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社会連帯による次世代育成支援に向けて


平成15年8月7日

次世代育成支援施策の
在り方に関する研究会


はじめに

  ○ 子どもは「未来の夢」、「次代の希望」である。いかなる時代であっても、次代を担う子どもたちの屈託のない笑顔や歓声は、人々の心に、優しさと元気を与えてくれる。また、日々、新しい体験、出合いを通じて成長していく子どもたちの姿からは、明日に向けた夢と希望を見出すことができる。

  ○ そんな子どもたちを取り巻く環境が一段と厳しさを増している。核家族化の進行、就労環境の変化、近隣関係の希薄化などを背景に、家庭や地域における子育て力の低下は著しく、親の育児負担感の増大などが生じている。その結果、深刻な育児不安や歪んだ子育て、さらには子どもにとって育ちにくい社会への変容につながり、児童虐待や子どもによる犯罪など深刻な事件に結びついているとの指摘もある。

  ○ 他方、少子化に歯止めがかからない状況が続いている。平成元年の「1.57ショック」以来、国民の関心を集めることとなった合計特殊出生率も、平成14年には「1.32」と史上最低記録を更新し、間もなく我が国は「人口減少社会」へと突入することが確実な状況となっている。こうした少子化は、社会保障制度を始めとして我が国の経済社会に深刻な影響を与えるとともに、地域社会から子どもの姿が見られなくなること(子ども減少社会)により、その活力が失われることが懸念されている。

  ○ こうした厳しい時代だからこそ、次代を切り拓いていく子どもたちの育ちをしっかりと支え、子を持ち、子育てをするという生き方を選択することについて、夢と希望が感じられる社会を実現することが、今を生きる我々にとって緊急かつ重要な責務であると考える。

  ○ こうした中で、地域の現場では、新たな子育て、子育ち支援の取組がみられている。また、政府においても、今般、少子化社会対策基本法や次世代育成支援対策推進法が制定されるなど、本格的な次世代育成支援施策の充実・強化に向けた第一歩が踏み出された。

  ○ 今後、平成16年に向けて、児童手当制度や育児休業制度の見直し、年金制度における次世代育成支援など、さらなる施策の充実に向けて検討が本格化するとともに、さらに、地方分権、規制改革等の論議も視野に入れ、保育所等の子育て支援施策の将来像を明らかにすることが求められている。

  ○ こうした状況を受けて、本研究会は、中長期的な視点からの次世代育成支援施策、特に、すべての子どもたちを対象とする基盤的な施策ともいえる「子育て支援施策」を中心に、今後の基本的方向や施策の選択肢などについて、研究・整理する観点から、現場でのヒアリングなどを交えつつ、5回にわたり、検討を行った。

  ○ 本報告書では、今後の次世代育成支援施策の基本理念として、「社会連帯による子どもと子育て家庭の育成・自立支援」を掲げ、こうした基本理念の下で、地域子育て支援、保育、児童手当など子育て支援に関連する既存の施策とその財源の在り方を見直し、新たな「次世代育成支援システム」の構築を図ることを提言している。

  ○ これまで、次世代育成支援施策については、個々の制度、施策ごとに論議されることが多く、制度横断的に、しかも、財源の在り方を含めた総合的な検討が行われることはほとんどなかった。それだけに施策全体をトータルに捉えた本報告書は、着想、先進性などの点で有意義なものと考えるが、他方、改革の実現に向けた具体策、手順などについての十分な検討には至らなかった。

  ○ この報告書が契機となって、子育て支援を中心とする次世代育成支援施策の新たな展開に向け、今後、さらなる議論が積み重ねられることを期待したい。


1.基本的な考え方

(1) 次世代育成支援施策を取り巻く現状

 (子どもと家庭を取り巻く環境の変化)

  ○ 子どもや家庭を取り巻く環境は、近年、厳しさを増している。核家族化の進行や父親の長時間労働に加え、近隣関係の希薄化など子どもをめぐる地域ネットワークが弱体化する中で、育児の負担が母親にのしかかり、母子2人きりで周囲から隔絶されて一日を過ごす「育児の孤立化」といった状況が指摘されている。また、兄弟姉妹の減少などによって乳幼児とのふれあいの経験がないままに親となる者が増加するなど、家庭や地域における子育て力の低下は著しい。

  ○ この結果、「育児の自信がなくなる」とする母親が専業主婦の7割に達しているほか、子育てについて「イライラすることが多い」とする母親が20年前の3倍に増加するなど、母親の育児への負担感は大きく高まっている。

  ○ こうした状況は、子どもの成長に悪影響を及ぼすことも懸念されている。例えば、こうした育児に関する歪みが顕在化した事例ともいえる児童虐待について、全国の児童相談所における相談処理件数をみた場合、平成14年度には、児童虐待防止法が施行される前の平成11年度と比較して、約2倍に増加している。近年、事例の把握が進んだという事情を勘案しても、子どもの健全育成を著しく阻む状況が広がっていることがうかがえる。

  ○ また、子育て家庭の経済的状況をみた場合、近年、教育費をはじめとする子育てに係る支出が増加している。特に乳幼児を養育する世帯の場合には、収入面でも低い水準にある。

  ○ 出産後も就業を継続したい、あるいは速やかに再就職したいと考える女性が多いにも関わらず、職場環境や保育サービスの不足などを背景にこうしたニーズに応えられていない現状もある。

 (少子化の急速な進行)

  ○ 我が国の少子化は、急速に進行している。平成元年の「1.57ショック」以降、エンゼルプラン、新エンゼルプランの策定といった施策が講じられたが、合計特殊出生率は一貫して低下し続け、平成14年には1.32という過去最低の水準に至っている。これは、他の先進諸国と比べても低い水準である。
 また、平成14年1月に発表された「日本の将来推計人口」によれば、従来、少子化の主たる要因とされてきた晩婚化に加え、「夫婦の出生力そのものの低下」という新たな現象がみられ、現状のままでは、少子化は今後一層進行すると予想される。

  ○ 平成18年をピークとして、今後総人口は減少に転じることが見込まれており、我が国はいよいよ「人口減少社会」へと突入する。こうした少子化の進行は、地域社会における子どもの数や労働力の減少といった形で社会全体において、また、地域や職域において様々な影響を及ぼすのではないかと懸念する声が高まる中で、先般、少子化社会対策基本法や次世代育成支援対策推進法が成立するなど、人口減少社会に向け、少子化の流れを変え、生まれた子どもを健やかに育てるための枠組みの整備が進められている。

  ○ 本年6月に公表された出生動向基本調査によれば、夫婦が理想とする子ども数は、平成14年時点で2.56人であるのに対し、実際の出生子ども数は2.23人と、理想と現実に大きな差が生じている。このため、次世代育成支援施策は、こうした差をできる限り縮め、子どもを生み育てたいと思う家庭がそれを実現できるよう支援する役割が期待されている。

 (社会保障制度に対する国民意識の変化)

  ○ 厳密な比較は難しい面があるが、現在の我が国の社会保障給付費を欧米諸国と比較すると、「高齢」関係給付の比重が高く、「児童・家族」関係給付の割合については、欧州諸国に比べ低く、米国と同程度の水準である。今日の社会保障において大きな役割を果たしている年金、医療、介護の各制度が事実上、世代間扶養の機能を有していることを考えると、世代間の公平の確保を図り、若い世代の理解を得るという観点から、こうした給付構造の見直しを進めるべきとの指摘がある。

