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支えて 支えられて 介護保険は1周年
介護保険物語岐阜県
父もデイケアへ行くことを楽しみ、
それが良い刺激になっています
林治雄さんとその家族(本巣郡巣南町在住)   
 林さんのお宅は、妻の芙美さん(86)と、息子の嘉道さん(62)、その嫁の万里子さん(58)、孫夫婦とひ孫の杏奈ちゃん(5つ)と、雅人ちゃん(3つ)の4世代が同居する大家族。林さんは、そんな家族のにぎやかな会話や笑顔、やさしさに囲まれながら介護を受けている。「8年前に直腸ガンを患い入院してから、痴ほうの症状が出始め、それまで動き回っていた自転車の使用をとめてから、足腰も弱くなりました」と、嫁の万里子さん。現在、要介護度は3で、歩行訓練と入浴ができるデイケア施設へ週3日通っている。

住みなれた家で過ごす幸せ     
 
 大家族に囲まれる治雄さんは、保育園に通うひ孫たちがにぎやかに遊ぶ姿を見るのが元気の源。「ひ孫さんの成長が楽しみですか」との問いに、「ほりゃええ。かわいいでのう」と笑顔を見せる。介護の主を担っている息子の嫁の万里子さんも「ひ孫を見るときは表情が出るんです。やはり、かわいいんでしょうね」と話す。また、万里子さんは、息子の嫁と協力し、できるだけ要望に沿ったやわらかく栄養のバランスのとれた献立を調理し、毎日温かいタオルで体をふいたり、散髪もする。治雄さんは「全然、寂しくない」と、住みなれた家で、家族と共に過ごす幸せを感じている。


林治雄さんとその家族

家族環境と本人の状態を考えた介護  
 介護老人保健施設への入所からホームヘルパーの派遣など、介護にもいろいろな選択方式があるが、「ケアマネジャーさんが親切に家族の環境と本人の状態を考えた介護を提案してくださり、我が家はデイケアが一番いい」(万里子さん)という結果になった。万里子さんは、「入浴は大変なんです。体を支えてあげなければなりませんので、時間がかかり、冬の寒い日などは、体が冷えたりしますので心配でした」と、重労働だった入浴が、デイケア施設では車いすで入浴できる機械を使って、楽にできるようになった。また、足腰が弱くなっているため、少しでも残っている機能を低下させないように専門の人たちと歩行訓練を行っている。万里子さんは「やはり、職員の方たちが車で迎えに見えると、あいさつの言葉も出るし、外に出るということで、張り合いがあるようです」と語る。
  村会議員や老人クラブの会長などを務め、地域の発展に尽力した治雄さん。もともと人との触れ合いが好きだっただけに、「大勢の人たちがいて、友達もいる。変化があって気に入っている」とデイケアの通所を楽しみにしている。

公的な制度で地域の意識が変わった  
 「私たちのような田舎では、やはり施設へ行くだけでも抵抗を感じる風土が残っていましたが、公的な制度を利用するという意味から、少しずつ地域の人の考えも変わってきたように思います」と、地域の人々の意識改革も進んできた。 また、デイケアに出かけることで、家族も「安心できるところへ行っている間、心の余裕が感じられるようになった」と、心身的な負担も軽減し、リフレッシュして介護に取り組めるようになった。「介護は、母親が無償の愛で赤ちゃんを育てるのに似ています。そういう気持ちで、(介護を)やっています」と、万里子さんは語る。

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