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(4)指定介護老人福祉施設等への優先的な入所(入院)に係る運営基準の一部改正

(1) 指定介護老人福祉施設、介護老人保健施設及び指定介護療養型医療施設に対して、サービスを受ける必要性の高い者の優先的な入所(入院)に努めるよう義務付けることについては、本年7月1日に社会保障審議会の答申を得た上で、8月7日に各施設の運営基準及びこれに係る解釈通知の改正を行ったところである。(別紙1

(2) また、これらの運用に当たっては透明性及び公平性が求められるところであり、特に入所希望者が多い指定介護老人福祉施設については、こうした観点から、関係自治体と関係団体が協議し、入所に関する具体的な指針を共同で作成することが適当であることから、その留意事項について、併せて通知を発出したところである。(別紙2
 今回の改正は、直ちには入所の必要がない高齢者もとりあえず指定介護老人福祉施設に入所の申込みを行っている実態があり、その結果、入所の必要性が高い者の入所が、直ちには入所の必要のない者より後になってしまうといった問題を解決するために行ったものであり、各都道府県におかれては、こうした趣旨を十分に御了知の上、速やかな指針の作成について御配意願いたい。

(参考)岐阜県では、県老人福祉施設協議会と県が共同で「特別養護老人ホーム優先入所等にかかる指針」を作成し、公表している。(本年8月5日)

(3) 今般の解釈通知の改正において、サービスの提供を拒否することができる正当な理由のある場合の例示から「ベッド(病床)が空いていない場合」を削除したが、これは、今回の運営基準の改正によって、「ベッド(病床)が空いていない」ために直ちにサービスを提供することができない場合は、サービス提供を「拒否」するのではなく、ベッド(病床)が空くまでサービス提供を待ってもらうこと(その上で、入所(入院)の必要性が高い申込者を優先的に入所(入院)させるべきこと)が明確化されたことに伴い、解釈通知の文言について技術的な整理を行ったものである。
 したがって、ベッド(病床)が空いていない場合でも申込者をすべて直ちに入所(入院)させることを義務づけたり、その際の各施設の定員数について従来の取扱を変更したりしたものではないので、念のため、御留意願いたい。


別紙1


○ 指定介護老人福祉施設

改正後 現行
【運営基準】
第6条
2 指定介護老人福祉施設は、正当な理由なく、指定介護福祉施設サービスの提供を拒んではならない。
3 指定介護老人福祉施設は、入所申込者の数が入所定員から入所者の数を差し引いた数を超えている場合には、介護の必要の程度及び家族等の状況を勘案し、指定介護福祉施設サービスを受ける必要性が高いと認められる入所申込者を優先的に入所させるよう努めなければならない。
【運営基準】
第6条
2 指定介護老人福祉施設は、正当な理由なく、指定介護福祉施設サービスの提供を拒んではならない。
【解釈通知】
第4−3 入退所
(2)同条第2項は、原則として、利用申込に対して応じなければならないことを規定したものであり、特に、要介護度や所得の多寡を理由にサービスの提供を拒否することを禁止するものである。提供を拒むことのできる正当な理由がある場合とは、入院治療の必要がある場合その他入所者に対し自ら適切な指定介護福祉施設サービスを提供することが困難な場合である。
(3)同条第3項は、入所を待っている申込者がいる場合には、入所して指定介護福祉施設サービスを受ける必要性が高いと認められる者を優先的に入所させるよう努めなければならないことを規定したものである。また、その際の勘案事項として、指定介護老人福祉施設が常時の介護を要する者のうち居宅においてこれを受けることが困難な者を対象としていることにかんがみ、介護の必要の程度及び家族等の状況を挙げているものである。なお、こうした優先的な入所の取扱いについては、透明性及び公平性が求められることに留意すべきものである。
【解釈通知】
第4−3 入退所
(2)同条第2項は、原則として、利用申込に対して応じなければならないことを規定したものであり、特に、要介護度や所得の多寡を理由にサービスの提供を拒否することを禁止するものである。提供を拒むことのできる正当な理由がある場合とは、(1)ベッドが空いていない場合、(2)入院治療の必要がある場合、その他入所者に対し自ら適切な指定介護福祉施設サービスを提供することが困難な場合である。


○ 介護老人保健施設

改正後 現行
【運営基準】
第7条
2 介護老人保健施設は、正当な理由なく介護保健施設サービスの提供を拒んではならない。
3 介護老人保健施設は、入所申込者の数が入所定員から入所者の数を差し引いた数を超えている場合には、医学的管理の下における介護及び機能訓練の必要性を勘案し、介護保健施設サービスを受ける必要性が高いと認められる入所申込者を優先的に入所させるよう努めなければならない。
【運営基準】
第7条
2 介護老人保健施設は、正当な理由なく介護保健施設サービスの提供を拒んではならない。
【解釈通知】
第4−3 入退所
(2)同条第2項は、原則として、利用申込に対して応じなければならないことを規定したものであり、特に、要介護度や所得の多寡を理由にサービスの提供を拒否することを禁止するものである。提供を拒むことのできる正当な理由がある場合とは、入院治療の必要がある場合その他入所者に対し自ら適切な介護保健施設サービスを提供することが困難な場合である。
(3)同条第3項は、入所を待っている申込者がいる場合には、入所して介護保健施設サービスを受ける必要性が高いと認められる者を優先的に入所させるよう努めなければならないことを規定したものである。また、その際の勘案事項として、介護老人保健施設が基準省令第7条第1項に定める者を対象としていること等にかんがみ、医学的管理の下における介護及び機能訓練の必要性を挙げているものである。なお、こうした優先的な入所の取扱いについては、透明性及び公平性が求められることに留意すべきものである。
【解釈通知】
第4−3 入退所
(2)同条第2項は、原則として、利用申込に対して応じなければならないことを規定したものであり、特に、要介護度の多寡を理由にサービスの提供を拒否することを禁止するものである。提供を拒むことのできる正当な理由がある場合とは、(1)ベッドが空いていない場合、(2)入院治療の必要がある場合、その他入所者に対し自ら適切な介護保健施設サービスを提供することが困難な場合である。


