最近公表の労働統計 屋外労働者職種別賃金調査  厚生労働省ホームページ



平成12年屋外労働者職種別賃金調査結果速報(建設業技能職種)

建設業技能職種の賃金は微減
−3年連続減少−
発表:平成13年2月7日(水)
担当:厚生労働省大臣官房統計情報部
電話 03(5253)1111
内線 5253・5677
夜間直通 03(3595)3147

T 調査の概要
 厚生労働省では、建設業及び港湾運送関係事業に雇用される屋外労働者の賃金(1人1日平均きまって支給する現金給与額)等を職種別に明らかにするため、毎年8月分について屋外労働者職種別賃金調査を実施している。
 このうち、建設業における技能職種21職種について調査結果をとりまとめた。調査対象は、建設業に属する5人以上の常用労働者を雇用する民営の事業所で、調査対象となった事業所数は約1万6千事業所、技能職種21職種についての集計対象労働者数は約6万7千人である。
 なお、21の技能職種とその労働者構成は下表のとおりであるが、このうち職種別には、比較的労働者の多い主要11職種(〇印を付したもの)について分析を行った。
技能職種労働者構成(%)技能職種労働者構成(%)
〇 電気工22.1板金工






 >9.2






〇 配管工14.6鉄骨工
〇 機械運転工11.9屋根ふき工
〇 大工11.8はつり工
〇 型枠工6.0タイル張工・れんが積工
〇 とび工5.4ボーリング工
〇 貨物自動車運転者4.6建具工
〇 塗装工4.5掘削・発破工
〇 左官4.3石工
〇 鉄筋工2.9潜函土工
〇 溶接工2.7
技能職種計100.0

U 調査結果の概要
 (骨   子)
 技能職種計の賃金  −賃金は微減−
 1人1日平均きまって支給する現金給与額(以下「賃金」という。)は、技能職種(21職種)計で14,550円、対前年比は0.6%減(前年2.8%減)となった。賃金は3年連続減少したが、減少幅は微減となっている(第1図1表)。
 職種別賃金  −電気工が1万5千円台で最も高い−
 職種別に賃金をみると、電気工が15,780円と最も高く、大工14,790円、機械運転工14,530円、溶接工14,260円、左官14,220円、配管工14,100円が1万4千円台で高く、低いのは貨物自動車運転者で12,990円となっている(第1表)。
 年齢階級別賃金  −年齢間格差は拡大−
 賃金が最も高くなる年齢層と20〜24歳の賃金格差をみると、技能職種計では、50〜54歳(16,140円)で20〜24歳(10,850円)の約1.5倍となっている。年齢間格差は、この5年間では拡大している(第2図第2表第3表)。
 同様に職種別では、電気工が約1.8倍、大工が1.7倍と他の職種に比べ格差は大きく、型枠工、自動車運転者、とび工、左官が約1.3倍とこれらの職種では年齢間格差は小さい(第3図第3表)。
 地域別賃金  −地域間格差は縮小−
 地域別には、技能職種計では京阪神が16,490円、南関東が16,390円で高く、南九州が11,970円、東北が12,760円で低い。なお、この5年間での地域間格差の推移をみると、格差は縮小している(第4図第4表)。
 平均年齢  −電気工の平均年齢が最も低い−
 技能職種計の平均年齢は42.0歳となっており、職種別にみると、電気工が37.6歳と最も低く、左官が47.6歳と最も高くなっている(第5図)。

1 技能職種別賃金
 1人1日平均きまって支給する現金給与額(以下「賃金」という。)は、技能職種計(21職種の計、以下同様。)で14,550円(前年14,640円)となった。対前年比は0.6%減(前年 2.8%減)となり、賃金は3年連続減少したが、微減となっている。
 技能職種のうち、主要11職種の賃金についてみると、電気工(15,780円)が1万5千円台で最も高く、大工(14,790円)、機械運転工(14,530円)、溶接工(14,260円)、左官(14,220円)、配管工(14,100円)が1万4千円台、とび工(13,870円)、塗装工 (13,410円)、型枠工(13,380円)、鉄筋工(13,120円)が1万3千円台、貨物自動車運転者(12,990円)が1万2千円台となっている。前年と比べると電気工では上回っているが、他の10職種ではすべて下回っている。
 賃金の最も高い電気工を100とした職種別の賃金格差をみると、全ての職種で格差は拡大している(第1図第1表)。

