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支えて 支えられて 介護保険は1周年
介護保険物語神奈川県
良好なコミュニケーションが
早期自立を可能にする
金子美知さんとその家族(川崎市在住)     
 金子美知さん(写真左)は平成12年1月脳梗塞(こうそく)で倒れ、救急車で病院に運ばれました。美知さんは独り暮しで当時の年齢は69歳でした。心不全も併発していたため、ペースメーカーの埋め込み手術も受けました。治療とリハビリのため9月までの入院を余儀なくされました。

脳梗塞の後遺症を克服       
 
 美知さんの退院後の単身生活に不安があったため、それまで別居していた長男の晃さん=45歳、会社員=は、自宅を建て直し、同居することにしました。同居するとはいえ、晃さんが毎日世話をする訳にもいかず、介護サービスについて役所に相談したところ、介護支援専門員(ケアマネジャー)の仁科さん(写真右)に巡り会えたのが、介護保険を利用するきっかけでした。美知さんの要介護度は3と認定され、晃さんの引越し、美知さんの退院と同日に即サービスができるよう介護保険サービスの手続きが始まりました。

金子美知さんとその家族

 現在美知さんが受けているサービスは、主にデイサービスと訪問介護、そして福祉用具の貸与です。その他に川崎市の配食サービス(夕食)を介護保険サービスとは別に受けています。
 退院当初は脳梗塞の後遺症で歩くことはできない上、言語障害もかなりありましたが、今では普通に話すことができます。また、歩行も杖を使ってヘルパーさんと近所を散歩できる程度にまで回復しています。


介護保険には無関心だった      

 
脳梗塞で倒れるまでの美知さんは、介護保険にあまり関心を持っていませんでした。晃さんも同様です。美知さんが脳梗塞で倒れなければ、親子が同居することはなかった上、介護保険について詳しく知る機会も利用する機会もなかったでしょう。
 晃さんは、休日を除いて日中は朝早くから夜遅くまで仕事で家にはいません。建て直した自宅は2世帯住居で、同居はしていてもお互い違った生活をしています。ですから普段は声をかけ合う程度の関係です。家族が付きっきりで世話をするわけではないので、精神的な気苦労、ストレスの少ない大変良い環境になっています。美知さんは自立を心がけ、晃さんは介護サービスにかかる手続きや交渉、経済的負担を担っているのです。

介護のトライアングル        
 介護保険サービスには介護を受ける人とその家族、そしてサービス内容を調整してくれるケアマネジャーの3者の関係(トライアングル)が非常に重要で、お互いの信頼関係がとても大切です。
  本来であれば介護を受ける人がケアマネジャーやサービス事業者を選択できることが理想でしょうが、専門家の支援がなければ現状ではなかなか容易ではありません。きっかけはともかく、金子美知さんのケースは介護のトライアングルが見事に成り立っています。
 「介護保険の利点は、ケアマネジャーが常にサービス内容をチェックし、必要があれば新しいケアプランを作成し、本人の自立を支援することができることです」と仁科さん。現在美知さんの介護保険サービスは更新手続き中ですが、今の様子では要介護度が2になりそうです。要介護2になれば、美知さんの自立意識はますます高くなり、更なる自立に大きな励みになります。

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