01/10/22 第1回社会保障審議会介護給付費分科会議事録 社会保障審議会 第1回介護給付費分科会議事録 1 日時及び場所    平成13年10月22日(月) 16時から18時    厚生労働省 専用第18会議室 2 出席委員    西尾、井形、青柳、岡、喜多、木下、木村、京極、見坊、笹森、下村、田中(滋    )、田中(雅)、中村、橋本、堀江、村上、矢野、山口、山崎、山本の各委員    澄田、樋口の両委員は欠席 3 議題 (1)介護保険制度実施状況について (2)その他 ○ 西尾委員が分科会長に選任され、また、分科会長により、井形委員が分科会長代理 に指名された。 ○ 西尾分科会長より、議事及び議事録を原則公開とすること、委員欠席の際にその指 名する参考人の出席を認めることについて説明。 ○ 資料1、2、3、4に沿って、分科会の審議事項、審議スケジュール、介護保険制 度の実施状況等のデータ等について、小林総務課長より説明。 (青柳委員)  局長の挨拶の中で、介護報酬の見直しを3年ごとに行うことにつき関係者の合意があ る旨の発言があったが、旧医療保険福祉審議会の議論を振り返ると、原則3年ごとの見 直しとしつつも、現実の変化に応じて見直す必要があれば審議会の場で議論するという ことで旧審議会了解となっていたはずであり、その点を忘れないでいただきたい。  また、介護保険法第41条第5項等に「あらかじめ社会保障審議会の意見を聴かなけ ればならない。」とあるが、「意見を聴く」とはどういう方法を考えているのか。さら に、介護報酬と各サービスの事業運営基準を審議するとの説明であったが、それ以外の 懸案事項はどの場で、どういう形で議論するのか。 (小林総務課長)  介護報酬の見直しは基本的には3年ごとであり、それ以外に特別な事情があればその 時点で議論するという整理である。  介護保険法の「意見を聴く」とは諮問・答申の形を考えている。  報酬・運営基準以外の事項については、報酬・運営基準と関連して一体的に議論すべ きものは当分科会で議論する。それ以外については、施行5年後の検討を規定した介護 保険法附則に沿って検討していくこととなるが、当分科会の設置趣旨からすると、当面、 報酬・運営基準を中心に議論をお願いしたい。 (青柳委員)  資料2の「介護保険制度施行後の取組と今後の課題」に挙げられている事項について は、当分科会で全て整理するということか。 (小林総務課長)  その中の「2 今後の課題」の「・介護報酬の見直し」について審議していただくと いうことである。 (青柳委員)  実際に介護保険を運用する上での問題点はたくさんある。資料にある、ケアマネ支援、 痴呆介護の充実、身体拘束ゼロ作戦の推進といった問題は、議論しないのか。 (小林総務課長)  ケアマネについては居宅介護支援の報酬の議論の際に関係してくることになるが、要 介護認定や痴呆介護などについては報酬や運営基準に関連する論点はそう多くはないの ではと考えている。 (青柳委員)  本分科会の審議事項について、文書で確認したい。 (村上委員)  旧医療保険福祉審議会の介護給付費部会が当分科会に引き継がれたと考えると、もう 一つの老人保健福祉部会の審議事項についてはどこで議論することになるのか。 (小林総務課長)  旧老人保健福祉部会の審議事項についても、当分科会での報酬・運営基準の議論に関 連するものは併せて議論していただきたい。 (村上委員)  旧審議会では、まず制度を発足させることを優先し、問題があれば直ちに見直しを行 うと約束したことを前提に多くのことを認めてきている。したがって、様々な問題をど こで議論するか決めておかないと、旧審議会に参加していた者としては責任がとれない。 (堀江委員)  報酬の議論をするということであるが、給付費総額を動かさないことを前提にするの か。保険料に影響を与える介護度別の給付費の見直しを議論するという整理であれば、 今後の課題である制度見直しに深く関連してくることになる。 (小林総務課長)  介護保険法に定められた当分科会の審議事項以外のものは、この場での当面の審議の あとに必要があれば、当分科会において、または、別の組織を設置するなどして議論し ていただくことも必要になるかもしれない。  給付費の総額については、市町村の第2期事業計画を踏まえ、それぞれのサービスの 必要量に応じて給付費を考えていくものであり、総額をどの程度にするかという前提は 今の時点では申し上げにくい。 (青柳委員)  旧審議会では、介護保険制度を走りながらつくってきた経緯があり、様々な問題をど こで議論するのか初めに整理しておかないと、今までの議論がご破算になってしまう。 (喜多委員)  給付費を議論する前提として、財政の仕組みについても議論する必要がある。給付費 総額が増額になる場合は財政をどうするのか。保険者である市町村が納得できるように 改めていただく必要があり、財政を抜きにした給付費のみの議論では、市町村側として は審議に入っていけない。 (京極委員)  旧審議会を解散する際に、当面は介護給付費分科会での議論を基本とし、その他の問 題は必要になった時に別の部会を設置し議論するという整理だったと記憶している。社 会保障審議会令に定められた審議事項のみでもかなりの範囲の議論が可能である。 (下村委員)  私の記憶ではそんなに明確な整理はしていない。当分科会では法定事項のみを議論し、 保険料率、要介護度、要介護認定基準等はやらないということであるが、保険料率につ いてはどうするのか。部会をつくって議論するのかどうか決めておいた方がやりやすい。 給付費だけ取り出して議論することは難しいと思うが、いずれにしても、どういう場で 議論するのかが曖昧では困る。 (堤局長)  行政改革の中で審議会の再編・整理・統合が行われた結果、分科会の法律上の審議事 項は介護報酬・運営基準となっているが、かつては老人保健福祉部会と介護給付費部会 の合同部会という形をとっていたこともあり、当分科会でも介護報酬に関連する事項は 幅広に審議していただくこともあるということである。  法律改正に関わる事項については、施行5年後の見直しが本格化するときには、新し い部会を設置するなどして議論していただく可能性があると考えている。  保険料に対する影響については、全体としてプラスかマイナスかは当分科会で議論し ていただきたい。 (喜多委員)  保険料の問題については、当分科会で議論するのか。 (堤局長)  法律改正に関わる事項は、施行5年後の見直しの中での議論と考えている。省令事項 など細かい技術的な部分は当分科会での審議というのはあまり考えられないが、関連が 深いと言われるものがあれば、この場で議論されることもあるかもしれない。 (喜多委員)  保険料算定のワークシートについては、厚生労働省だけで決めるのか。保険者が自主 的に決められなければ地方分権とはいえず、そういったことを当分科会で議論しなけれ ば、給付費の内容を議論できない。 (山本委員)  制度を実際に実施している立場からすると、旧審議会で大議論になり今も引き継がれ ているものがあるとは感じていない。とにかく制度は実施されているわけであるから、 現段階での新しい課題について議論し、今の制度をより良いものにしていくべきであり、 またここでの審議については、スケジュールを決めてその通り進むよう分科会長にお願 いしたい。 (下村委員)  今後の課題を議論するのは当然であるが、当分科会で議論するのは給付費についての みかどうかを確認しているのである。 (西尾分科会長)  審議事項について、給付費だけ切り離せるかどうかは悩ましい問題であるが、省庁再 編及び審議会制度の見直しという大きな政治改革の中で、審議会は原則廃止とされ、法 律に具体的に定められた現在の審議事項だけが厳選されて残ってきたという経緯がある。 旧審議会で議論していた時と当分科会がスタートする時との間に大きな政治改革があり、 社会保障審議会という大きな審議会に統合され、その中の介護給付費分科会には介護報 酬・運営基準のみが限定的に審議事項として委ねられている。  関係者からすれば様々な意見を言う機会がないという不満や不安があるのは理解でき るが、平成14年7月までに報酬の骨格を決めなければいけないというスケジュール上 の制約があることもあり、報酬・基準に限定して審議するという原則は守らざるを得な いのではないか。  ただし、関連する諸分野についての議論を全く封じても審議は進まないであろうから、 できるだけ幅広に発言していただきたいということである。施行5年後の見直しに関す る事項については、当分科会で議論してもおそらく決まらないと思われるので、事務局 はどの場で議論するのか大臣とも相談してほしい。 (田中(滋)委員)  資料4「次回の介護報酬の見直しにあたっての視点」について、介護サービス事業者 側からの視点、具体的には事業別、規模別、稼働率別、地域別の経営実績や労働力の確 保の状況などの視点を加えるべきである。 (外口老人保健課長)  「サービスの評価」には、利用者の視点に加えて介護サービス事業者側からの視点も 包含しているものと考えている。 (井形委員)  社会保障審議会令の介護給付費分科会の所掌事務には、「介護給付費」の用語は使わ れていない。本来なら、「介護部会」であるべきであり、給付費以外の問題についても 審議の対象外とは言わないでいただきたい。 (小林総務課長)  介護給付費分科会の所掌事務については、介護保険法に規定されている。審議会制度 の見直しの結果として、審議事項が介護保険法に限定列挙した事項のみに限定されたと いうことである。 (喜多委員)  走りながら考える前提でスタートした財源問題について、1号保険料、2号保険料、 調整交付金のあり方の議論はどうするのか。そういった問題を議論するための資料を出 していただきたい。  また、私のところに来たお手紙をご紹介すると、「6月に坂口厚生労働大臣が介護保 険制度の見直し時期について前倒しの意向を表明されたが何も変わっていない。」、「 9月に公表された厚生労働省の医療制度改革試案の住民税非課税世帯に関する記述につ いては、厚生労働省は現行税制に無知である。」といった厳しいことが書いてある。  保険料の減免が選挙に応じて順々に実施されているように、住民の関心は給付の内容 よりも、保険制度の根本に関わる保険料の方が大きい。したがって、当分科会の審議事 項の裏打ちとなる事項については十分に資料を出していただき、ある程度幅を持った議 論をしていただきたい。  