第1図 賃金及び対前年比の推移(技能職種計)
賃金及び前年比の推移グラフ

第1表 職種別賃金、対前年比及び職種間格差
職種賃金(円)対前年比 (%)職種間格差(電気工=100)
平成11年平成12年平成11年平成12年平成11年平成12年
技能職種計14,64014,550-2.8-0.6--
電気工15,46015,780-3.72.1100100
配管工14,23014,100-2.9-0.99289
機械運転工14,71014,530-1.7-1.29592
大工15,15014,790-3.4-2.49894
型枠工13,89013,380-3.4-3.79085
とび工14,26013,870-6.9-2.79288
貨物自動車運転者13,02012,990-3.6-0.28482
塗装工13,73013,410-2.8-2.38985
左官14,67014,220-2.0-3.19590
鉄筋工13,25013,120-2.9-1.08683
溶接工14,90014,260-1.1-4.39690
(注)技能職種計は、主要11職種以外の、板金工、鉄骨工、屋根ふき工、はつり工、タイル張工・れんが積工、ボーリング工、建具工、掘削・発破工、石工、潜函土工を含む21職種の計(以下同様)。

 年齢階級別賃金
 年齢階級別に賃金をみると、技能職種計では、最も賃金の高い年齢層は50〜54歳層で16,140円となっている。
 20〜24歳層の賃金(10,850円)を100とした年齢間格差をみると、技能職種計では賃金の最も高い年齢層では約1.5倍となり、各年齢層の格差を前年と比べるとあまり変化はみられないが、この5年間の推移をみると格差は拡大している(第2図第2表第3表)。
 同様に主要11職種について賃金の最も高い年齢層との格差をみると、電気工は約1.8倍、大工は1.7倍と他の職種に比べ格差は大きく、型枠工、貨物自動車運転者、とび工、左官が約1.3倍とこれらの職種では格差は小さい(第3図第3表)。
 なお、全産業における男性労働者の年齢間格差(平成11年賃金構造基本統計調査における産業計、企業規模計、学歴計及び職種計のきまって支給する現金給与額に基づく年齢間格差)は、約2.0倍であり、これに比べると技能職種計の賃金の年齢間格差は小さい(第2図第2表)。

第2図 年齢間格差の推移
(技能職種計、20〜24歳=100)
年齢格差の推移グラフ
(注)「賃構11年」は、平成11年賃金構造基本統計調査の男性労働者のきまって支給する現金給与額(産業計、企業規模計、学歴計及び職種計)についての格差である。
第3図 職種別年齢間格差
(20〜24歳=100)
職種別年齢間格差グラフ

第2表 年齢間格差の推移
(20〜24歳=100)
年齢階級技能職種計(参考)賃構11年(注)
平成7年平成8年平成9年平成10年平成11年平成12年
 〜19歳82818282838383
20〜24歳100100100100100100100
25〜29歳119120120120121120122
30〜34歳128132132132135133148
35〜39歳134137139139142143168
40〜44歳140142143143144145181
45〜49歳142143144145148147192
50〜54歳140143142145150149198
55〜59歳134135138141144146186
60歳〜 119121123123127125131
(注)「賃構11年」は、平成11年賃金構造基本統計調査の男性労働者のきまって支給する現金給与額(産業計、企業規模計、学歴計及び職種計)についての格差である。

