(ア) |
指定取消事例の傾向に対応した指導等
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○ |
制度実施以来の指定取消事例を概観すると、次のような傾向がみられる。
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@ |
サービス種類別にみると、訪問介護事業所、居宅介護支援事業所、通所介護事業、福祉用具貸与事業の順となっている。
また、それを開設者の法人種別にみると、株式会社等及び特定非営利活動法人が行っている事業所の割合が他の法人種別に比して著しく高い傾向にある。 |
A |
主たる取消事由をみると、訪問介護事業所の場合は「架空・水増し」、「無資格者サービス」、「名義借り指定申請」、「人員基準違反」、「同居家族へのサービス」などが多く、居宅介護支援事業所の場合は「無資格者ケアプラン」、「架空ケアプラン」、「名義借り指定申請」などが多い傾向にある。
なお、痴呆対応型共同生活介護事業(痴呆性グループホーム)においては、虐待とも言える極めて不適切なケアを事由とする取消例が発生している。 |
B |
不正不当行為が発覚した端緒は、事業所の職員や元職員等からの相談や苦情などの情報に基づくものが半数近くを占めている状況にある。 |
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○ |
ついては、今後の事業所指導に当たっては、上記のような傾向を踏まえた上で実地指導の対象事業所を選定するとともに、指導内容を重点化した取り組みをお願いしたい。
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(イ) |
平成16年度における重点指導事項等
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(1) |
重点的チェック事項
事業所に対する実地指導に当たっては、 |
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介護報酬算定に関する告示を適切に理解した上、加算・減算等の基準に沿った介護報酬の請求であるか |
◇ |
人員、設備及び運営に関する基準に定める職員の資格及び員数を満たしているか |
◇ |
有資格者により行うべきサービスが無資格者により行われていないか |
◇ |
真にサービスを提供したことを明らかにした書類が整理されているか |
◇ |
その他、利用者が支払うべき1割相当額の利用料を徴収しているか、事業運営の透明性が確保されているか |
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などについて重点的にチェックする方向での取り組みをお願いしたい。
また、実地指導の実施については、苦情・相談の多い事業者や、国保連合会介護給付適正化システムによる情報を活用することにより、サービス事業所の請求動向を把握した上、特異な傾向を示すところを優先的に行うように工夫願いたい。 |
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(2) |
グループホームにおける不適正事例の防止
利用者の尊厳を損なうサービス提供が行われたこと等に起因して指定取消となった痴呆性グループホームはこれまで6事業所であるが、このようなサービス形態は外部の目が届きにくい環境でサービス提供が行われるため、虐待や利用者の尊厳を損なうようなサービス提供が行われている事例など極めて悪質なものも含まれている。
当該事業においては管理者等の研修受講やサービス評価(自己評価、外部評価)、情報公開などを義務付けること等によりサービスの質の確保に向けた取り組みが行われているところであるが、そもそも経営者や管理者に利用者の尊厳を保持する発想がなければ、比較的固定的な少人数の人間関係の中でサービス提供が行われることから、不適切なサービス提供や虐待行為等が行われる危険性が高いものと危惧されているところである。
指定取消処分を受けた事例がたとえ少数であっても、急増している痴呆性グループホーム全体に与えるマイナスイメージは多大であることに鑑み、事業所が所在する保険者とも連携し、16年度中に原則として管内全ての痴呆性グループホームにおもむいて介護保険法第23条または24条に基づく調査や76条に基づく指導等のいずれかを実施していただきたい。
また、地域住民やボランティアとの交流等の推進について事業者側の理解を求めるなど不適正事案の再発防止に努めていただきたい。 |
(3) |
療養型医療施設における療養環境減算の適用
会計検査院「平成14年度決算検査報告」において、介護療養型医療施設で特別の療養環境の提供により特別の料金を徴収している場合、当該病室に入院している患者について「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス、痴呆対応型共同生活介護及び特定施設入所者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(H12.3.8老企40)に基づく減算を行わずに介護給付費を請求していたため介護給付費の不適切な支払が生じている事例や、人員基準を満たさない状況で提供された通所リハビリテーションについて「厚生労働大臣が定める利用者等の数の基準及び看護職員等の員数の基準並びに通所介護費等の算定方法」(H12.2.10厚告27)に基づく減算が行われていなかったため介護給付費の不適切な支払が生じている事例が見受けられる旨報告があった。