○ 指定介護療養型医療施設

改正後 現行
【運営基準】
第8条
2 指定介護療養型医療施設は、正当な理由なく、指定介護療養施設サービスの提供を拒んではならない。
3 指定介護療養型医療施設は、入院の申込みを行っている患者の数が入院患者の定員から入院患者の数を差し引いた数を超えている場合には、長期にわたる療養及び医学的管理の下における介護の必要性を勘案し、指定介護療養施設サービスを受ける必要性が高いと認められる患者を優先的に入院させるよう努めなければならない。
【運営基準】
第8条
2 指定介護療養型医療施設は、正当な理由なく、指定介護療養施設サービスの提供を拒んではならない。
【解釈通知】
第4−3 入退所
(2)同条第2項は、原則として、利用申込に対して応じなければならないことを規定したものであり、特に、要介護度や所得の多寡を理由にサービスの提供を拒否することを禁止するものである。提供を拒むことのできる正当な理由がある場合とは、入院治療の必要の無い場合その他患者に対し自ら適切な指定介護療養施設サービスを提供することが困難な場合である。
(3)同条第3項は、入院を待っている申込者がいる場合には、入院して指定介護療養施設サービスを受ける必要性が高いと認められる者を優先的に入院させるよう努めなければならないことを規定したものである。また、その際の勘案事項として、指定介護療養型医療施設が基準省令第8条第1項に定める者を対象としていること等にかんがみ、長期にわたる療養及び医学的管理の下における介護の必要性を挙げているものである。なお、こうした優先的な入院の取扱いについては、透明性及び公平性が求められることに留意すべきものである。
【解釈通知】
第4−3 入退所
(2)同条第2項は、原則として、利用申込に対して応じなければならないことを規定したものであり、特に、要介護度や、所得の多寡を理由にサービスの提供を拒否することを禁止するものである。提供を拒むことのできる正当な理由がある場合とは、(1)病床が空いていない場合、(2)入院治療の必要の無い場合、その他患者に対し自ら適切な指定介護療養施設サービスを提供することが困難な場合である。


別紙2

老計発第0807004号
平成14年8月7日

各都道府県介護保険主管部(局)長  殿

厚生労働省老健局計画課長


指定介護老人福祉施設の入所に関する指針について


 指定介護老人福祉施設、介護老人保健施設及び指定介護療養型医療施設に対して必要性の高い者の優先的な入所(入院)に努めるよう義務づけることについては、本年7月1日に社会保障審議会の答申を得て、本日、関係省令の改正により各施設の運営に関する基準に追加されたところであるが、これらの運用に当たっては透明性及び公平性が求められるところであり、特に入所希望者が多い指定介護老人福祉施設については、こうした観点から、関係自治体と関係団体が協議し、入所に関する具体的な指針を共同で作成することが適当である。

 ついては、こうした指針の作成・公表に関する留意事項について別紙のとおりとりまとめたので、御了知の上、管内市町村、関係団体等に周知を図るとともに、管内における円滑かつ適切な指針の作成等に遺憾のないようにされたい。

 なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的助言として発出するものである。


(別紙)

指針の作成・公表に関する留意事項


1.指針の作成について

(1)指針は、その円滑な運用を図る観点から、関係自治体と関係団体が協議し、共同で作成することが適当であること。

(2)指針には、「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」第6条第3項(以下「基準省令」という。)の透明かつ公平な運用を図る観点から、次の事項を盛り込むこと。

(1) 指定介護老人福祉施設(以下「施設」という。)が申込者の入所の必要性の高さを判断する基準

(2) 施設が(1)の基準を当てはめて入所を決定する際の手続き

(3) その他
   (例)老人福祉法第11条第1項第2号に定める措置委託の場合の取扱い


2.入所の必要性の高さを判断する基準について

(1)基準省令に挙げられている勘案事項について

 「介護の必要の程度」については、要介護度を勘案することが考えられること。
 また、「家族の状況」については、単身世帯か否か、同居家族が高齢又は病弱か否かなどを勘案することが考えられること。

(2)その他の勘案事項について

 居宅サービスの利用に関する状況などが考えられること。


3.施設が基準を当てはめて入所を決定する際の手続きについて

(1)入所に関する検討のための委員会の設置について

(1) 施設に、入所に関する検討のための委員会を設け、入所の決定は、その合議によるものとすること。

(2) 入所に関する検討のための委員会は、施設長と生活相談員、介護職員、看護職員、介護支援専門員などの関係職員で構成することとし、あわせて、施設職員以外の者の参加も求めることが望ましいこと。この場合、施設職員以外の者としては、当該社会福祉法人の評議員のうち地域の代表として加わっている者、社会福祉事業の経営者による福祉サービスに関する苦情解決の仕組みにおいて選任することとされている第三者委員などが考えられること。

(2)記録の作成及び保存について

(1) 施設は、入所に関する検討のための委員会を開催する都度、その協議の内容を記録し、これを2年間保存するものとすること。

(2) 施設は、市町村又は都道府県から求めがあったときは、上記の記録を提出するものとすること。


4.指針の公表等について

 指針は公表するとともに、施設は、入所希望者に対してその内容を説明するものとすること。


5.その他

 管内の市町村・関係団体において指針の作成について独自の取組みがある場合には、これを尊重する必要があること。



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