第3表 職種、年齢階級別賃金及び年齢間格差
年齢階級賃金(単位:円)
技能職種計電気工配 管 工機械運転工大工型枠工とび工貨物自動車運転者塗装工左官鉄筋工溶 接 工
年齢計14,55015,78014,10014,53014,79013,38013,87012,99013,41014,22013,12014,260
 〜19歳9,0409,5108,69010,0807,7408,9609,280*9,0008,0908,8809,1409,270
20〜24歳10,85010,98010,65011,2209,64011,46011,32010,48010,29011,19010,73010,850
25〜29歳13,05013,29012,52013,28012,91013,04013,53012,05012,73012,78012,02013,340
30〜34歳14,42014,77014,17014,49014,46014,11014,42013,26013,89013,95013,64013,520
35〜39歳15,48017,33014,94014,40015,42014,19014,50013,43014,39014,96015,28015,330
40〜44歳15,71017,76015,37014,77015,80014,30014,48013,25014,48014,43013,94015,270
45〜49歳15,99019,08015,68014,81015,96013,92014,81013,45014,53014,89014,77015,830
50〜54歳16,14019,84015,67015,41015,90014,12015,02013,34014,59014,86013,96015,590
55〜59歳15,79019,14015,79015,18016,30013,94014,98013,61014,78014,93013,65015,240
60歳〜13,56014,61012,93013,77014,41012,54013,50012,08013,31013,69011,88012,190
年齢階級年齢間格差(20〜24歳=100)
技能職種計電気工配 管 工機械運転工大工型枠工とび工貨物自動車運転者塗装工左官鉄筋工溶 接 工
 〜19歳83878290807882*8679798585
20〜24歳100100100100100100100100100100100100
25〜29歳120121118118134114120115124114112123
30〜34歳133135133129150123127127135125127125
35〜39歳143158140128160124128128140134142141
40〜44歳145162144132164125128126141129130141
45〜49歳147174147132166121131128141133138146
50〜54歳149181147137165123133127142133130144
55〜59歳146174148135169122132130144133127140
60歳〜125133121123149109119115129122111112
(注) 「*」は、調査労働者数が10人未満のため、利用に際し注意を要する。

3 地域別賃金
  全国を13ブロックに分けて地域別に賃金をみると、技能職種計では京阪神が16,490円、南関東が16,390円と高く、次いで近畿15,640円、東海15,500円、北関東15,280円の順となっており、南九州11,970円、東北12,760円、山陰13,280円、北九州13,390円、四国13,790円などで低くなっている。
 南関東の賃金を100とした地域間格差をみると、技能職種計では南九州73、東北78で他の地域と比べて格差が大きい。この5年間での地域間格差の推移をみると、各地域とも縮小している(第4図第4表)。

第4図 地域間賃金格差の推移
(技能職種計、南関東=100)
地域間賃金格差の推移
地域別内訳(13ブロック)
北海道・・・北海道京阪神・・・京都、大阪、兵庫
東 北・・・青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島山 陰・・・鳥取、島根
北関東・・・茨城、栃木、群馬、山梨、長野山 陽・・・岡山、広島、山口
南関東・・・埼玉、千葉、東京、神奈川四 国・・・徳島、香川、愛媛、高知
北 陸・・・新潟、富山、石川、福井北九州・・・福岡、佐賀、長崎、大分
東 海・・・岐阜、静岡、愛知、三重南九州・・・熊本、宮崎、鹿児島、沖縄
近 畿・・・滋賀、奈良、和歌山

