年金財政ホームページ

平成16年年金改正制度に基づく財政見通し等

年金制度における世代間の給付と負担の関係について
  • 年金制度の中で、一定の前提をおいて、各世代がどの程度保険料を負担し、どの程度給付を受け取ることになるかについて比較をしてみると、世代によってその負担と給付の関係に差が生じる。
  • 現在の受給者の世代で倍率が高くなっているのは、
    1. 戦後の経済混乱の中で、負担能力に見合った低い保険料からスタートし、段階的に引き上げることで長期的な給付と負担の均衡を図ってきたこと
    2. その後の経済発展の中で、物価や賃金の上昇に応じた給付改善を後代の負担で行ってきたことなどの要因により生じている。
  • 年金制度における世代間の負担と給付の関係をみるに当たっては、その背景にある
    1. 都市化、核家族化による、私的な扶養から年金制度を通じた社会的な扶養への移行
    2. 少子化と長寿化の進行による現役世代にかかる扶養負担の高まり
    3. 生活水準の向上と実質的な保険料負担能力の上昇
    などの要素を合わせて考慮することが必要であり、年金制度における負担と給付の関係のみで世代間の公平、不公平を論ずることはできない。






  • 賃金上昇率により65歳時点の価格に換算して比較
     年金制度においては、原則20歳から40年間程度にわたって保険料拠出を求め、 支給開始年齢到達後、終身にわたって年金を受給することになるので、 最初に保険料を拠出してから給付を受け取り終わるまでに60年以上の時間が想定される。
     このように大きな時点差のある負担と給付を比較する上で、時間の経過をどのように評価するかについては、様々な考え方がある。
     世代間扶養を基本的な考え方として運営している公的年金制度では、賃金の一定割合の保険料拠出を求め、 給付額も賃金水準の上昇を反映することが基本的な仕組みとなっている。
     したがって、世代別に負担と給付を比較するに当たっては、この公的年金の基本的な仕組みの考え方に沿って、 賃金上昇率を用いて保険料総額や年金給付総額を65歳時点の価格に換算したものを用いて比較を行ったものである。
  • 65歳以降の年金受給額で比較
     今後、雇用と年金の連携を図り60歳台前半の雇用が促進され、 十分な準備期間をおきながら支給開始年齢の65歳への引上げが行われるものであり、 世代による支給開始年齢の違いを除いた65歳以降の年金受給額で比較している。
  • 事業主負担分を含めずに比較
     厚生年金の事業主負担分は労務費に含まれるが、賃金そのものではない。 公的年金制度による事業主への義務付けではじめて生じる負担であることから、事業主負担を賃金と同視して論じることには問題があり、 保険料負担額には事業主負担分を含めずに比較している。

【厚生年金(基礎年金を含む)の世代間における給付と負担の関係
−平成16年財政再計算−】
年度 1935年
生まれ
(2005年70歳)
[2000年度
時点で換算]
1945年
生まれ
(2005年60歳)
[2010年度
時点で換算]
1955年
生まれ
(2005年50歳)
[2020年度
時点で換算]
1965年
生まれ
(2005年40歳)
[2030年度
時点で換算]
1975年
生まれ
(2005年30歳)
[2040年度
時点で換算]
1985年
生まれ
(2005年20歳)
[2050年度
時点で換算]
1995年
生まれ
(2005年10歳)
[2060年度
時点で換算]
2005年
生まれ
(2005年0歳)
[2070年度
時点で換算]
保険料負担額 680万円 1,200万円 1,900万円 2,800万円 3,900万円 5,100万円 6,500万円 8,000万円
年金給付額
[65歳以降分]
5,600万円
4,400万円
5,400万円
4,500万円
6,000万円
5,600万円
7,600万円 9,600万円 12,000万円 14,900万円 18,300万円
負担給付倍率
[65歳以降分]
8.3倍
6.4倍
4.6倍
3.8倍
3.2倍
3.0倍
2.7倍 2.4倍 2.3倍 2.3倍 2.3倍

(注) 1 保険料負担のほかに、税負担のうち年金給付に充てられる分(国庫負担分)があることに留意が必要である。 基礎年金国庫負担割合は、平成21(2009)年度2分の1完成、 平成16(2004) 〜20(2008)年度は年金課税の適正化による増収分程度の引上げを前提に算出。
2 設定は以下の通り。
夫は20歳から60歳まで厚生年金に加入(平均標準報酬月額36.0万円)し、 妻はその間専業主婦(昭和61年3月以前は国民年金に任意加入歴なし)という加入歴をもつ同年齢夫婦について、 それぞれ60歳時点の平均余命まで生存したとして、夫婦の基礎年金、夫の死後妻が受給する遺族年金も含めて年金受給額を計算。 (保険料負担額や年金給付額を手取り賃金上昇率を用いて、65歳時点の価格に換算して比較。) なお、1935年生まれの者については、その90%の期間のみの加入としている。
3 2100年で受給期間が終わる世代について、計算した。
4 人口推計、経済前提等については、平成16年財政再計算に準拠。


RETURN
BACK NEXT