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介護保険制度の実施状況


 介護保険制度については、市町村や事業者などの関係者の努力により、概ね順調に実施されており、サービス利用が増加するなど導入による効果が現れている。


要介護者数・サービス利用者数等

(1)現在の状況

1.被保険者数

○ 第1号被保険者(65歳以上) 2,327万人 (14年5月末)
○ 第2号被保険者(40〜64歳の医療保険加入者) 4,255万人 (14年度見込)

2.要支援・要介護認定者数

○ 要支援・要介護認定者数 308万人(14年5月末)
(うち65歳以上 297万人(被保険者の12.8%))     

  •  要支援   40.8万人
  •  要介護1  90.8万人
  •  要介護2  57.9万人
  •  要介護3  39.8万人
  •  要介護4  39.8万人
  •  要介護5  38.6万人
  要支援・要介護認定者数

3.サービスの利用者数

○ 居宅介護(支援)サービス受給者数  168万人  
 
○ 施設介護サービス受給者数 68万人  
   (特別養護老人ホーム 32万人)
   (介護老人保健施設 25万人)
   (療養病床等 11万人)
    ※ 14年5月報告分(14年3月サービス分)


(2)要支援・要介護認定者数の状況

○ 要支援・要介護認定者の高齢者人口に対する比率は、上昇傾向にある。一方で、要支援・要介護認定者の平均要介護度は、若干下降傾向にある。

要支援・要介護認定者数の状況

○ 認定率には地域差があり、認定率が高いところは、概して、居宅受給者の割合が高い。

一号被保険者に対する認定者と受給者割合(平成13年11月)

一号被保険者に対する認定者と受給者割合(平成13年11月)


(3)サービス利用者数の状況

○ 制度の施行後、特に在宅サービスの利用者数が増えている。

(居宅・施設別の利用者数の推移)

居宅・施設別の利用者数の推移


(要支援・要介護認定者のうちサービス利用者の割合)

要支援・要介護認定者のうちサービス利用者の割合


サービス利用の状況

(1)介護保険導入前後の比較

ア 全国ベースの利用量

○ 介護保険の施行により、サービスの利用量が増加している。

(単位:万回)
  11年度月平均 12年11月 13年10月 14年4月
訪問介護 355 539
(52%増)
743
(110%増)
816
(130%増)
通所介護 250 340
(36%増)
437
(75%増)
457
(83%増)

 11年度月平均は、平成12年度老人保健福祉マップの集計値。その他は、全国の各国保連の給付実績の集計値(サービス提供月ベース)。

イ 個人でみたサービス利用量の変化

○ 個人でみた場合でも、介護保険の施行により、7割近くの方がサービス利用量を増やしている。

サービス量が増加した人 ほぼ同じ人 サービス量が減少した人
67.5% 14.8% 17.7%

(注)  108保険者(定点市町村)の1,263人について、平成12年3月と7月とのサービス利用量の変化

 なお、調査対象(1,263人)のうち、「利用料負担が重いためサービスを減らした」という方は32人(2.5%)と少なく、むしろ、介護保険の導入により従来からのサービス利用者の7割近くがサービスの利用を増やしている。


(2)介護給付費の支払状況

○ 福祉用具購入費など市町村が直接支払う費用を含む平成12年度の給付実績は、予算の85%強である。
 また、平成13年3月以降の各月の国保連の支払実績は、予算の9割を超え、順調に推移している。

[国保連における支払状況]

(単位:億円)
サービス
提供月
12年
4月分
10月分 12年度
13年
4月分
10月分 13年度計
[対前年度]
14年
4月分
14年
5月分
在宅サービス 600 1,060 11,710 1,130 1,360 15,480[+32%] 1,490 1,550
施設サービス 1,540 2,040 23,450 2,000 2,130 25,050[+7%] 2,130 2,220
合計 2,140
(2,170)
3,100
(3,040)
35,160 3,130
(3,170)
3,490
(3,420)
40,530[+15%] 3,620
(3,670)
3,770
(3,700)

(注1) 各国保連の支払実績として1割の利用者負担を除く介護給付費(9割分)を集計したもの。
(注2) 福祉用具購入費、住宅改修費など市町村が直接支払う費用は除く。
(注3) 合計欄の下段の括弧書きは、各月の日数(30.4日)で補正したもの。
(注4) 年度計は〔4月−3月〕ベース。

○ また、給付費の内訳については、在宅サービスの割合が増えている。

給付費の内訳

(日数補正後)

(3)サービス種類別の利用状況

○ サービス種類別にみると、特に訪問介護、通所介護、福祉用具貸与の利用が伸びている。

(在宅サービス種類別費用(億円)の推移)

在宅サービス種類別費用(億円)の推移

※ 日数補正後。なお、平成13年12月までの短期入所については、振替利用分を含まない。



(在宅サービス種類別利用率(各サービスの利用者数/在宅サービス利用者総数))

在宅サービス種類別利用率

※ 平成14年5月審査分(介護給付費実態調査)



(要介護度別・在宅サービス種類別利用率(各サービスの利用者数/在宅サービス利用者総数))

要介護度別・在宅サービス種類別利用率

※ 平成14年5月審査分(介護給付費実態調査)



