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支えて 支えられて 介護保険は1周年
介護保険物語新潟県
桜が咲いたら息子夫婦や孫たちと
お花見に出掛けるのが楽しみです。
加藤スミさんとその家族(新潟市在住)     
 新潟市に住む加藤スミさん(78)は、夫の正太郎さん(85)と二人暮らしです。長男家族は車で五分ほどの所に住んでいます。スミさんは以前から腰痛がひどく、骨粗しょう症ということもあって1日のほとんどはベットでの生活。トイレに行くときと台所で食事をするときの移動は伝い歩きをしていました。その上、昨年4月には腎機能障害で入院。その入院中に介護保険の申請をし、要介護3の判定を受けました。

昨年六月にはデイケアと住宅改修を 
 
 現在、スミさんは火・木・日曜の週3回、デイケア(通所リハビリテーション)に出掛けています。退院が昨年6月末と決定したとき、スミさんと正太郎さん、長男の博さんと長男の妻の啓子さんの4人がケアマネジャーと相談して決めました。スミさんのリハビリと入浴介助、定期的な健康チェック、家族以外の人と交流することでぼけを防ぐなどのためです。また85歳と高齢である正太郎さんの健康も気遣い、介護疲れの緩和も目的としました。

加藤スミさんとその家族

 そしてスミさんの退院が決まった時点で、玄関やトイレに手すりをつけるなどの住宅改修やベットの貸与も介護保険で行いました。スミさんが暮らしやすく、正太郎さんが介護しやすい環境を作るためでした。

歩行器で動き回って腰痛も薄らいで  

 
スミさんは当初、デイケアに通うことを渋っていました。でも徐々に顔見知りが増え、おしゃべりしたり歌ったりと楽しい時間を過ごすようになると、週3回の通所を身支度を整えて待つようになりました。
 ベットから体を起こし、夫の正太郎さんを時々見つめながら、スミさんは笑顔で話します。「最近、腰痛が薄らいできたんですよ。デイケアの仲間に元気づけられながら、歩行器で広いフロアをゆっくり動き回るのが良いのかもしれませんね」。
 正太郎さんも言います。「家内が在宅のときは世話があるので、自分のことは二の次になってしまいます。でもデイケアの日は自分の時間が持てます。大好きな本を読んだり、友達と会ったり。昨日は中学時代の友人と昼間からお酒を飲んだんですよ。この年になると友と会うのが一番の楽しみです」。

介護保険を利用してゆとりの生活を  
 今、長男の博さんは単身赴任中です。毎晩、「おやじ元気か。おふくろの具合はどうだ?」と仙台市から電話を掛けてきます。毎週土曜には新潟に戻り、啓子さんと両親の顔を見に訪れます。そして蛍光灯を取り替えたり、新しい電話機を買ったり。啓子さんも普段からまめに顔を出し、両親の様子に気を配ります。「義父も義母も年ですから、私たちが早め早めに今後のことも考えていかなければと思っています」。そこで今日もケアマネジャーに来てもらい、訪問介護のことを相談しました。その結果来月から週1回ホームヘルパーの家事介護をお願いすることになりました。
 スミさんの在宅生活を介護保険がしっかりとバックアップしている様子が分かります。これからは介護している正太郎さんのバックアップも「しっかりとお願いしたいですね」と啓子さんは付け加えます。
  庭の雪を見ながらスミさんがぽつんとつぶやきました。「桜が咲いたら孫たちも一緒に、家族でお花見に出掛けたいな」。

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