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(3)福祉用具・住宅改修の普及及び活用の促進について

ア 支援体制の整備

 要介護者が住み慣れた自宅で生活していくためには、福祉用具及び住宅改修の活用によって、日常生活の自立や介護負担の軽減等を図ることも重要である。
 このため、利用者への相談対応・情報提供、個々の身体状況への適合など福祉用具・住宅改修の効果的な活用のための支援体制を整備・強化するため、介護実習・普及センター、在宅介護支援センター等を拠点として、以下の2事業を平成14年度から実施することとしているので、各都道府県、市町村におかれては、積極的な取組みをお願いする。(別添1
 なお、事業の詳細については、それぞれ改めて実施要綱でお示しする予定であるが、その概要については以下のとおりであるので参考とされたい。

(ア)福祉用具・住宅改修活用広域支援事業(都道府県事業)

 介護実習・普及センター等を活用し、福祉用具や住宅改修に係る広域的な事業者協議会の開催、高度で複雑な福祉用具の活用や住宅改修に関する相談援助体制の整備・強化を図る。(各都道府県1カ所、計47カ所)

○実施主体:都道府県とする。ただし、事業の全部又は一部を適当な団体に委託して行うことができることとする。
○事業内容:原則として、以下の事業を行うものとする。
a 福祉用具・住宅改修関係専門家の登録と活用
 福祉用具・住宅改修に関する専門的な研修を修了した者等を登録し、高度で複雑な内容の出張相談等を行う。

b 広域的な事業者協議会の設置
 福祉用具販売・貸与店及び工務店等による都道府県を範囲とした事業者協議会を設置し、事業の推進の側面的支援を行う。

c 複雑な相談に対応する自助具工房の設置
 自助具工房を設置し、自助具の作成、福祉用具の修理、困難な福祉用具のフィッティング等の場を提供する。

d 複雑な内容の事例等に対応した福祉用具の購入取次ができる場の提供
 福祉用具販売・貸与店の協力により、複雑な内容の事例等に対応した福祉用具のフィッティング、購入取次、申込ができる場を提供する。

e メーカー等に利用情報をフィードバックできる体制の整備
 寄せられた相談等から、福祉用具改善に資する情報を収集し、メーカー等にフィードバックを行う。

(イ)福祉用具・住宅改修地域利用促進事業(市町村事業)

 在宅介護支援センター等を活用し、福祉用具や住宅改修に係る地域の事業者協議会の開催、相談等に応じる専門家の登録・活動等、地域における身近な相談援助体制の整備・強化を図る。(各都道府県3カ所、計141カ所)
 また、本事業を行う市町村については、各都道府県の推薦に基づき選定したいと考えているが、手順の細部等については、別途お示しする予定である。

○実施主体:市町村とする。ただし、事業の全部又は一部を適当な団体に委託して行うことができることとする。
○事業内容:原則として、以下の事業を行うものとする。
a 福祉用具・住宅改修関係専門家の登録及び活用
 福祉用具・住宅改修に関する研修を修了した者等を登録し、地域に密着した出張相談等の業務を行う。

b 事業者協議会の設置
 各施設で福祉用具販売・貸与店及び工務店等による市町村を範囲とした事業者協議会を設置し、事業の推進の側面的支援を行う。

c 自助具工房の設置
 自助具工房を設置し、自助具の作成及び福祉用具の修理等を行う。

d フィッティング、福祉用具の購入取次、申込ができる場の提供
 福祉用具販売・貸与店の協力により、その場で福祉用具のフィッティング、購入取次、申込ができる場を提供する。

e メーカー等に利用情報をフィードバックできる体制の整備
 寄せられた相談等から、福祉用具改善に資する情報を収集し、メーカー等にフィードバックを行う。

イ 相談援助体制の強化

 福祉用具・住宅改修に関する知識の普及や、相談援助体制の一層の強化を図るため、介護実習・普及センター等において従来から実施している、福祉用具貸与・販売、住宅改修事業者やケアマネジャー等に対する研修事業(福祉用具・住宅改修研修事業)に加え、平成14年度から、新たに在宅介護支援センター等の職員、作業療法士、理学療法士に対する適合技術に関する実習等、福祉用具・住宅改修に関する最新の動向を踏まえた、より専門的な研修を実施することとしているので、併せて積極的な活用をお願いする。
 なお、事業の詳細については、改めて実施要綱でお示しする予定であるが、その概要については、次のとおりであるので参考とされたい。

