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支えて 支えられて 介護保険は1周年
介護保険物語青森
生き生き元気になって、
デイサービスから戻ってきます
櫛引正弘さん・さつゑさんとその家族(青森市在住)

 「デイサービスセンターへ行く時は、何だか幼稚園児になったような楽しい気持ちになります。みんなと会って話が弾むし、体もすっきり。生き返る思いです。春は花見、秋は紅葉狩りにも行くんです。車いすの人もいますよ」。
 青森市小柳1丁目、櫛引さつゑさん(81) は、「要介護1」の認定を受け、週3回、近くの在宅介護支援施設「デイサービスセンターふれあい」に通っている。


一人暮らしの不安、寂しさとは無縁  
 
家を出るのは午前九時。血圧を計り、痛むところに健康器具を当てた後、太極拳に似たゆっくりした体操や腹式呼吸を1時間近くする。楽しみな昼食をはさんで、午後は入浴サービス。そして通所者同士で会話を楽しんだり昼寝をしたりと、自由に過ごす時間もある。
  さつゑさんの夫の正弘さん(86)は「要支援」。週3回のうち2回は夫婦で「ふれあい」に通う。「おじいちゃんは腕が不自由なので、入浴の時は職員の方に体を洗ってもらいます。気持ち良さそうにしています」。

櫛引正弘さん・さつゑさんとその家族

  櫛引家は、4世代9人が同居している、今では珍しい“大所帯”。孫息子のお嫁さん千春さん(27)は、「『ふれあい』に行くと、生き生きとして元気になって帰ってきます。大勢のお年寄りが利用できるといいですね」と、デイサービスセンターを歓迎している。

 大所帯の強みは、家に必ずだれかがいること。おじいちゃんおばあちゃんが二人で家に残されることはない。二人に何かあっても、呼べばいつでも来てもらえる距離にいる。櫛引家では、一人暮らしの不安感や寂しさとは無縁だ。
  実は、千春さんの実母は市内で一人で暮らし。時々食事を作って持っていくが、耳が遠いこともあり寂しがっているという。千春さんは「今は高齢化社会で、お年寄りはこれからも増えていきます。この前も八十歳を超えるおじいちゃんが雪かきの最中に屋根から落ちた雪の下敷きになり亡くなりました。そんな話を聞くと悲しくなります。お年寄りは、みんなで支え合わなくてはいけないでしょう。お年寄りみんなが幸福でいられ、平等に介護が受けられるようになってほしい。私もいつかは、だれかの介護が必要になるかもしれません。ある程度、若い人の負担は仕方ないと思います」と話す。


ますます大切になる助け合いの心   
 長男の義弘さん(60)は民生委員を務めており、お年寄りの一人暮らしの大変さをよく知っている。千春さんの話にうなずきながら「両親は今はまだ元気ですが、寝たきりになった時などプロの介護サービスが受けられると思うと、心強いですね。介護保険の制度や地域の人たちの助け合いの活動は、ますます大切になります」。
  「私どもは息子夫婦や孫夫婦、それにひ孫に囲まれ、本当に恵まれていると思います。ほかの人にうらやましがられるんですよ。一人暮らしのお年寄りは不安も多いでしょう。そんなお年寄りも介護保険制度のサービスをうまく利用して、元気に生きてもらいたいですね」とさつゑさん。
 正弘さんは「娘や孫の作ってくれる料理が口に合う。ひ孫とも遊べ、今はとても幸せです」と締めくくった。
 
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