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5.痴呆性高齢者支援対策について

(1)痴呆介護研修について
 痴呆介護実務者研修の見直し
   先般の「全国厚生労働関係部局長会議資料」で述べたとおり、現在、新しいカリキュラムや研修対象者の要件等についての検討作業を進めているところである。
 「痴呆介護研修事業実施要綱」等の改正については、おって通知する予定であるので、各都道府県・指定都市におかれては研修の充実を図り、人材養成に力を入れていただきたい。

 痴呆介護指導者(指導者養成研修修了者)の活用について
   痴呆介護指導者(指導者養成研修修了者)については、前回の「全国介護保険担当課長会議」(平成15年9月8日)においても、実務者研修の企画・立案への参画や講師への登用をはじめ、痴呆介護の質の向上に向けた各都道府県等の取組の中で中核的な役割を果たすよう積極活用をお願いしたところである。
 先般、各都道府県・指定都市における痴呆介護指導者の活用状況について調査を行ったところ、各種委員会等の委員としての登用、各種事業での活用など、様々な取組の中で積極的に活用している例が明らかになった。
 調査結果の概要は別紙1のとおりであるので、参考にしていただきたい。

 痴呆介護指導者(指導者養成研修修了者)に対するフォローアップ研修
   痴呆介護技術は日々進歩していることから、痴呆介護指導者がその役割を適切に果たしていくためには、一定期間ごとに最新の知見や指導方法を習得し、第一線の介護従事者に対して最新の痴呆介護技術を的確に伝達できるような体制を整えることが必要である。
 このため、平成16年度予算(案)に、痴呆介護指導者(指導者養成研修修了者)を対象とするフォローアップ研修を盛り込んだところである。その基本的な枠組みは、これまでの指導者養成研修に準ずることとしているので、該当者の派遣についてご協力願いたい。
 なお、フォローアップ研修の実施に伴う「痴呆介護研修事業実施要綱」の改正については、おって通知する予定であるが、現時点において想定している改正の概要は別紙2のとおりである。



別紙1

痴呆介護指導者活用状況一覧(都道府県・指定都市)

No. 都道府県名 企画・立案に参画
(カリキュラム作成含む)
講師への登用
(実習の指導者
への登用含む)
その他の方法
により活用
1 北海道  
2 青森県  
3 岩手県
4 宮城県
5 秋田県  
6 山形県
7 福島県
8 茨城県  
9 栃木県  
10 群馬県  
11 埼玉県  
12 千葉県  
13 東京都  
14 神奈川県  
15 新潟県  
16 富山県
17 石川県  
18 福井県
19 山梨県  
20 長野県
21 岐阜県 ○(16年度から)  
22 静岡県  
23 愛知県  
24 三重県  
25 滋賀県
26 京都府  
27 大阪府
28 兵庫県  
29 奈良県  
30 和歌山県  
31 鳥取県  
32 島根県  
33 岡山県
34 広島県  
35 山口県  
36 徳島県
37 香川県  
38 愛媛県  
39 高知県
40 福岡県
41 佐賀県
42 長崎県  
43 熊本県
44 大分県  
45 宮崎県    
46 鹿児島県
47 沖縄県
48 札幌市  
49 仙台市
50 さいたま市  
51 千葉市  
52 横浜市  
53 川崎市
54 名古屋市  
55 京都市
56 大阪市  
57 神戸市
58 広島市  
59 北九州市
60 福岡市
  合計 59 60 23
  ※平成16年1月老健局計画課調べ



(参考)「その他の方法により活用」の具体例
(平成16年1月老健局計画課調べ)

本県で取り組んでいる痴呆性高齢者総合対策「いわて痴呆けあねっと」事業において検討委員のメンバーになっているほか、地方振興局で取り組むモデル事業の取り組みに講師として関わっている。(岩手県)

老人性痴呆指導対策事業(県で直接実施)として、痴呆ケア専門サポート事業を実施している。市町村や在宅介護支援センター等の一次相談機能の強化を目的に、対応困難な痴呆性高齢者のケアの調整に関し事例検討で専門的助言者(痴呆介護の分野)としての登用、及び上記従事者への痴呆介護研修の講師への登用。(宮城県)

管内市町村へ指導者の所属・氏名・連絡先等の情報を提供し、各市町村の痴呆介護関係の事業などへの活用を促している。(山形県)

痴呆介護実務者研修以外の研修における企画・運営又は講師等を担当(グループホーム外部評価調査委員養成研修講師、県社会福祉事業団で実施の研修の企画・運営、県社協実施の研修の講師、他県で実施の痴呆介護実務者研修講師、老健協会研修講師、OT協会研修講師、外)(福島県)

グループホーム連絡協議会での講師への登用。(富山県)

介護支援専門員現任研修の「痴呆性高齢者・精神疾患」(予定)や市町村における各種研修会の講師の依頼を受けている。(福井県)

高齢者の尊厳を支えるケアへの再構築を目指す介護サービス事業所などから職員研修やケース検討会等における講師や助言者の派遣依頼が増えており、痴呆介護指導者を活用している。(長野県)

実務者研修以外の痴呆研修についても研修の企画や講師・指導者として協力していただいている。(滋賀県)

平成15年10月8日に「痴呆介護指導者養成研修懇話会(第1回)」を実施し、各施設での取組状況の報告会、痴呆介護実務者研修の企画立案上での課題、今後の痴呆性高齢者介護にかかわる人材の育成について意見交換を実施し、今後も懇話会、研修体制の充実に努めていく。(大阪府)