  ○ 内閣府が本年4月に公表した公的年金制度に関する世論調査によれば、5年前と比べ、年金、介護などの高齢者施策の充実を重要であるとする割合が減少しているのに対し、次世代育成支援施策を重要であるとする割合は2倍に上昇しており、国民の間で次世代育成支援施策の充実を求める声が高まっている。

(2) 次世代育成支援施策の基本的な考え方

  ○ (1)のような子どもと家庭を取り巻く状況を踏まえれば、今、子どもを生み育てることを社会がもっと評価し、次世代育成支援−次代を担う子どもやこれを育成する家庭を社会全体で支援すること−を速やかに、しかも強力に推進していくことが必要である。

  ○ そのねらいは、次代の社会を担う子どもたちの幸せを第一に考え、こうした子どもたちを育成する家庭の子育て力が高まるよう各種の支援を行うことにより、子育てをする人が子育てに伴う喜びを実感できるような社会を形成していくことにある。

  ○ こうした次世代育成支援施策のねらいを実現するとともに、少子化の流れを変え、21世紀の我が国を夢と希望にあふれた活力ある社会とするためにも、次世代育成支援施策を高齢者関係施策と並ぶ国の基本政策として位置づけることが必要である。

  ○ 子どもは「未来の夢」、「次代の希望」であり、その育成は、子どもを持つ家庭のみならず、すべての国民にとって重要な意味を持つものである。したがって、次世代の育成について、すべての国民がこれを自分の問題として捉え、その重要性について理解を深めるとともに、それぞれその置かれた状況に応じた役割を果たしていくことが期待される。

  ○ こうした観点を踏まえ、次世代育成支援施策の基本理念を「社会連帯による子どもと子育て家庭の育成・自立支援」とし、この基本理念を踏まえて、新たな「次世代育成支援システム」の構築など施策の再編・強化に向けた検討を進めるべきである。

(3) 子育て支援施策の基本的方向

  ○ 次世代育成支援施策は、地域子育て支援、保育、児童手当のほか、被虐待児など保護を必要とする児童や家庭への支援、母子、父子家庭及び障害児とその家庭への支援、男性を含めた働き方の見直し、子育てと仕事の両立支援、教育、生活環境の充実など、その領域は多岐にわたるが、その実施に当たっては、地域・職域の各場面で、これらを一体的に推進することが重要である。

  ○ その推進に当たっては、国、都道府県、市町村のみならず、国民一人ひとり、さらには企業・団体が一体となって、次世代の育成という視点に立ち、積極的に役割を果たしていくことが必要である。

  ○ 次世代育成支援施策のうち、特に地域子育て支援、保育、児童手当といった、次世代とこれを養育する家庭を直接支援する「子育て支援施策」は、原則として、市町村において実施されるとともに、子ども全般を対象とする基盤的な性格を有するものであり、次世代育成支援施策全体の底上げを図る観点から、さらなる充実が必要である。

  ○ 具体的には、今後、以下の5つの基本的方向に沿って、施策の量的・質的拡充を図ることが適当である。
 普遍化・多様化
 総合化・効率化
 家庭と地域の「子育て力」
 出生から青少年まで年齢に応じたきめ細かな施策
 専門性の確保

 (普遍化・多様化)

  ○ 長い間、子育ては近親者や地域の手助けを受けながら行われてきた。しかし、1の(1) でみたとおり、近年、このようなインフォーマルな支援を得ることが期待できない状況が広がっている。こうした中で、施策の対象を「すべての子育て家庭」へと広げていくことが必要となっており、近年スタートした地域子育て支援サービスの充実強化など積極的な取組を進めていくことが必要である。

  ○ また、これまでの子育て支援施策は、「保育」に代表されるように、児童福祉法を基本に、「福祉」の考え方に基づき対象者・家庭を限定して行われてきた。しかしながら、保育の利用世帯をみても、かつては低所得世帯が中心であったが、現在では、所得税課税世帯が多数を占めており、その状況は大きく変化している。したがって、施策・制度も、従来のような主に低所得世帯を念頭に置いた福祉的な対応から、普遍化・一般化という流れにふさわしい在り方、利用しやすい仕組みへと見直すことが適当である。

  ○ したがって、今後の子育て支援施策は、所得、職業、働き方の違い、家族形態などで必ずしも一律に区分されることなく、すべての親子を対象に、その必要に応じたサービス等の提供を目指すべきである。
 その際、就学前の子どもたちに対する支援について、将来的には、従来の「福祉」か「教育」かという施策の枠組みを超え、次世代育成支援という広い観点から考えていくべきである。

  ○ こうした施策の推進に当たっては、子どもの幸せという視点に立ち、親の子育て力が高まるよう支援を行うべきであり、親が自己の都合を優先するあまり、育児の責任を放棄するようなことがあってはならないと考える。また、子育て家庭の状況が多様化していることを踏まえ、一律の対応ではなく、個々の子どもや子育て家庭のニーズに即したきめ細かな施策を実施することが必要である。

 (総合化・効率化)

  ○ 子育て支援施策は、サービス(地域子育て支援、保育)と経済的支援(児童手当)に分かれ、それぞれ財源構成も異なるが、市町村において実施され、また、子ども全般を対象とする点で共通している。このため、これらを効果的に実施していくためには、それぞれの給付を個別に取り扱うのではなく、総合的な視点からその在り方を見直すことが必要である。

  ○ その際、地域の実情に応じ、地域子育て支援や保育、さらには幼稚園を含めてサービス間の連携を図るとともに、サービスと経済的支援について、両者が適切に組み合わされ、個々の家庭のニーズに合わせて効率的に提供されるようにすることが必要である。

  ○ サービス提供に当たっては、より効率的なものとなるよう配慮すべきであり、NPO、企業の参加促進や保育所の公設民営方式の活用など、多様な主体が創意工夫を凝らした質の高い事業展開を進められる環境を整備することも重要である。

  ○ なお、次世代育成支援の推進という観点からは、単に子育て支援施策の充実を図るだけではなく、「我が子をもっと自分たちで育てたい」とする親たちの希望をかなえるためにも、男性の育児やそれを実現するゆとりある働き方の実現など、子育てと仕事の両立支援を進めることが必要である。
 また、希望する専業主婦が速やかに再就職ができるようキャリアコンサルタントによる支援等を行っていくことも望ましい。
 こうした総合的な取組を進めることにより、はじめて次世代育成支援施策の効果が期待できるものと考えられる。

 (家庭と地域の「子育て力」)

  ○ 子どもの幸せの視点を考えれば、親の負担軽減を図るあまりに、親を単なる「サービスの一方的な受け手」としてしまうような支援は適当ではない。むしろ、親子の絆を深め、親の子育て力を高める施策や親自身の主体的な取組を促す施策を充実する視点が必要である。

