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支えて 支えられて 介護保険は1周年
介護保険物語宮城県
リハビリのおかげで体調も良好。
夫婦の絆もより深まりました。
藤島勇雄さんとその家族(仙台市在住)     
  「お父さん、リハビリに出かけるときは、おしゃれに余念がないんです」とイタズラっぽく笑うのは奥さんの淑さん(75)。車椅子に座るご主人の藤島勇雄さん(79)も、つられるようにして照れ笑いを浮かべた。
  元国鉄マン。真面目一筋の男が脳こうそくで倒れたのは15年前。集中治療室に1カ月も閉じこめられ、駄目かもしれないと家族が覚悟を決めたこともあったという。奇跡的に命を取り留めてからは、家族や施設の手厚い介護のかいあって藤島さんの体調は現在とても安定している。

介護施設で心身共にリフレッシュ!  
 手足の麻痺で要介護度3に認定されている藤島さんが受けているのは、週に1回の『デイケア』という在宅介護サービス。行き帰りは送迎車の世話になり、仙台市内の老人保健施設で朝10時から午後4時までリハビリの指導を受けている。

 「大部屋で午前と午後に一時間ぐらいかけてゆっくり体操をしたり、車椅子に乗ったままできるゲームをしています。リハビリの先生が指導をしてくれる平行棒がとても気に入っています。施設で体をよく動かすようになってから、全身が柔らかくなって体調が本当に良くなりました。夜もぐっすり寝られます」と藤島さんは満足げだ。

藤島勇雄さんとその家族

  職員との触れ合いも楽しみの一つ。「家の中にいて夫婦二人ばかりでは、話題もなくなります。たまに施設の職員さんたちと冗談を言い合うのもいいものです。それに一生懸命に仕事をしている人たちは、みな美人に見えますからね」と嬉しそう。
  趣味の川柳も、リハビリのおかげでペンの走りが良くなったと喜ぶ。「自作の川柳を施設の掲示板に貼ってもらったんです。施設を利用している皆さんのボケ防止にもなると思いましてね。そうしたら好評で、コピーをして欲しいという人がたくさんいたんですよ」と、思わぬ反響にご満悦だ。
  奥さんにとっても、ご主人がリハビリに出かけた後の1日は貴重な存在。「主人がいないうちに、布団を干したり、掃除や買い物をすることができるので大変助かっています」と笑みをこぼす。
  リハビリでたっぷり汗を流した藤島さんを家で待っているのは、温かい愛妻料理とフカフカに干された布団。こんなときに、「感謝の気持ちが改めて芽生えるんですよ」と藤島さんはうち明けてくれた。

制度に慣れて活用していきたい    
 だが、藤島さん夫妻にとっても、将来への不安は大きな問題となっている。子供には介護の世話になるまいという思いから、介護保険に寄せる期待は人一倍大きい。「いずれ、全面的に介護をしてもらわなければならない時が必ずきます。その時、いったいどうなるんだろうという不安がもの凄くありました。でも介護保険ができて、将来も何とかやっていけるような安心感が芽生えたことはとても大きかったです」と藤島さん。
  保険で受けられる介護サービスの半分程度しか現在利用していないことについて奥さんは、「利用する私たちも、まだ慣れていない面があると思います。ヘルパーさんが 家の中に入ることに対して恥ずかしいという気持ちがあったり。でも、徐々に慣れていけると思います。そうしたら、いろいろなサービスを積極的に利用していきたいですね」と、今後に期待を寄せていた。

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