他の研修事業において痴呆に関する話題を組み込むときの企画・立案参画や講師、痴呆性高齢者施策をはじめとする高齢者福祉施策に関する意見聴取など幅広く活用。(岡山県)

高齢者介護に携わる家族の介護疲れの予防など健康づくりを推進するとともに、介護現場の身体拘束を廃止するための助言等、高齢者の介護に携わるホームヘルパー、施設関係者等の更なる資質の向上を図るため、「徳島県高齢者介護支援フォーラム」を毎年開催しているが、そのパネリストとして参加している。(徳島県)

地域、施設等での痴呆性高齢者に関する研修会等に講師、アドバイザー等として参加している。(県から指導者を紹介する場合もあるし、直接、指導者に連絡をとっている場合もある。)(高知県)

介護保険施設職員等を対象とした「身体拘束ゼロ研修」の講師。(福岡県)

介護実習普及センターで実施している痴呆介護講座及び訪問介護員の研修等痴呆関連研修の講師として登用。(佐賀県)

県の各種委員会の委員等(県社会福祉審議会老人福祉専門分科会委員等)(熊本県)

痴呆介護に係る各研修の講師(保健所・市町村主催等)(鹿児島県)

福祉保健所等の痴呆老人介護研修の講師等として推薦依頼があったときに紹介。(沖縄県)

地域型在宅介護支援センター職員に対しての研修講師の依頼(仙台市)

ヘルパー研修のグレードアップ研修において「痴呆性高齢者への援助の視点」をテーマに講師をお願いしている。(川崎市)

介護保険施設で実施される研修会等の講師として活動。(京都市)

神戸市痴呆介護ネットワークに学識経験者として参加していただき、助言をいただいている。(神戸市)

平成15年度より開始した痴呆性高齢者宅へのボランティアの訪問事業のボランティアへの研修における講師を予定していた。(実際は勤務都合でできず、代わりの方に依頼した。)(北九州市)

痴呆介護実務者研修フォローアップ研修の企画・立案に参画・研修司会進行・実習打ち合わせ会で実習施設等への支援・指導。(福岡市)



別紙2

痴呆介護研修事業実施要綱(新規事業及び改正部分の素案)

 目的 −略−

 実施主体
   本事業の実施主体は、都道府県又は指定都市(以下「都道府県等」という。)とし、その責任の下に事業を実施するものとする。
 なお、4(1)の痴呆介護実務者研修については、都道府県等は、地域の実情に応じ、適切な事業運営が確保できると認められる介護保険法第7条第19項に規定する介護保険施設又は介護保険法第41条に規定する指定居宅サービス事業者等(以下「介護保険施設・事業者等」という。)に事業の一部を委託することができるものとする。
 この場合において、実施主体の長はその介護保険施設・事業者等に対し、当該事業が適正かつ効果的に行われるように指導監督するものとする。また、4(2)の痴呆介護指導者養成研修及び4(3)のフォローアップ研修については、都道府県等は、別記に掲げる高齢者痴呆介護研究センターに研修を委託して実施するものとする。

 関係機関との連携 −略−

 事業内容
 
(1)  −略−
(2) 痴呆介護指導者養成研修
  (1) 研修対象者
    次のア〜ウの全てを満たす者のうち、実施主体の長が適当と認めたものとする。

     医師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、言語聴覚士又は精神保健福祉士のいずれかの資格を有する者またはこれに準ずる者
   
 (ア) 介護保険施設・事業者等に従事している者(過去において介護保険施設・事業者等に従事していた者も含む。)
 (イ) 福祉系大学や養成学校等で指導的立場にある者
(ウ) 民間企業で痴呆介護の教育に携わる者
のいずれかの要件に該当する者であって相当の介護実務経験を有する者
     痴呆介護実務者研修の企画・立案に参画又は講師として従事することが予定されている者
 (2)〜(6) −略−
(3) フォローアップ研修
  (1)  研修対象者
     次のア〜ウの全てを満たす者のうち、実施主体の長が適当と認めたものとする。
     痴呆介護指導者養成研修修了者
     痴呆介護指導者養成研修又はフォローアップ研修修了後1年以上を経ている者
   
 (ア)  痴呆介護実務者研修の企画・立案に参画し、又は講師として従事している者
 (イ)  痴呆介護実務者研修の企画・立案に参画し、又は講師として従事するこ
 とが予定されている者
 のいずれかの要件に該当する者
  (2)  実施内容
     最新の痴呆介護に関する専門的な知識及び技術並びに高齢者介護実務者に対する研修プログラムの作成方法及び教育技術の修得を目的として、(3)の実施施設において実施されるフォローアップ研修を受講させるものとする。
  (3)  実施施設
     高齢者痴呆介護研究センター及び連携施設
  (4)  受講手続等
     受講の手続等は、高齢者痴呆介護研究センターの研修要項に基づき行う。
  (5)  修了証書の交付等
     高齢者痴呆介護研究センター長は、研修修了者に対し、別途定める様式の修了証書を交付するものとする。
     実施主体の長及び高齢者痴呆介護研究センターの長は、研修修了者について、修了証書番号、修了年月日、氏名、生年月日等必要事項を記入した名簿を作成し、管理する。
  (6)  実施上の留意事項
     研修参加者は、派遣費用、宿泊費用の他、研修の実施に必要な費用のうち教材等にかかる実費相当分について負担するものとする。
     本研修は、都道府県等が実施する痴呆介護実務者研修事業の指導者を養成する目的で実施されるものであることから、都道府県等は研修参加者の経費負担の軽減に努めるものとする。

 痴呆介護研修推進計画の策定  −略−

  (別記)  −略−


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