第4表 職種、地域別賃金及び地域間格差
地域賃金(単位:円)
技能職種計電気工配管工機械運転工大工型枠工とび工貨物自動車運転者塗装工左官鉄筋工溶接工
地域計14,55015,78014,10014,53014,79013,38013,87012,99013,41014,22013,12014,260
北海道13,92014,91013,43014,56014,38013,21011,92012,79012,51014,05013,12012,800
東 北12,76013,55012,59012,64013,34011,53012,47011,49011,56013,15011,02013,750
北関東15,28017,42014,41015,49014,39013,67014,23014,54013,83013,89012,80014,360
南関東16,39017,13016,94016,95017,23016,16014,94014,34015,16015,96015,13016,140
北 陸14,33014,69013,20015,19014,77013,46015,31013,02013,72015,01012,96014,760
東 海15,50016,08015,01016,81016,18014,40014,84014,95014,56014,30014,56015,330
近 畿15,64017,16013,82016,01015,80014,71015,81013,24015,67016,22014,63014,800
京阪神16,49016,65015,34016,20018,14014,65016,01014,65015,29016,49017,62016,410
山 陰13,28013,92013,10013,61014,09012,88012,46011,95012,34013,43011,77012,220
山 陽14,57016,67013,79014,41014,31013,55014,32013,00013,17013,19013,79014,010
四 国13,79014,90012,56014,59013,05013,14013,21012,58012,47013,82011,24014,070
北九州13,39015,67013,20012,69013,34011,69011,92011,31011,61013,24011,65011,910
南九州11,97013,13011,43012,49011,80011,61010,94011,29010,77011,86011,23011,080
地域地域間格差(南関東=100)
技能職種計電気工配管工機械運転工大工型枠工とび工貨物自動車運転者塗装工左官鉄筋工溶接工
北海道858779868382808983888779
東 北787974757771838076827385
北関東93102859184859510191878589
南関東100100100100100100100100100100100100
北 陸8786789086831029191948691
東 海9594899994899910496909695
近 畿9510082949291106921031029792
京阪神10197919610591107102101103116102
山 陰818177808280838381847876
山 陽899781858384969187839187
四 国848774867681888882877487
北九州829178757772807977837774
南九州737767746872737971747469

 実労働日数及び実労働時間数
(1) 1か月の実労働日数は、技能職種計で21.6日となり、前年と変化はなかった。
 主要11職種についてみると、配管工、塗装工が22.1日、溶接工が22.0日と22日台となっているが、職種間においてそれほどの差はみられない(第5表)。
(2) 1日当たりの実労働時間数は、技能職種計で8.1時間であり、実労働日数と同様に前年と変化はなかった。
 主要11職種についてみると、電気工は8.5時間、配管工、溶接工は8.2時間と他の職種に比べ比較的長くなっている(第5表)。

第5表 職種別実労働日数、実労働時間数及び前年差
職種実労働日数(日)実労働時間数(時間)
平成11年平成12年前年差平成11年平成12年前年差
平成11年平成12年平成11年平成12年
技能職種計21.621.6 0.5 0.08.18.1 0.0 0.0
電気工21.921.5 0.6 -0.48.58.5 0.0 0.0
配管工22.122.1 0.3 0.08.28.2 0.0 0.0
機械運転工21.421.4 0.4 0.08.08.1 0.0 0.1
大工21.721.8 0.4 0.17.97.9 0.0 0.0
型枠工20.821.2 0.6 0.47.77.7 0.0 0.0
とび工20.821.4 0.2 0.67.98.0 -0.1 0.1
貨物自動車運転者21.221.4 0.4 0.28.07.9 -0.1 -0.1
塗装工21.722.1 0.6 0.48.08.0 0.1 0.0
左官21.221.7 0.1 0.57.87.8 0.0 0.0
鉄筋工20.921.3 -0.1 0.47.67.7 -0.1 0.1
溶接工21.722.0 0.7 0.38.28.2 -0.1 0.0

 平均年齢及び年齢階級別労働者構成

(1)平均年齢は技能職種計で42.0歳(前年41.8歳)となっている。主要11職種では電気工、とび工が30歳代、他の9職種が40歳代となっており、中でも電気工は37.6歳で最も高い左官(47.6歳)との差は10歳となっている(第5図第6図)。

(2)年齢階級別労働者構成をみると、技能職種計では50〜59歳が25.0%、29歳以下が24.1%、40〜49歳が23.2%、30〜39歳が18.7%、60歳以上が9.2%となっている。
 主要11職種についてみると、左官で50歳以上の占める割合が約5割と高くなっているが、電気工、とび工、塗装工、配管工で29歳以下の若年者の占める割合が高く、特に電気工では34.1%と最も高い割合となっている。
 年齢階級別労働者構成の推移を平成7年以降についてみると、40歳代の割合が低下し、50歳代の割合が高まりつつある(第5図第6図)。

第5図 職種、年齢階級別労働者構成及び平均年齢 職種、年齢階級別労働者構成及び平均年齢グラフ

第6図 年齢階級別労働者構成比の推移(技能職種計) 年齢階級別労働者構成比の推移グラフ



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