  ○ こうした取組の中には、例えば、親自身が相互に助け合い、成長するためのネットワークづくりや、子育て経験者・高齢者、専門職なども含めた住民参加によるネットワークづくりなどが考えられる。また、市町村単位で保育所、幼稚園、NPO等の有機的な連携を図りつつ、子育て支援を展開していくコーディネート機能を拡充していくことも重要である。
 こうした取組は同時に、地域ネットワークの弱体化が指摘される現在、子育て支援を通じて地域社会や住民の中につながりとぬくもりと信頼を再生する契機ともなるものである。

  ○ こうした取組をはじめ、子育て支援施策は、市町村など地域において、その実情や個々のニーズに合致したきめ細かい取組として展開されていくことが望ましい(地域主義)。このような地域の自主的な取組が主体的に行われ、これを国が基本政策として、都道府県が広域的な見地から地域政策を講じる立場として、重層的に支援していくという考え方の下に施策が推進されていくことが重要である。

 (出生から青少年まで年齢に応じたきめ細かな施策)

  ○ 子育てと一口にいっても、出生から青少年期まで、子どもの発達段階に応じて、そのニーズは大きく異なっており、年齢に応じて、きめ細やかな施策を考えていくことが重要である。また、教育施策を始めとする関連施策との連携にも十分な配慮が必要である。

  ○ 0歳児をはじめ乳幼児期という人生の初期段階は、人間(他者)に対する基本的信頼感を形成する大事な時期である一方、子育て家庭にとっては育児負担が大きい割に、公的支援が少ない状況にあり、また、近年、こうした乳幼児を抱える子育て家庭を取り巻く諸状況を踏まえると、特に、この年齢層の支援を重点的に強化していくことが望まれる。
 具体的には、
 妊娠から乳幼児期までのきめ細かな母子保健対策を講じる
 希望する者がその希望どおりに就労継続し、育児休業を取得できるような職場環境の実現のための育児と仕事の両立支援策の実施と併せて、育児休業後、確実に保育サービスが利用できる体制を整備していく
 専業主婦家庭や育児休業中の家庭など、すべての子育て家庭を支援する地域子育て支援事業、特に親子が一緒に参加でき、親の「子育て力」を高めることにもつながる「つどいの広場」的事業等の充実を図る
といった対応が期待される。

  ○ 3歳以降においては、社会性やコミュニケーション能力の向上等に対する配慮が重要であり、保育所や幼稚園におけるカリキュラムの在り方、遊び場の整備などにおいても、こうした年齢層に配慮した環境づくりが求められる。

  ○ 小学校就学後は、義務教育など教育施策を通じて公的支援が相当程度整っているが、他方、放課後においては、地域の遊び場の減少、共働き家庭の増加といった状況の下で、子どもの放課後の居場所の確保といった課題も生じている。放課後児童クラブなど、子どもたちが、年齢の枠を超えて、たくましく成長できる良好で安全な環境を確保することが重要である。

  ○ 思春期になると、いじめや不登校の問題、さらには朝食の欠食等の食習慣の乱れや思春期やせに加え、性に関する問題など心と身体の健康問題も生じている。また、兄弟姉妹の減少などによって体験的に子育てを学ぶ機会が減少しているとの指摘もある。
 こうした課題に対しては、地域の実情に応じ、教育施策と連携を図りつつ、積極的な対応が望まれる。特に、食を通じた家族形成、人間性の形成や健康づくり(食育)、中高生と乳幼児のふれあいの場の提供、さらには、性や性感染症予防に関する正しい知識の普及を図ることが次世代の親づくりという視点からも必要である。

  ○ 次世代育成支援施策全般に目を向ければ、高等教育などの教育費の負担を指摘する声も大きく、奨学金制度の充実が求められているほか、若者の自立支援を促す観点から職業選択や能力開発の支援を行うキャリアコンサルタントの養成の推進等を図っていくことが必要となっている。

 (専門性の確保)

  ○ 地域や家庭の子育て力の低下に伴い、単に保育のみならず様々な支援を得て何とか子育てをしている家庭が増加しているといった指摘や、切れやすい、荒れるといった問題行動が頻繁にみられる子どもたちが増えているといった指摘がある。こうした状況を踏まえ、サービスの量的拡大を図る一方で、あわせてその専門性を高めていくことが必要である。

  ○ 具体的には、特別な配慮を必要とする家庭や子どもにも対応できるような子育て支援のためのコーディネート機能を市町村を単位として拡充していくほか、保育所等が地域子育て支援センターとして、広く地域の子育て家庭の相談に応じるとともに、虐待などに至る前の予防対応を行うなど、一定のソーシャルワーク機能を発揮していくことが必要である。
 このため、一定の実務経験を積んだ保育士等をこうした役割を担うスタッフとして養成する等の取組を進めていくことが必要である。


2.事業等の在り方

  ○ 子育て支援施策については、1で述べた5つの基本的方向に沿って施策の量的・質的拡充を図ることが適当であるが、その際、それぞれの事業等の在り方について、以下のような視点から検討していくべきである。

(1) 地域子育て支援

 (すべての子育て家庭を対象とする施策への転換)

  ○ 専業主婦家庭を含むすべての子育て家庭を対象とする地域子育て支援については、平成2年度に初めて一時保育促進事業が開始され、以後、累次、対象事業が拡大されてきたものの、その取組は未だ緒についたばかりである。

  ○ そうした中で、現在、地域や家庭における子育て力が低下し、「育児の自信がなくなることがある」とする母親は、平成9年度現在で共働き家庭の46.7%に対し、専業主婦家庭では70.0%となっており、共働き家庭よりも専業主婦家庭に育児不安が多くみられる。

  ○ こうした在宅育児家庭のニーズに応えるためにも、また、虐待など深刻な事態を未然に予防する観点からも、地域子育て支援事業の一層の充実を図っていくことが重要である。なお、このような取組は、専業主婦家庭や育児休業中の家庭、さらには働く父親や母親の育児などすべての子育て家庭の育児を支援することにつながるものであり、「子どもの育ち」という観点からも、地域全体の「子育て力」を高める上でも、有効な施策と考えられる。

 (身近に利用できる体制の整備)

  ○ 専業主婦家庭において母親の育児不安がより大きくなっている背景として、共働きの母親に比べ、専業主婦の場合には、地域ネットワークが弱体化する中で、孤立した形で24時間子どもと向き合っているような状況が増えているとの指摘がある。
 とりわけ、多くの母親が保育以外に充実してほしいサービスとして「子どもを遊ばせる場や機会の提供」を求めていることを踏まえると、「子育てサロン」、「子育てひろば」等、地域の中に親子の居場所が必要である。特に、対象が低年齢児であることを考えると、そうした場は、「コンビニエンス・ストア」のように親子が歩いて行ける身近な範囲に存在することが望ましい。

  ○ 児童館、学校の余裕教室、公的施設等において実施されている放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)については、小学校就学期の子どもを持つ家庭の子育てと仕事の両立を支援するという観点からも、また、遊びを通した異年齢児との交流等により、子どもたちの健全な育成を図るという観点からも、有意義な取組であると考えられる。さらに、近年、小学校就学期の子どもを持つ親の共働きが進んでいることや、子どもたちの遊び場が減少していることなどから、その役割がますます重要となっている。このため、今後、一層その普及を図り、「放課後の子どもたちの居場所」として定着させていくことが期待される。