本件指摘に関しては、平成16年1月26日付け老指発第0126001号の通知で再発防止をお願いしたところであるが、平成13年度に引き続いての指摘であるので、集団指導等の機会を通じて当該規定の適用について周知徹底を図られたい。
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(4) |
医師の「名義貸し」に対する指導等
先般来、新聞等で医師の「名義貸し」について報道されているところであるが、介護保険では指定基準等において医師の人員に関する基準が定められており、基準が満たされていない場合には介護報酬請求において減算することとなっている。
そこで、事業所に対する指導監査の実施にあたっては、人員基準が遵守されているか、介護報酬請求が適正になされているか等を確認し、不適正となっている場合には適正な実施について指導を行っていただくようお願いする。
また、指導等を行う際には医療法に基づく医療監視所管部局等との連絡等を密にし、円滑な実施について留意していただきたい。
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(ウ) |
関係者間の連携強化
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○ |
適正な介護サービスが継続されるためには、事業者の自律意識を高める意味において、都道府県のみならず保険者、市民も関心を持って地域の社会資源を見守っていくことが重要であると考えられるので、管内保険者や関係団体の連携に努めていただきたい。 |
○ |
上記のような観点に立って、保険者に対しては、給付分析を多方面から行いつつ、介護保険法第23条に基づく調査等の活用、また、介護相談員派遣事業の活用や老人クラブ等の高齢者自身による自助・互助グループの協力を求めながら、地域が一丸となって適切な制度運営に取り組んでいただくよう指導方お願いしたい。 |
○ |
また、介護保険制度においては、ケアマネジャーが極めて重要な役割を担っているので、いやしくも、ケアマネジャーが架空請求、無資格者によるサービス提供などの不正不当行為が行われていることを知りながらケアプランの作成や給付管理を行うことがないよう、研修会等などの機会を通じて徹底願いたい。
併せて、不正不当行為の疑いがある場合は、都道府県の介護保険指導担当課に情報提供するよう周知徹底願いたい。
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(エ) |
指導体制の整備、指導の効果的・効率的な運用
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要介護認定者の増大に伴い事業者は増加しているが、一方、都道府県の指導体制の整備には一定の制約を受けざるを得ない状況にあるものの、引き続き管内の事業者動向等を見据えて必要な体制整備等にご努力をお願いする。
限られた体制の中で国民の信頼に応えていくためには、介護保険法の視点に立った事業者及び保険者への指導並びに老人福祉法及び社会福祉法の視点に立った老人福祉施設への指導について、状況に応じて弾力的に対応することが必要である。
ついては、指定事業所への指導をより重点的に行うことができるよう、国が示しているこれらに係る指導指針を以下の方向で見直すこととしているので、都道府県におかれても事案に即応した機動性ある指導体制の確保にご配意願いたい。 |
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(1) |
保険者指導に係る指針
前出「ア 保険者(市町村)指導について」でお示ししたとおり、保険者指導についてはこれまでの年1回の実地指導を都道府県の保険者ごとの介護保険実施状況分析に基づき弾力的な取扱いとする方針。
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(2) |
事業者指導に係る指針
定期的な指導のみにとらわれず、不適切なサービス提供が疑われる事業所等へ優先的に実地指導を行うなど自治体の判断により効果的・効率的な指導を行えるよう弾力化する方針。 |
(3) |
老人福祉施設に係る指針
今年度、特別養護老人ホームについては介護保険による指導監査で特に問題が認められない場合は老人福祉法に基づく指導を省略できる旨指針の改正を行ったところであが、来年度以降はこれまで行っていた厚生労働省の介護サービス指導官が各都道府県等へ実地指導へ赴いた際のヒアリングや年次報告の徴収は行わない予定である。当該指針については各都道府県等の判断において運用していただきたい。 |
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