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支えて 支えられて 介護保険は1周年
介護保険物語千葉県
介護保険制度のサービスを理解し、
良質な介護環境を実現する。
若月美奈子さんとその家族(船橋市在住)    
 大正11年生まれの若月美博さん(79)は、現役の院長として産婦人科医院を経営する。「定年は患者さんが決めてくれるから」と、若々しい姿で奥さんの美奈子さん(70)の介護を務める。美奈子さんも服飾関係の会社を経営していたが、現役を退いて家庭人としての第2ステージを歩み始めた平成11年2月に小脳出血で倒れた。
 
迅速な手術が行われたが、失調・まひの後遺症が残り、左半身不随の障害から、身体障害者1級の手帳を交付される身となった。

生活の楽しさが実現する介護プラン 
 
 
デイケア(通所リハビリテーション)を利用し、リハビリ生活を送る美奈子さんは、昨秋に「船橋市東部在宅介護支援センター」のセンター長でケアマネジャー(介護支援専門員)の助川未枝保さんと出会い、12月から介護保険制度の中でリハビリを中心にしたサービスと、訪問介護の複合型介護を受けている。

若月美奈子さんとその家族

 美奈子さんは介護度4の介護認定だが、介護保険と自己負担の組み合わせにより、単に生活が成り立つだけのサービスではなく、生活の質と楽しみが実現できるような介護内容が検討され、家庭でも夫の美博さんとともにリハビリに精を出している。
 若月さんは「介護保険制度は個々のケースで介護内容や問題点も異なるだろうが、助川さんから丁寧なサービスの説明や内容が示され、私たち夫婦も介護保険制度を活用するために話し合い、介護される本人や私に良好な介護環境が作られた」と話す。


良質なケアプランとケア体制        

 
介護保険制度による介護では、介護される当事者や家庭の仕事などの視点に立った親身なケアプランの作成が行われるが、若月さんご家族のように最善のサービスが提供され、介護される人間の心の負担を取り除くだけでなく、良質なコミュニケーションが図れるようなケア体制を作ることも、制度を利用する上で大切なことだ。
 美奈子さんも訪問介護を受け始めた当初は、気兼ねや遠慮からか様々なジレンマに陥ったようだが、リハビリに通う「はざまレインボークリニック」での人々との出会いにより、励まされる立場から人を励ます自分を見い出した。今では将来の生活の楽しさを描き、10年前から親しんでいたパソコンに再び向かい、外出時のファッションにも気配りするようになった。

制度を理解し、介護を学び教わる   
 助川さんは「地域差は考慮しなければならないが、維持的なリハビリと介護サービスに加え、生活の楽しさが実現できるサービスを提供し、それが千葉県の介護保険のサービスとして広く理解されるケアを目指したい」と話す。
 
若月さんの話からも、ケアマネジャーの果たす役割は大きいようだ。個人の資質や専門職としての向上も求められるが、介護保険制度の将来はケアマネジャーやスタッフの思いやりのある介護姿勢にかかっているとも言えるし、そうした人たちが育つ環境づくりも求められる。
  介護保険制度のシステムが醸成されるまでは試行錯誤もあろうが、介護の現場は待ったなしだ。そのためにはシステムを理解し、介護を学び、教わる姿勢も求められる。若月さん一家の前向きな介護への取り組みは、人間への優しさから始まっているようだ。
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