  ○ 地域子育て支援事業には、上記のほか、地域子育て支援センター事業、児童ふれあい事業、一時保育、ファミリー・サポート・センター事業、さらには、幼稚園の預かり保育等がある。これらについては、その取組がスタートして間もないこともあって、今後、その充実が期待されるところである。今般の児童福祉法の改正や次世代育成支援対策推進法の制定を契機として、計画的に、地域の実情に合わせた取組が行われ、ゴールドプラン等の下で高齢者介護サービス、とりわけ在宅サービスの充実が飛躍的に進んだように、親子が身近かに安心して利用できる体制が整備されることを期待したい。

 (家庭と地域の「子育て力」を高める視点)

  ○ 親の子育て力が低下していると言われる中で、親も、子どもとともに学び、成長していくことが必要である。
 こうした中で、例えば、親子が一緒に集まる「つどいの広場」は、専業主婦家庭のみならず育児休業中の親などを含め様々な親子が一緒に過ごし、学び合うものであり、親子の絆を深め、親の子育て力を高める効果が期待される。また、地域子育て支援センターにおいては、育児サークルの育成なども行われており、親による主体的な取組を支援している。今後、これらを始めとした「親同士が参加する場、互いに育ち合う場」を作っていくことが重要である。

  ○ 近年、普及が進んでいる「つどいの広場」事業などでは、親子が集い、その場でスタッフが一緒に関わる中で、子育て支援のための相談・援助などが行われている。こうしたスタッフには、親の話をよく聴くことなど様々なコミュニケーション上の能力も必要とされる。こうした子育て支援者の養成や資質の向上に向けた取組を進めていくことが必要である。

  ○ 今日、兄弟姉妹が少なくなり、中高生と乳幼児が接する機会も減少しているほか、朝食の欠食等の食習慣の乱れや、思春期やせに見られるような心と体の健康問題も生じている。一部の地域で行われている中高生と赤ちゃんとのふれあい事業や調理などの体験的活動を取り入れた食育推進事業などは、次世代の親づくりの視点からも有効であり、その普及が期待される。さらに、高齢者と赤ちゃんがともに過ごす場を増やすなど様々な世代の交流の機会を設けるといった取組や商店街の空き店舗を活用した各種の子育て支援サービスの提供も重要である。

  ○ こうした取組は、多様な主体によって展開されることが望ましい。子育てサークルやNPOなどによる自主的・主体的な取組が進められることは、地域の子育て力の強化や地域の実情に合致した効率的なサービス提供に資するという点だけでなく、地域において失われつつあるつながりとぬくもりと信頼の再生にもつながり、地域の活性化という観点からも意義深いものと思われる。

 (多様な地域のニーズへの対応)

  ○ 地域子育て支援事業には、様々なものがあるが、地方公共団体からは、
ア)補助メニューが細分化されていることから、個々の事業評価が困 難であり、広範な取組が望めない状況にある、
イ)各補助事業については、補助目的がそれぞれ決まっているため、 市町村における地域の実情に応じた多様なサービスをカバーできないものとなっている、といった意見も聞かれる。
 このため、多様な地域のニーズに応じたサービスの充実を図りつつ、補助の仕組みを交付金化するなど、地方公共団体にとって地域の実情に応じた創意工夫を行いやすい仕組みとすることが求められる。

(2) 保育

 (利用者の普遍化への対応)

  ○ これまで保育は、福祉の考え方に基づき、市町村が自らあるいは社会福祉法人等に委託するという形で「保育に欠ける」児童を対象に提供されてきた。利用世帯は市町村に申請するとともに、国の基準では、所得に応じ7段階を基準として設定された利用者負担を市町村に対し支払う仕組みとなっている。

  ○ 一方、女性就業の増加などに伴って、近年、保育所を利用する世帯は急速に増加しており、利用世帯の経済状況をみると、昭和35年度には所得税課税世帯が2割に満たなかったのに対し、平成9年度には4分の3が課税世帯となるなど、今日、保育所の利用は一般化しているといえる。

  ○ こうした状況は、高齢者介護や障害児・障害者福祉施策などの分野においてもみられるが、これらの分野では、介護保険制度の創設や社会福祉基礎構造改革の際に、市町村の役割を確保しながら利用者と事業者が直接契約を行うという方向で改革が行われている。

  ○ 保育についても、平成9年には、市町村の措置に基づく入所の仕組みを見直し、保護者が希望する保育所を選択して、市町村に利用申込みを行うという改正が行われている。しかし、最近の保育を取り巻く環境の変化や周辺分野における改革動向を踏まえると、新たな次世代育成支援システムの一環として、市町村が自らあるいは委託という形態で行う現行の仕組みを見直し、子の育ちに関する市町村の責任・役割をきちんと確保しつつ、保護者と保育所が直接向き合うような関係を基本とする仕組みを検討することが考えられる。

  ○ 保育の利用申込みやその受諾が利用世帯と保育所との間で直接行われる仕組みとなれば、利用世帯と保育所の双方で、保育に関する当事者意識がより高まり、子どもの状況に応じた保育の在り方が検討されるようになることが期待される。
 具体的には、利用者側からみれば、より主体的に保育所の運営方針や保育内容を確認しつつ保育所を選択することができるようになり、一方、保育所としても、広く地域に情報提供するインセンティブが生まれるとともに、利用者のニーズに合ったサービスの提供が期待される。

  ○ こうした見直しに伴い、保育所にとっても、市町村からの委託費としての資金の性格上、使途が厳しく限定され、新しい事業などに充当できない現在の仕組みが見直され、弾力的な財務運営が可能となるなどの利点もある。

  ○ 他方、保護者と保育所が相対で契約する仕組みとなることに伴い、親の都合ばかりが優先されることとなるのではないか、あるいは障害児や母子家庭などの利用が排除されるといったケースが出るのではないかとの懸念もある。

  ○ こうした中で市町村は、保育を必要とする児童・家庭に対するサービスを確実に提供する観点から、住民の意見を踏まえて保育の計画的な供給体制の整備やその質の向上を図る必要がある。さらに、子どもの育ちに関し、市町村が引き続き負うべき責任と役割として、障害児や母子家庭などへの適切な配慮を前提としつつ、保育所利用の必要性や優先度の判断に関する新たな仕組み(要保育認定)を導入し、市町村が自ら又は適切な第三者に委託して実施に当たることが必要である。

  ○ 加えて、家庭や地域の子育て力が低下し、特別な配慮を必要とする家庭が増加している状況も踏まえ、市町村は、地域内の社会資源を適切に活用しながら、いわゆるケース・マネジメント機能をより一層強化するなど、新たな状況への対応を進めていくことが必要である。

  ○ また、保育所においては、単に親のニーズに迎合するのではなく、その専門性を発揮し、保育所と保護者が「共に育てる」という視点から、保護者への働きかけ、子どもたちの育成に努めることが求められる。

  ○ なお、保育の利用補助券を子育て家庭に配布する、いわゆるバウチャー制度については様々な定義があり、何を持ってバウチャーと呼ぶかは議論があるが、諸外国で導入されたような自由価格制の下で追加的な差額負担が家計に生じる仕組みを我が国に導入することは、
ア)市町村の公的関与が後退するのではないか、
イ)低所得者などの利用が事実上排除・制約されるのではないか
といった懸念などがあり、今日の我が国の現状からすれば慎重に考えるべきである。

