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支えて 支えられて 介護保険は1周年
介護保険物語山形県
仕事を続けられたのも母のおかげ
自宅での介護、それが恩返し
斎藤さくゑさんとその家族(村山市在住)    
 介護保険制度が去年4月にスタートしてから、まもなく一周年になります。保険の利用者が増えるとともに県民の理解も深まっています。そこで、介護保険を利用している村山市の斎藤さくゑさん(86)と介護に当たっている長女の吉子さん(62)に、制度を利用してのメリットなど感想をうかがいました。

気分すっきり、待ち遠しい入浴の日  
 
さくゑさんは、現在、要介護「4」と認定されています。手足と言葉が不自由ですが、簡単な会話は可能です。訪問入浴介護や訪問リハビリテーションのサービスのほか、ベッド、車いす、エアマットなど福祉用具の貸与を受けています。訪問入浴介護は週1回で、巡回入浴車が訪れ、体や頭を洗ってもらっています。「体がすっきりし、気分もそう快になる」と、1週間が待ち遠しいそうです。訪問リハビリも週1回で、理学療法士による言語リハビリのほか、ベッドから車いすへの移動、ベッド上で座る訓練を受けています。理学療法士の声掛けに元気づけられ、次第に言葉が戻り、家族に意思を伝えられるまで回復しています。

斎藤さくゑさんとその家族

 さくゑさんは、夫の藤樹さん(89)と吉子さん夫婦の四人家族。藤樹さんも要介護「1」と認定されていますが、デイケアと訪問リハビリで歩行訓練を受けている程度で、日常生活に支障はありません。さくゑさんは、農家の主婦として、一家を支えてきました。いたって健康で70歳になるまでコメやサクランボづくりなどの農作業をこなしていたほどです。老人クラブの役員も務め、近所でも評判の活発なおばあちゃんでした。それが、去年9月に軽い脳梗塞(こうそく)を患い二十日ほど入院。現在は、車いすの生活ですが、家族の温かい介護と励ましの中で穏やかな毎日を送っています。

人的なバックアップを受け大助かり  

 吉子さんは、「定年まで公務員を勤められたのも、母のおかげ。介護はその恩返し」と献身的。「在宅介護は、家族だけでは精神的にも体力的にも限界があり、介護保険を利用し、人的なバックアップを受けられるので大助かり。自宅で世話ができるのが何よりもうれしい」と言います。「家族と一緒にいられるのが一番」と、さくゑさんも、それを望んでいました。また、専門家による介護計画に基づき合理的なサービスを受けられるほか、介護についての悩みも相談しやすく、介護用具などもすぐ対応してくれるのでありがたいと、吉子さんは、メリットを強調します。

症状に合わせ、多いサービスの種類  
 さくゑさんは、昼食まで部屋にいて、午後に茶の間に移り、夕食までテレビを見たり、家族とだんらんしながら過ごすのが日課です。時々訪れるひ孫の元気な姿を見るのが何よりの楽しみだという。近所にも介護を必要としているお年寄りが増えており、吉子さんは、体験者として相談を受けることも多く、積極的に介護保険サービスを利用するよう勧めているそうです。「せっかくの制度は大いに活用すべきです。サービスの種類も多く、症状に合わせ、しかも自由に計画的に選べるのもいい」と語り、要望としては、サービスを受ける際の手続きの簡素化や情報を交換するネットワークづくりを挙げ、地域で見守っていく制度のメリットを広く啓もうしてほしいと訴えています。

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