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支えて 支えられて 介護保険は1周年
介護保険物語徳島県
在宅介護から始まる
家族の新しいふれあい
永井辨一さんとその家族(徳島市在住)     
いつまでも元気でいてほしいから   
 全国より早いスピードで高齢化が進む徳島県。5人に1人が65歳以上という長寿社会を迎えた今、私たち一人ひとりが真剣に向かい合っておきたい事柄の一つに「介護」があります。
 徳島市内に在住の永井英彰さん(64)が、父親である辨一さん(92)の介護を始めたのは3年前のこと。庭木の剪定をしていた辨一さんが、誤って落下してしまったことがきっかけでした。
 「最初の1年は、病院や施設を利用していました。家族が身近に接することで、より元気になってくれればという願いから在宅介護を始めたんです」と英彰さんは振り返ります。
 介護を始めた当初は、まだ介護保険制度が施行されていなかったこともあり、地域の有償ボランティアを利用しながらの介護となりました。大阪で教職に就いていた次男の俊彰さん(60)が徳島に帰省し、英彰さんと共に介護を行うようになったのも同じころです。

永井辨一さんとその家族

信頼関係を深めながら        
 より安全な環境で介護を行いたいとの思いから、2年前には介護専用の住宅を建築。段差の少ないバリアフリー設計を家全体に取り入れているほか、家族の話し声が聞こえたり一緒に食事がとりやすいようにと、キッチンルームにベッドを配置するなどの工夫が施されています。 平成12年の1月には、介護保険サービスを受けるために要介護認定の申請を行い、「要介護5」と判定されました。その後、在宅介護を無理なく続けていけるよう、ケアマネジャーとの相談を重ねながらケアプランを作成。毎朝夕のおしめ交換や毎週2回のお風呂をはじめ、家事援助、身体介護などのサービスが毎日のように組み込まれるなど、本人や家族の希望が十分に反映されたスケジュールとなっています。 「介護保険制度には、公的な制度として支援してもらえるという安心感があると思います。今後、利用者とサービス提供者の信頼関係をより深めていくことで、満足度がさらに高まるのではないでしょうか」と英彰さんは話します。

これからの在宅介護を見つめて    
 辨一さんの介護には、ホームヘルパーやボランティア、看護婦などさまざまな人が関わるため、介護記録をリレー式で書き込む「介護ノート」が用意されています。その日の様子や介護の内容を、みんなで共有できるようにするためです。
 「食事をする場合は、必ず車椅子を利用するようにしています」と英彰さん。できる限り体を動かしてもらうことで体の硬直化を防いでいるほか、辨一さんの好きなお酒を毎日少しずつ飲んでもらうことで、心のリフレッシュにも努めています。
 「今までは女性が中心になって介護をするというイメージが強かったかもしれません。私たちの場合は、逆に女性は時間に余裕ができたときに手伝ってくれればいいという考えなんです」
 加速する高齢社会の中で、多種多様に変化する介護のカタチ。介護保険制度が始まって一年を迎える中、これからの介護に対する利用者側の意識も、新たなステージへと向かっているようでした。

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