  ○ また、パートタイム労働者の増加など就労形態の多様化等と相まって保育に対するニーズも多様化する中で、これまで特定保育の実施などを進めてきたところであるが、今後多様な働き方が増えていくことが見込まれる中で、さらに柔軟な対応を図っていくことが適当である。

 (待機児童の解消・多様な保育ニーズへの対応)

  ○ 保育については、これまで新エンゼルプランや「待機児童ゼロ作戦」等により、供給体制の整備が進められてきたが、都市部を中心として依然として待機者が存在することや今後とも女性の就労が増加すると考えられることから、さらにその充実を図ることが必要である。また、多様な保育ニーズを踏まえ、延長保育、夜間保育、休日保育や病児保育などについて、子どもの育ちに十分配慮しながら必要なサービスを確保することが必要である。

  ○ 国の定める最低基準を満たし財政基盤が制度化されている認可保育所と比べ、基準を満たしていない認可外保育所については、一般に、保育料が高くなる場合が多い。こうした認可外保育所を利用しなければならない家庭の中には、認可保育所利用世帯と同様又はそれ以上に保育を必要とする家庭も存在すると考えられる。

  ○ 認可外保育所の中には、東京都の認証保育所や横浜保育室など、地方公共団体においてその独自の判断によって補助が行われているケースもある。児童福祉法の改正によって保育計画(待機児童解消計画)を策定することとなる市町村においては、待機児童の解消に向けた緊急の取組として、市町村が地域の実情に応じ必要と判断した保育サービスについて、これを保育計画に組み込んでいくことが適当である。

  ○ 認可保育所の利用者負担については、地方公共団体の上乗せ軽減措置もあって、認可外保育施設や幼稚園の利用者負担との比較、在宅育児家庭とのバランスといった観点から低いとの指摘もあり、待機児童解消に向けた効率的な資源配分の観点から、必要に応じ見直しを行うことを検討すべきである。あわせて、現行の保育所利用の見直しに際しては、負担能力に応じ7段階にも細かく区分されている利用者負担区分の簡素化を図るべきである。

 (運営の効率化)

  ○ 認可保育所の公営・私営別の推移をみると、私営保育所の割合が次第に上昇しており、平成14年では施設数で約44%、児童数では約49%に達している。公営・私営の保育所は、それぞれが他方にない長所を有しているが、私営保育所の方が延長保育等の特別保育の実施率が高いなど利用世帯の多様なニーズに応えている一方で、公営保育所は、多様なニーズへの対応が不十分で、かつ、保育士の年齢が高いこともあって費用がかかるなど費用対効果という面で問題がある。「民でできることは民で」という官民の役割分担の観点を踏まえると、今後とも公設民営形式の推進や公営保育所の民営化など民間活力の導入を進めていくことが適当である。

  ○ 公営保育所は、障害児など特に配慮が必要な子どもたちへの対応など、公営としてふさわしい特色ある取組を地域の拠点施設として進めるほか、経験のある保育士が地域子育て支援事業や、さらには近年増加しているソーシャルワーク的支援を必要とする家庭の子育て支援など、今日新たな対応に迫られている。

 (保育の質の確保)

  ○ 保育所利用児童が増加するとともに、家庭の子育て力が低下している中で、保育士が有する保育についての専門的な知識やノウハウは、子どもの健やかな育ちを支える上で重要な資源ともいうべきものである。このため、今後とも、教育や研修等による施設長や保育士の資質の向上を通じて、保育の質を確保・向上させていくことが必要である。また、保育所が地域子育て支援センターとして、家庭の子育て力の低下を踏まえ、ソーシャルワーク能力など専門性を高めていくことが求められる。

  ○ さらに、地域の実情に応じ保育所がその役割を適切に果たすことができるよう、引き続き規制改革や認可外保育所の認可保育所への移行などを進めるとともに、第三者評価の推進などにより、保育の質の向上を図ることが必要である。

 (地域社会における保育所の役割)

  ○ 保育所は、子育てについて高度な専門的ノウハウを有し、保育が必要な子どもに対するサービスのみならず、地域における子育て拠点として、子どもの健全育成のために重要な役割を果たすことが期待されているが、その取組はなお十分ではなく、子育て家庭からは敷居が高い存在となり、その子育ての専門性が広く活用される状況には至っていないとの指摘がある。このため、今後、保育所が地域や子育て家庭に身近で親しまれる存在となり、地域の子育てを共に支え、助ける子育てのひろばとして、地域に開かれた存在となっていくことが必要である。その際、地域のNPO、民生・児童委員等との連携を図っていくことが求められる。

  ○ なお、地域社会の中ですべての子育て家庭を対象としたサービス提供が重要となる中で、近年、親の子育て力が低下していることを踏まえると、特別な配慮が必要な家庭へのきめの細かい支援という面でも、保育所の専門的なノウハウが十分に活用されることが期待される。

 (保育と育児休業の関係)

  ○ 本年3月に決定された「次世代育成支援に関する当面の取組方針」では、育児休業の取得率について社会全体の目標値が定められるなど、子育てと仕事の両立に向けた取組の強化が求められているところである。一方、実際の取得状況をみると、近年、女性の取得率が急速に上昇しつつあるものの、なお、取得できない者や取得しても短期間しか取得しない者も多い。また、男性の取得率に至っては平成14年度で0.3%と極めて低い水準にとどまっている。

  ○ こうした状況の下で、ゼロ歳児保育のニーズは急速に拡大しており、他の年齢と比べても高い伸びを示している。その利用児童数は、平成14年4月現在において約7.1万人と利用児童総数の約3.8%に過ぎないのに対し、ゼロ歳児保育は手厚い人員配置を要することもあり他の年齢と比べて費用がかかることから、保育予算全体の20%以上を占める状況となっている。なお、こうしたゼロ歳児保育は、北欧諸国ではほとんどみられない。

  ○ 育児休業の取得ないし長期間の取得を阻んでいる要因にはさまざまなものがあるが、その一つとして、育児休業を取得し、子どもが1歳となった後に保育所入所を申し込んでも、年度途中からの入所が困難であるなど、育児休業後の保育所への入所不安が存在することが考えられる。この結果、育児休業を取得しない、あるいは短期間しか取得しないという事態が生じており、ゼロ歳児保育が増加している一つの要因ともなっている。

  ○ これまで、ともすると親の就労支援を目的とする育児休業制度と保育に欠ける児童の健全育成を目的とする保育制度とは、それぞれ別個の観点から、その在り方が検討されてきた面があるが、実際には相互に関連する施策であり、両者を総合的に捉え、整合性の取れた取組へと変えていくことが必要である。

  ○ 育児休業をさらに促進する観点から、例えば、1歳児保育の受け入れの推進を図ることにより、育児休業取得後に確実に保育所を利用できるようにしたり、育児休業制度においても、取得期間について子どもが1歳に達するまでとされている取扱いを弾力化し、育児休業取得後、円滑に保育所に預けることができるようにするなどの見直しを行うことが期待される。

