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支えて 支えられて 介護保険は1周年
介護保険物語石川県
デイサービスが待ち遠しいね。
おばあちゃんに笑顔が戻りました。
東田(とうだ)ノブさんとその家族(野々市町在住)
 東田ノブさん(92)は平成11年7月、長年患っていた変形性膝関節症が急に悪化して、自力で歩くことができなくなりました。以来、排泄や入浴、立ち座りに介助が必要となり、同居する長男の昭男さん(66)、恵子さん(63)夫妻が在宅介護に当たっています。

おばあちゃんが明るくなった    
 
 ノブさんの要介護認定度は四で、ケアマネジャーの作成したケアプランに基づいて2種類の介護サービスを利用しています。
 一つは、週3回のデイサービスです。朝、送迎車で自宅から施設へ行き、リハビリやレクリエーションをして過ごした後、午後4時ごろ帰宅します。「お風呂に入ったり友達とおしゃべりするのが楽しみでね。施設に行く日が待ち遠しいよ」と、ノブさん。

東田ノブさんとその家族

 もう一つは、昭男さんと恵子さんが地域のボランティア活動や、冠婚葬祭などの用事で家を空ける時に利用するショートステイです。昭男さんによると、デイサービスやショートステイから自宅へ戻ってくるノブさんは、いつもより生き生きとして見えるそうで、「サービスを利用して定期的に外出するようになってから、おばあちゃんはめっきり明るくなりました」と、恵子さんも口をそろえます。

頼れるケアマネジャーがいる安心   

 介護保険制度が導入される以前も、東田さん宅では、知り合いの介護体験者や町役場に相談して、デイサービスやショートステイを利用していました。
 
しかし、介護認定度によって、ケアマネジャーがケアプランをしっかり作成してくれる今と違って、「当時は、サービスの利用は早い者勝ちといった感があった」と昭男さん。ですから、利用したい日があっても、「ベッドが空いていないから」という理由で断られることが多かったそうです。
 また、デイサービスやショートステイ施設との交渉は、家族が直接行わなければなりませんでした。「ショートステイを延長したいなと思っても順番待ちがあるのだろうかと気を遣って、言いにくかったですね」と、昭男さんは振り返ります。
 現在は、ケアマネジャーと連絡を取り合って、ノブさんと昭男さん夫妻に合った介護の計画が、月単位できちんと立てられています。恵子さんは、「熱心なケアマネジャーさんがいればこれからの介護も安心です」と話しています。

多様な利用者にこたえる制度の充実を 
 東田さん方では、介護の負担がどちらか一方に集中しないように、例えば、昼間のトイレの世話は昭男さん、夜のおむつ交換は恵子さんと、役割分担をして、二人三脚でノブさんの療養生活を支えています。
 しかし、「社会には、自分たちのように恵まれた介護環境の家ばかりではないはず」と昭男さんは話します。「利用者にはいろいろな立場の方がいますから、要介護度の認定審査などについてはもっと改善の余地があるのではないでしょうか」。
 高齢社会が今後ますます進めば、利用者の多様化も進みます。一人ひとりが安心して老後を過ごせるよう、制度が充実することを、東田さん一家は期待しています。

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