具体的にいうと、1号保険料は給付費の17%とされているが、大阪府下の大多数の 保険者では19%程度徴収しており、こういった問題を放置して細かい話だけ変えれば それでいいのか。低所得者対策についても非常に不平不満が出ている。それらに対する 基本方針抜きでは、給付の問題の審議にも真摯に入っていけない。 (貝谷介護保険課長)  保険料の実態が分かる資料の提出について検討する。 (西尾分科会長)  当分科会が答申を求められているのはあくまでも報酬・基準であり、本来の任務をス ケジュール通りやることが必要であるが、それだけに限定するのではなく、5年後見直 しの対象となる課題についても、場合によっては答申に付記することも考えられるわけ であり、幅広に発言していただきたい。 (見坊委員)  介護報酬については、旧審議会でもオープンに議論され、この点は医療保険とは違う。 介護保険は運営が市町村単位であり、身近に論じられ、給付と負担の関係が分かりやす く、高く評価している。  介護サービス基盤整備や介護サービスの質の問題についても、介護報酬の問題に集約 して議論を進めていく必要がある。  資料として、都道府県・市町村単位でみた基盤整備状況、保険料について出していた だきたい。また、施設に入りたくても入れないという状況があり、利用率が何%といっ ても事実上施設には入れないのであればあまり意味がないので、その実態を知りたい。 サービスの利用が伸びている地域については、それなりの理由があると思う。 (村上委員)  ゴールドプラン21に基づく介護サービスの基盤整備の状況について、マンパワーも 含めて教えていただきたい。また、介護保険導入により浮く公費を基盤整備に前倒しで 投入するという約束があったが、その結果が分かる資料と、平成14年度予算の概算要 求についても説明してほしい。 (山口委員)  介護保険は在宅重視の理念の下にスタートしたが、実際には施設指向が強まっており、 基盤整備の問題が出てきている。「在宅」の間口を広げ、グループホームのようなケア 機能をもった居住施設を増やしていくことが重要と考えている。 (山崎委員)  給付費を中心に議論するのは賛成であるが、介護保険導入に際して新しい仕組みをた くさん作ったわけであるから、その検証は必要である。ケアマネジャーに関する問題や 医療保険から介護保険に移った医療系サービスの伸び悩みについて、利用者、事業者、 マンパワーといった視点から検討していただきたい。  また、平成14年度の診療報酬改定を踏まえた医療保険と介護保険の整合性や、基盤 整備についても議論すべきである。特に、6割の市町村において訪問看護サービスが全 くないという状況で走り出した。そういった地域における基準該当サービスの検証につ いても議論させていただきたい。 (橋本委員)  給付費の問題は当然保険財政に影響するため、別に考えるということではない。  また、医療と福祉、在宅と施設のバランスの視点が重要であり、短期入所生活介護と 短期入所療養介護、通所介護と通所リハビリテーションの業務内容を比較したデータを 示していただきたい。 (外口老人保健課長)  ご趣旨に沿った資料の提出を検討する。 (堀江委員)  介護事業経営概況調査に関連して、経営実態上こういう問題があるから介護報酬を上 げなければいけない、という単純な議論は大変問題である。保険者としては、本当に合 理的な単価設定なのか検証させていただきたいので、概況調査の結果に基づいて実証的 なフォローを行った資料を出してほしい。 (下村委員)  いわゆる「社会的入院」の問題について、療養型施設の医療保険から介護保険への転 換が進んでいないという問題があり、また、医療経済研究機構のレポートでは在宅でも 生活可能な者が療養病床に多く入院しているとのデータが出ていて、医療保険の方では、 医療保険適用の病床に社会的入院している方はできるだけ早く介護保険のサービスを受 けるべきだという議論がなされている。  資料としては、介護療養型医療施設の入所者の実態が分かる資料と年齢別のサービス 受給状況のデータを提出していただきたい。 (京極委員)  財政について議論する際は、保険財政だけではなく、一般財政も含めて議論すべきで ある。また、介護労働が正当に評価されているかといった、介護サービス事業所で働く 労働者の視点も重要である。 (矢野委員)  介護については、介護という面だけではなく、医療との関連で見るという視点が必要 である。また、社会的入院の問題に関連して、介護関係施設の病床数、入所者数等の実 態が分かる資料を出してほしい。 (西尾分科会長)  本日の議論はここまでとさせていただく。次回は、本日提出要求があった資料を用意 していただいて、引き続き総論的な議論をすることとしたい。 (外口老人保健課長)  次回は、11月5日(月)15時から17時までの予定であるが、予定の時間を超過 することもあり得ることをご留意願いたい。議題は、本日に引き続き総論的な部分と、 各論として訪問介護・訪問入浴介護・通所介護・通所リハビリテーションに入ることを 予定している。 (西尾分科会長)  本日はこれをもって閉会とする。 照会先 老健局老人保健課企画法令係 TEL 03(5253)1111 内3948