  ○ こうした施策は、あくまでも育児休業による就業継続を望む者がその希望どおりに取得できるようにするためのものであり、ゼロ歳児保育の重要性を否定するものであってはならない。また、ゼロ歳児等の保育については、保育所のみならず、保育ママのような家庭的保育事業を含む代替的事業の活用について柔軟な対応を検討することが望まれる。

  ○ また、あわせて、育児休業取得後において、希望する者は必ず元の職に戻ることができるようにするとともに、子育てのために離職した者が円滑に再就職できるような支援を充実していくことが望まれる。

 (保育所利用世帯と非利用世帯との支援の格差)

  ○ 現在、保育所利用世帯に対する支援がある程度進んでいる一方で、在宅育児世帯に対しては、教育施策や児童手当、母子保健などを除き公的支援は少ない状況にあり、保育所利用世帯と非利用世帯との間で利用できるサービス、投入されている公費についての格差がある。とりわけ幼稚園通園前の3歳未満児において、その格差は大きい。

  ○ 保育所を利用する世帯も、利用せずに在宅で育てる世帯も等しく公的支援を行うという観点から、一部の北欧諸国においては、1〜2歳児を養育する保育所非利用世帯に対し、児童手当とは別に「在宅育児手当」が支給されている。

  ○ このような在宅育児手当については、子育て支援給付を総合的に捉えた場合に保育所利用世帯と在宅育児家庭との支援のバランス、育児という社会的な意義を有するアンペイドワークを評価する観点から、施策の選択肢として考えられるのではないかとの意見があった一方で、ア)育児費用のかなりの部分を公的に賄うというのは今日の日本の実情にはなじまないのではないかといった意見や、イ)このような手当は女性の社会進出を阻害する方向で作用するのではないかのではないかといった意見、ウ)北欧諸国における在宅育児手当の金額は、保育所への公費支出に見合った相当高い水準であり、これを我が国に適用すると、費用がかかりすぎるのではないかといった意見もあった。

  ○ また、保育所非利用世帯に対する公的なサービスが母子保健サービスを除きわずかであることもあり、まずは、在宅育児家庭のための地域子育て支援など現物サービスを充実することが重要ではないかといった意見や在宅育児手当という新規の給付よりはむしろ児童手当との関係を整理していくことが必要ではないかといった意見もあり、今後、さらに議論を深めていくべき課題と考えられる。

 (幼稚園との連携)

  ○ 保育所と幼稚園については、前者が親の就労等の事情により家庭における保育を受けられない児童に対し、家庭に代わり保育を行う福祉施設である一方、後者は親の希望により就学前教育を行う教育施設であり、その機能を異にしている。また、近年、保育所においては、女性の就業形態の多様化等に対応し、休日を含めた多様な時間帯のニーズが増加するとともに、0〜2歳児の受入れが増えるなど、保育所と幼稚園との間ではその差異が拡大している面もある。

  ○ 一方、少子化や過疎化の進行により、地域によっては、施設運営の効率化などの観点から、保育所と幼稚園について、一体的な設置・運営が求められているところがあるほか、子育て家庭の多様なニーズに対応し、預かり保育を実施する幼稚園が増加しているという新たな状況もみられている。さらに、地域子育て支援サービスを含め、子育て支援サービスの総合的な提供を図る観点からも、保育所と幼稚園の連携を図ることが重要な課題となっている。

  ○ こうした状況を踏まえ、これまで、施設の共用化、資格の相互取得の促進等が図られてきたほか、さらに、構造改革特区においては、幼児数の減少等の事情にある地域において合同保育等が認められたところである。
 また、去る6月27日の閣議において決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」では、「地域のニーズに応じ、就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設の設置を検討する」とされたところであり、今後、子どもの幸せを第一に考え、保育所と幼稚園それぞれの役割と機能の発揮を基本としつつ、共用施設や合同保育の実施状況も評価しながら、その具体的な姿について検討が進められるべきである。

  ○ なお、保育所等の就学前の子どもの育ちを支える施設については、次世代の育成という点で中核的な役割を果たすことを期待されていることを踏まえ、その費用については、施設ごとの機能・役割に応じた適切な形で、公的支援を行っていくことを基本に考えるべきである。

  ○ 保育所運営費について、その公的支援のすべてを市町村が負う、いわゆる一般財源化等に関する議論については、
ア)次世代育成支援は、国の基本政策であり、地域の自主的、自立的な取組を前提としつつ、国としてどのように具体的に取り組むのか、
イ)地方公共団体の財政状況等によって取組に格差が生じるおそれがあること、特に、過疎地域においては、一般的に担税力が弱く、仮に税源移譲等がなされた場合でも、十分な財源保障がなされないことにより現在の保育サービスの水準が維持できないおそれがある
などの課題があり、慎重な検討が必要である。
 むしろ、高齢者介護における介護保険制度のように、国と地方公共団体を含め国民皆で支える中で地方分権を進めるという考え方についても選択肢として検討することが考えられる。

(3) 経済的支援

 (児童手当を取り巻く状況)

  ○ 児童手当は、欧米主要国の枠組みを参考にして、子育て家庭に対する所得保障や児童福祉の増進の観点から昭和47年に実施された。その後、一時、給付の重点化が図られたが、近年では、対象年齢の引上げ(平成12年)、所得制限の緩和(平成13年)と、制度の拡充が図られ、現在、義務教育就学前までの児童のうち、約85%を対象に、第1子・第2子月額を5,000円、第3子以降月額1万円が支給されている。

  ○ 欧州諸国における類似制度をみると、16歳あるいは18歳未満までを対象に、第1子でも月額1万円以上を所得制限なしで支給するというのが平均的な姿である。米国の場合には、現在、扶養控除(所得控除)のほか、児童1人年間約12万円(1,000ドル)の子女控除(税額控除又は還付)の仕組みが設けられている。

  ○ 児童手当は、大部分の企業において給与の一環として支給されてきた扶養手当と同様の機能を有しており、また、手当額の設定に当たっては我が国の年功序列的賃金体系が考慮されてきた経緯がある。児童手当が欧米諸国と対象年齢や水準が異なっている背景には、欧米ではあまりみられない、こうした扶養手当や年功序列賃金体系の存在が指摘されている。しかしながら、近年、企業の賃金体系が年功序列といった考え方や労働者の生活全般の面倒をみるという考え方から、より能力に対応したものへと変貌を遂げつつある中で、扶養手当についても、支給企業の割合や支給額の両面において、縮小傾向がみられる。

  ○ そうした中で、乳幼児を抱える子育て家庭の所得水準は、近年の経済状況、雇用環境の変化の中で、平均的にみれば他の子育て家庭に比べ低い水準にある。また、今後、年功序列的賃金体系が見直されていくことが予想される中で、従来のような右肩上がりの賃金カーブを期待することは難しい状況にある。

 (税制(扶養控除等)との関係)

  ○ 子育て家庭に対する経済的支援という観点からすれば、税制における扶養控除も児童手当と同様の効果を有しているが、所得階層別にみると、両者の間では大きな違いがある。現在の扶養控除は所得控除であるために、所得の高い世帯は、減税額が大きい一方で所得が低い場合には減税額は小さく、非課税世帯に至っては減税の対象とはならない。所得階層別に、扶養控除と児童手当と合わせてみた場合にも、児童手当の対象となる中低所得者階層と比べ、高所得者階層にはより多くの便益が生じている。