○研修対象者:現に福祉用具・住宅改修に関する相談援助等に従事している在宅介護支援センター等の職員や作業療法士、理学療法士等
○講師の選定:受講者に対し担当科目を的確に指導できる者とするが、関係者の意見を踏まえ、研修目的に沿った研修が行えるよう、必要な講師を選定すること。
○研修資料:特に定めない。研修内容に沿った資料を適宜選定・作成すること。
○カリキュラム:原則として、次の内容とするが、受講者の状況等により適宜設定すること。
・ 福祉用具・住宅改修に関する最新の知識
・ 高度な相談支援・指導方法
・ 日本の住環境を踏まえた福祉用具と住宅改修の最適な組み合わせ
・ 福祉用具や住宅改修の活用に当たってのリスクマネージメント
・ 実践的・応用的な適合技術に関する実習

ウ その他

 福祉用具の普及啓発のため、福祉用具関連の団体等において、平成14年から毎年10月1日を「福祉用具の日」(別添2)とし、各種の取組みを計画しているので、前記事業の実施に当たっては、「福祉用具の日」のPR活動等とも必要に応じて連携をとるなど、活用の推進にご配意をお願いしたい。


(別添1)

福祉用具・住宅改修関係施策の展開に関する概念図

図

(福祉用具・住宅改修活用広域支援事業、福祉用具・住宅改修地域利用促進事業、在宅介護支援センター職員等研修事業)


(別添2)

「福祉用具の日」創設趣意書

 我が国では戦後50年以上続いてきた社会福祉のシステムが、新しい時代の流れとともに大きく変わろうとしています。「高齢者等の心身の機能低下や、障害のある人すべてが、一般健常者と同じように生活を楽しむ権利があり、社会としてそれを支援していかなくてはならない」という、北欧で生まれたこのノーマライゼーションの考え方が日本においても広がりつつあります。すべての人々が、たとえハンデを持ったとしても、その人の生活の質(QOL)を向上出来るようなすばらしい社会への道です。2000年4月にスタートした介護保険制度は、そのような社会を実現するためのシステムの一つであると言えるでしょう。
 この介護保険給付サービスの中に福祉用具が含まれており、ケアマネージャ等の専門職からは、介護保険の基本精神である自立支援のための大事なサービスであるとの認識が得られつつあります。
 しかしながら福祉用具は一般になじみが薄く、何か特別なものを感じる人が多いといえます。そのため介護が必要な状態になっても、その存在さえ知らないか、あるいはたとえ知っていたとしても、周りの目を気にして使うことをためらったり、引け目を感じる人が多いのが現状です。これらのことが自立を支える福祉用具の正しい使用や、普及を妨げる大きな要因となっています。
 このような状況の中で私たちは、視力の低下した人が眼鏡を使ったり、歯の弱った人が入れ歯を使ったりするように、必要な状態になったら誰もが何のためらいもなく福祉用具の利用を考え、使えるような環境を整える必要性を痛感しています。このような社会環境を築くためには、多くの方に福祉用具の存在やその役割を知ってもらい、ひいては高齢社会に欠かすことのできない生活用具として、福祉用具が認知されていくことが大切ではないでしょうか。
 そこで私たちは、広く国民に福祉用具を知っていただく機会として、来年度から「福祉用具の日」を10月1日として、関係諸機関・団体とともに全国一斉に、福祉用具のPRキャンペーンを展開したいと考えています。特に高齢社会における福祉用具普及の社会的意義は高いことから、関係業界だけでなく、さまざまな方々と連携して活動を進め、運動の輪を広げていきたいと考えています。
 福祉用具の普及により利用者のQOLの向上だけではなく、介護する人の負担は確実に軽減され、閉じこもっていた高齢者や障害者の外出機会も増え、社会のバリアフリー化が一層進むことも期待できます。
 私たちのこのような取り組みが、今後の高齢者や障害者の生活を支えるための新しい社会システムの構築に必ずや貢献できると確信しています。
 つきましては、よりよい社会づくりのために、どうかこの運動の趣旨をご理解いただき、ぜひご賛同、ご協力くださいますようお願い申し上げます。

平成13年11月7日
「福祉用具の日」創設連絡会
(構成団体)社団法人シルバーサービス振興会
新エネルギー・産業技術総合開発機構
全国福祉用具製造事業者協議会
財団法人テクノエイド協会
日本健康福祉用具協会
社団法人日本福祉用具供給協会


参考

福祉用具購入費給付状況(平成12年度実績)

福祉用具購入費支給申請件数割合(平成12年度実績)の図

福祉用具購入費給付額割合(平成12年度実績)の図


住宅改修費

住宅改修費支給件数割合(平成12年度実績の図

住宅改修費給付額割合(平成12年度実績の図


福祉用具購入費・住宅改修費の支給限度額に対する利用割合
(平成12年度実績)

福祉用具購入費支給限度額に対する利用割合(平成12年度実績)の図

住宅改修費支給限度額に対する利用割合(平成12年度実績)の図


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