第2表)。
 前年と比較すると、男性は2,155人( 8.3%)、女性は3万1,161人( 9.2%)の減少となっている。

(3) 業種別家内労働者数
 業種別にみると、「衣服・その他の繊維製品」が11万4,460人(家内労働者総数に占める割合34.5%)と最も多く、次いで「電気機械器具」が7万0,343人(同21.2%)、「その他(雑貨等)」が4万2,468人(同12.8%)、「繊維工業」が2万4,284人(同7.3%)となっており、これら4業種で全体の約4分の3を占めている(第2図)。
 また、前年と比較すると、「衣服・その他の繊維製品」が1万7,129人、13.0%と最も減少しており、次いで、「繊維工業」が5,413人、18.2%、「その他(雑貨等)」が5,040人、10.6%の減となっている。(第3表

第2図 業種別屋内労働者数の割合

(4) 類型別家内労働者数
 家内労働者を類型別にみると、「専業的家内労働者」が1万6,914人(家内労働者総数 に占める割合5.1%)、「内職的家内労働者」が31万1,835人(同94.0%)、「副業的家内労働者」が3,082人(同0.9%)となっている。
 家内労働者数を前年と比較すると、「専業的家内労働者」は4,144人(19.7%)、「内職的家内労働者」は2万8,672人( 8.4%)、「副業的家内労働者」は500人(14.0%)の減少であり、全体として「内職的家内労働者」の占める割合が0.7%高くなっている。
 業種ごとに類型別構成比をみると、すべての業種で「内職的家内労働者」の割合が高くなっているが、「専業的家内労働者」の割合が他に比べて高いのは、「皮革製品」(36.8%)、次いで、「金属製品」(20.5%)、「繊維工業」(13.7%)である。「副業的家内労働者」の割合が比較的高いのは「繊維工業」で6.5%となっている。

(5) 都道府県別家内労働者数
 家内労働者を都道府県別にみると、大阪府が3万0,873人(家内労働者に占める割合9.3%)と最も多く、次いで東京都が2万5,960人(同7.8%)、愛知県が1万6,978人(同5.1%)、岐阜県が1万3,178人(同4.0%)、神奈川県が1万1,969人(同3.6%)となっており、この5都府県で全体の約3割を占めている(第4表)。

(2) 委託者の概況


  • 委託者数は2万4,116人。
  • 製造・販売業者が全体の9割以上を占めている。

 委託者数は2万4,116人で、製造・販売業者が2万2,933人(委託者総数に占める割合95.1%)、 請負業者が1,183人(同4.9%)となっており、前年に比べ2,042人( 7.8%)の減少である。
 業種別では、家内労働者の多い業種では委託者も多く、「衣服・その他の繊維製品」が1万0,301人(同42.7%)、次いで「電気機械器具」が3,394人(同14.1%)となっている(第5表)。


2 家内労働実態調査


  • 家内労働者の平均年齢は53.3歳、平均経験年数は11.3年
  • 1か月の平均就業日数は18.9日、1日の平均就業時間数は5.6時間
  • 1か月の平均工賃額は5万0,223円

(1) 平均年齢及び平均経験年数

 家内労働者全体の平均年齢は53.3歳で、男性は62.3歳、女性は52.6 歳となっており、類型別にみると、専業は57.4歳、副業は50.6歳、内職は53.1歳となっている。
 家内労働に従事してきた平均経験年数は11.3年であり、男性では20.3年、女性では10.7年であった。類型別には、専業は24.3年、副業は6.4年、内職は10.5年となっている。

(2) 1日の平均就業日数及び1日の平均就業時間数

 平成12年9月における家内労働者1人当たり平均就業日数は18.9日で、男性では20.9日、女性では18.8日である。類型別にみると、専業は23.4日、副業は16.0日、内職は18.7日となっている。
 家内労働者1人当たりの1日平均就業時間数は5.6時間で、男性は7.8時間、女性は5.4時間であり、類型別には、専業は8.5時間、副業は3.8時間、内職は5.4時間となっている。

(3) 平均工賃額

 平成12年9月分の家内労働者1人当たりの平均工賃月収額は5万0,223円で、男性では14万0,786円、女性では4万3,214円であり、類型別には、専業は16万8,329円、副業は3万2,952円、内職は4万2,156円となっている。
 なお、1か月の平均工賃額を1時間当たりに換算してみると498円で、男性では823円、女性では473円であり、類型別には、専業は859円、副業は767円、内職は466円となっている。

(4) 家内労働を選んだ理由

 家内労働者が家内労働を選んだ理由をみると、「都合のいい時期・時間に働けるから」が64.1%と最も多く、次いで「家事・育児等のため外で働けないから」が、26.6%となっている。男性では、「都合の時期・時間に働けるから」が41.5%で最も多く、次いで「外に出て働きたいが適当な就職口がないから」が26.2%、女性では「都合のいい時期・時間に働けるから」が65.8%と最も多く、次いで「家事・育児等のため外に出て働けないから」が28.5%となっている。

(5) 現在の家内労働を継続する意思の有無

 現在の家内労働を継続する意思の有無についてみると、「続けたい」が87.3%、「やめたい」が12.6%であり、男女とも8割以上が継続意思を持ち、「やめたい」は男性で17.1%、女性で12.3%である。
 「続けたい」家内労働者の、現在の家内労働をする上で困っていることの有無についてみると、「困っていることがある」者は81.8%にのぼっている。「やめたい」家内労働者では、困っている内容で最も多いのは「工賃が安い」で71.5%、次いで「仕事があったりなかったりする」が50.8%、「納期に追われる」が21.6%となっている。


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