  ○ この点に関し、本年6月の政府税制調査会の「少子・高齢社会における税制のあり方」においては、今後、児童など真に社会として支えるべきものに対して扶養控除を集中することが考えられるとし、その際、控除の仕組みを所得控除制度ではなく税額控除制度とすることも検討課題であるとされている。これは、諸外国における子育て家庭の経済的支援の在り方が、所得控除から税額控除ないしは児童手当による対応へと進んでいる潮流と軌を一にするものであるが、我が国の税額控除制度は米国、英国の制度と異なり非課税世帯は対象とならないこと等を踏まえ、次世代育成支援施策の基本理念に立脚して、政策体系の統一性・効率性等の観点もあわせ考え、児童手当制度との関係を整理することが必要と思われる。

 (見直しの方向)

  ○ 昨年末、配偶者特別控除の廃止が決定されるに当たり、与党三党において、平成16年度に総額2,500億円の枠内で児童手当支給対象年齢等を見直すことを柱とした少子化対策の充実を図ることが合意されているが、まずその実現を図ることが必要である。

  ○ 今後、欧米主要国との比較、企業の扶養手当の縮小、年功序列賃金から能力別賃金への見直しといった状況の変化や、少子化の進行、子育てコストの増加、加えて、世代間の公平性を確保する観点からは、税制との関係を整理しつつ、子育て家庭への経済的支援を一層拡充することが望まれる。

  ○ その際、子育て世帯間の経済状況を比較すれば、まずは所得水準の低い低年齢の児童を有する家庭への支援の強化など、重点的な対応を図ることも検討されるべきである。

  ○ しかしながら、経済的支援(現金給付)については、現物給付(サービス)と比べ、子育て支援という直接的効果に結びつきにくい、雇用創出効果という点では、現物給付の方が有効である、また、少子化対策としての効果を疑問視する考え方も根強くあり、限られた財源を効率的に使用する観点からは、現在ニーズに対して取組が遅れている地域子育て支援サービスの充実や保育所の待機児童の解消など、施策の優先度に配慮した取組を進めていくことが必要である。

  ○ さらに、総合的な子育て支援を図る観点から、市町村の判断によりサービス利用に応じ支給額等を調整するといった弾力的な仕組みについて検討することが考えられる。また、将来的には、総合的な子育て支援給付を支える財源について統一すべきといった観点から、児童手当の財源の在り方について検討することも考えられる。

(4) 他の関連施策の取扱い

  ○ 地域子育て支援、保育、児童手当といった子育て支援施策のほか、これに関連する施策としては、雇用保険による育児休業給付、医療保険による出産育児一時金や療養の給付、母子保健、児童扶養手当などがある。
 これらのうち、雇用保険や医療保険による給付は、職域に関連して給付されるものであるとともに、地域子育て支援、保育、児童手当がいずれも市町村において実施されているのに比べ、雇用保険では政府管掌により、医療保険では各保険者により行われており、実施主体も異なることから、一連の子育て支援給付と位置づけることについては、慎重に考える必要がある。しかしながら、いずれも子育て支援に関連する重要な給付であり、育児休業制度と保育制度のように相互に密接な関係があることから、相互の関係が整合的となるように施策の総合的な展開を図っていくことが重要である。

  ○ 母子保健については、市町村において実施されており、また、保健と福祉の連携の観点からも、子育て支援給付と位置づけることについて、今後検討することが適当である。

  ○ 児童扶養手当については、諸外国においては児童手当の上乗せ給付と位置づけられているところがある一方で、低所得者対策として生活保護との関係について整理が必要との議論や養育費の代替という性格があるのではないかといった議論もあり、将来的に、こうした諸点を考慮しつつその在り方を検討していくことが必要である。

  ○ さらに、教育コストの上昇、所得水準の伸び悩みといった状況の下で、高等教育に係る奨学金制度の充実を求める声が高まっており、年金制度における対応を含め、その具体化に向けた検討を期待したい。

  ○ なお、住民という視点に立てば、子育てに必要な様々な公的支援は、できるだけ身近な場所で、かつ気軽に受けられることが重要である。子育て支援に関する情報、相談などの窓口、さらにコーディネート機能は、市町村が核となって利用者の立場に立って整備されることが期待される。


3.費用負担の在り方

(1) 基本的な考え方

  ○ これまでみてきたとおり、次世代育成支援施策の中核的役割を果たす子育て支援施策に関しては、その充実強化を図る必要があり、その費用を支える負担(財源)についても、あわせて強化を図っていくことが必要である。

  ○ この場合、子育て支援施策の財源構成は、現在のところ、施策ごとにそれぞれ異なっているが、効率化を図りつつ全体的に抜本的な強化を図る観点から、選択肢としてこれを総合的に見直し、新たな次世代育成支援システムの下で、財源の統合を図ることが考えられる。

  ○ 子育て支援施策の中には、公費のみを財源としているものもあるが、厳しい財政状況の下で、今後公費のみで各種のニーズに対応していくことは容易ではないと考えられる。このため、国民一人ひとりが次世代育成支援のために拠出するという新たな枠組みを検討するとともに、あわせて、高齢者関係給付の伸びをある程度抑制し、これを支える若い世代の負担の急増を抑えるとともに、子育て支援施策の充実を図るといった給付構造の見直しを推進することが適当である。

(2) 現役世代・高齢者、企業・団体、国・都道府県・市町村の役割

 (現役世代・高齢者)

  ○ これまで、児童手当について、制度を拡充する観点から、国民個々人の拠出が検討された経緯があるように、次代を担う子どもたちの健全育成を図る次世代育成支援施策については、その充実を図る観点から、子の有無や年齢を問わず国民皆が費用を分かち合う仕組みとすることが適当ではないかと考えられる。

  ○ この場合、高齢者については、国民皆が連帯して分かち合うという意味でも、また、社会保障制度を支える現役世代の子育ての負担に対する理解を示すためにも、目に見える形でこの連帯の仕組みに加わり、費用の一部を担っていくことが考えられる。

 (企業・団体)

  ○ 次世代育成支援施策と企業や団体の関係をみると、
ア)児童手当については、将来の労働力の維持・確保の観点や企業等の扶養手当の代替という性格から、企業等もその費用の一部を負担しているほか、
イ)保育所についてみると、就学前の子を持つ労働者が安心して就業を継続するために必要なサービスであり、その充実は企業等にとっても大きなメリットとなっている。

  ○ 次世代育成支援は、将来の労働力となる子どもの健全な育成を図るという面があるとともに、こうした子どもの育成が、現在そして将来の日本市場の消費の担い手となっていく面があることからすれば、企業等も、個々の国民とともに、次世代育成支援に関する費用の一部を担っていくことが求められる。
 とりわけ保育については、現在、事業主からの拠出金の一部が充当されているが、事業主にとってのメリットやゼロ歳児保育と育児休業制度の代替関係も踏まえた両制度の整合性の観点から、企業等の負担の在り方を検討すべきである。