(4)支給限度額に対する利用割合

支給限度額に対する利用割合

  要支援 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5 全体
平均利用率 47.6% 34.9% 42.4% 44.9% 46.6% 46.2% 42.0%
※ 平成14年5月審査分(介護給付費実態調査)


(5)給付費の地域差

○ 施設支給額の高い都道府県が全体で上位となる傾向にある。

第1号被保険者1人あたり支給額(平成13年11月分)

第1号被保険者1人あたり支給額(平成13年11月分)

○ 支給額の高い都道府県には、1人あたり支給額の高いもの(高知、富山)、受給者割合が高いもの(徳島、青森、鹿児島)、両方の傾向があるもの(沖縄)がある。

受給者割合と1人あたり支給額の関係(平成13年11月分)

受給者割合と1人あたり支給額の関係(平成13年11月分)

○ 居宅支給額・施設支給額のバランスは、各自治体によって大きく異なってる。

都道府県別・高齢者1人当たり・在宅・施設サービス給付費 2002年4月給付分
(PDF:48KB)


介護サービス事業者の状況

○ 在宅サービス事業者の参入は12年4月の施行後も進んでおり、全国的にみたサービス事業所の総数は増加している。

  12年4月1日 14年7月31日
訪問介護 9,185件 15,898件(73%増)
通所介護 5,621件 10,527件(87%増)
居宅介護支援 19,466件 24,126件(24%増)

(注)WAM−NET掲載ベース


保険料の徴収の状況

○ 高齢者の保険料徴収は、順調に行われており、13年10月からの本来額での徴収開始後も、高水準を維持している。

● 平成12年度の収納率(全国計) 98.7%
● 平成13年10月調定分の収納率(12月まで)(88市町村調査) 98.9%

○ なお、一部の市町村では、低所得の方の保険料の単独減免が行われている。

 
A  単独減免実施
市町村数
B  うち3原則遵守
市町村数
B/A
14年4月1日現在 431市町村 314市町村 72.9%

※ 3原則

(1)保険料の全額免除
(2)資産状況等を把握せず収入のみに着目した一律の減免
(3)保険料減免分に対する一般財源の繰入れ

による保険料の単独減免は、制度の主旨から不適当と考えている。


介護保険制度についての取組


(1)施行後指摘された課題への対応

○ 訪問介護の在り方  (→ 保険給付としての家事援助の範囲を周知)

○ 短期入所サービス  (→ 訪問通所サービスとの支給限度額を一本化)

○ 要介護認定(痴呆性高齢者の評価の問題等)  (→ 要介護認定ソフト(改訂版)を作成、各市町村でモデル事業を実施(15年度から使用予定))


(2)介護サービスの質の向上に向けた取組

○ 痴呆介護の充実  (→ 全国3か所に高齢者痴呆介護研究センターを開設し、痴呆介護技術向上のための専門研修、痴呆介護の研究等を推進)

○ 特別養護老人ホームにおける全室個室・ユニットケア化 (下記)

○ ケアマネジメントの質の向上  (→ ケアマネジメントリーダーの養成・活動支援、現任研修の充実等を実施)

○ 介護サービスの評価の検討  (→ サービス選択のためのチェック項目例の作成。痴呆性高齢者グループホームにおけるサービスの自己評価・外部評価の義務付け)

○ 福祉用具・住宅改修の普及・適切な活用の促進  (→ 関係者への研修の充実、身近な相談援助体制の整備)

○ 「身体拘束ゼロ作戦」の推進  (→ 推進会議の開催、介護現場用の手引き作成、都道府県推進会議・相談窓口設置等)


(3)介護サービスの基盤整備

○ 介護サービスの基盤整備は、ゴールドプラン21に基づき着実に推進。

○ 全室個室・ユニットケアを特徴とする新型特別養護老人ホームの整備を推進。(施設整備費補助(14年度予算〜)。なお、設置準備の状況を勘案して、当面、新型又は従来型のいずれかを選択可)
 これに伴い新型特養の入居者については、低所得者に配慮しつつ、ホテルコストの負担を求める。(15年度〜)

○ ケアハウスについて、設置主体を民間企業等に拡大し、PFI制度を活用した公設民営型による整備を促進。



当面のスケジュール


  事業計画関係 介護報酬関係 その他
平成14年
5月9日  介護保険事業計画策定のための基本指針の改定告示
〜4月  審議第1ラウンド・関係事業団体ヒアリング
 
5月〜 審議第2ラウンド
要介護認定モデル事業
5月〜7月 一次モデル事業(34市町村)
 
7月  介護報酬骨格設定
(〜3月  審査支払システムの設計変更)

8月  15年度予算概算要求
10月頃  介護サービス量等の見込み(10月値)調査
12月頃 10月値の集計結果公表、ゴールドプラン21の見直し
秋  介護報酬新単価の設定に向けての議論
* 介護事業経営実態調査の結果報告
要介護認定モデル事業
11月〜12月 二次モデル事業(全市町村)


12月 15年度予算案決定
平成15年
3月頃  介護保険事業計画の策定完了、保険料率の改正
1月  介護報酬新単価の諮問・答申
 
4月  第2期事業期間スタート
4月  介護報酬改定
4月  認定ソフト(改訂版)の使用開始


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