  ○ ただし、実際の負担を考えるに当たっては、他の社会保障分野における企業等の負担の状況も踏まえつつ、社会保障負担全体を見渡す中で、その在り方や水準を検討する必要がある。

 (国・都道府県・市町村)

  ○ 子育て支援施策については、これまで国、都道府県、市町村が中心となってその費用を負担してきたところであるが、今後は、地域の実情に応じたきめ細かな取組が積極的に進められる仕組みとするとともに、少子化が急速に進行する中で、国の基本政策としてその充実強化を図っていくことが求められている。
 こうした状況を踏まえ、国・都道府県・市町村は、費用負担の面でも、それぞれの役割を踏まえつつ、引き続き重要な役割を果たしていくことが必要である。

  ○ こうした費用については、そのすべてを市町村の一般財源で賄うべきとの議論がみられるが、2の(2)で述べた問題点を踏まえれば、市町村の自主的な取組を最大限尊重しつつも、国民全体で費用を分担するという形で、国・都道府県等が重層的に財政支援を行う仕組み(例えば、国全体で資金をプールし、これを次世代育成支援交付金といった形で児童数や事業量に応じて市町村に交付し、併せて都道府県が公費負担するなど)についてもあわせて検討し、最適な結論を得ていくことを期待したい。

(3) 共助の視点に基づく費用負担

  ○ 次代を担う子どもの育成は、個々の子を持つ家庭のみならず、すべての国民にとって重要な意味を持つ営みである。このため、新たな次世代育成支援システムの費用負担も、親が子育てについての第一義的責任を有することを踏まえつつ、社会連帯の理念に基づき、「共助」の視点からすべての国民が分担していくことを基本とする仕組みが考えられる。

  ○ その際、我が国の社会保障制度において中心的な役割を担っている社会保険の仕組みを活用して、国民が等しく費用を負担する枠組みを検討すべきではないかとの考え方がある。

  ○ 具体的には、構想段階ではあるが、既存の介護保険や年金保険の保険事故に出産や子育てを追加して、新しい保険給付を創設してはどうかといった提案がなされている。一方、出産は、親の選択・裁量の下にあるものであり、いわゆる保険事故とすることにはなじまないのではないかといった意見や、子を持つ意思のない者や高齢者など給付を受けられる可能性が低い者も多数存在することから、リスク分散を本旨とする社会保険として位置付けることは困難ではないかとの意見もある。

  ○ 新たな次世代育成支援システムの費用負担の在り方を考える際には、国民一人ひとり、子どもを持ち、育てる立場となるかどうかについて、置かれた状況は大きく異なることから、給付の受給可能性のみに着目した制度を構想することについては慎重に考える必要がある。むしろ、次世代の育成がすべての国民にとって重要な意味を持つという事実に着目し、その費用を含め、国民が連帯して支えていくという視点で考えていくことが重要であると思われる。すなわち、直接給付を受ける可能性の多寡にかかわらず、現役世代・高齢者、そして、企業等が一定の費用負担を行う仕組みである。

  ○ こうした仕組みの中には、税を通じた財源確保も含まれよう。しかし、次世代育成支援という大きな目標に対し、国民が自覚的に参加し、これを支えていくという観点からは、国民一人ひとりがこの目的のために拠出するという枠組みの方が、よりその趣旨が明確となる。

  ○ こうした枠組みの具体的な設計を考えるに当たっては、制度の効率的な運営という観点からも、白地に絵を描くことは適当ではない。年金制度を始め既存の社会保険制度は世代間扶養を基本として設計されており、次世代の存在によってその持続可能性が確保されるという宿命を有していることを踏まえると、既存の社会保険の徴収機構の活用を検討することが適当である。また、「拠出なくして給付なし」の原則を採り、拠出した者についてのみ保育や児童手当といった子育て支援給付を行うような制度設計を検討することも重要である。
 こうした措置を講じることにより、徴収の確実性を高めるとともに、既存の社会保険制度にとっても、若い世代にとって保険料負担の見返りを実感できる仕組みとなり、保険料の納付意欲の向上を期待できるものと思われる。

  ○ なお、受給可能性の多寡にかかわらず、次世代育成支援のために幅広く拠出を求めるとの考え方については、国民、企業等の理解と納得が得られるかなどの課題もあり、今後、様々な観点からさらに掘り下げた検討が行われることを期待したい。

(4) 社会保障に要する費用の増大

  ○ 次世代育成支援施策の充実を検討するに当たっては、今後とも高齢化の進行が見込まれる中で、社会保障負担の増加を懸念する声が大きいことを踏まえ、社会保障費用全体を視野に入れながら考えていくことが必要である。一方、子育て支援施策は、高齢化の進行に伴い費用の増大が予想される高齢者関係施策と異なり、対象者(児童)が減少していくという傾向にあり、将来的に費用が増大していくものではない。

  ○ これらの点を踏まえれば、制度を構想するに当たっては、社会保障全体でみた場合、新たに大幅な負担増とならないよう、高齢者世代の理解を得ながら、高齢者関係給付の伸びをある程度抑制し、これを支える若い世代の負担の急増を抑えるとともに、子育て支援施策の充実を図るといった給付構造の見直しを推進することが適当である。

  ○ こうした給付構造の見直しを通じ、現役世代の実質的な負担水準を軽減することができれば、世代間の公平の確保、ひいては年金制度を始めとする世代間扶養を基本とする社会保障制度に対する若い世代の理解を高めることにつながるほか、結果として、少子化に歯止めがかかり将来の支え手が増えることとなれば、社会保障制度の安定という点でも意義あるものと考えられる。


おわりに

  ○ 本報告書で提案された「社会連帯による子どもと子育て家庭の育成・自立支援」を基本理念とする新たな「次世代育成支援システム」の構築に向けて、今後、国民的な議論が喚起され、21世紀にふさわしい次世代育成支援施策が実現されることを強く期待したい。


(参考1)

次世代育成支援施策の在り方に関する研究会委員名簿


(座長)京極高宣(日本社会事業大学学長)

柏女霊峰(淑徳大学教授)

新澤誠治(東京家政大学教授)

杉山千佳(子育て環境研究所代表)

鈴木眞理子(岩手県立大学助教授)

武石恵美子(東京大学社会科学研究所助教授)

栃本一三郎(上智大学教授)

堀 勝洋(上智大学教授)

宮武 剛(埼玉県立大学教授)

山縣文治(大阪市立大学教授)

山崎泰彦(神奈川県立保健福祉大学教授)


(参考2)

次世代育成支援施策の在り方に関する研究会検討経緯


第1回 平成15年4月21日(月)

 ○検討項目(案)について

第2回 平成15年5月14日(水)

 ○給付の在り方について 経済的支援の在り方
地域における子育て支援の在り方
保育サービスの在り方

第3回 平成15年5月22日(木)

 ○給付の在り方について
経済的支援の在り方

 ○財政枠組み(財源)の在り方について

第4回 平成15年6月 3日(火)

 ※施設視察(江東区子ども家庭支援センター)
 ※保育関係者ヒヤリング
 ○これまでの議論の整理について

第5回 平成15年8月 7日(木)

 ○次世代育成支援施策の在り方に関する研究会
報告書(案)について


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